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女王様は最強の予定  作者: violet
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16/24

雑貨屋

大きな音を立てて男が倒れるが、直ぐに立ち上がり殴った相手に飛びかかって行く。

「ジェシカは俺のものだ!」

「ふざけるな!」

二人の男の乱闘は終わりが見えない、双方の顔は腫れ上がり腕や足もケガをしているだろう。

店の前の大通りでしているから見物客も多い。


やっと街の警備隊が駆けつけた時には店の中はぐちゃぐちゃだった。

最初は店の中でもめたので、巻き込まれてケガをした人もいた。

セシルもその一人である。

もちろんケガはマクシミリアンが治癒してあるが、じゃあいいわよ、とは済まない。

「どういうことよ。」

「ごめんなさい、あの人達いつも強引で、おケガは大丈夫ですか?」

美人というよりは、可愛い感じの女性が謝ってきた。

「貴女がジェシカさん?

両方と付き合っていたの?」

セシルが皆が気にしていることを、ズバズバ聞いていく。

「付き合っていた、というか、断れなくて。」

「断れなかったら、って不誠実よね。両方は自分と付き合っていると思ってたんでしょ。」

幼女に言われて涙ぐんでいる。

「あー、あざとい。泣けばいいと思っているの。

ケガしたこっちが悪役じゃない、原因は貴女の優柔不断でしょ。」

「セシー。」

「マクシミリアンもあっちを庇うの?」

「いいえ、男達は真剣だったんでしょうね。

ただ、彼女は自分の何が悪いかわからないのですよ。

そこからが間違っていると思いますよ。」

マクシミリアンの言葉に顔色を悪くするジェシカは、ハラハラと泣いている。

「貴女って本当に好きになった人がいないんでしょうね。

自分が可哀想で泣いているんでしょ。」

セシルがため息をつきながら言う。


たくさんの物が壊れ散乱した店内を見ていたマクシミリアンが床に散らばる紙切れに目を止めた。

どうやら壊れて砕け散った壺の中に入っていたらしい。

納品書である、日付は2ヶ月前。

麦の納品で数量と金額が書いていある。

どうして、こんなところに入っているんだ。

それも大量にだ、どういうことだ?

マクシミリアンは納品書の束を隠し持つとその場を離れた。


「買い付けに行っている店長に怒られる。」

ジェシカが警備隊に説明しながら肩を落としている。

「店長はいつ戻ってくるのだ。」

警備隊長の問に、

「明後日です。」

とジェシカが答えている。


店の前ではセシルが大勢の見物人を並べている。

「はい、貴方はあっちね、貴方達はあっちね。

壊した犯人達は連行されたし。

店員は一人だから、みんなでお店片付けましょう。」

見物に来るぐらい暇なんでしょう、見物代よとセシルがさばいている。

偉そうな幼児に誰も逆らっても仕方ない、と思っているらしい。

大勢で片づけたので、壊れたり、割れた物の除去はすぐに澄んだ。

これ以上はわからないと、店員であるジェシカに任せて、セシル達も見物人達も店を後にする。


「ねえ、マクシミリアン、彼らはどうなると思う。」

宿屋に向かう道をセシルとマクシミリアンは手を繋ぎながら歩いている。

「わかりませんね、自分の子供じゃないかもしれない、となると難しいでしょうね。

しかも彼女はこれからも、強引にでられると他の男性を受け入れるかもしれませんしね。」

「なんでジェシカは受け入れちゃうんだろう。」

「相手に自分をいいように思わせたまま断るってのは、無理なんですよ。

ジェシカは寂しかったのかもしれませんね。嫌われたくなかった。」

「私、ジェシカにきついこと言っちゃったわ。」

「みんなが同じこと思ってましたよ。」

大丈夫ですよ、とマクシミリアンが言う、言ってあげてよかったんですよ。

「それより、少し寄り道しませんか。麦の値段を知りたいんです。」





翌日は朝から、マクシミリアンはセシルを抱いて王宮まで移動をした。

馬での移動だと半日かかるが、魔術は楽である。


ここでもトアルコ王国のリンドソーズ公爵家とグロリアーノ王家からの連絡が来ており、セシル達を待っていた。

だがセシルが王宮に入った途端、顔色を変えたのだ。

「セシル、大丈夫ですか。」

「大丈夫じゃないけど、がんばる。気持ちが悪いの。」

もうココが本命だと言わんばかりである。


さほど待つ事もなく謁見室に通された、ここで必ず鏡を手にれなばならない。

セシルの様子をみていればわかる、この王宮のどこかに魔術のかかった鏡があるはずなのだ。

精霊王の言うとおりだった。

そして、この王宮にはグロリアーノ王宮よりも悪意が感じられた。


黒髪の王とそれを受け継いだであろう王太子が謁見室に待っていた。

「お目通りありがとうございます。

マクシミリアン・ブルーノーツといいます。

こちらがセシル・オデッセアですが、今体調を崩していまして、ご挨拶が難しく申し訳ない。」

セシルはマクシミリアンに抱きついて震えている。

「そのブロンドが!」

王が立ちあがりセシルに近づく。

マクシミリアンがセシルを覆うように抱きしめると、王も気が付いたようだった。

「これは申し訳ない、彼女の見事なブロンドに気を取られてしまいました。」

「ブロンド、そこに何かご事情がおありのようですね。」

マクシミリアンとセシルは謁見室にあるソファへと案内され、王が溜息をつきながら座席に座った。


説明を始めたのは王太子だ。

「我が王家にはとても古い肖像画が残っています。

それは珍しい事ではないのですが、そこに描かれているのは王家の人間ではありません。

王家に嫁ぐはずだった姫の絵です。

見事なブロンドの19歳の公爵令嬢でした。」

彼女のような、と王太子がセシルを見る。

「人とはイメージが大きいのでしょう、セシルはこの髪なので天使だとよく言われています。」

マクシミリアンの言葉に王太子も、わかりますよと返事をしている。

「王家には魔族の呪いがかかっています。」

マクシミリアンもセシルも目をみはる、そんなことあるはずがない。


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