宮仕えロビンの仕事と恋10
雪道の悪路の中、ご令嬢との二人乗りは、
やはり、それなりに時間がかかってしまった。
裁きの場が始まってから判決まで、どの位時間がかかる?
普通は、それなりに、時間がかかるが、今回はマリーの証言とロンバートが言っている証拠とやら位か?
クソッ。ひょっとししたら、すぐに判決が出てしまう!
屋敷に着くと、エントランスドアの前で、馬から飛び降りる。
クリスを下ろして、ドアを開けると、前方にイザベラが待機していた。
「お急ぎください。もう間もなく判決が、言い渡されます!」
クリスと共に走りだす。
何も言わずともイザベラが裁きの場まで、先導してくれるようだ。
あの廊下の先の角を曲がれば、もう少し!というところで
「死のダンスの刑に処す!」と声が聞こえた。
マズイ!
クリスの足では、間に合わないか!
俺を先頭にクリス、そして、シンガリにイザベラ順で、屋敷内を走る。
扉の前に先についたのは、俺だったが、扉の前にガードしていた、叔父の私兵に止められる。
「お待ちください、ロビン様!裁きの場が始まってからは、誰も入れません!」
「お願いだ!ここを通してくれ!証人を連れてきたんだ!」
「証人ですか?しかし、判決はも、もう!」
クリス!早く来い!!
「そこを、開けて下さい!」
「ク、クリス様!」
ま、間に合ったか?
次の瞬間
「お父様、お待ちください!!」
それは、もう大きな声で、クリスは叫んでいた。
会場は、シーンとなったが、徐々にざわめき始めた。
それは、そうだろう。
死んだはずのクリスが目の前にいるのだから。
俺は急いで、被告人席を確認する。
いた!
まだ、ちゃんと立っている!
鉄の靴は...まだ、執行官の手元だ!
まだ、履かせていない!
間に合った!
彼女は安心したのか、ふっと笑い、そのまま崩れ落ちた。
!!!
気がつけば、俺は彼女の元へ、走っていた。
「く、クリス。生きていたのか...?」
と言いながら、のろのろとこちらへ向かってくる叔父
「ロビン様、これは一体どういう事ですか?」
と言いながら、走ってくるロンバート。
そして、後ろから
「はーーーい!そこまで!みんな、そこから動かないでね!」
と明るく叫ぶ殿下。
こっちも間に合った。
「今から、ここは王国軍第八部隊の管轄になります!屋敷の周り、ぐるっと取り囲んでいるから、みんな逃げないでね。」
「王国軍第八部隊?そんな、部隊聞いたことないぞ!しかも、何の権限で、ここにいる?」
と叔父が赤い顔をして、叫ぶ。
当たり前だ、第八部隊は特務部隊だ。
一般の、しかも社交に疎い領主なんぞが知っているはずがない。
「これから、現領主エドワード・ジェファーとその執事ロンバート・グレム、並びに、ここのリストが出ている者達を、国家反逆罪で逮捕しまーす!
これ、逮捕状ね!お疑いなら、紋章官に確認してもらっても、構わないよ!」
「反逆罪...。」
「知らないって、言わせないよ。闇賭博で大損こいて、借金で首回らなくなって、胴元に投資話を持ち掛けられて、飛びついたは良いけど、それも損失相当出して、挙句の果てに、そそのかされて、借金返済の為に隣国に魔石横流ししてたでしょ!あと、麻薬密造して特産の紅茶と混ぜて流すとか、もうありえないから!
裏帳簿と胴元だった隣国の間諜、それに他の証拠になる書状とか、こっちで押さえているから、言い逃れ出来ないよ!余罪も色々ありそうだしね。今から楽しみだ♪」
ロンバートその場で崩れ落ち、
叔父は青い顔をして、プルプル震えている。
「ロビン。カメリア夫人をいい加減、誰かに預けて、休ませてあげなさい。」
「しかし、殿下。」
「で、で、でんか?」
「はいはい。お初にお目にかかります、ジェファ―卿。
ルドフニク・バン・ホーヘルツゥスと申します。」
と、ちょっとめんどくさそうに言う殿下。
いや、そこはあなた、
もっとしっかりはっきり堂々と、主張しようぜ。
「王弟殿下!」
名前は知らなくとも、王弟と聞いた周りが、より一層ざわざわし始めた。
そして、目を丸くする、クリス。
えっ、クリスよ
そこ知らなかったの?
「あ~あと、そこの今回の裁きの場で証言した二人も、一緒に来てね。」
見るとマリーは、何やらブツブツと呟いている。
兵が二人、彼女を捕まえると
「ウソ、ウソよ!彼女が生きているわけないわ!
だって、あの毒だったら、絶対に殺せるって!
だから、私、あの女の籠にリンゴ混ぜたのに!!」
オイオイ、自供しちゃったよ。
殿下も呆れた顔しちゃってるし。
あー殿下だけじゃないか、と周りを見渡してみる。
「はいっ、君たち!彼らを連れ出しちゃって!
これにて、閉廷!!」
「あとよろしくねー」と言って
ヒラヒラ手を振って殿下は、出て行ってしまった...
じゃねぇよ!これからが大変なのに!
クソっ
とりあえず、残った者たちをまとめて、指示を出す。
イザベラ当たり、副官に副えるか。
はぁー、しばらく忙しくて、寝る暇ねえな。
カメリアも無事に奪還できたし、頑張りますか!




