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β版白雪姫物語  作者: 鹿島きいろ
29/35

宮仕えロビンの仕事と恋9

翌朝、早速俺は、彼女の待遇改善を伝える為、ロンバートの所へ訪れた。



「これはこれは、ロビン様。良い所に。

 “裁きの場”の事ですが、今日の午後に変更になりましたので、お知らせを。」


「は? 今、何て?」


「ですから、カメリア様の裁きの場の日程が、本日の午後に変更となりました。」


「明日では、なかったのか?」


「ええ、新たな証拠が出ましたので、旦那様がすぐにでもとおっしゃりまして。」


何てことだ!

待遇改善どころではないじゃないか!

まだ、王都から兵は、到着していない。

これは、まずい...。


「ぐ、具体的には、何時だ?」


「午後二時を予定しております。」


「わ...かった。教えてくれて、ありがとう。私も出席するから、よろしく頼むよ。」


「承知いたしました。」


「ちなみに、もし有罪になった時に想定される刑罰は何かな?」


「おそらくは、“死のダンス”になるかと。」


「...そうか。」


死体が見つかっていないから、即刻死刑にならないということか?いや、死のダンスって、限界まで焼かれた鉄の靴を履かせて、悶え苦しむアレだよな。

ある意味、即刻首切られるより残酷じゃないか。


叔父の趣味か?

しかも、刑が終わったとしても、その後の手当てもせずに、あの牢に放置するのは、目に見えている。


クソッ


屋敷にいる間は、何とか冷静を装っていたが、屋敷を出てからは、猛スピードでトランバール邸まで、馬を飛ばす。




「殿下、緊急事態です! 裁きの場が今日に変更になりました!」


「おや、困ったね。まだ兵は到着してないよ。

 具体的には、何時からなんだい?」


「本日、午後二時です!」


「んー、雪も降りそうだし、ギリギリだね。

 とりあえず、間に合った場合の確認と、間に合わなかった場合の作戦を考えようか。

 メリンダ、お茶の準備を。」


俺と殿下の温度差を感じる。

が、この温度差が、俺に冷静さを取り戻させる。


「いえ、殿下、ですから、俺はメリンダって名じゃないですってば!」

という声が聞こえる位には、冷静になれたと思う。


そして、「もう諦めろ」と言ったナターシャの声もちゃんと聞こえた。





時間だけが、刻々と過ぎていく。


「なあ、ロビン。裁判が有罪になったとして、刑の執行は後日になると思うか?」


「いえ、今までの叔父の行動を見ていると、判決が出次第、即刻、刑は執行されると思います。」


「そうか。」


「...。」


「ンじゃあ、兵なしで、とりあえず行くか!」


「いや、それは!殿下の身に何かありましたら、マズイので。お気持ちはありがたいのですが。」


「何とかなるだろ!メリンダもナターシャも、イザベラもお前もいるし!」


「しかし...。」



「わ、私も行きます!」


いつの間にか、クリスがドアを開けて、部屋に入ってきていた。


「いや、君を行かせるわけには。」


「なぜですか!だって、私の殺害容疑ですよね?

 私が生きていれば、お母様の罪は無くなります!

 誘拐だって!自分で家出したって、言います!

 家出途中で頭を打って、記憶喪失になって、保護されたって言えば良いじゃないですか!

 私が困っている時に、体を張ってお義母様は、私を助けてくれたのに、お母様が窮地に立たされているのに、私何もしないなんて、自分が許せません!」


「クリス...。」


「よし!クリス嬢も一緒に行こう!」


「し、しかし。」


「大丈夫。その後は、僕が何とかするよ。」

とウィンクをする殿下。


何か策はあるんですよね、殿下?


「さあ、みんな準備をしよう!」


準備を整えながら、ふと窓から外の景色を覗くと、既に雪が降り積もっていた。


間に合うか?


「とりあえず、ロビンはクリス嬢と二人、先にジェファー家へ行ってきて。

 悪路の中、二人乗りは時間かかるだろうし、時間稼ぎしておいてよ。

 僕は、もう少し兵を待って、なるべく兵と共に一緒に行くから。」


「御意。」



そして、俺とクリスは雪の降る森を、出発したのだった。

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