そして、私は
あれから、私は療養も兼ねて、結局実家に戻ることになった。
眠れないことや、悪夢にうなされることもたまにあるけれど、しゃべれなくなっていた声もちゃんと戻ったし、エドワードに首を絞められた時にできた痣も綺麗に消えたし、だいぶ前の状態に戻ってきていると思う。
安心して戻れる場所があるというのは、本当にありがたい。昔と変わらず温かく私を迎え入れてくれた家族には感謝だ。なかなか口に出して言えないけれど...。
前と変わらない家族であったが、変化があったとすれば、それは、家族がもう一人増えていたのだ!そう、弟夫婦の間にカワイイ姪っ子が生まれていたのだ。クリスの美貌にはもちろんかなわないけれど、やはり自分の身内はカワイイ!
雲一つなく晴れ渡った空の下、家業の手が離せない弟夫婦に代わって、姪っ子と屋敷近くの草原にお散歩にきている(私暇だしね)。
白やピンクや黄色の花が、草原のあちこちでさいている。
その花の蜜をひらひらと追いかけている蝶々を、
これまたたどたどしい歩みで追いかけている姪っ子を、目を細めながら見ていたら、突然突風が吹いた。
その拍子に姪っ子の帽子が見事飛んでいき、木の枝に引っかかってしまった。
手を伸ばして、うーんっと背伸びをしたが、あと少しのところで届かない。
軽く飛び跳ねてがんばっていると、後ろからこちらに向かって歩いてくる足とが聞こえた気がした。
「待っててねー。今とってあげるから......。」
「やあ、こんにちは、お姫様。
何か、私に手伝えることはありませんか?」
え。
懐かしい声が聞こえたが
ちょうど飛び跳ねた時に声をかけられ、タイミング悪く着地に失敗し、どしんと尻餅をついてしまった。
イタタタタ。
「私は、お姫様じゃないわ!」
と言いつつ、逆光で誰だか見えない中、手を差し伸べてくれた。
「これは、失礼!
それでは、私のお姫様になっていただけないでしょうか、カメリア?」
見えなくても誰だかわかる愛おしい人の声。
相変わらず軽いなぁと思いつつ、
私はロビンの手を取った。




