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058 お前達は俺の話よりも、あんな猫の仮面をかぶった、正体も分からない殺人鬼の話を、信じるのか?

 直後、地下から悲鳴が上がる。明らかに、地下に何者かがいる、証拠と言える悲鳴だ。

 直径十メートル程の円形の穴を、果敢は覗き込む。


 すると、床下に開けられた、深さ八メートル程の、ほぼ円柱型の穴の下に、地下空間が広がっている光景が、果敢の目に映る。

 そして、地下空間の中には、見覚えのあるダークスーツ姿の者達……魔族達がいた。


 石の床材や木製の椅子、地面の土砂などが崩落して来たので、魔族達は驚き、騒然としていた。


「魔族共だ! 危ないから近寄るなよ!」


 地下の方を指差しつつ、果敢は司祭達に警告してから、穴の中に跳び込む。

 アウラ・アーマーとアウラ・ブレードを発動し、両手の先にアウラの剣を作り出しながら、穴の中を通り抜け、果敢は地下空間の床に着地する。


(地下室を作ったというより、元からあった地下空洞って感じだな)


 周囲を見回した果敢は、そんな印象を受ける。

 人の手が入ってはいるが、床や周囲の壁……天井などは、洞窟の岩壁のようであり、元からあった地下空洞を利用した感じに、果敢には見えたのだ。


 地面は平らにしてあるし、あちこちに魔術を利用した照明があるので、暗くは無い。

 高さは三メートル程しかないが、広さはかなりのもので、地上の聖堂よりも広く、何処か他所に通じているらしい、洞窟のような横穴が、幾つも開いている。


 そんな広い地下空間に、四十人程の魔族の男女達と、ゴッドフリートの姿を、果敢は視認する。

 天井が崩落した時点で、騒然としていた魔族達とゴッドフリートは、果敢の姿を目にして、パニック状態に陥る。


 一部の魔族達は、果敢を迎撃すべく、魔術のクリケを唱えようとするが、間に合わない。

 果敢は次々と、魔族達に襲い掛かり、魔術攻撃を行う前に、切り殺してしまう。


 アウラ・アクセルを使わずとも、果敢の動きは速い。

 奇襲を受けた魔族達の殆どは、迎撃すら出来ず、果敢に一刀両断にされて絶命する。


 ほんの僅かな数の魔族は、果敢への反撃を試みるが、チキータですら勝てない果敢に、反撃など通じる訳は無い。

 必死の反撃が、掠りもせずに躱されてしまった魔族達は、果敢のアウラ・ブレードに、心臓や頭部を切り裂かれ、地面を血に染めるだけだ。


 勝ち目が無いと悟った魔族達は、洞窟のような横穴や、天井に開いた穴から、逃げ出そうとする。

 逃げ出そうとする魔族達に気付いた果敢は、左手のアウラ・ブレードを解除すると、アウラ・ショットを放ち、横穴から逃げ出そうとする魔力を、片っ端から撃ち殺す。


 この段階で、地下空間にいる魔族達を、果敢は殲滅し終えた。

 残りは、天井に開いた穴から逃げた、三人の魔族だけだ。


 果敢はアウラ・アクセルを発動し、すぐさま天井に開いた穴の方に引き返し、その穴から逃げ出そうとする魔族を追跡。

 三人の魔族が穴を飛び出し、聖堂に逃げ込んだ直後、果敢は魔族達に追い着く。


 果敢は右手のアウラ・ブレードだけで、三人の魔族を次々となで切りにする。

 聖堂の床の上に、血塗れの魔族の死体が三人分……そして、緑のスーツを血に染めた、ゴッドフリートの身体が転がる。


 ゴッドフリートがいるのは、魔族の一人がゴッドフリートを連れて、逃げようとしていたから。

 果敢はゴッドフリートは、まだ生かしておいた方が良いと思ったので、殺さなかったのである。


 ゴッドフリートは恐怖で腰が抜けたのか、起き上がる事が出来ない。

 血塗れの床の上を、出入口に向かって、這って逃げようとする。


 そして、出入り口の近くには、司祭と助祭達がいた。

 顔見知りの司祭達がいるのに気付き、ゴッドフリートは必死の形相で助けを求める。


「た、助けてくれ……殺されるッ!」


「助けて差し上げたいところなのですが、その前に一つ……お答え頂かなければなりません」


 司祭は魔族達の死体を指差し、ゴッドフリートに問いかける。


「何故、侯爵は……魔族達と共に、聖堂の地下にいらっしゃったのですか?」


 角の生えた死体を見れば、魔族の死体である事は、司祭や助祭には分かるのだ。


「そ、それは……俺は魔族達に、攫われたんだ!」


「そちらにいるお嬢さんは、侯爵が魔族達を召喚し、平等派を潰させていたと……言っているのですが?」


 司祭は果敢を、手で指し示しつつ、ゴッドフリートに訊ねる。


「そんなバカな真似を、この俺がする訳がないだろう! あの殺人鬼の戯言だ! 殺人鬼の話など、信じるな!」


 ゴッドフリートは果敢を指差し、怒鳴り散らす。


「お前達は俺の話よりも、あんな猫の仮面をかぶった、正体も分からない殺人鬼の話を、信じるのか?」


 ゴッドフリートの言う通り、猫の仮面をかぶった果敢の姿は、正体不明といえる存在。

 しかも、身に纏うディアンドルは、血に染まっているので、かなり胡散臭くて危険そうに見える外見なのだ。


 果敢とゴッドフリート、どちらの言う事を信じるべきなのか、司祭は助祭達と、小声で話し合い始める。


「司祭ならば、コンフェッショアネム・コアクトゥスで、そいつを調べれば良いだけの話だろ」


 果敢は司祭達に、言い放つ。

 コンフェッショアネム・コアクトゥスというのは、グリム聖教の秘跡の名だ。





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