↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/15

第六話

若い女性と、顎に短い髭を生やした男性が大きい扉の前に立っている。


やっぱりこれは正門なのだろうか。職員の人が、ここまで案内してくれた。


「私はリシェル・アルバーン。これからよろしくね」


きれいなお姉さん、という印象だった。


「僕はアレクシス。よろしく」


(おっきい)


リシェルとは年齢が近そうだ。


(なんとなく夫婦っぽいな)


「よろしく、おねがいします……」


リシェルがヴェンルに微笑んだ。


「ふふ、そんなに硬くなくていいのよ、さあ、行きましょうか」


扉の外へ歩き始めた。


ヴェンルが知らない道へと進んでいく。


久しぶりの外の空気だった。


「シャバの空気……」


それを聞くと、アレクシスはこっちが恥ずかしくなるほど大きい声で笑った。


「はははっ、そんな言葉知ってるのか?」


リシェルはアレクシスを睨みつける。


「ああ、ごめん、ごめんよ、リシェル」


リシェルはヴェンルの方を向くと、


「そんなギャングみたいなこと言わないの、わかった?」


「うん……」


アレクシスはその様子を見てまた笑いだしそうになったので、慌てて口を押さえていた。


⸻


「ヴェンル、着いたわよ」


前の家よりもずっと大きくて、周りには草木が生い茂っていた。


リシェルがドアを開けると、人の家の匂いがした。


(ここ、これから僕のおうち?)


玄関にゆっくり入る。


「これからはここがお前の家だ」


ヴェンルはアレクシスに心を読まれたと思って、思わずアレクシスの青い瞳を見つめた。


アレクシスは笑いかけてくれたけど、でもなんだか気まずくなってきて、目を離す。


「ほら、上がって」


きれいな廊下に踏み入れ、音を立てないように歩いた。


廊下の先には、広いリビングがあって、整理整頓されていた。


大きい本棚がある。


「ヴェンル、改めて、これからよろしくね」


「……うん」


⸻


「ヴェンル、起きて!」


ヴェンルは家の2階に部屋をもらった。リビングは一階だ。


たぶん、今の声はリシェルで、リビングから呼ばれている。


ベッドから重い体を起こし、パジャマを脱いだ。


なんとなくかっこいい、新しい服を手に取った。


すんすん匂いを嗅ぐ。


やっぱり慣れない。


(お母さん……)


ごしごしと手首で目を擦った。


服を着替えると、一階に降りていった。


「ヴェンル、おはよう」


アレクシスがマグカップを手に持って、新聞を読んでいた。


「おはよう」


「ヴェンル、ちょっと聞いて?」


リシェルが椅子に座ったので、ヴェンルも座った。


この椅子も、なんだか柔らかくて、慣れない。


「魔法って、知ってる?」


魔法。勇者はあんまり使わないやつだ。


(そういえば、お母さんが使ってた……)


「名前は知ってる」


「そう?物知りね」


リシェルが迷うことなく本棚から一冊の本を引き出した。


そしてペラペラとページをめくった。


リシェルがそのページを見せながら説明する。


「今は最低限だけ説明するわね」


ヴェンルがこくりと頷く。


「魔法は不吉に感じられるかもしれないけど、使い方によっては人を救うこともできるものなの」


リシェルは本の図を指差した。


「ヴェンルは将来何になりたいんだっけ?」


「えっと……ドラゴン使いの勇者」


「いい夢ね。実はそのドラゴンを操るにも魔法が必要なの。それに、あなたは強くなる素質を持っているのよ」


ヴェンルは、ぱぁっと目を輝かせた。


「ほんと!?」


アレクシスがこちらに目を向けた。


「この説明でヴェンルはわかったのか?」


「うん」


「ははっ、頭いいみたいだよ、リシェル。医者もできるんじゃあないか?」


「ヴェンルが疲れちゃうでしょ?」


ヴェンルは首を傾げて、視線を2人の間で行ったり来たりさせた。


「えっとね、ヴェンルには魔法の訓練をしてほしいの。ヴェンルに強くなってほしくて。毎日、朝と夕方、頑張ってくれない?」


「うん!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。