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この宇宙の片隅に  作者: verisuta
ネドリー運輸
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ジェリーガン船団運輸

ジェリーガン船団運輸とはズァパリ民国ランドラー王家の外交及び難破船引き上げ修理業者である。何故王家がこのような船団を抱えるのかについては彼女達も末代としてロゼンダ級が与えられるからである。


ー惑星リズ建国記念博物館の収蔵品ー

・DG9型巡洋艦、MA30型重巡洋艦

オヴィルツィッヒ帝国軍の巡洋艦。オヴィルツィッヒ帝国軍は巡洋艦クラスを2種類運用しており耐久面でシン造船社製のMA30型重巡洋艦、火力面で津島造船社製のDG9型巡洋艦を運用している。

MA30型は大規模な艦隊戦で前衛に配置される事も多く損耗率も非常に高い、その為重装甲艦として高い防御力を有しており、その代償として速力や火力性能が著しく悪い。

DG9型は索敵艦隊の主力艦やMA30型の後方火力艦として設計されており、帝国製にしては速力もあり、火力も非常に高い所が魅力ではあるが、その分被弾に弱い傾向にある。巡洋艦としても銀河ではHA-603主砲の射程距離以外は標準的なスペックでもある。

帝国軍においてはこの2種類の巡洋艦はセットで運用される事も多く、しばしば防御と火力で皇国軍を悩ませている。


・スーパーツァーリー8

エマンクリシット皇国プリズムミリタリー社製の主力爆撃/雷撃機、皇国製の機体の中では鈍足を誇るが、遅いが故に旋回性も良く、主要武装がエネルギー魚雷と言った高火力ビーム兵器を有する為、シビアなエネルギー管理こそ求められるが、一般的な有限兵器を使用する雷撃機に比べ手数が多いと言った長所を持つ。同カテゴリーでは銀河一番の雷撃機に君臨する。

ネドリー運輸では有限兵器の調達が出来ない為、主要な雷撃機として艦隊護衛やステーション防衛などに採用される。

 ZB8型フリーゲートは10隻DG9型巡洋艦は2隻も就航、未登録のスクラップ扱いだが帝国軍人が常に駐在するステーション警備艦の為、スクラップと言い張る為にも基本的に動かせないが、いつでもスクランブル可能となっている。いよいよ軍用艦も数が増えてきた・・・それも最新式、全部オヴィルツィッヒ帝国の造船ドックを出てから半年もしていない新造艦、相変わらず新造艦の匂いはどれもする。一方でほぼ大破のER-3000Cも戦線復帰、スクラップヤードにはAT3型航空母艦の後ろ半分が新規入庫、ジェネレーターが生きているので、部品取りにしつつ屋外修理用の仮設プラットフォームとして転用する。むしろそれを目的に引っ張って来た物だ、決して軍拡要員ではない。これで大型貨物船建造はさらにはかどり、こちらは週2隻ペース、ズァパリ民国に向かわせたロゼンダ級の部品調達の海賊船が帰って来る頃にはステージアコロニーだけはサリマン運輸が居た頃の状況に戻って来た。溢れていた貨物は貨物集積場に収まり、貨物自体もごく平均的、これもミヴェルマンのおかげ、ネドリー運輸はラザーニャコロニーの貨物の処理を始める余裕が出来たのだ。

 ・・・勿論捌くにはさらに追加で100隻以上投入しなければならないがな?

 本当はステージアコロニーの貨物ヤードに2~3日しか眠らない貨物の方が利益として美味しいのだが、ミヴェルマンにはお世話になりっぱなしなのでアーバン船団商事に譲っている。滞納貨物は保管料も差し引かれてしまうのでほとんど運ぶ価値が無いのだ。そのせいもあってか、アーバン船団商事は名声と知名度を大きく上げていく事になる。フルジア王国国内ではミヴェルマン人気、彼女も成人したてでまだ若い、そしてクソ田舎の小国にしては珍しい異星人商人、もはや芸能人とも言えよう。グッズも作られるようになり、特に前々からあったロゼンダ級のプラモデルが品薄になる大ヒット・・・確かに美しい船だが、その使命を考えるととっても複雑な気持ちもあるのだが、そもそもミヴェルマンのロゼンダ級はその使命を全うする事無く役目を終えてしまっているのでもはや関係ないのかもしれない。そんなグッズの中でもミヴェルマンを模した特大ぬいぐるみは彼女自身も、無事に生まれたミヴェルマンの子供、ツェルナもお気に入り、一応、ミヴェルマンの為に用意した居住区の都市部のアーバン船団商事のオフィスビル兼自宅にはグッズ専用部屋があるほど・・・各メーカーがくれるようで、なんなら玩具メーカーはズァパリ民国関係ない知育玩具なども置いていくそうなので現状、ツェルナはズァパリ民国のどのお金持ちの子よりもおもちゃに恵まれて育っているそうだ・・・ちなみにズァパリ民国には知育玩具がほとんど無いらしい。

 「・・・まずい事になった」

 「・・・小型機で済む範囲で頼む」

 そんな事はどうでも良いとして、目の前でルーガが悩みながらその場をクルクル回る。今日はトカゲじゃない、ルーガだ。

 「いや、一個艦隊じゃないと無理だ!それでも足らない!」

 「空きはスクラップ扱いの巡洋艦2隻とギャラクシーファイター6、スーパーツァーリー8、ES17しか無いぞ?」

 「参ったな・・・また海賊軍団に襲われるぞ・・・?うちら以上にアイツら無限沸きだ!」

 「修理中のF405戦闘機とB57重戦闘機・・・も使い物にならないな?アイツらはビーム機銃以外の火力兵装はビーム兵装じゃないからな・・・」

 「そうだよ・・・SR対艦ミサイルやEPS対空ミサイル、LPC軽魚雷、LASAT重魚雷と言った主用搭載実弾火力兵器は有限兵器、おまけに在庫が無い、CUSビーム機銃しか使えない小型じゃ全然足しにもならねぇ・・・」

 ・・・有限兵器、実は在庫しているが、そもそもこれらはどうやって手に入れるのかと言えば、新古品の戦闘機にオマケで付いてきたか、セルルド星系でたまたま拾ったか、空母の残骸漁って調達するかの大体3択、入手手段はサルベージのみなので、一度に大量に調達する手段など勿論無い、その為使い切ったら終わりと言う物なのだ・・・在庫しているのは処分に困ってとりあえず適当な場所にまとめて置いてあると言う意味でもある。そしてこれが無くなれば帝国製の戦闘機の火力がほぼ半減もする。

 「そもそも何に悩んでいる?」

 そう、そもそもなぜ一個艦隊が必要なのか・・・海賊がこのステーションに対して脅迫文でも送り付けたのだろうか?そんな物が届いていたとしても真っ先に目にする事になるのは自分が先だとは思う。

 「ズァパリ民国に向かわせたランスロット、だいぶ難儀した挙句、買い付けこそ成功したんだが、条件付きでな?」

 「条件・・・?」

 「うちのクソトカゲと定期便を組ませろってね?それ自体は別にいい!それ自体は!身辺警護にフルジア王国軍を説得しろと来た!」

 「だが、正直言えばうちらの方が格上だぞ?」

 「そうだよ!王国軍も自分らで用意出来るだろ?と聞く耳持たない!」

 何かと思えばロゼンダ級の件だった、そう言えば部品の買い付けに行かせた海賊船が居る。確かに異星人がロゼンダ級の部品を買い付ける事自体があまりにも不審過ぎる、見返りの条件がそうとう手厳しいのも納得が行くのだがどうしてその条件にクソトカゲが関わって来るのだろう・・・?薬草ならオデム=ササラ経由でうちが運んでくるだけで良いでは無いか?・・・いや、そもそも載せ替えに膨大な待機期間が発生する、その間に薬草が腐る・・・だとすればズァパリ民国から直行便で直接届けた方が早い・・・鮮度の問題なら致し方が無い、それに王国軍が重い腰を動かさないのも、護衛対象が民間船であればそれは動く訳が無い、民間の事は民間でやれと言うのもごもっともではある・・・しかしフルジア王国で艦隊護衛が出来る警備会社は存在するか?これも存在しない・・・だから自分達でやるしか無い訳だ。

 「・・・偵察機隊でも編成するか?」

 「偵察したって・・・?」

 「前回のアーバン船団商事の時の手口は海賊船がジェネレーター落としてデプリの中に潜伏だ、そこでエンジンとジェネレーターが無事な海賊船を偵察機隊で全力捜索、スーパーツァーリー8で先に無力化する、この前の運が良かったジェネレーター損傷の海賊船を全力投入してもいい、今となっては負債しか生まない部品取りだが、海賊の食卓の中なら無許可操業でも星系警察は何も言ってこない・・・いや?」

 「・・・なんだ?」

 「海賊のふりして襲わせよう」

 「・・・は?」

 「本物の計画を邪魔するんだ、撃ち合いこそするが船に当たらないように双方外す、それに便乗して他の海賊船も目を覚ますはず、そこをうちの戦闘機隊、巡洋艦で狙い撃ちだ」

 「海賊ショーってか?」

 「巡視に回ってるZB8型フリーゲートのスギヤマ艦隊とアインザック艦隊を今回割り当てよう。先に星系警察にも申告しておく必要もあるな・・・とりあえず今回はそれでやり過ごすぞ?ZB8型フリーゲートの数もさらに増やさないとな・・・」

 「星系警察は俺がなんとかしよう、十分増やしたがDG9型巡洋艦が一隻ラインを埋めてるからな・・・大型貨物も手を止める訳にはいかないし、いい加減大型艦整備ステーションを建造したい、その為の不法投棄の鉱石運搬船の整備もしなきゃいけない、惑星衛星軌道上なら土地代は必要だが何もないここなら建て放題だ」

 「もういっその事もう一軒大規模な修理専門ドックを建造しちまえば?整備士はもう一万以上は居るんだろ?この辺一体修理待ちのゴミだらけでそろそろ航行に支障が出そう・・・」

 ひとまず立ち上がって中型交易ドックの事務棟の会議室へ、スギヤマ・ジュンイチ大佐とアインザック・スニッツェル大佐、そして研究ステーション護衛のDG9型巡洋艦の艦長2名、ワトソン・バーレイ大佐、カトロニコフ・スヴェーマー大佐も居た。

 「さて、VIPの護衛が突如発生した、ランスロットがズァパリ民国からジェリーガン船団運輸を連れてくるそうだ」

 「突然でございますな?」

 カトロニコフ大佐は立派な顎鬚を撫でる。この中では一番のベテラン、帝国軍に31年も務めた巡洋艦艦隊の指揮官だが、セルルド星系で軍人として生き残れるのも本当に運しだい、リーサ達のように秒で溶かされる兵も居れば、運よく生き延びてしまう歴戦の猛者も居る。彼は後者の大ベテラン、現役時は150隻の大艦隊を率いていたらしい、敗因は総督を逃がす為のしんがりだった。

 「まぁ、そうだが、セルルド星系までは護衛無しでも安全だ、オロラ星系も王国軍の防衛ステーションがなんとかしてくれるはずだろう、問題はリストーン星系である、アーバン船団商事のような事件は起こしてはならない、海賊を射程圏内から的確に処理する必要がある、そこでZB8型フリーゲート2艦隊はジェリーガン船団運輸を護衛、DG9型巡洋艦は現行の巡視艦隊の業務を替わりにこなしつつオロラ星系ジャンプゲート付近で待機を命じる」

 「はっ!しかし、前回は海賊船は艦内電源を切り、スクラップの中に潜伏していたと報告を受けています!ZB8型フリーゲートの護衛だけでは前回同様、囲まれてしまう可能性があります!」

 この中では一番若い金髪のイケメン、アインザック大佐が想定していた模範解答を的確に指摘してくる。彼はカトロニコフ大佐とは真逆、帝国軍ではそれなりに有望視されていたエリートだったが、その分皇国軍も警戒しており、圧倒的な数に囲まれ惨敗して運よくここに居る。

 「良い質問だ、そこで、今日中に動けるようになる海賊船のリストがこれだ、今からこれを君達に共有する、これらに君達をまず襲ってもらう、オロラ星系ゲートを過ぎたデプリ帯始まっておおよそこの辺で開始を想定している、この海賊船団の船長達には君達をかすめるよう必ず攻撃を外すよう指示する、君達も外してくれ・・・つまり海賊ショーをしてもらう。同業が襲い始めてしまった以上釣られて出てくるはずだ、そこでこのリストに無い海賊船を護衛とDG9型巡洋艦で叩く、攻防を繰り広げながらデプリ帯半分まで全力で進めてくれ、うちの戦闘機隊が駆け付けるまでなにも無ければただの海賊ショーで終わらそう」

 「海賊で誘発・・・ですか・・・しかしどうやってその海賊船を配置するおつもりで?」

 スギヤマ大佐、彼はアインザック大佐の右腕だった。当然若く、アインザックの作戦を完璧に遂行する為の補助に長けている所がある。ワトソン大佐も同様にカトロニコフ大佐の右腕と言うべき人物、だが、彼の方は艦隊指揮能力に長けている、巧妙な作戦であればアインザック配下の方が得意だろう、冷静さではカトロニコフ配下という軍配か。

 「うちには偵察機がある、海賊船の発信系を全てシャットダウンさせて、その偵察機と一緒にデプリ帯の広範囲に潜伏させる、偵察機は偵察をしているだけ、そうにしか見えないはずだ」

 「なるほど、良い案かと思われます」

 「星系警察にも根回ししてある、この前の事件が発生しないよう演習を行うとだ・・・だが、もしかしたら本物も沸くかもしれない・・・とね?・・・それでは各員配置についてくれ」

 「「「「イェッサー」」」」

 ・・・俺、民間人なんだけれどなぁ・・・。

 全員に敬礼されたので渋々敬礼で返す・・・それから港の管理者経由で偵察機隊、戦闘機隊そして囮の海賊船を走らせる人員に作戦が行き渡った。海賊船の人員は無職の人達、のべ13隻分の人達には今週就航する中型貨物船への常務を約束、オーエンスに乗り込み作戦開始だ。

 ・・・だがセルルド星系まで迎えに走らなければならない。

 たまたまオデム=ササラ行きのER-2000Cなどの異機種船団に合流し、その足でアムマイン星系行きのジャンプゲートを目指すが、途中で面倒なゴミの山、ギャラクシーネットワーク上では民間商船がちょっとアムマイン星系行きのゲートの前でわちゃわちゃしており、ロックベルト星系までの航路の途中にぽっかりと船が1隻たりとも航行していない区間が存在している。アムマイン星系行きの船はたまたま居ないのか、割とオーバースピード気味のロックベルト星系行きの最後の貨物船を見届けた後、周りは誰も居なくなる、目の前にはストーム級フリーゲートの残骸が無数・・・皇国軍の新型フリーゲートだ、サヴェージ級の後継艦である。

 「・・・申し訳ありません」

 アインザック大佐が先に謝って来る。

 「・・・全くだ、何でもいいから生きている船を探すぞ?余計な荷物を抱えたまま海賊と戦闘はしたくない!」

 「右方向に4隻、固めれば2隻になるわ」

 「分かった、任せろ」

 リーサからビームライフルを受け取り、艦橋から出ていく。

 「おら!海賊だ!船寄こしな!そして悪いが五体満足な衛生兵かそれなりの高官はうちの船に乗って無事な奴集めてこい!うちの船は帝国軍人上がりしか居ないから民間のサービス残業を円滑に進める為にあんたら同族の生贄が必要だ!見返りはドライアドまでの足だ!」

 「分かった!分かった!協力しよう!殺さないでくれ!部下にも指示を出す!」

 「よろしい、連れていけ!乱暴にはするなよ?」

 「はっ!」

 それから皇国軍兵はZB8型フリーゲートによって集められストーム級フリーゲートへ集められる、さらにはニコイチのストーム級フリーゲートもコキ使う、合計10隻、計20隻が復活、もう自力で動けるので後の指示は出さないが付いてくる。頼むからそのまま帰ってくれ・・・。

 ジェリーガン船団運輸は32隻の大艦隊、ロゼンダ級が2隻も居る。ルシャーサとテティア、双子の商船船団らしい・・・だが妙だ、ロゼンダ級の船体色は赤固定、ササリッサ級は深い緑固定である、それはアーバン船団商事に限らずオデム=ササラの沖で見かける別のズァパリ民国籍の商船全てそう、だがロゼンダ級だけは白に金装飾だ・・・明らかにおかしい、その理由は後から加勢してくれたアムマイン星系方面行きの商船船団、ズーデンド通商のログドランドッドが教えてくれた。

 「また惨い戦場跡地で出くわすとは奇遇だな?ネドリー運輸のファルマン殿」

 「これはズーデンド通商のログドランドッドさん・・・いきなりでなんですがおたくの同胞の最新鋭フリーゲート要りません?ちょっと壊れてますが船員付きで無料ですよ?」

 「我は雇われ船長だぞ?それにもう同胞を回収し過ぎて収容しきれない・・・悪いがそちらで対応してくれ・・・それより今からズァパリ民国ランドラー王家のロゼンダ級巡洋艦がそこを通過する、失礼の無いよう道を開けるべきだ」

 「そんなに凄いのか・・・いや、ジェリーガン船団運輸と言うのは?」

 「ズァパリ民国国営のチャーター専用商船船団だぞ?運用自体も大変稀、一目見るのも大変貴重な事!そんな事も知らぬのか?それより船団の先頭に居るお主の貨物船も退くよう伝えろ!あまりにも失礼だぞ!」

 「悪い、田舎生まれで銀河の経済にはあまり詳しくは無いんだ・・・そして、アーバン船団商事のロゼンダ級の件はご存じで?・・・その部品を運んでいる船なんだ」

 「なんと!その為に動いたと・・・まさか女王陛下の船に部品を運ばせているとは!・・・大きくなったな・・・そんなに儲かっているのか?」

 「いえ、皇国と帝国のせいで大赤字ですよ、来年には倒産しそうです」

 「我が国も無職の移民が多すぎて経済が破綻しかけておる・・・また税金が上がってしまった・・・誠に屈辱・・・ともあれ、失礼の無きようにな?良い航海を」

 「良い航海を」

 ズーデンド通商のベーベル級大型貨物船はこの先のジャンプゲートを目指して加速していく・・・しかしこれは本当にフルジア王国軍を動かさないといけなかった系の奴だ。

 「そこのネドリー運輸の船!貴殿らがこのランスロットと言う商船が言う護衛だな?」

 「さようでございます・・・」

 「見た所、帝国軍のフリーゲートに皇国軍のフリーゲート、民間警備の船にしてはずいぶんと豪勢な組み合わせ、我が艦隊に加わる事を許可しよう」

 「誠心誠意、護衛を務めさせていただきます」

 「期待しておるぞ」

通信が途切れる、ひとまずZB8型フリーゲートはこの大艦隊を守るように左右に展開、何故かストーム級フリーゲートも参加する。

 「いや、流石にこれは不味いぞ?海賊ショーなんて物見せられや出来ない」

 「とは言っても替えの作戦なんて居ないわ?それにストーム級フリーゲートはいつまでついてくるつもりよ!?どうするの?」

 「ストーム級フリーゲートはドーファン船団に押し付けるか?」

 「絶対そうしなければ混乱が起きるな・・・ドーファン船団止めろ!ストーム級フリーゲートを押し付ける!」

 「了解」

パルサー大尉が連絡を取る、ドーファン船団に迎えに来てもらい、ストーム級フリーゲートをひとまず引き取ってもらう。

 「なんだ?貴殿の船では無かったのか?」

 「かの者達は我々が今しがた救助した皇国軍の者です」

 「王国軍も来ない、35隻も民兵を用意したものかと思っておった、15隻とは心もとないが・・・」

 「道中に巡洋艦2隻、戦闘機隊と雷撃機隊、多数の偵察機を用意しています」

 「なら安心」

 ・・・とも言えないが・・・。

 これは大幅に作戦を変える必要がある・・・しかしロゼンダ級も高速船の部類だ、ZB8型フリーゲート、確かにフリーゲートにしては鈍足な部類ではあるが中型の戦闘艦でもついていくのに必死な速力、オーエンスもほぼフルスロットルだ。ギャラクシーネットワークの航路図を見ていても何も出来そうにない・・・さぁ、あと少しでリストーン星系だ。

 「司令官!ドーファン船団より緊急通信!340隻の海賊船に襲われています!至急増援をとの事です!」

 「狙いはこっちじゃないだと?DG9型巡洋艦は?」

 「予定を早めて急行中!戦闘機隊雷撃機隊共にスクランブル済みです!ストーム級フリーゲートも応戦してくれています!」

 ・・・本当にどういう事だ・・・?まさかドーファン船団の貨物に高価な物が積まれたか・・・?

 とは言え、皇国軍が加勢してくれたのは助かった・・・そして彼らも犯罪者に対しては容赦しないようだ・・・帝国軍人も、皇国軍人も、本質はやっぱり同じらしい。

 「アインザック艦隊!先行して海賊船を叩け!」

 「イェッサー」

 アインザック艦隊がじわじわと先行していく・・・が、正直この命令は無駄だったかも知れない・・・だがアインザックはエンジン換装等が加えられている船を引き連れてさらに先行していった・・・純正エンジンのZB8型フリーゲートだけが護衛艦隊に残る。

 「何事だ?」

 「お恥ずかしながら、我々の商船が海賊船の奇襲を受けました、察するにストーム級フリーゲートを随伴させてしまった事が原因と思われます」

 「たかが軍艦、それも負傷兵になんの価値があると言うのかね?」

 「軍艦が護衛についているという事は、それだけ重要な貨物を積んでいるに違いない・・・と言う事です」

 「王国軍は何をしておる?全て貴殿の私兵ではないかね?宙域の安全すらも民間に委託しておるのか?聞いて呆れるぞ!?」

 流石のフルジア王国軍の無能っぷりに女王様もお怒りのご様子だ・・・オーエンスでもついていくのに必死だと言うのに実はまだ本気を出していなかったようでロゼンダ級巡洋艦は速度を上げる、ZB8型フリーゲートはジェリーガン船団運輸の船のスリップストリームなど、あの手この手でついていこうと努力するがポツポツ置いて行かれる始末・・・そんなこんなでジャンプゲートはもう目の前だ・・・飛んで全力で戦闘宙域までたどり着けば大体もう終わっている。割と研究ステーションに近い場所だったようだ。

 「状況終了、囮として使う予定だった海賊船も護衛に加わります」

 「了解、ご苦労だった」

 「巡洋艦とはこの者達かね?見た所、帝国軍の巡洋艦ではないか?王国軍はどうした?わらわのような国の代表すらをも出迎えぬとは!誠に遺憾」

 「・・・その・・・我々フルジア王国は銀河の辺境にありまして・・・」

 「分かっておるわ!・・・あぁ・・・スミオル卿の領主一族3女の高貴な船がなんとも無残な姿に・・・」

 「大変申し訳ありません」

 「銀河で船を壊され漂う同族の船を蘇らせ、故郷へ連れ帰り、聖なるルミナスに捧げる事が我らジェリーガン船団運輸の役目、さあ、ステーションへ入れるがよい、誠に素晴らしい護衛だった」

「勿体なきお言葉」

 通信を終えるが、果たしてそれは本当の事なのか?ZB8型フリーゲートも途中で置いて行かれたし護衛として成り立っていたかすら疑問にも思えるが、研究ステーションを目視で見て安心してしまったのかどっと疲れが出た。しばらくすれば研究ステーションにドッキング、出来る限り急いで大型交易ドックに向かう、ルーガはひとまず正装の帝国兵を適当に並べたようだ。5千人の帝国軍兵士が敬礼する中、ズァパリ民国ランドラー王家の双子、ルシャーサを出迎える。テティアはオドオドしながらルシャーサの後ろを歩き、ファルマン達の目の前に立った、とりあえず周りに合わせて敬礼をしているが、エルムンドドエルはお構いなし・・・もう知らん。

 「・・・ここは帝国軍基地かね?」

 「・・・事実、そうなっております!」

 「全く・・・貴殿は面白い商人だな、ミヴェルマンの船へ案内したまえ」

 「かしこまりました」

 ルーガが一礼して駅まで案内する。

 「わらわを鉄道に乗せる気か?」

 「申し訳ありません、当ステーションは貨物車両か貨物ドローンしか配備しておらず・・・」

 「一度乗ってみたかった、構わぬ」

 「勿体なきお言葉」

 ・・・隣を代われ!ルーガに指示されてルーガと変わる。ルーガは別の車両で電話している。しばらくしてルーガが戻って来た。中型交易ドックにZB8型フリーゲートを入港させたようだ。若干間に合わず・・・オーエンスの隣に着陸する。

 「ルシャーサ陛下、こちらへ」

 「こっちでは無かったのか?」

 「そちらは・・・高貴なるルシャーサ女王陛下の品格に合わない船でございます」

 「気になるが・・・後でじっくり見学させてもらおう」

 ルーガが冷や汗ダラダラでオーエンスに向かおうとしていたルシャーサをZB8型フリーゲートへ搭乗させる。アインザック艦隊の旗艦だ、艦橋ではアインザック大佐全員が敬礼して待っていた。

ルシャーサは操縦コンソールを撫でる。

 「異国の船も中々興味深い・・・そして新造艦の香りがまた新鮮・・・これもこれで素晴らしい」

ルシャーサは異国の船と未だ新造艦の香りが充満するZB8型フリーゲートの艦橋に酔いしれる。

 「アインザック大佐、アーバン船団商事のロゼンダ級まで頼む」

 「かしこまりました、アンドッキング用意!ローカライザーに従いドックアウト後、大型艦修理宙域のロゼンダ級大型輸送艦周囲を一周、同艦へドッキングせよ!」

 「イェッサー、電子ローカライザー取得、アンドッキング許可取得!アンドッキングします!」

 ZB8型フリーゲートはドックアウト後、部品が無くて修理が止まっているロゼンダ級大型輸送船を一周する。

 「なんとも痛々しい傷・・・配下の船も失って・・・ミヴェルマンもさぞかし・・・」

 「恐れ入りますがルシャーサ陛下、アーバン船団商事のミヴェルマン殿はもう間もなく当ステーションにドッキング予定であります」

 アインザック大佐は航行コンソールに映るDG9型巡洋艦とその配下のササリッサ級大型輸送艦の艦影を見せる。

 「なんと・・・我がササリッサ級は異国の船でも従えられるのだな?無茶苦茶な使い方をしおる・・・しかし、ミヴェルマンは存命なのだな?それは良かった・・・そうであるならば船などまた作れば良い物・・・しかし、本当にここから直そうと言うのかね?新造した方が早いぞ?」

 「ルシャーサ陛下がご持参いただいた部品でわが社が責任もって修繕に当たらせていただきます」

 「異星人に直せるとは思えんが・・・美しい我が国の淑女に与えられる高貴な船に忌まわしき三つ目属のエンジンを既に搭載出来ていると言う事はそれそうの腕があると見受けられる」

 「申し訳ありません、状況次第ではオレスト星系に自走させる為の応急修理を既に施してあります」

 「構わぬ、故障や破損を理由に1発2発あるいは全部を異星人のエンジンに換装している船も多い、さて、船内を見させてもらおうか」

 「与圧等生命維持系統は正常です」

 「よろしい」

 ZB8型フリーゲートはロゼンダ級大型輸送船にドッキング、修繕作業中でありとあらゆる資材や工具が散乱しており、お世辞とも女王陛下が立ち入る状況では無いのも確かだが、女王陛下二人は真っ先に艦橋へ向かった。艦橋の天井パネルは脇に寄せられ、脚立が乱立している、天井内部の配線修理作業中だ。

 「・・・無いな」

 「そうですわ?」

 おもむろにルシャーサは椅子を倒す、その下には冷凍保存庫がある、テティアも覗き込む、空の冷凍保存庫しか無い。

 「・・・何処にある!この船にとってとても大事な物だぞ!どんな時でもこの船に乗っていなければならない!」

 ルーガはルシャーサに持ち上げられる。

 「ファルマン!?ここに何があった!」

 「ツェルナだ、卵がここにあった!」

 「ツェルナちゃん?なんで冷凍保管庫なんかに?」

 「在来種は殿方と交尾せねば次の世代を宿せぬ!生まれなかった子が母とここにいつも一緒におるのだ!」

 「ツェルナちゃんは生まれたよな?俺にはさっぱり理解が追いつかん!」

 「クソトカゲに聞いた方が早いぞ?科学のなんとやらだ」

 「ほう・・・つまり、私らの卵も孵化出来ると・・・」

 「まぁ・・・材料さえ揃えば・・・ですが・・・高貴なるルシャーサ陛下殿には勧められる物ではないかと」

 「エルムンドドエル博士と話がしたい」

 「・・・案内いたします」

 ルーガは降ろされファルマンに詰め寄って来る。ZB8型フリーゲートに戻り、ドッキングベイにドッキング、そして研究区画へ。

 「こちらの施設でございます」

 扉を開けて中へ、そしてその孵化施設、ツェルナの卵の殻はそのまま残っているが、肝心のクソトカゲが居ない、ルーガが全力で呼び出ししていたが足がつかないらしい。だが30分待てば海兵隊が捕獲してきた。やはり元帝国軍のネットワークは素晴らしい!

 「ステーションの所有者になんて対応!」

 エルムンドドエルはプンプンしながらようやく姿を現わした。

 「悪いが王族の方がお前と話したいらしい・・・アレについてだ・・・正直話して欲しくはないが・・・」

 「何故だ?わらわ在来種の希望なのだぞ?貴殿も次世代種と同じようにわらわを排斥しようと言うのかね?」

 「いえ、そういうつもりでは・・・」

 ルシャーサは顔をずいっと近づけて来る、ちょっと後ずさりするしかない。

 「ほう!お客様であると!なら装置の解説から始めようかの?」

 エルムンドドエルは二人を連れて部屋の中へ、研究棟の階段近くにある休憩所の椅子に座っていればルシャーサとテティアが戻って来た。そしてファルマンを二人で挟むように無言で座って来る、手にはビーカーだ。

 「・・・他、回りましょう・・・そうだ、ツェルナにでも会いませんか?」

 これはよくない展開、そっと立ち上がるとルシャーサが黙って掴んでくる。

 「・・・これは?」

 「し・・・知っているのでしょう?」

 ルシャーサの目が泳いでいる。

 「・・・さーて・・・何処の馬の骨かも知らない異星人の遺伝子など、高貴なる女王陛下様にふさわしくありません」

 「早く材料を・・・よこしたまえ!」

 「その・・・お精子という物を・・・」

 ルシャーサは腕を絡めて強引に座らせる、テティアは四つの手でビーカーを差し出してきた。

 「我が王家の存亡がかかっておる!も・・・文句など言ってられるか!今すぐ脱げ!下半身にある生殖器を刺激させれば出てくると博士は言っていた!」

 「お・・・お願いしますっ!」

 「いや、しかし!」

 「なら強引に!」

 ・・・結局ルシャーサに搾り取られてしまった。彼女らの部下が卵を持ってきたのはその20分後である。結果は半日すれば大体分かるらしい、ルシャーサとテティアに両腕を抱えられて施設を後にする、お二人は満足げなご様子だがルーガのこの世の終わりのような顔はなんと言えば良いのか・・・そしてこの状況を見てミヴェルマンはどうしてツェルナが生まれたのかを大体理解してしまった。

 「ミー!」

 ツェルナはルーガもリーサもよく可愛がっている、俺も可愛いと思う。なぜか、この研究ステーションで初めて生まれた子供だ。なんならフルジア王国国民の大多数からも人気も高くもはや王子王女同様のようなニュースも絶えない、さらに言えばガチガチにお堅い帝国軍人も、見かければよだれを垂らしながら好意的にデレデレ可愛がる。お世話は基本的にロゼンダ級に乗っていたミヴェルマンの部下達が担当している、結構アーバン船団商事のビルから港湾地区へお散歩で連れ出しているようで彼女の部下達は微笑ましそうな顔をして眺めているのだが・・・・。

 「ほーら、パパですよぉ!ツェルナぁ?」

 「何を言う!わらわの殿方だ」

 「お慕い申しております・・・」

 クソトカゲのせいで地獄絵図だ。リーサの顔が怖い、ヤシマ少尉は頭を抱えている、パルサー大尉は悩み事・・・事務所のようになっている港の管理センターの一室、ツェルナに指をガブガブ噛まれながらこの場の空気に耐える。本当にどうするべきか悩ましい・・・とはいえ、クソトカゲが言うにはベースとなる遺伝子こそ俺だが、ほぼ全ての情報を昆虫族の繁殖男性に書き換えているので正確にはツェルナはミヴェルマンの遺伝子を含んだ30%クローン的な扱いらしい、医学的には俺を父親と呼ぶにはかなり厳しいそうだ。ちなみに繁殖男性は交尾後直ぐに死ぬらしいので、実は昆虫族にはパパと言う概念が存在しない、これは他種族由来の概念のようだ。この説明にはパルサー大尉なども居たので、きっとパルサー大尉はその事について悩んでいるのだろう。時期にクソトカゲから結果が届く、ルシャーサ、テティアの卵、共に有精卵となったらしい。

 「これで我が国も安泰」

 「しかも殿方は交尾をしても死なない種族だなんて!大変素晴らしく存じます」

 「あの、医学的には・・・ですね?」

 「だがわらわの殿方に変わりなかろう?」

 「所で陛下はいつまでこちらに・・・」

 「もう帰れというのか?我が子の誕生も見れんというのか?心の狭き殿方だな!少しはわらわも愛でろ!・・・異性経験は・・・無いのだからな!」

 「是非ともわたくしも・・・」

 「ミー!!」

 「いだっ!」

 ツェルナに強く噛まれて流石にビクッとする。

 「はーいはい!パパが他の女性に取られるのが嫌なんでちゅねぇー!よーしよし!」

 ミヴェルマンはツェルナを抱えた後、ファルマンの血が出た指先を舐める。

 「今お姉さんが絆創膏を貼ってあげよう!」

 「わらわが!」

 「わたくしが!」

 ミヴェルマンははっはっはと笑いながらファルマンを事務所から引きずりだした、ある意味助かったのかもしれない。絆創膏は管理棟出て直ぐ目の前にあるオーエンスの近くに居た海兵隊員から貰った・・・ツェルナを抱かせてくれる事を条件に・・・。

ー銀河の常識ー

・海賊

居住可能惑星:サルターンなど、至る所に沢山

銀河で一般的な犯罪集団、基本的に犯罪組織の総称であり、フリーランスの集まりとも言える。ビーア星系に隣接するデルビア星系を不法占有している海賊集団は主に人類系の海賊で、海賊の本拠地の一つに過ぎない。

窃盗、殺人から暗殺、密輸、さらにはカジノから風俗までありとあらゆる犯罪やグレーな仕事に手を染めている組織であり、星系警察も日々対応に追われている。

銀河の地方や種族によってはシンシゲートなどとも呼ばれるが基本的には同じ対象を指す。

主なコロニー

その辺に一杯

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