一年生一月:ゆかりのお見舞い①
ゆかりがヨスガのお見舞いに行った翌日。
ゆかりは熱を出して寝込んでいた。
雪の中一人で佇んでいた事を後悔しながらも、二人に顔を合わせるのが先送りになってホッとしている。
先送りにしない方が良い事はわかっていた。
それはそれとして、ヨスガが快復したと聞いて嬉しかった。それと同時に昨夜の事を思い出して後ろ向きな気分になる。
ゆかりはヨスガに恋をしている。
名付けられた感情はフワフワとゆかりの周りを浮いている。
まだ声に出してはいない。
音として外界に出力するのが怖かった。
まだ、心の中で秘めていたかった。
けれど、自覚してから日に日に大きくなる気持ちはいつか溢れ出してしまうのだろうとも思っていた。
ヨスガにもゆえにも会いたい。会いたくないけれど会いたい。
何を話したら良いのか、何を秘するのか、ゆかりは考えがまとまらないまま寝直した。
ピンポーンとインターホンの音が鳴り、ゆかりは目を覚ました。
眠る前よりは身体が軽く感じていた。
授業を休まずに済みそうでホッとした。
汗ばんだパジャマは少し気持ち悪いが、ひとまずインターホンのモニターを確認する。
来客はゆえだった。
ゆかりはマイクを取るのを躊躇する。
ゆかりはモニターに映るゆえをまじまじと見ていた。
観察している内に、ゆえの顔がやつれている事に気づく。
インターホンのモニターの解像度でわかるくらいに普段のゆえと比べて元気が無い。
ゆえと顔を合わせる事への躊躇いが、ゆえを心配に思う感情にあっさりと塗り替えられた。
ゆかりは玄関に足を運び、一呼吸おいてから扉を開く。
「ゆえさん。こんばんは」
起き抜けに声を発したのもあってゆかりの声は掠れていた。
目の前に立つゆえは目が赤く、モニター越しに見た以上に痛々しく見えた。
ゆえは声を発する事無くゆかりを見つめて固まっている。
ゆかりがこんなに弱々しいゆえを見るのは芸術鑑賞会の日以来だった。
思えば、ゆえがネガティブな感情を強く表に出していたのはあの日だけだった。
「まずは入りませんか?風邪っぴきで申し訳ないですけど」
ゆかりがゆえを引っ張って扉を閉める。
「風邪、うつされちゃった?」
ぽつりとゆえが訊ねる。
「いいえ、お見舞いに行った後に外で考え事をしてたのが原因ですね」
ゆかりの返答に思うところがあったのか、ゆえは「ごめん」と言う。
「ゆえさんは何も悪く無いですよ。もちろんヨスガくんもです。そんな事より、わたしは今のゆえさんの方が心配ですよ」
ゆかりがゆえの両頬を包む。いつもゆえがゆかりにじゃれつく時にしている手段だ。
「なんでもない」
強がりをゆえが言う。
熱は下がっていなくても、ゆかりには簡単に看破される。
ゆかりはゆえの両頬を弄ぶ。もちもちしていて気持ちが良かった。
「あつい」
ゆえがゆかりの手を剥がす。
ゆかりは、ゆえの顔色が少しだけ良くなったように感じてホッとする。
「ゆかりの手伝いしたら帰る。ゆかりは寝てて」
ゆえも少しだけ普段の調子に戻ったのか、靴を脱いでゆかりの背を押しながらリビングに入る。
ゆかりは言われるがままにベッドに横になるが、寝汗がひどかった事を思い出した。
「一度シャワー浴びて着替えてきますね」
ゆかりがゆえに声をかけると「私も入る」とゆえが応じてきた。
「ダメですよ。今はマスクをつけてますけど、お風呂場じゃつけられないじゃないですか」
「うつしても良い」
ゆかりが却下するとゆえも反論する。
「ダメです」
「お風呂沸かして背中合わせに入るのは?」
「熱あるのに長風呂させる気ですか」
風呂場に侵入する事に躍起になっているゆえがおかしくて、ゆかりは小さく吹き出した。
ほんの少し笑っただけで心が少し軽くなった気がした。
「もう、しょうがないですね。風邪こじらせてヨスガくんに怒られたらゆえさんのせいですからね」
根負けした訳では無いが、ゆかりはゆえの案に乗る事にした。なんとなく、裸の付き合いをした方が良いような気がしたからだ。
ゆえはテキパキと風呂を掃除し、お湯を張っている間はゆかりが溜めていた細々とした家事を片付けていた。
風呂が沸いたチャイムが鳴り、二人で風呂場に向かった。
大晦日や、ゆえの実家でも二人で入っていたので、ゆえの前で裸になる事に抵抗は無かった。
身体を洗い、背中合わせで湯船に入る。
いくらゆえが小柄であるとはいえ、二人で入ると窮屈だった。
お湯もゆえの分多く湯船から押し出されて溢れかえる。
寮の風呂で初めてお湯を溢れさせた。
ゆかりはお互いの背中がぴとりとくっついているのを気持ち良く感じていた。
熱で過敏になった触覚はゆえとくっつくと快感になると叫んでいた。
自分の節操の無さが今はおかしかった。
「ゆかりは訊かないの?」
ゆえが口を開く。
「ゆえさんがやつれてる理由ですか?訊いたら答えないといけないとゆえさんは思っちゃうので訊きませんよ」
ゆかりの返答にゆえは「ありがと」と返事をした。
沈黙が風呂場を包む。
ゆえが何度か口を開いたり、深呼吸をしているのを背中で感じる。
ゆかりはそれをじっくりと待った。
「私がヨスガの部屋の鍵を持っているって事を私自身が頭から抜けてて、ヨスガが勘違いしている事に気づいた時は頭が真っ白になった。
それで、ヨスガに全部話してきた」
ゆえが一度言葉を切る。
「私は、ヨスガの大切が傷つくのが嫌。それなのに、私がヨスガ自身の手でゆかりを傷つける片棒を担がせてしまった。いつまで経っても変われない」
「わたしが傷ついている前提で話さないでくださいよ」
ゆえの言葉は図星だったが、ゆかりは誤魔化しながら反論する。
「ううん、ここだけは確信してる。ゆかりはヨスガが勘違いした理由がわかっていても傷ついてる。だって、ゆかりはもうヨスガの事を」
ゆえが言葉を続ける前にゆかりが「やめてください」と遮る。
自覚した感情が耳朶を打つのが怖かった。聞きたくなかった。
「そうやって遮るのが何よりの証拠」
ゆえの言葉にゆかりはイラついていた。自分のモノじゃないような感情にゆかりは戸惑う。
「そんな事言うゆえさんはどうなんですか。ヨスガくんの事をずっと好きなクセに、どうしてわたしと近づけようとするんですか」
ゆかりの語気が強くなる。普段のじゃれ合うような八つ当たりじゃなく、本気の八つ当たりだった。
ゆえが身を固くするのを背中越しに感じる。
言い過ぎてしまったかもしれないとゆかりは思ったが、後悔はしていなかった。
いつかは言おうと思っていた事だった。それが今日だっただけだ。
「私はヨスガが大切だけど好きじゃないって前にも言った。これは本当」
ゆかりは芸術鑑賞会の日のやり取りを思い出す。
誤魔化しているようにしか見えなかった言葉をこの場で引き合いに出してくるのか、とゆかりは思った。
「今でも嘘だと思ってます」
自分がこんなに刺々しい言葉を人に向けられたのかと、この短時間で何度も思いながらゆかりはゆえを刺す。
ゆえもそれに驚いているが、かえって決心が固まったのか、深呼吸を一度して、言葉を紡ぎ出す。
「違わない。ゆかりと好きの形が違うだけ。
私はヨスガを愛してる。恋じゃない。
私はヨスガの幸福な姿を見たい。私にはできない。
中学生の時だって、文化祭の時だって、昨日だって。
私はヨスガを傷つけてばかり」
悪い事ばかり頭を過ぎって視野狭窄になっている、とゆかりは思った。
それだけ思い詰めているのだと感じ、ゆかりの人生初めてとも言えるイラつきは急速に萎んでいった。
「……恋だった時期もありましたよね。訊いても良いですか?」
ゆかりの声音が戻った事にゆえは緊張を少しだけ緩める。
「最初は小二の時。一目惚れだったと思う」
「仲良くなる前から好きだったんですか?」
ゆえが一方的にヨスガの事を認知していたのはゆかりも大晦日に知っていた。
「遠足で水族館に行った時、はぐれた私の手を握って連れて行ってくれたの。
迷子が迷子を見つけただけで、二人共先生に怒られたけど、この時にヨスガに憧れるようになった」
「あ」思わずゆかりが声を出す。
その話はヨスガと水族館に行った時に聞いた話だった。
「聞いた事あった?」
ゆかりの反応に対し、ゆえが訊ねる。
「前に水族館に行った時に聞きました。ヨスガくん、迷子だったのがゆえさんだって気づいてなかったですよ」
「そうだね、私も言ってない。恥ずかしいし。
それで、小五になって仲良くなるまではずっとヨスガの事を遠くから見てた。一目惚れって言っても小学生だから、憧れ以上の感情は無かったと思う。
けれど、チャンスがやってきた。
図書室で同じ本をヨスガが読んでた。それだけ。
でも、ここしかないって思ってクイズ勝負を仕掛けた。あの時生まれて初めて勇気を出したと思う」
同じだ。とゆかりは思った。
ゆえとヨスガの出会いも本なのは知っていたが、ここまでゆえと心情が重なるとは思わなかった。
「そこから中一でヨスガのチームに乗り込むまでは夢みたいな日々だった。ずっと一緒ならいいなって。きっとこれは恋。それで、ヨスガのチームに乗り込んで、その後は進路を考えるまではずっとヨスガに張り付いてた。それはそれで楽しい時間もあったけれど、時々ヨスガが見せる辛そうな表情が忘れられない。ここまでが恋だったと思う。
ヨスガに進路の決め方で怒られて、それが妙に嬉しかった。文句を言いながらも大体受け入れてくれるヨスガが真剣に怒ってくれた。
その時、今のままじゃダメだって思った。
それと同時に私はヨスガの近くにいたら足を引っ張り続けちゃうって思った。だから全寮制の柏陽台高校に行く事にした。それなのにヨスガときたら」
ゆえは自分の決心を鈍らせる幼馴染みを思い出しムカついていた。
話している内にゆえが普段の調子に近づいているのを感じてゆかりは心の中で喜んだ。
「高校に入学して、ヨスガはよりによって隣のクラスだったけど、関わらないように頑張って耐えてた。けれど、数日も経たずにクラスの人達に声をかけられる日々に疲れてしまって、ヨスガに甘えて一緒にご飯を食べた。そしたらそれが見つかってまたヨスガに迷惑をかけちゃった。
だから、ゴールデンウィークまでは頑張るって宣言して距離を取った。その時にゆかりとも出会ったね」
ゆえの身体が傾くのを背中越しに感じる。ゆかりの方に身体を向けているようだった。
「可愛くて、背が高くて、ヨスガと楽しそうに話してて、羨ましかった。
ゆかりがまだいるのもわかってて、あの時は声をかけた。ごめんなさい」
ゆかりはゆえのカミングアウトに怒る気など全く無かった。
羨ましいのはお互い様だった。
ゆかりはその事に愛おしさを感じる。
この話が始まったきっかけも、ゆえに八つ当たりした事すら忘れて、今すぐゆえを抱きしめたくなった。
ゆかりは立ち上がって後ろを振り向く。
ゆえは立ち上がったゆかりが怒ってしまったのかと身を強張らせる。
ゆかりは自身の脚を無理矢理ゆえと湯船の間にねじ込み、座り込もうとする。
いくらゆえが小柄であっても、すでに座っているところに入り込むには無理があった。
「ゆえさんの事、無性に抱きしめたくなったんですけれど、ダメですか?」
諦めてもう一度立ち上がったゆかりがゆえに頼む。
身体から雫をぽたぽたと落としながら頼むゆかりにゆえも立ち上がってスペースを空ける。
ゆかりが湯船に座った後に、ゆえがその上に乗るように入る。
するとゆかりがゆえの背後から腕を伸ばして抱きしめた。
「怒ってたのかと思った」
「もう怒ってないですよ」
ゆえの柔らかな肌を、ゆかりは全身で堪能する。
「怒ってはいたんだ」
少しだけくすぐったそうにしながらゆえがゆかりに言う。
「ゆえさんがわたしの心を言葉にして暴こうとしたからです」
そう言うとゆかりはゆえの特に柔らかな部分に触れる。
ゆえは「キャッ」と声を出してゆかりの手をつねる。
「痴女」
ゆえがゆかりに悪態をつきながら背中でゆかりを押しつける。さらにゆえの両脇に伸びるゆかりの脚を愛撫する。
ゆえの背中と手先が、抱きしめている側であるはずのゆかりを包み込み、ゆかりは骨抜きにされた。
「わたし、一応病み上がりなんですけど」
息も絶え絶えになりながらゆかりが文句を言う。
「ゆかりから仕掛けたんだからゆかりが悪い」
「元はと言えばゆえさんがわたしを怒らせたからじゃないですか」
ゆかりがゆえの両頬に触れて潰す。潰して伸ばす。
「ひょれはごめん」
「許しません。怒ってないだけです」
ゆえの両頬を堪能しながらゆかりが笑う。
「わたしだってゆえさんの事、羨ましいんですから。小さくて、可愛らしくて、ヨスガくんにぶっきらぼうな態度を取られてて。あと、その」
「おっぱい?さっきも触ってたもんね」
言い淀むゆかりにゆえが助け船を出す。
「……不便だったり、嫌な視線に晒されるって話は聞いていますけど、憧れはしてしまいますよ」
バツが悪そうにゆかりが白状する。
「私はゆかりも良い身体してると思うけどね」
「その言い方、ちょっと嫌です」
「お互いないものねだりしてるだけだよ。身長もうちょっとほしい」
「わたしもヨスガくんに雑に扱われたいです」
ゆかりにとっては胸の大きさよりもヨスガとの距離感の方が羨ましかった。
「それは私の特権だから」
ゆえの反論にゆかりはゆえの頭に顔を埋める。
「ずるいです」
「少なくとも呼び捨てで呼び合わない内は無理だよ」
ゆかりは体育祭の日の出来事を思い出していた。
「道のりは長いですね」
名前を呼び捨てで呼ばれただけで身体の力が抜けてしまう内は無理だと悟った。
「えっちなゆかりのせいで、私の恋だった頃の話からとても逸れちゃった」
「ゆえさんも十分えっちですよ。続き、聞きたいです」
「私、最初はゆかりの事を品定めしてた。けれどすぐに良い子だって思ったし、私にもヨスガにも優しくしてくれた。
芸術鑑賞会の日に、ゆかりとヨスガが一緒に居て欲しいって思うようになった。
その後に二人で池袋にデートしに行った時に確信に変わった。
ゆかりは真逆の事を考えてたみたいだけれど」
ゆえがゆかりの方を振り向く。
ゆかりは言葉が出てこずに黙る。
「いいよ。今は私のターンだから。後でちゃんと聞かせてね。
そこから私はゆかりにヨスガを意識させようと思うようになった。
ヨスガの部屋に行く口実を作った。
体育祭の借り人競走は失敗だったけど。本当に何も思いつかなかったからヨスガに頼るしかなかった。
文化祭準備期間にゆかりを巻き込んだのは名案だと思ったけど結局ヨスガを悲しませてしまった。
けれど、ゆかりとヨスガがもっと近づけたから、もっと上手くやれたって後悔はあるけど満足もしてる。
それに、文化祭準備期間中にゆかりとたくさんお話ができて、勇気を出して巻き込んで良かった。ゆかりの事、もっともっと大好きになった。
後夜祭の後で添い寝させるのを成功させた時は良い仕事をしたとおもった。
まぁ、その前からたくさん“お楽しみ”だったみたいだけど。
年末年始も始めから巻き込んで過ごすつもりだった。ゆかりの裸、綺麗だったなぁ」
「話を逸らさないでください」
黙って聞いていたゆかりが脇腹をつつきながら注意する。
「だってもう昨日の話になっちゃう。さっき怒られたから言いにくい」
「怒ってないですって」
濡れた手でゆかりがくしゃりとゆえの頭を撫でる。
「私が元気なくて、ヨスガがお見舞いに来た時嬉しかった。だからゆかりが来てくれたらきっと喜ぶと思ってた。私のせいでゆかりを傷つけちゃったし、風邪も引かせちゃった。ごめん」
ゆえは取り戻した元気を再び萎ませていた。
「何度も言いますけど、昨日の事はゆえさんもヨスガくんも悪く無いですよ。ゆえさんの胸中をもっと知れてむしろ良かったって思えるくらいです」
ゆかりはゆえに身体を寄せて前屈みに寄りかかる。
「芸術鑑賞会の日に言った事、改めて言いますね。ヨスガくんのために身体が動いてしまうゆえさんの事、わたしはかっこいいと思うし尊敬しています。
それはゆえさんの言う愛だと思います。ゆえさんはヨスガくんの事を愛しているってわかります。
けれど、恋じゃないなんて事は無いとも思います」
ゆかりはゆえを抱きしめたまま続ける。
「ゆえさんは自分で決めてこの学校に入学して、自分で決めてゴールデンウィークまで頑張ってヨスガくんと距離を取って、自分で決めてわたしと一緒に文化祭準備期間中にヨスガくんを放置して。
ちゃんとヨスガくん離れできてますよ。
その上でヨスガくんにお見舞いされてドロドロに甘えちゃったり、ヨスガくんに良いところを見せたくて文化祭を頑張ったり。
初恋を十年近く拗らせてるから見えなくなってるだけで、ゆえさんは今でもヨスガくんに恋してるって思います」
「拗らせてないし十年は経ってない。八年」
ゆかりの言葉にゆえは反論する。
「拗らせてますし三年生になったら晴れて十年じゃないですか」
ゆかりも負けじと食い下がる。
「強情」
「お互い様です」
ゆかりとの言い合いの後、ゆえは考え込む。
ゆかりはゆえを抱きしめたまま待つ。
「恋は好きじゃない」
ぽつりとゆえが呟く。
「終わりが来るし、戻れないし。
ヨスガとずっと一緒にいたい。
私、ヨスガと家族になる夢をたまに見る。私は妹でヨスガがお兄ちゃん。家族だから、ヨスガに恋人ができても家族として愛し続けられる。
そうだったら、良かったのに」
バラバラに紡がれたゆえの言葉は、ゆかりにゆえの感情を漏れなく伝えていた。
「ゆかりのこと、大好きだけどきらい」
「それはどうしてですか?」
寄り添ったままゆかりはゆえに訊ねる。
「恋を思い出したから」
「そうですか」
ゆえの短い言葉に相槌を打つ。ゆかりは自分が正しい選択をしたとは思えなかった。
目の前の少女が恋を捨てても取り戻しても後悔する日が来るというなら、ゆかりが良いと思った方に進んで欲しいというゆかりのエゴだった。
ゆえは立ち上がり湯船を出る。
「今度はゆかりの番。ちゃんと話してもらう」
「そうですね。まずは上がりましょうか」
ゆかりも湯船を出る。
人物紹介
古淵ゆえ:ヨスガを愛している。ヨスガにもう一度恋をする。




