第9話 神域強化
(アイゼン、光ったみたいだけど、何が起きたの?)
(神域が強化されました)
「神域強化?」
「ユウ?」
「あ、ちょっと待ってね」
(アイゼン、強化された結果どうなったの)
(神棚の神域が強化されたことにより、開拓地の能力が強化されました。
3つの変化が確認されています。
1つ目の変化は、都市部が強化されています。
開拓作業が自動化され、ミニゴーレムが必要なくなりました。
都市部の産出効率が10倍に、作業中だった森の伐採が完了、同じく作業中だった都市防壁の建築が完了しました)
(アイゼン、順番に行こう。変化の1つ目を確認したい)
説明の途中で割り込んだ。
(かしこまりました)
自動化?
開拓詳細を見ると、確かに都市部にはミニゴーレムがいない。
そして他から持ってこようとしても、配置できない。
都市部の産出効率10倍?
所持資源を見ると確かに魔法鉱石の数が10になっている。
都市部の食料や魔素の産出量も増えている
食料 2265 1日の増加量 3200
魔素 212738 1日の増加量 14200
森の伐採が完了?
そういえば昨日はミニゴーレムが木を切っていた。
あれは作業中ということだったのか。
「アイ、ちょっと外を確認してくる」
「ん、一緒に行く」
アイを連れて外に出た。
昨日、確かにここは森の中だった。
木がない。
とんでもない範囲で、木がない。
「森が消えているわね」
「うん。さっきので都市の開拓が自動化されて、なんか一気に木を切り終わったみたい。
そしてここはやっぱり、ある程度の山の頂上だったんだね」
「森だったから、よくわからなかったわよね。山と言うか丘というか?」
「うん。で、あっちの方を見ると、途中から先は森があるでしょ。
その森との境目に、この都市の防壁が完成したみたい」
確かに、あると言われてみると、あるように見える。
そしてあると思って草原が続く方を見ると、途中に壁っぽいものがある。
「よくわからないわ」
「あると思って、あっちの草原の方を見てみて。
ここから森と同じくらいの距離のところ」
アイは目を細めたりしながら見ている。
「確かに何かがずーっとつながっているのが見えるわね」
「それが都市防壁らしい」
「ずいぶん遠いのね」
だねぇ。
(アイゼン、あの城壁は開拓範囲の全域を囲んでいるの?)
(違います。都市部分のみです)
(アイゼン、都市の開拓マスの1辺の長さはどれだけあるの?)
(1マスの1辺は50㎞となっています)
1辺50km?
つまり2500km2?
1マス、でかくない?
あれ?
そもそも都市って広さどれくらいなんだろう。
(アイゼン、東京都の面積は?)
(約2200km2です)
都よりも広い都市。
広すぎない?
ゲームと同じであれば、開拓可能マスは都市を含めて21マス。
つまり52500km2?
(アイゼン、北海道の面積は?)
(約83500km2です)
流石に北海道よりは狭いか。
それにしても十分な広さの開拓地だ。
何百万人暮らせるんだろう。
まだ二人なんだけど。
「壁の中が全部都市の範囲だって。
そしてあっちの壁から、反対側のあっちの壁まで50㎞らしい」
「広いわね」
アイがあきれている。
「まったくだね」
(アイゼン、変化の二つ目を説明して)
(かしこまりました。
2つ目の変化は、自動化によって必要がなくなったこの都市のミニゴーレムが、近衛ゴーレムに変化しました)
「近衛ゴーレム?」
周りを見ても見当たらない。
どこにいるんだろう。
「お呼びでしょうか、ご主人様」
家の中からゴーレムが出てきた。
いつの間に家の中にいた?
ミニではない。
僕たちと同じ位の大きさだ。
しかし、しかしこれには異論がある。
近衛ゴーレム?
「メイド?」
アイがつぶやいた。
そう、どう見てもメイドゴーレムだ。
「アイゼンが言うには近衛ゴーレムらしいんだけど。
さっきの光でここの都市担当のミニゴーレムが変化したみたい」
「はい、近衛ゴーレムです。ご主人様を守ります」
らしい。
「ユウ、額に1の珠が付いてる」
ほんとだ。
それで変化したのかな。
「会話ができるみたいだし、近衛ゴーレムではなくて名前をつけようか」
1番の珠、たしかイーシン〇ュウ。
「イーちゃんにしよう」
「中国語ね」
あ、そういう意味だったんだ。
知ってた、うん、知ってた。
「近衛ゴーレムちゃんをイーちゃんと命名。よろしく」
「個体名を頂き、ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
「私はユウの嫁よ。よろしくね」
「かしこまりました、奥方様」
あれ、あっさり信じるんだ。
主人に確認しなくていいの?
「この子はいい子。
きっとうまくやっていける」
アイが喜んでいるからいいか。
(アイゼン、3つ目の変化を教えて)
(かしこまりました。
3つ目の変化は、勢力圏の境界フィールドが防御フィールドに変化しました)
意味が分かりません。
(アイゼン、それによって何が変化したの?)
(勢力圏内には、ご主人様や奥方様に敵意を持つものが存在出来なくなりました)
あれ?アイゼンまでさらっと奥方様って言ってるよ。
ご主人様のポジション低くない?
それはともかく、もともとのゲームでも勢力圏には通行許可を結ばないと入れなかったような。
宣戦布告すれば入れるか。
(アイゼン、開拓者のマップ表示)
(開拓者のマップを表示します)
上空からのマップ表示に切り替わった。
ああ、やっぱりこれで見れるんだ。
もう正式なスキル名を確認しなくても、アイゼンに任せればいけそうだ。
あれ?いつの間にか勢力圏とか開拓可能範囲が広がってる。
開拓可能範囲は予想通り、9マスの外側に1マス分が増えた。
角はやはりなしか。
いつ増えたんだ?
昨日と言っても、最後に見た辺りの日付は変わっていたと思うけど。
(アイゼン、開拓都市の更新っていつ行われるの?)
(日の出のタイミングで更新されます)
日の出か。
0時じゃないのね。
システム的にはともかく、実際には人間は夜中だと寝ているか。
この世界では、日の出とともに行動するのが一般的なのかな。
勢力圏は開拓可能範囲の1マス外側まで広がっている。
つまり初期からは2段階拡張している。
開拓都市の影響力を確認すると101になっていた。
1日毎の上昇値内訳。
都市1、歌姫100。
アイの影響力がとんでもない。
あ、もしかしてゴーレムやアイゼンにも影響を与えてる?
勢力圏は10で1段階目、100で2段階目が広がっていた。
次は1000だから、変化がなければ9日後か。
(アイゼン、南の方に見えるユニットっぽいのは何?)
(盗賊です)
(アイゼン、盗賊と勢力圏の間に剣が交差したみたいなマークが出ているのは?)
(盗賊が防御フィールドに対して戦闘を仕掛けています)
あー、なるほど。
確かに通行許可も宣戦布告もなしに侵入できる存在がいたか。
蛮族。
ここでは盗賊もなのかな。
国に所属していないという意味ではそうなのかもしれない。
(アイゼン、防御フィールドは持つの?)
(現状は問題ありません)
現状は、か。
(アイゼン、このまま戦闘が継続した場合には突破される?)
(防御フィールド自体の突破は不可能です。
境界フィールドに戻った場合はそのまま突破されます)
(アイゼン、いつ頃防御フィールドが境界フィールドに戻る?)
(未来のことはわかりません)
つまり七竜珠の力による一時的なパワーアップの可能性があるのか。
その間は突破されない。
力が消えたら戻るかもしれないと。
その場合は突破される。
そしてそれがいつ頃かわからないと。
このまま放置は流石にまずい。
盗賊まで間に3マスある。
都市自体の壁まで25kmある。
つまり勢力圏のフィールドまで175㎞はある。
歩いていくには遠い。
どうやって行こう。
飛んで行くのが現実的。
でもその場合は連れて行けるのは、一人だろう。
イーちゃんは近衛という事だから、きっとついてくる。
(アイゼン、盗賊の下にでている23という数字は?)
(盗賊の人数です)
やっぱりそうか。
多い。
魔法を使えば行けそうな気はするけど、僕はとどめを刺せるのか?
自分の血を見ることすら足がすくむのに。
眠らせることは前にもできた。
そのあとはイーちゃんに倒してもらう?
でもあの時も、火があったから5分くらいと言われたし。
戦闘中だと、もっと短いかもしれない。
何か研究してユニットを作成するか?
多分ミニゴーレムと同じように、ユニットもゴーレムだよね。
ゴーレムって普通に魔法で作れないのかな?
(アイゼン、ゴーレムって魔法で作れない?)
(作れます。魔法は魔力をエネルギーとした万能の力です)
そういえばそうだった。
魔法はイメージすればできる。
(アイゼン、ゴーレムを作る能力はない?)
(ゴーレム創造という能力があります)
能力を取得して威力の底上げをしつつ、ゲートを通れる大きさのゴーレムを作る。
ゲートさえ通れれば僕が一人で向かったって向こうで呼び出せる。
我ながらいい思い付きだ。
まずは二人で何やら戯れているアイとイーちゃんに伝えないとまずいか。
「アイ、イーちゃん。
盗賊が防御フィールドに攻撃してきてるみたい。
ちょっと盗賊討伐の準備をするね」




