表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヨーチュリカ大陸  作者: Jupi・mama
第二章 大陸とハイドラ家
23/34

第二十三回 ヨーチュリカ王国


 青い炎の塊が細い路を見つけ、街道までゆっくりと進み、また逆戻りをしている。


『ねぇね、足元に気をつけてね。真っ直ぐ行くと街道に出るからね』


『ありがとう』


 下には三十センチほどの、人間に踏み固められたような路があるのだが、この空間に、我先に飛び出したような草が左右からはみ出している。その草が邪魔して歩けないわけではないようだ。小さい虫とかいそうなので、パーカーのポケットからマスクを取り出しつける。


『燈花、動物の気配はないようじゃのう。少し大陸のことを説明するかのう』


『はい、よろしくお願いします。誰も通ってなきゃいいけど、確認してから街道に出ますね』


『そうじゃのう。ヨーチュリカ大陸には王都が真ん中あたりにあってな、イースリッチョンの街は南東に位置しておるんじゃ』


『そうなんですか。イースリッチョンの街から王都までの距離が分かるのですか』


『歩いて行けば……十日ほどかのう』


『ぼくが連れて行くから心配しないで』


『そうじゃのう。燈がいると便利じゃのう。王都の西側がヨーチュリカ帝国、東側がヨーチュリカ公国、北側にはヨーチュリカ共和国があってな、王都は森林に囲まれているからのう』


『森林に囲まれているなんて、すてきな場所なんですね』


『聞こえはいいかもしれんがな、住んでいる人間が多くて困ったものじゃのう』


 西が帝国、東が公国、北が共和国と言ったよね。それって他の国に囲まれているんじゃないの? 大丈夫なのかしら? 戦争とかあるのかしらね。


 帝国と言えばロー☆帝国、公国と言えばモナ☆公国、共和国と言えばサンマリ☆共和国が思い浮かぶけど、知っているのは名前だけであり政治体制とか知らない。ここではまったく次元が違うだろう。でも、一度は足を伸ばしてみたいな。


『……王都に王様が住んでいるのですか』


 そう言いながらも、らんらん棒で邪魔な草を払い除けて進んでいる。


『六十二代目の国王と家族が住んでいたがのう。今は何代目かのう? 国王は六十歳で退位する決まりがあるからのう。国王と正妻の子供が成人すれば公爵の位が与えられるがな、国王が退位しても公爵になるのう』


 六十二代目の国王って何百年続いているのよ。千年単位で数えてもいいくらい。わらわさんの言葉が頭にちらつく。貴族階級の公爵だよね。公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵って昔に覚えた。十二支も四つずつに区切って順番に覚えたものね。


『ここには貴族階級があるのですね』


『ほほう、その言葉は知っとるのかのう』


『何百年か昔に、そういう階級制度がある国が存在してました』


『ほほう、国がたくさんあったのかのう』


『今では二百ほどの国があります』


『何じゃと、二百も……信じられんのう。この大陸にはヨーチュリカ王国を入れて、大きい国は四つだからのう』


 地球においてグローバル的な国を教えたつもりだか、その数に驚いみたいだ。声の響きが大きく聞こえる。


『ヨーチュリカ王国に王都があるんですか』


『そうじゃな、最初に国が出来たのはヨーチュリカ王国だからのう』


 わらわさんは、最初は王国だけを管理していたのだろううか。人間は自然な営みでどんどん増えていく。権力を欲する人間もいるだろうし、主従の関係も生まれてくる。人間をコントロールするなんて無理のような気がする。人間の何に対する進化なのだろうか。


『そこから独立というのか分裂したのですか』


『何代目か分からんがな、その国王の兄弟姉妹がな、権力を分割して造ったと聞いたことがあるがのう。正しいかどうかは不明じゃな』


『街道が見えました』


 目の前に、左右の馬車の(わだち)がくっきりと見える広い街道に出た。これって、中央線のない一車線道路が左右にあるのと同じだよね。進行方向が日本と同じだといいのにね。


『ねぇね、左側に行くんだよ』


『分かった』


 左側の轍の上を歩き出す。田んぼの中にあるあぜ道の拡大版のようだ。


『ほほう、昼過ぎの鐘の音じゃのう』


 ポンポン……《午後三時》


『あっ、はい、分かりました。ありがとうございます』


 わらわさんから知らせくれたので、時計を三時に合わせる。やっとこれで落ち着いたよ。私には聞こえなかったけど、三時間おきに鐘が鳴るんだ。そうすると、朝は六時ということなのでしょうね。何時ころから暗くなるのかな?


『燈、鐘の音が聞こえた?』


『聞こえたよ。二回鳴ったよ』


 私には聞こえなかった。集中力が足りなかったのだろうか。今の私は聴覚よりも視覚のほうに意識が向いている。


『私は聞こえなかった。疲れは感じないけど、お腹が空いたからシリアルバーを食べるね』


 目が覚めてから、もう一つのハンバーグとミーロンを一個食べただけだ。シリアルバーはたくさん準備をした。リュックの外のポケットから虫眼鏡の袋をどけて、白いチョコのシリアルバーを取り出し、マスクを外して歩きながら食べる。


 リュック中には、化粧ポーチと横長のポーチ、ハンドタオルが二枚、ペットボトルが一本、スマホとICレコダー、珈琲味のキャンディが一袋入れてあり、横長のポーチの中には、薬と栄養ドリンク、アーミーナイフ、三色ボールペンが、直ぐ出せるようにまとめて入れてある。


『教会の鐘はな、二回目と四回目は二回ずつ鳴るからのう。それで判断するんじゃがな、一回目と六回目は一回しか鳴らんしな、昼間の鐘は二回ずつが三回鳴るからのう』


『そういう決まりがあるのですね』


『王都は高い城壁で囲まれているがな、王都の教会の鐘が鳴るとそれを聞いた他の教会も鐘を鳴らすからのう。人間は王都のことを王国都市とか、教会都市とか呼んでいるのう』


 末広がりに鐘の音が広がって行くんだ。王都から遠くなればなるほど時間差が生じてくるよね。あらかたの時間しか必要ないのかしらね。砂時計とか水時計とか、その間の時間の計り方があるのだろうか。


 ヨーチュリカ王国の中核が王都なのよね。東京二十三区みたいな感じだろうな。どれくらいの広さなのだろうか。山手線を一周歩くと四十キロほどで十時間くらいだ、とどこかで読んだ記憶がある。それよりも広いのかしら?


今回も読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ