閑話 メリンダとナターシャ
昨日、評価をつけていただいた方。ありがとうございます。
稚拙な文章ですが、日々精進していけるよういたしますので、
温かく見守っていただけると幸いです。
夜も深まり、俺はこの田舎に数件しかない飲み屋のうちの一軒の扉を開けた。
自家製燻製ソーセージと姉御肌の女将さんが売りの、昔からある飲み屋だった。
「よお!可愛いメリンダにナターシャ!元気だったかい?」
「いや、俺ら、そんな名前じゃねーしっ!」
とひげ面の男は言った。
メリンダ(仮名)とナターシャ(仮名)は、殿下の元で内偵専門に行っている者達だ。
メリンダは、いかつい男風、ナターシャは優男風、二人は人相も性格も全然異なるのだが
共通して言える事は、ありきたりな顔をしている。
そう、誰の印象にも残らないように。
「冗談だよ!どうだい、最近?」
「いや、特に変わらず元気でやっているよ。」
(順調に調べが進んでいます。)
「俺はな、最近新しい娘、見つけたんだよ!」
(新しい情報、掴みました)
とナターシャが話す。
「おっ、良いね!どんな娘?どんな娘?」
「容姿はこの土地ではありふれた毛色だがな、とても身持ちが硬いと評判なんだ。ただね、どうも最近、フラフラとどこかに行っているようで、ちょっと心配なんだよね。」
(特産の魔石が、どこかに流れているようです。)
「それは、心配だね。山まで越えて行きそうな勢いなの?」
(隣の国まで流れてる?)
「どうだろうな。山まで越えないと良いんだが。それをこれから、自分の目で確認してみようと思っているよ。」
「そう。あまりしつこくして、嫌われないようにね。」
(深追いして、バレない様にね。)
「そうだな。」
「俺もね、ちょっと気になった娘がいるんだ。
それこそこの辺りでありふれた容姿の娘なんだけどさ、とっても繊細で、美味しそうな娘。でもね、この前ちょっと見かけたら、ちょっと具合悪そうなんだよね。俺、すぐ王都に戻るからさ、悪いんだけど気にかけてもらえるかな?」
(特産の紅茶に何か変物が混ざっている気がする。俺が王都に戻っている間調べといてくれ。)
「人使い荒いなぁ~、全く」
「悪いね~。」
話がひと段落した所で、馴染みの女将がエールを運んでくる。
「なんだい、あんたたち!みんな揃って、悪だくみの相談かい?」
「まさか、そんなことしてないですよ!」
「はいはい、女将の美貌にかんぱ~い!」
「「かんぱーい!」」
世間話をしばらく楽しんだ後、今後の予定をすり合わせし、飲み屋を後にした。
夏が近づいてきたとはいえ、北のトルタイムのこの季節の夜はまだ冷える。
酒で火照った体には、気持ち良かった。
明日は、王都に戻って、殿下に報告だ。




