夜道のアドバイス(1)
週末の日曜日。
二週間ぶりのバイトは日曜日ということもあってか忙しさが目立った。
両親の仕事がないからか、家族水入らずで外食を嗜む親子や部活終わりの空腹な学生が多い。
それでも時間通りの九時三十分にはきっちりと上がらせてもらい、時給分をしっかり働いた。
「あ、きた」
ホールに戻ると、窓際にある四人席で蒼と千草さんが座っている。
テーブルには蒼の前だけにアジフライ定食が残されていて、まだアジフライだけが一つ残っていた。千草さんはすでに食べ終えているようだ。
「二人だけ?」
聞くと蒼が淡々と言ってくる。
「お父さんとお母さんが出掛けているからご飯がないの」
「あーね。相変わらず姉妹で仲の良いことで」
とりあえず蒼の隣に腰を下ろすと千草さんが顔を上げる。
「バイトおつかれ様」
「どうも」
「人が多くて大変そうだね」
「まあ休日は特に混雑しますね」
蒼は器に添えられたタルタルソースを箸で掴み、アジフライの上に乗せていた。アジフライをつけるんじゃないのかと上品に見える行動を客観していると「食べる?」と提案される。首を振ると「そっか」と自らで頬張った。
「あっ、ねえ美空。彼女できた?」
思い出したように蒼が言ってくる。
千草さんに話が聞きたくて今日は時間を作ってもらったけど、蒼はそれを聞くためについてきたらしい。千草さんは視線も向けずに、外を見つめている。
「できてない」
「ええー、違うんだ?」
「学校で一緒にいたのはただの後輩な」
「へえ、歳下。珍しいね?」
蒼はアジフライを箸で掴み、タルタルソースにつける。さっきまでの上品っぽさは何だったんだろ。
蒼はそのまま口の中に放り込んだ。
「聞きたいことも聞けたから、私は先に帰るね。ちぐ、十一時過ぎると鍵閉めるから」
「うん、わかってる」
蒼は会計を千草さんに任せて、いそいそと帰ってしまった。
「妹はやかましいですね」
「で、どうしたの?」
短い言葉の内側には「わざわざ私を呼び出して」という意思が見られた。
「とりあえず外で話しましょうか」




