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ソラミミ  作者: k_i
第4章
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4-3.夢の空の一戦

 目的地はお菓子屋さん。またわたしは、小象に乗って夢を通る。

 

 夢の空は、妙に静か。

 どこか、不自然な気すらする。作られた静けさ、というような。罠……? もしかして、知られている? 付けられて……尾行されてるってやつ? や、まさか。

 

 延々と続く空。何もない。風もない。

 雲一つ流れていない。

 これはまるで、ループ?

 迷い込んでしまった?

 やはり、罠……

 心を静かにしよう。どこかで、誰かがわたしを見ている? 察知しなきゃ。

 はあ。はあ。……わたしの息遣いだけ。

 まぶたを開けると、空の様子が変だ。

 

 空が、巨大な顔になる。

 空が、わたしを、食べようとしてくる。

 はぁはぁ!

 なのに、静かで、わたしの息の音だけが大きく大きく響いている。

 空の顔が今にもわたしに迫ってくる。はっきりとした輪郭はなく、ぼんやり浮かび上がる目鼻口、その形相は恐ろしい、年取った男の顔に見える。

 これは、幻なの?

 こうして息を荒げて逃げてることがすでに、敵の術中にはまっているのかもしれない。けど、もし本当に食べられてしまったら……

 小象? 見ると、小象はいつしか模型になってて、動かない。

 顔は、今にもわたしの真上に迫っている。

 食べられる。そこにはどんな死が……

 

 はっ。空の顔が、歪み出す。苦しそうな顔。顔を押しのけて、上空に開いた小さな穴から、一人の少女が。わたしと同じ年くらいの。身軽な身のこなしで顔をぱしん! とはたいて注意を自らに向けようとしている?

 ――逃げて! 今のうちよ。そう、聴こえた。直接、脳に響いてくる感じ。

 

 あっ。

 突然、空の唇がぶいっと伸び上がり、その子を飲み込んでしまう。

 あの子、やられてしまった。

 ゆっくりと味わうように、空の顔が咀嚼を始める。空が、ゆらゆら揺れる。その振動に乗って、わたしと模型の小象もゆっくり流され始めた。だめだ。次は、わたしだ。

 

 ――何、してるの? 早く! ……また、さっきの子の声。――わたしは、やられていないわ。これは遠隔操作に過ぎないから、大丈夫! 早く夢を抜けて。そこで待ってるから!

 

 ポコポコ、と模型の小象を叩くと、小象は気が付いたように小象に戻る。

 

 行きましょう!

 

 そのあとはもう、声は聴こえなかった。咀嚼をする空の顔は咀嚼の度に段々とその顔自体もぐにゃぐにゃになり、消えていく。揺れが収まっていく。

 そのとき駆ける地平線の彼方に何か粒粒が見え、注視すると突然、視界が迫り近づく。

 

 禿げのパレード!

 わたしたちの進行方向に向けて延々、続いているではないか。

 やっぱり、あいつらが? やっぱり、敵だったんだ。さっきの仕業……憎らしく思い駆けていくとまた、違うわ。と声が聴こえる。――あれは、あなたの味方よ。

 

 誰? わたしは呼びかける。あれって、あれが見えるの?

 

 ……。

 

 もう、声が聴こえなくなった。小象が加速し、パレードを一気に追い抜く。夢を、抜ける。

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