4月30日(日)①
朝食を済ませて私は着替えるために一度自分の家に帰りました。
玄関のドアの鍵を開けて私は中に入りました。
「ただいま」
「あら、おかえり」
そう言って私の挨拶を返したのはお母さんでした。
本名水口侑李子といいます。
「今日は早いのね。どうかしたの?」
「これから凉と出掛けるから着替えに来たの」
「そう。なら丁度良かったわ、侑に服を買って来たからリビングに居て」
「うん、わかった」
普段は凉や幸と服を買いに行くけれどたまにお母さんが買って来る事があります。
私は言われた通りリビングで待ちました。
五分ほどしてお母さんが服が入ってる紙袋を複数持って来てくれました。
「はい、侑」
「ありがとう、お母さん」
「それで二人でどこに行くの?」
「わかんないけど遠出って言ってたから駅前ではないと思う」
「そう、なら電車に乗るのかしら?」
「多分」
そこでお母さんは何か思いだした様な顔して私に問い掛けて来ました。
「そういえば二人は付き合ってるの?」
「ええっ?……なんで?」
「ん?なんとなく?」
「え、え~と………」
「あ! 別に反対とかしないから正直に言って」
「本当?」
「うん本当。むしろ私もお父さんも二人の事応援してるわ」
「そう…なんだ。えっと、凉と付き合ってるよ」
私の言葉を聞いてお母さんは喜びました。
「侑に恋人が出来たのね!」
「う、うん。出来たけど」
「けどなにかしら?」
「えっと、正直に話すね」
「うん」
そして私は事の顛末を全て話しました。
全部聞いたお母さんは真面目に聞いて私に問い掛けて来ました。
「そう、侑は恋というものを分からないのね」
「うん。凉の事は好きだけど『恋愛』の好きじゃないから」
「そう、なら侑は凉ちゃんと別れる事は考えているの?」
「ううん、今のところは考えてないよ」
「じゃあ、いつかは考えるの?」
「え?………多分無いと思う」
「どうして?」
「私もちょっとずつ好き…じゃなくてこ、恋してるって凉に言われたから」
私が照れながら言うとお母さんはちょっと嬉しそうにしながら
「そうね。確かに最近の侑は凉ちゃんと一緒に居るのが前より楽しそうだわ。」
「そ、そうかな?」
「ええ、本当よ。ねぇ侑、相談ならいつでも乗るから相談があったら言ってね。」
「うんありがとう、お母さん」
「それはそれとして今日はデートよね?」
「え?う、うん」
「ならちょっと待ってて」
そこでお母さんは一度リビングから出ていきポーチと手鏡を持って戻ってきました。
「今日のデートは一杯おしゃれしましょうか」
「ええっ!」
そう言ってお母さんは私を私の部屋に連行しました。
部屋に着くと私が持っている紙袋を一つ取って言いました。
「今日はこの中に入っている服を着なさい」
「う、うんわかった」
言われた通りに紙袋から出して着替えました。
「へ、変じゃない?お母さん?」
「いいえ、とても似合ってるわ」
「そ、そうかな?」
私が言われるまま着替えたのは長袖でゆったりめのスリーブニットと膝下まであるフレアスカートです。
そして、お母さんにナチュラルメイクをしてもらい髪は左側の耳付近に凉に買ってもらったバレッタを着けました。
「出来たわよ侑」
「うん」
そう言って私は手鏡を見ました。
「え?ええっ!?」
「どう?びっくりした?」
「うん、びっくりした」
「ふふ、幸子もだけどちゃんとしたらいつも以上にかわいいのよ」
「う、うん……あ、バレッタってこんな使い方があるんだ」
「ええそうよ。バレッタはどこにでも着けれるからいいわよね。それとこのポーチに入ってる化粧品もあげるわ」
「え?いいの?」
「ええ」
そう言ってお母さんは満足そうにして言いました。
「多分、今の侑を見たら凉ちゃんはびっくりするでしょうね。」
「う、うん。すると思う」
「さあ、いってらっしゃい」
「うん…いってきます」
そう言って私はお母さんに見送られながら家を後にしました。
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