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悪魔貴族譚~ノビリタス・ディアボロス~  作者: 中谷 獏天
第17章 蝗害対策と家族。
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8 蝗害。

『いや~、本当に凄い』

「ですね」

《見直した?》


『まぁ』


 今回、制服が揃ったので、初めて公開試合が行われたワケですが。

 種目は、肉弾戦。


 1番に強いのは、やっぱりルイーズ騎士爵。

 そして2番目には、何とオリガ騎士爵。


 その次にアナスタシア騎士爵で、時点がシャルル騎士爵。

 そしてクローディアと名乗っている、クローディアス侯爵はマジで凄い弱いので、女騎士団の文官だからと棄権。


 にしても、あの筋肉に勝っちゃうんですねぇ、ミハイル侯爵。

 意外にもガチ強でした。


『では次に、皆様と試合を行わせて頂こうかと、どの様な試合もお受け致しますよ。武器は勿論、模擬刀ですが、全力でお相手致しますよ』


 あぁ、何か有ったんですね。

 完全に殺すつもりですよ、あの笑顔。


「いやぁ、あんだけ強いんだ」

《流石になぁ、恥をかくのも》

『皆様、遠慮なさらないで下さい。見た目だけだろう、との言葉を女騎士団の者が耳にしましたので。是非ご参加頂ければ、憲兵や騎士も目指せますよ、勝てれば、ですが』


 あー、アイツらですか。


『ルイーズ騎士爵~、きっとお怪我の治療費を懸念されていらっしゃるのかと~』

『あぁ、失礼致しました。では勝っても負けても、参加費をお出しする形で、定員は5名までとさせて頂きましょう』


『では支払いは私の私財から~、小銅貨5枚で~』

『ありがとうございます、カメリア侯爵、ではそうさせて頂きましょう』


 小銅貨5枚だと、大体の怪我はカバー出来ますからね。


 さぁ、乗らないワケにはいきませんよねぇ。

 なんせお金は出るし、勝てば、騎士爵も目指せるんですから。


「お前なら、余裕だろ」

《いや》

『折角だ、遠慮すんなよ』


「それとも、口だけかよ」

『まさか、そんなワケ無いよな、自信満々だったんだし』


《お、俺が、出る》

『ではどうぞ、コチラへ』




 秒で投げ飛ばされてやんの。

 アイツ、どうせ見た目だけだろう、とか言ってたんだよな。

 ダッサ。


《かはっ、くっ》

『あぁ、まだ足りませんか、ではどうぞ』


 あっ、今度は顔面から。

 うわぁ、痛そう。

 弱いヤツ程イキがるって、マジだったんだな。


《くっ、クソっ》

『まだ立たれますか』


 おぉ、絞め技か。

 凄い柔らかいのね。

 お強いですなぁ、女騎士様は。


《ぐっ》

『あぁ、コレだと喉仏を潰してしまうか、失神させてしまうかも知れませんね』


 お、今度は腕を取ったぞ。

 アレ、あのままだと、折れるんじゃないのか。

 でもまぁ、バカにしてたんだろ、アイツ。


《い、いや、もう》

『ギブアップ、と言って頂けませんと、失神させる他に無いのですが』


 ありゃ折れるな。

 えっ、でも。

 コレ、どうやって止めるんだ。


《ぎっ》

『見た目だけだろう、でしたっけ』


《ちがっ》

『私が、聞いた本人、ですよ』


《そ、あ》

『あぁ、謝罪は結構ですよ、腕を折らせて頂きますから』


 あ、アレ。

 いや、まだだ、加減してくれてるんだろうな。

 本当、男って負けを認めるのが嫌いよねぇ。


《ギブ、ギブアップ!!》


 圧勝でしたなぁ。

 本当に、しかもあっと言う間に決着が付いたわね。

 おい、お前の家の息子だろ。


 いや、どうも。

 あの方々をバカにするとか、もし俺達が守って貰えなくなったら、どうするんだよ。

 そうよ、どんな躾けしてんのよ。


 しかも、ウチの村は補助金まで頂いているのに。

 次に何か有って何の情報も入って来なかったら、アンタらの責任だからな。

 しかも、帝国からの報奨を貯め込まず、こうして使ってくれてるって言うのに。


 いや、ウチは。


『皆様、もう、参加なさる方は……いらっしゃいませんかね……。では、コレにて、公開試合を終了とさせて頂きます、皆様、ご清聴ありがとうございました』


『はい、拍手!』




 私は、本当に、恐ろしい方々を敵に回す所でした。


《お疲れ様で御座います、ルイーズ騎士爵》

『どうも、ナオミ嬢』


《いえ》


 最初にシャルルと共に東の城に呼び戻された時は、本当に、どう処分されるのかと。

 ですが、女騎士団設立の事、そして各重臣方の性別変更について聞かされ。


 私は、一体、どうすれば良いのか全く分かりませんでした。


 ですが、任命頂いたのです。

 女騎士団付きの侍女に。


「本当に素晴らしい技の数々でした」

『いえ、長年の修練の賜物ですから』


「では、殿下も」

『はい、あぁ、ルイス侯爵からその様にお伺いしております』


「成程、さぞ殿下もお強いのでしょうね」

『はい、そうですね、剣技は随一かと』


 シャルルも既に、性別変更などの事は知っているのですが。

 コレは、敢えて。


《シャルル騎士爵も如何でしょうか》

「あぁ、頂きます」


 飲食物は私の管理となっている、それに、毒味も。


『あの、差し入れを、させて頂いても』

《ありがとうございます、ですが、先ずは味見をさせて頂きますね。皆様の苦手な品が、間違いと言えど入ってしまっている、かも知れませんから》


『えっ』

「あぁ、僕は蕎麦が苦手なんです」

『私はシナモンが苦手なんですよ』

《ご馳走様です、どちらも入っていないかと》


『あ、あぁ、はい』

《では、どうぞ》

『ありがとうございます』

「頂きますね」


『は、はい』


 味見、とさせて頂いておりますが。

 コレは毒味。


「うん、美味しいですね」

『アーモンド、でしょうか』

『はい、そうなんです』


『お気遣い頂き、ありがとうございます』

「携帯食にしますね、ありがとうございます」

『あ、はい、いえいえ』


「僕は菓子作りが全くなので、羨ましい限りです」

『ですね、お時間を頂いてしまったかと』

『え、いえ、大した時間は掛かっていませんので。それに、皆様には、とても感謝しておりますから』


 女性が女性に憧れる事が出来る。

 それは強さへ、美しさへ。


 それは良いのですが。

 出来るのであれば、単に憧れるだけでは無く。


 ココに加わろうとして下されば、最も望ましい形、なのですが。


《ルイーズ様、シャルル様、そろそろ》

「あぁ」

『すみません、このまま仕事に戻りますので、支度をしなければならず』

『あ、いえいえ、お邪魔致しました』


 女騎士団遠征の侍女に、と命を受けた段階で。

 味覚と嗅覚を鋭敏にする魔法を、私は得ました。


 シャルルの身は勿論、叔父様や各王族候補の方々に何が出来るか。

 そして、如何に身を犠牲にせず、魔法を得るか。


 そう考えた結果、この魔法に落ち着いたのです。

 毒、だけが毒では無いですから。


「何故、僕らの事を何も知らない庶民の方が、差し入れをなさるんでしょうか」

『良く似た見知らぬ存在、畏怖から仲間にしたい、同じ存在なのだと確認したいのでしょう』


「成程、ありがとうございます、ルイーズ様」

『いえ、では行きましょうか』


「はい」


 私は、次こそは、決して期待を裏切らぬ様に行動したい。

 そう考えております。




《天と地の差が、エグぃ》

「ですね」


 魔法を得なかった事は、責められるべき事では無いので、ある程度の対策さえなされていれば補助金は出るんですが。

 ココは、本当に、ほぼ何もしていない様にしか見えない。


「領主はどうした」


《そ、それが……》


 誰への恨みからか、蝗害が訪れた際に城内を開け放ち、金や書類を持ち出し逃げたらしい。

 そして民は、殆ど相手をして貰えず、何とか周囲からの情報で対策を施したものの。


 そもそも、蝗害の情報を知った時点で、間に合わせる時間も無かったと。


《嘘、なんじゃよねぇ》

《あぁ、やっぱり、何か変な感じがしてたんだよね》


 ドリアードとカナコさんの声は、他人が近くに居る間は私にだけ、聞こえる様にして貰っている。


「殿下」

「あぁ」


「虚偽かと」


 こうして耳打ちをするには、やはり男性の体と立場は便利なんですよね。

 ルイーズ騎士爵が近寄るだけでも、誤解が生まれてしまう状態ですから。


「では本腰を据え、ココの対策を考えるべきかも知れんな」

「はい、そうかと」


「お前が代理で構わぬか」


《は、はい、私めで良ければ》

「では無事な空き家を幾つか案内してくれ」


《はい、直ぐにも》


 その村で、私達は想像以上の醜悪さを目の当たりにする事になりました。




《まぁ、あまりにややこしいで、我が最初から説明してやろう》

《村人が領主を虐げ、領主は逃げ出し、今は打ち捨てられた山小屋にて身を潜めている》


《オセぇ》

『ココから近いのでしょうか』

《いや、村人すら知らぬ山小屋だ、就任前の視察で見付けたモノ》


 何か嫌な雰囲気だなって思ってたけど、ココ、マジでヤバそう。


『成程、では救出に向かうべきですが』

「問題は、何処に匿うか、だが」


 バツイチの中年男性、なんだよね。


《あ、アレじゃん、性別を変えちゃえば良いじゃん》

『あぁ、ですが善良な者かどうか』

《問題は無い、善良だ》


『ですが、虐げられていたのですよね、村人達に』

《あぁ、男色家による、性的な脅迫行為が行われた》

《はぁ、何て事を》


 クローディア、違うっちゃ違うのに。

 分かるよ、似た指向、同性だもんね。


『よし、焼き払いましょう』

「ですね」

《うん》

『ですが、特定の人物だけが』

《いや、他の者も知っている。潔癖さを嘲笑い、純血を守ろうとする男を嘲笑い、この結果すらも嘲笑っている》


 えっ。

 あぁ、純血って、そう言う意味ね。


『では、真面目に取り組もうとしてらっしゃったのですね』

《だが民は対策を講じず、敢えて悪名を着せ、支配しようとしていた》

『まさに極悪集落』

《にしてもバカ過ぎない?自分達の食べ物だって》


《いや、領主の屋敷に隠させている。だが、今回は溜め込んでいた事にさせるだろう》


『何故、そこまで』

《以前の領主がしていた事を、そのまま返している、だけだそうだ》


『あぁ』

《けどさぁ、今の領主は全くの別人でしょ?》

《だが、領主は領主、貴族は貴族だ》


『不味いですね、アレは回収させましょう』

《あ、だね》

《後列にしといて良かったですね、ですが、どう回収させましょうか》

「北より面談の申し込みが有り、護送予定だ」


『はい、そうさせて頂きます』

「では、直ぐに動くとしよう」


 遠征には、必ず何か有るとは思ってたけどさぁ。

 こんな酷い事が有るとか、想像出来無いじゃんよ。

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