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女王様は最強の予定  作者: violet
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ルージュ

王太子は王に裁可を得て軍隊を出動させた。

向かうは国務大臣の屋敷。

セシルが同行すると譲らない為に、マクシミリアンも行く事になった。

セシルは大人になったばかりで馬に乗れない、つまりはマクシミリアンが自分の馬に乗せるということだ。

それが、マクシミリアンが同行を許した最大の理由らしい。

魔界から呼び寄せた馬にセシルを乗せる。

今日のセシルはペールグリーンのドレスでマクシミリアンに身体を支えられて横座りで馬に乗っている。

セシルもマクシミリアンも軍務には関わらないが、小麦の探索と証拠の押収を担当する。




奇襲は効を奏し、最低の抵抗で屋敷を制圧することに成功した。

ガターン!!

あちらこちらの部屋で捜索が開始された。

国務大臣がいないのだ、それと小麦の貯蔵庫も探さないといけない。

それは国に何ヵ所もあるだろう、それを国務大臣は知っているはずだ。

そして隣国との取引も吐かさねばならない。

逃がす訳にも、死なす訳にもいかない。



「王太子。」

マクシミリアンが王太子に声をかける。

「大臣の居場所がわかるのか?」

「それは、わかりません。知らない人間を探すことはできません。

ただ、ここにいるはずのない魔族の気配があるのです。」

「それは、どこだ!」

セシルを抱いたままでマクシミリアンは駆けていく、その後を王太子と兵士が続く。

それは、先ほども捜索したはずのサロンだった。

「ルージュが泣いている!」

マクシミリアンから降りたセシルが壁に駆け寄る。

「ルージュ?」

王太子の問いにセシルは答える余裕はない、答えたのはマクシミリアンだ。

「魔族の姫君です。

セシルの従妹、そしてルージュもクレメンティーヌの血をひいてます。」

「そうか。」

王太子は一言(ひとこと)言っただけで、押し黙った。


壁を叩いていたセシルが叫んだ。

「マクシミリアン、ここ、ここよ!」

マクシミリアンは手のひらを広げると壁に向けた。

魔力のある王太子には見えた、一瞬で走った力の塊が、壁を突き抜ける。

真っ暗な穴が開いて、(かす)かな声が聞こえた。

そこをセシルを押し退けて王太子が駆け込んだ。

王太子の後をセシルとマクシミリアン、兵士達が続き真っ暗な中にある階段を降りて行く。

突然照明の光が目に入って見たのは地下にある牢。


「イヤよ、行かない。」

「お前を置いてなどいけない、一緒に逃げるんだ。」

ルージュの腕を握って離さないのが国務大臣なのだろう。

「イヤよ、離して!!」

飛び込んだ王太子に、ブロンドの髪を振り乱すルージュの泣き叫ぶ声が響いた。

「クレメンティーヌ!!」

「ロレンツォ!」

ルージュが知らないはずの王の名を呼ぶ。

王太子がルージュの腕を掴む大臣の腕をひねりあげると、大臣の手がルージュの腕を離した。

王太子はルージュを抱き寄せると後ろにかばう、王太子の背中でルージュは震えて泣いている。


セシルとマクシミリアンは状況についていけない。

「マクシミリアン、あれって血に引きずられている?」

「多分そうでしょう。ルージュはロレンツォなんて名前知らないはずです。

私達だって昨日知ったばかりです。」

それよりも、とマクシミリアンが魔術で、王太子に殴られている大臣をロープで縛る。

「王太子、大臣が死んでは困ります。」

その言葉で我に返ったのは王太子だけでなく、ルージュもだ。

「マクシミリアン様。」

ルージュの頬を涙が流れ落ちる。

縛られているのに、なおも大臣はルージュの元に行こうとする。

「その女は私のものだ。」

叫ぶ大臣の口に猿轡(さるぐつわ)がかけられる。

兵士達に取り押さえられた、大臣がそれでも暴れる。


「なに、人間に捕まってんのよ!」

セシルがルージュの前に立つ。

「誰?」

ルージュがきょとんとして問い返す。

「私よ。」

セシルの言葉にルージュが目を見張る。

「いやあああ。」

セシルだと解って頭を振るルージュを王太子が抱き締める。

「姫、姫、落ち着いて。」

「セシルが大人になるなんて。

私はマクシミリアン様を想うことも許されないの。」

ポロポロ泣く様は哀れみを誘い、王太子が強く抱き締めている。

「ええ、とても迷惑です。」

何の感情もなく、マクシミリアンが答える。

その言葉に、ニヤリと笑った王太子をマクシミリアンは目の端に見た。

ルージュは真っ青な顔で震えている。

「私は、エルダー・ワインデル、この国の王太子です。

美しい姫の名を賜る栄誉をお与えください。」

腕の中のルージュの涙に濡れた顔を指先で上に向かせる。

セシルからルージュの名を聞いてるくせに、ルージュ本人から聞きたいらしい。

ルージュの目がゆっくりと王太子の方に向く。

「ルージュです。ルージュ・オデッセア・デライト。」

ルージュはゆっくりと意識を失って王太子の腕の中で崩れ落ちた。

王太子は大臣に捕まれ赤くなっているルージュの腕に唇を寄せ抱き上げると、大臣の事は兵士達に指示を出して地上に向かう階段を登り始めた。




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