11 蝗害。
やっぱり、同性だから。
と言うか、好意と性欲が直結しがちな男子を経験しているから、ですかね。
『にしても珍しい、殿下達は随分と甘かったかと』
「あぁ、ついな、理解出来るだろうと期待してしまったらしい」
『やはり同性だから、ですかね?』
『まぁ、かも知れませんが。それなりに領主の補佐も出来る程度には育っていますし、元は被害者、ですし。確かに、幾ばくか同性だから、と言う考えは。確かに、有ったかも知れませんね』
『成程』
いつか、ちゃんと経験してみましょうかね、男子。
『カメリア侯爵、何か不穏な事を考えてはいませんか』
『何ですかそれは、人聞きの悪い』
「いや、寧ろ正しいだろう、この女騎士団設立の案もお前が出したのだから」
『いや。あ、そうですよ、あの蝗害の』
「仕方無いであろう、お前は随分と便利なのだから」
『それに、カメリア侯爵だけ、とは申していませんしね』
『貴族ぅ』
『お褒めに預かり光栄です』
あぁ、綺麗過ぎて憎たらしいって感覚って、コレですかね。
「それで、どの様な案だ」
『いや、自分も男子になれば、少しは同性に対する同情心が理解出来るかなと』
『それは、特段、カメリア侯爵に同情心が無いとは考えては居りませんが』
「いや男性の同性への同情心って、私ら女性にしてみたら、随分と不思議に見えますからね?」
『それはルドルフも、なのでしょうか』
「あ~、どうですかねぇ、そこまではまだ話し合ってはいませんから」
「どうしたルイーズ」
『あ、はい、私自身も些か気を付けるべきかと。そう考えておりましたので』
『あぁ、2人だからこそ歪んだ感じもしますからね』
『はい』
あぁ、どちらも、そこそこ気になる話題なんですね。
「どう不可思議なのだろうか」
『先ずは仲間意識の持ち方、ですかねぇ』
女性が群れると、常に必ず、何処か同じ部分を探す。
例えば既婚者かどうか、苦労しているかしてないか、同じ考えかどうか。
対する男性群は、先ずはノリ。
要は如何に空気を乱さないか、逸脱しないか、それから同じ部分が有るか確認する。
『それは、どちらも似た様な対応になるのでは』
『順序、それと優先順位の違い、ですかねぇ』
男性群は、そこまで類似性を重要視しない。
少しでも似た所が有れば、空気を乱さないなら、そこまで何かを排除しようとはしない。
対する女性群は、類似性が多い個人、を求める事が多い。
出来るだけ似た他人を探して、寧ろ空気が多少は読めなくても、その仲間内に居る事を許可し続ける。
ですが、もし、明らかに違うと理解したら。
女性群は排除、対する男性群は空気を乱さないなら、排除しない。
「成程、他に違いは有るのだろうか」
『それこそ同情の仕方や同情する部分、でしょうかね』
同性が異性との問題が起きた場合、とします。
男性群はご存知の通り、幾ら男に瑕疵が有ろうとも、少しでも同情すべき点が有れば同性に対して同情しがちですが。
女性群は寧ろ、批判的。
確かに同情を口にはしますが、結局は誰を批判するか、公正世界仮説を使い誰かの批判点に必ず目が行く事になる。
『成程』
『あ、ですがコレは観察を経ての個人的な見解、ですからね』
「向こうの、か」
『ですね、それなりに仲良くはしたかったので、観察を続けた結果。どうすれば、仲間に入れるか観察した結果、ですが。やはり無理だな、と』
「酷な事を聞くが、何故だ」
『容姿です、幾ら顔が普通でも、髪色が違うだとか髪質が違う程度で排除が起こりますから』
『あぁ、単一民族と言っても過言は無いそうですからね』
『はい、なので違いに過敏と言うより不慣れであり、本能的にも間違いでは無いかと』
「違う何か、か。ではもし、そこに異性が現れた場合はどうなる」
『男性群は、空気を乱さないかどうか、それから抱けるか抱けないか。から、ですかねぇ』
対する女性群は先ず、どんな相手か、何処までコチラに踏み込ませるか値踏みをする。
無意識なのか無自覚なのか、安全の為、本能から自衛行動を行う。
ですが、ソレをしない女性も居る。
所謂、下半身だけがおモテになる方、ですね。
『あぁ、ガードが無ければ、侵入は容易いですからね』
『ですねぇ、ココでは柵無し女、とでも言いましょうかね』
「ふふふ、柵無し女か」
おぉ、初めて笑って頂けたかも?
『では以降、そうした方は柵無し女、と呼ばせて頂きましょう』
「流石カメリア侯爵、次の案にも期待しているぞ」
『ふぇい』
フェレットしたくなる気持ちが分かりましたよ、アイリス様。
だって、ぐうの音も出ない様にされるんですからぁ。
「成程、私もそう思います」
『ルドルフ陪臣ん~』
「今まで、特にそうした事を、そこまで考えた事は無いですが。はい、思い出す限りは、そうかと」
『ふぇ』
「フェレット、ですかね」
『はい、フェレットです』
『カメリア侯爵、フェレットは、そう鳴かない筈ですが』
『向こうのフェレットはこう鳴きます』
「まぁ、ですね、こう鳴く種が居ると言えば居ますね」
『なる、ほど』
絶対、向こうのネタなのにさぁ。
私、全然、分かんないんだよねぇ。
《あ、で、ルイーズは》
『あぁ、私達も気を付けねばならないな、と』
《私らが居るのに?》
『ですよね、気にし過ぎて意識しちゃうと、逆に引っ張られちゃいそうですし』
「ですね、もし捻じ曲がっていそうなら、もし言っても聞いて頂けないなら。私達が出て行くだけ、ですから」
《ね、リリーもサマンサもアイボリーも連れてね》
「そうなると、何段階かに分けて、警告も兼ねるべきかも知れませんね」
《あぁ、確かに》
「では先ず、サマンサ夫人から、次にアイボリー家政婦長。時点でリリー嬢、次に私達、ですかね」
『あれ?私は?』
《私達の中に決まってるじゃん》
『急に、ゴッソリいきますか』
「変に引き留められても困りますし」
『成程、確かに』
万が一にも無いだろうけど。
もし、そうなったら。
『確実に、回避すべきですね』
『けどまぁ、忠告が的外れな場合も有るかも知れませんし?』
「信じてますから、ご安心を」
《まぁ、だね》
ココって凄い嫌な雰囲気なんだけど。
だからか、お城が恋しかったりするんだよね。
やっぱり家も大事みたい、Aitvaras的にも。
「それで、お伺いしても宜しいでしょうか、領主と2人の処分について」
領主は2人を訴える気は無く、場合によっては、脅迫行為すらも認めるつもりは無いそうで。
そして2人は脅迫行為、及び政策の阻害を認め。
深く反省し、どんな償いや罰にも応じる、と。
『ですので、今回は3人を引き取り、教育。領主は女性のまま騎士として訓練を続行、その存在を知らせず、2人にも女騎士団の遠征に付き合って頂き。最終的には城にて教育を行うか、北や西に其々を引き取らせるかは、様子次第で行うべきかと』
「確かに、同性に甘い、と考えられてしまっても仕方無いとは思いますが。妥当かと」
《まぁ、若いし、人生をぶっ壊されちゃった様なモノだからねぇ》
『じゃ反対で、代案出ませんか、クローディア様』
《ふふふ、そうだね、領主を単なる庶民にするには些か惜しいですし。本心から反省し、弱点を掴めている有利な状態、ですからね》
『あぁ』
《それに重用は先ず無いかと。情に流され易い貴族、怨嗟から冷静さを失い暴走した庶民、ですから》
『はい、余程の人員不足が起こらない限り、手元に置く事は無いかと』
《いざとなれば西で纏めてお預かりしますよ、互いを罪悪感で縛れますから、扱い易いので》
罪悪感で縛り合う。
確かに、寧ろ一緒に扱う方が楽そうですね。
『成程、加減が難しそうですが、西なら大丈夫そうですね。クローディアス様も居ますし』
《あぁ、それはどうでしょうね。このまま、女性として、ココに定住するかも知れませんよ》
『あぁ、居心地はどうです?』
《嬉しさが込み上げている、と言うべきでしょうかね、この姿にとても満足していますよ》
自分のあるべき性別。
「馴染む、とは、また別のモノなのでしょうか」
《それは其々かと。私の場合は寧ろ、やっと成れた、そうした気持ちが大きいですから》
成りたい性別になれる世界。
なら、私は、どうしたいのか。
《まぁ、まだまだ成人まで時間は有るし?》
《ゆっくりお決めになっても問題は無いかと、確かに変更は出来ますが、基本的には一生の事なのですから》
『まぁ、だねぇ』




