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ソラミミ  作者: k_i
第5章
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5-5.学園でのその後

 草里らと学園を離れてから、一週間ぶりの登校になる。

 もっと長かった気のするこの一週間。先に戻ったあの子らは、わたしより二、三日前には登校していることになるんだな。

 どうなっているのだろう。

 

 少し緊張して、学園に足を踏み入れる。何も、変わっているようには思えない。

 およそ一クラス二十人、一学年三クラスで六十人、三学年で百八十人。その内、これまでに離脱や死亡で二十人程はいなくなっている……まあ、見栄え上そう変わるわけでもないか。

 クラスに着くまでは、至ってこれまで通りだった。誰に声をかけられることもなく……

 クラスに入る。一歩……。

 わたしの方を見る子、とくに気にするでもなく話をしたり本を読んでいる子。

 変わらない……朝なので、まだ来ていない子もいるだけと思えば、実際にはクラスの人数が半分近く減っているんだ、という実感もない。

 

「あ、空丘さん?」

「未央さん」

 初日に学園に戻った三人の内の二人が、クラスの後ろで立ち話をしていた。

「戻ってきたのね」

「う、ううん。また、あっちには行くつもりなのっ。一度こっちにも、と思って、ね……」

 彼女らには、草里の傍にいてあげてと言われているので少し、しどろもどろしてしまう。

「そうなの」

「草里さんは、元気?」

「うん……」

 何か、普通だな。安心した……かな。

 そこでふと、気づいたんだけど、見たことない子が一人、二人……ん? クラス、間違えてないよね?

 きょろきょろと見渡す。

 すると、また知らない子が二人、入ってきた。

「何か珍しいことでもあるの」

「あ、あの子は?」

「ああ、ここ数日で何人か……わたしらが戻る前後で転校生が五人、かな。学連からの補充よ」

「ほ、補充!」

 チャイムが鳴って、先生が入ってくる。背高のっぽで眼鏡の、男の先生だ。まろやかな声で、

「さあ席に着いてください。ああ、空丘さんですね」

「あ、は、はい……」

「聞いています。えーとでは、今日も一人、転校生を紹介します」

 女生徒らにはとくに反応もない。

「今日の子で一応、最後ですね。これでクラスの人数は一七人。まだ戻ってくる可能性もある人もいますし、まあ戻ってきてもこなくてもこんなところでしょう」

 

 何か飄々とした先生だな。つまらなさそうだけど、悪い人でもなさそう。

「あ、では、どうぞ想馬さん、でよかったっけ名字?」

 先生、転校生の名前くらいちゃんと……って、想馬さん! 想馬、灯……

「想馬 灯さんだ。皆よろしく」

 先生が今度はびしっと言う。名札にもそう書いてある。

 入ってきたのはまさしく、想馬灯だ。何故? 勿論、何らかの意図はありそうだ。組織と学連との間で、何か話が? それとも組織の独断か?

 ぺこり、と挨拶する。前の方の空いてる席に座った。それだけで、先生はじゃあ一時限目を始めます、と言っている。何となく、前確かこの辺のこと習ってたような、という続きの内容をばくぜんと聞きながら、一時限が終わる。

 

「想馬さん……」

 わたしは、知り合いというのを一応察知されないよう、親しげでないよう話しかける。

「ええ、少しだけお久しぶり。ああ、あなたたちも」

 あからさまにしても、何ら問題はないのかな? 一緒に想馬に案内を受けた子らも集まってきている。

「ええまあ、深くは聞かないで今は。勿論、意味はあるのよ」

 とだけ、想馬さんは言ってそれっきりだった。

 

 チャイムが鳴って、次の授業が始まる。

 何だろう。前と変わらないようでいて、もう決定的に前とは違ってしまっている。もう、毎日何となく楽しくて何となく退屈な日々は続かない。何となく楽しくて何となく退屈であろう約束された将来は、わたしにはないんだな、と感じた。

 

 

 何となく授業には身の入らぬまま、昼寝をする気にもなれないまま、ぼうっとしてる間にチャイムが繰り返されて、放課後になった。

 HR。かったるい。早く終われ。

「あ。そうそう、一つ、注意しておきたいことがあるんだ」

 先生が何か、話している。

 皆が、天使ってまじー、可愛いんですけどー、とか言い合っているのが聴こえてくる。

 天使? はあ……そんなどころじゃないのよ。こっちは。

 想馬さんの方をちらと見ると、想馬さんは真剣な表情で聞いている。あの子、普通に学生としたら、ああやって真面目な子なんだろうな。いつから、なんで、組織に入ったのだろう。わたしたちと変わらない年で。

 とにかく一度、想馬さんに話をしてみよ。

 

 HR後、さっさと教室を出てしまった想馬さんのとこへ駆け寄る。

「しばらく、話しかけないで」

「えっ、そのう……」

 嫌われているわけじゃないだろうけど……何か、きつい。事情はあるのだろうけど。

「ごめんね、わたし任務もあってね。あなたは、バイトすることにしたんでしょ? 行かないの? まあ、毎日行く必要もないだろうけど。バイト身分なわけだしね」

 毎日行くって気にはならない。でも、小象のことも見にいきたいし……草里には会える気がしないけど。小象にしても、ちゃんと面倒を見てくれているのがわかったので、あそこなら実際いちばん安心だろうし、ちょうどいいかなと思っているのだけど。

「あ、それからさっき先生が言ってた話」

「え?」

「重々、気をつけなさいね」

 話て……なんだっけ。

 想馬さんは行ってしまう。

 

 はあ。昼寝してたわけでもないのにこんなにぼうっとなって。やっぱりわたし、組織へ行くしかないな。まだ、はっきりそこを自分の居場所にできるかまでは決めれないけど。まずはバイトにしても、そこでやってみないわけには、いかない。

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