宮仕えロビンの仕事と恋9
翌朝、早速俺は、彼女の待遇改善を伝える為、ロンバートの所へ訪れた。
「これはこれは、ロビン様。良い所に。
“裁きの場”の事ですが、今日の午後に変更になりましたので、お知らせを。」
「は? 今、何て?」
「ですから、カメリア様の裁きの場の日程が、本日の午後に変更となりました。」
「明日では、なかったのか?」
「ええ、新たな証拠が出ましたので、旦那様がすぐにでもとおっしゃりまして。」
何てことだ!
待遇改善どころではないじゃないか!
まだ、王都から兵は、到着していない。
これは、まずい...。
「ぐ、具体的には、何時だ?」
「午後二時を予定しております。」
「わ...かった。教えてくれて、ありがとう。私も出席するから、よろしく頼むよ。」
「承知いたしました。」
「ちなみに、もし有罪になった時に想定される刑罰は何かな?」
「おそらくは、“死のダンス”になるかと。」
「...そうか。」
死体が見つかっていないから、即刻死刑にならないということか?いや、死のダンスって、限界まで焼かれた鉄の靴を履かせて、悶え苦しむアレだよな。
ある意味、即刻首切られるより残酷じゃないか。
叔父の趣味か?
しかも、刑が終わったとしても、その後の手当てもせずに、あの牢に放置するのは、目に見えている。
クソッ
屋敷にいる間は、何とか冷静を装っていたが、屋敷を出てからは、猛スピードでトランバール邸まで、馬を飛ばす。
「殿下、緊急事態です! 裁きの場が今日に変更になりました!」
「おや、困ったね。まだ兵は到着してないよ。
具体的には、何時からなんだい?」
「本日、午後二時です!」
「んー、雪も降りそうだし、ギリギリだね。
とりあえず、間に合った場合の確認と、間に合わなかった場合の作戦を考えようか。
メリンダ、お茶の準備を。」
俺と殿下の温度差を感じる。
が、この温度差が、俺に冷静さを取り戻させる。
「いえ、殿下、ですから、俺はメリンダって名じゃないですってば!」
という声が聞こえる位には、冷静になれたと思う。
そして、「もう諦めろ」と言ったナターシャの声もちゃんと聞こえた。
時間だけが、刻々と過ぎていく。
「なあ、ロビン。裁判が有罪になったとして、刑の執行は後日になると思うか?」
「いえ、今までの叔父の行動を見ていると、判決が出次第、即刻、刑は執行されると思います。」
「そうか。」
「...。」
「ンじゃあ、兵なしで、とりあえず行くか!」
「いや、それは!殿下の身に何かありましたら、マズイので。お気持ちはありがたいのですが。」
「何とかなるだろ!メリンダもナターシャも、イザベラもお前もいるし!」
「しかし...。」
「わ、私も行きます!」
いつの間にか、クリスがドアを開けて、部屋に入ってきていた。
「いや、君を行かせるわけには。」
「なぜですか!だって、私の殺害容疑ですよね?
私が生きていれば、お母様の罪は無くなります!
誘拐だって!自分で家出したって、言います!
家出途中で頭を打って、記憶喪失になって、保護されたって言えば良いじゃないですか!
私が困っている時に、体を張ってお義母様は、私を助けてくれたのに、お母様が窮地に立たされているのに、私何もしないなんて、自分が許せません!」
「クリス...。」
「よし!クリス嬢も一緒に行こう!」
「し、しかし。」
「大丈夫。その後は、僕が何とかするよ。」
とウィンクをする殿下。
何か策はあるんですよね、殿下?
「さあ、みんな準備をしよう!」
準備を整えながら、ふと窓から外の景色を覗くと、既に雪が降り積もっていた。
間に合うか?
「とりあえず、ロビンはクリス嬢と二人、先にジェファー家へ行ってきて。
悪路の中、二人乗りは時間かかるだろうし、時間稼ぎしておいてよ。
僕は、もう少し兵を待って、なるべく兵と共に一緒に行くから。」
「御意。」
そして、俺とクリスは雪の降る森を、出発したのだった。




