おねがいおねがい!
おねがい・・・それは知的生命体同士で相手に何かをやってもらう事を言う。
ー惑星リズ建国記念博物館の収蔵品ー
・ジュリエット級大型貨物船
シーモア共和国ベルドナカンパニー製の大型貨物船、ジャガー級同様に堅牢で比較的貨物容量が優れて入るがやはり遅いのも変わらない。大部分の種族に対応する為に居住区画をモジュール化を図っており、銀河でもおおよそベストセラーとも言える貨物船でもある。勿論人類にも対応している為、人類の領域でも比較的目にする事が多い。
新型はⅦ型、グレードはスタンダード、プロフェッショナル、エステートの3種類、各種族のサブタイプも含めれば数千グレード存在する。
・サラマンダー級航空母艦
エマンクリシット皇国、プリズムミリタリー社製の主力航空母艦。空母としては銀河で主流な射出甲板を備える。皇国軍の主力戦闘機であるギャラクシーファイター6を最大300機搭載可能ではあるが、銀河の平均では少な目の搭載機数、おまけに格納エレベーターの基数が極端に少なく、慢性的な着艦渋滞を引き起こす事や、隔壁システムや航行システム、操縦系統に至るまで各所に設計に難がかなり見られる。
搭載機数は少ないが、少なければ複数隻運用すれば良いと言う理屈で量産されている為、ほとんどそのままだが武装を大幅に減らした民間クルーザーモデルも存在する。主に主要なターゲット層は武器商人などと言った全方位から恨まれる客層で少ない物の稀に民間ステーションの係留区域などに停泊している事もあるくらいには流通している。
ネドリー運輸では最大積載量を増加させる為に帝国製の大型艦用軍用ジェネレーターに換装したはいい物の、あまり良い結果になったとは言えない程に元が悪すぎた。
エデルゼウス25
プリズムライオッド12
エデルゼウス26
物流ステーションが手に入ってしまい、整備ドックも無事完成、同時に8隻修理出来る大規模ドックが竣工、2隻が限界だったルーガの整備工場とは段違いの規模で、週間10隻ペースで中型輸送船は竣工させていた。継ぎ接ぎ貨物船は作りやすいものの、大概は部品お取替えのニコイチ修理がほとんど、だから中型貨物船が造船所並みのペースで竣工していくのだ。
なぜ継ぎ接ぎ貨物船を量産しないか、エンジンやジェネレーターさえ直してしまえばほとんどそのまま動かせる船が多いからだ。エンジンは新品を入れたり中古をかき集めたりと様々、ジェネレーターはニコイチの弊害で在庫余り気味で処分に困っている。新品部品使用の背景にはエルーラ社の営業が絡んでおり、邪魔なので新造艦の代わりにいつもエンジンの注文にコキ使っているらしい。部品なんざ、今の時代はわざわざ足を運ばなくともギャラクシーネットワークで専用の法人サイトからポンポン頼めるが、何も成果を出さずに帰らせるのも可哀そうなのでエンジンだけ発注して帰しているそうだ。おかげでもう50隻近い中型貨物船を従える中規模物流会社になっていた。なお、まだ赤字、来年の税金を払った時点で倒産である。
「上場した所で・・・資金も集まらない・・・か」
株式市場などで資金集めも考えはしたが、フルジア王国では実は国内の証券取引が無い、厳密に言えばシステムは存在する物の、投資家に億を出せる人が数える程しか居ない・・・フルジア王国の証券取引と言うのはオヴィルツィッヒ帝国依存なのである・・・おまけにフルジア王国の企業に投資する層も比較的資金が少ない資産家が多い、その手は昔からある銘柄を選ぶので上場した所でせいぜい小型機が買えるか買えないかの資金しか調達出来ないのである。
これにはルーガも時期が遅すぎたと言われる始末、サリマンが居た時代なら多少は可能性があったが、現状フルジア王国経済は物流がほぼ消失した事により崩壊してしまっている・・・そんな経済からどうやって資金調達が出来るのか・・・。
なお、ステージアコロニーの貨物ドックは1隻しか入港出来ない程に切迫、もう後は貨物を外へ浮かべておくしか余地が無い事態にフルジア王国政府はうちの会社に助成金まで出すようになったが、赤字過ぎて船が買えない現状、事実税金の無駄遣いに等しい。それが当たり前のように国民の怒りを買っているのだ。
・・・とはいえ、週に最低でも12隻就航、そして海賊の食卓ショートカットはかなり頑張っている方、大型貨物艦隊は常に海賊が襲いに来るも、ZB8型フリーゲートでガチガチに固めてある為簡単に手を出せやしない状況は弱小にしてはかなり善戦しているほうだと思う。普通は警備船自体用意出来ない規模だ。
「・・・マジでヤバイ」
だが、口座とにらめっこした所で弱小は弱小、来月の給与支払いで5,000万クレジットの赤字、利益は医療品以外も運んでいるが1隻辺りの収益は10万クレジットプラスになる程度、勿論大型貨物船が多大な利益を上げては居るが無職状態の帝国軍人はまだ3,000人近く居る。利益率の悪い海賊船の半数はステーション維持の雑務を担当しているが、それにも維持費は発生する、その穴埋めにも窓の外で全力で直しているER-3000C、そしてベルドナカンパニー製のジュリエット級大型貨物船を今すぐ投入しないとまずい・・・ひとまず手前のER-3000Cが2隻明日には動くようになる予定、人員は港管理の大佐に一任しているからちゃんと動くようになるだろう、しかしこれが動いてもステージアコロニーの切迫具合は変わらない・・・それ以上に増え続けるからだ。だがそんなお財布事情を気にしない奴がやって来る。
「ファルマン!お使いをたのもー!」
「・・・マジで貨物室に空は無いぞ・・・?」
「おねがいおねがい!」
つぶらな瞳でエルムンドドエルがファルマンの周りを周回する。
「小型機で済む範囲で頼む」
「最低でも中型じゃないと無理!」
「んじゃ無理だな、全部出払ってる」
「おねがいおねがい!」
またエルムンドドエルが周回を始めた。やかましい。
「フリーゲートのカーゴで足りるか?」
「足りない足りない!」
「うん、無理だ」
「おねがいおねがい!」
・・・じゃあどうする?
ぐるぐるひたすら回り続けるエルムンドドエルを無視しながら考える。ZB8型フリーゲートには巡視船登録しているしている船がいくつかある、そしてこれらは基本荷物を運ばない・・・理由は貨物室の容量その物がほぼ無いに等しいから・・・そりゃ戦闘艦だもの、デカい貨物室なんて要らねぇよな?
「貨物コンテナか?バラ積みじゃないよな?」
「そう!」
「容量は?」
「22,000トン!」
・・・海賊船でも足らないな・・・G-8000Cなら1隻で済むが・・・。
容量的に考えても必要なのは中型貨物船なのは確か、だが空きはE-900M、休憩中のZB8型フリーゲート、未登録の海賊船しか無い。
・・・いや?そう言えば被弾して単発化したG-8000Cが修理待ちにあったはず。
法律的にアウトだがZB8型フリーゲートの外付けカーゴベイと言い張れば・・・・シーモア共和国だったらなんだかんだ許してくれそうな気はする。
「・・・分かった行こう、ただし、オデム=ササラ国営物流センターまでだが?他の星系なら絶対に許してくれない方法で行く」
「そこにあるよ!」
「ZB8型フリーゲートを借りてくるよ・・・」
「だから中型貨物じゃないと駄目!」
「・・・中型貨物は全部出払ってる・・・スクラップ以外はな?だが、鈍足だが動ける奴はある・・・そいつを引っ張るのに必要なんだよ」
「そんな事して良いの?」
「・・・普通は駄目だ・・・なんとか言い訳してみせるさ・・・オメーの名前も借りるぞ?・・・じゃなきゃ門残払いだ・・・はぁ・・・」
ファルマンは立ち上がってドッキング中のZB8型フリーゲートへ向かう。
「休憩中悪い、今日一日この船を貸してくれ」
「司令官殿、本艦は構いませんがどういったご用件で?」
「トカゲのお使いだ・・・」
「はっ!しかし本艦の貨物容量は海賊船より遥かに劣ります!」
「知ってる・・・スクラップのG-8000Cを引っ張るよ、単発エンジン化してる奴がある、それなら入港程度は自力でこなせるはずだ、通常航行には不向きだが」
「その通常航行用の足が本艦でありますか?」
「そういう事だ・・・悪いな」
「構いません!出港準備!」
「付いてきてくれるのか?」
「当然であります!」
「分かった、牽引状態にしたら俺はG-8000Cを操縦する、エンジンは一発でも多い方が良いだろ?目的地はロックウッド星系シーモア共和国オデム=ササラ国営物流センター、そこまで着いたら沖で待機していてほしい」
「了解しました!」
「すまんね」
「ご心配なさらず!」
ZB8型フリーゲートは修理待ちからG-8000Cを引っ張り出してロックウッド星系へ、そして色々手を尽くしてごり押しドッキングを成し遂げた。勿論管理センター長のお叱りは当たり前、だがエルムンドドエルは有名な医療研究者らしく、色々な論文も出している超エリート、そのお情けでドッキングさせて貰えたようだ。
「あーらファルマンちゃん、よくこんな整備不良の違法船をドッキング出来たわねぇ?」
「うちの警備船の拡張カーゴベイだ」
「どう見てもぉ・・・おたくの国のメーカーのぉ・・・G-8000Cよねぇ?」
「そういう扱いでここに入れたんだ・・・ミヴェルマンさん」
巨大なアリ、昆虫族のミヴェルマン、ズァパリ民国の農業貨物船の船長だ。そして女性、ちなみに船員は皆生殖能力を持たないので分かりやすく銀河上では男性扱いしている。女性が多くの部下を従える、それは船も変わらずなのでズァパリ民国の船は全て女性船長である、そしてフルジア王国民が高くて買えなくなっている薬の原材料のほとんどをズァパリ民国が生産している。
「それでも普通、入港許可は降りないわよぉ?」
「そりゃもう苦労したさ・・・エルムンドドエルって医療研究者、知ってるか?」
「あぁ!ドエルちゃん!たまに取引するわよぉ?そう言えばリストーン星系に研究ステーション作るって去年言っていたようなぁ?」
「それが完成して、うちが今その使いっ走りをしているんだ」
「ファルマンちゃん、出世し過ぎぃ!先月は小型機だけだったのにぃ!そんなに儲かってるのぉ?」
「いーや、大赤字だ!あいつらのせいで俺みたいな弱小が採算度返しで無理やりあの手この手で貨物捌いてるんだ!」
たまたまサリマン運輸の中型貨物船が目の前に居たので事態の深刻さを訴えるのに使う。
「んー?サリマン?ビーア星系でそこそこ儲けてる元フルジア王国籍の物流会社?そっかぁ・・・フルジア路線から手を引いたの最近だものねぇ?だぁーからファルマンちゃん、毎日のように新しい船を就航させてたのねぇ?借金とんでもない事になってない?お姉さん心配よぉ?」
「船体自体はスクラップ、乗員はセルルド星系で漂ってた奴ら、簡単に数は増やせるんだが、ローンで中古すらまだ買えない、拾った船員が多すぎて給料だけで大赤字だ!助けて!ミヴェルマンさん!王国のステーションの貨物、うちだけじゃ捌ききれない!」
「ごめんねぇ?ズァパリ民国はここからだいぶ遠いのよぉ・・・?お姉さんも手伝ってあげたいけれどもねぇ・・・ドエルちゃんへ直接納品があれば少しくらいは運んであげても良いんだけれどもぉ・・・今は応援しか出来ないかなぁ?頑張ってぇ!」
「そんなー」
「ほーら、積み込み終わったってドローンちゃんが言ってるよぉ?それじゃあねぇ!」
ミヴェルマンは逃げるようにファルマンを置いていく、貨物ドローンが受け取りのサインをくれと足をどついてくる現状だけがその場に残った。
「頼むからもうそんな鉄くずを持ち込まんでくれ!ファルマン・ネドリー!ドッキングベイにも乗せてくるな!ドッキングベイまで満載にしてくるのはお前の会社だけだぞ!」
「ドッキングベイの件はステージアコロニーの管理センターに直接言って頂きたいとあれほど・・・」
「絶対だぞ!絶対だ!もうこれ以上我々の尻尾を切り離させないでくれ!!さぁさっさと出て行ってくれ!」
「善処します」
そういいながら入港予定のホーネット船団とすれ違う。キッチリコンテナがドッキングベイに固定されていた。管制官の悲鳴が無線で響き渡ったのは言うまでも無い。またあいつか、フルジア王国路線は大変だ、苦労してるな・・・、いまだ罰金科さないのが不思議、ここの倉庫もフルジア王国行きでパンパンだしな?、絶対やりたくないなど色んな商人の独り言も絶えなかった・・・。
「・・・司令官殿、散々の言われようですが・・・」
「いつもの事だ、牽引状態にはした、帰るぞ」
・・・だが、悲劇はこれからである。
「司令官殿・・・皇国軍サラマンダー級航空母艦が・・・目の前にあられますが・・・」
「くっそっ!やられたばかりじゃねぇか!」
「本音が漏れてます」
「悪い」
「いえ、我々が司令官殿の財政を圧迫しているのは十分理解しています、救助されますか?」
「国際法で努力義務とはいえ・・・しなきゃ・・・駄目なんだ!・・・クソっ!」
「・・・お気持ち、お察しします、損傷的にジェネレーター大破であります、ジャンプケーブルと海兵隊を急ぎ用意します」
「頼む、ホーネット船団も呼んでくれ」
「承知しました・・・いや、まずい!帝国軍の索敵艦隊がこちらに向かっています!」
「空母って中型2隻のジェネレーターで動くと思うか?」
「艦載機が全て出払っており、なおかつシステムを航行に特化させれば十分可能かと思われます!」
「急いで横づけ!2隻を固定!その間に俺が乗り込む!君達は元とはいえ帝国軍人だ、中で戦闘が発生しかねない!船の操縦権限を奪取し次第、ひとまず全力で離脱する!結果はどうであれ生存者の捜索はリストーン星系内だ!やれるな?」
「当然であります!お任せください!」
ZB8型フリーゲートは全速力でサラマンダー級航空母艦に横づけ、ZB8型フリーゲートの電源でひとまずはエアロックが使用可能になる、急いで乗り込むが死体も多い・・・だが生きているのも居る、衛生兵が走り回っているようだ。一人捕まえる。
「貴様!何者だ!」
「海賊だ!船寄こせ!いう事聞かないと帝国の索敵艦隊に蜂の巣にされるぞ!」
「これだから人間族は!」
「悪いが俺はフルジア王国生まれだ!あんたらの宗教価値観とか一切興味無い!どうせお前らも徴兵されて不服だろ?早くしろ!」
「悪かった!従う!だから命だけは!!」
衛生兵の案内で艦橋へ、艦橋の船員にビームライフルを向けられるが、衛生兵を盾に操縦コンソールを奪う。
「海賊風情が!この船に金品財宝は乗っていないぞ!何が目的だ!」
「あんたらの命だ!死にたくなければ指をくわえて突っ立ってろ!ZB8型フリーゲート!準備は良いか!」
「いつでも構いません!」
「ZB8型フリーゲート!?貴様帝国軍人かっ!!」
「ただの海賊だよ!!」
サラマンダー級は全力回頭、1時間後にオロラ星系のジャンプゲートへ突っ込んだ、たぶん索敵艦隊は追ってすら来ないと思う・・・そう思いたい。
「・・・我々を田舎のセクターへ連行してどうするつもりだ?」
「あんたら、どうせ徴兵された身だろ?この無意味な消耗戦はうんざりじゃないか?」
「そ・・・そのような事など・・・!あって・・・たまるか!」
「そのような様子にしか見えないが・・・?まあいい、知り合いにドライアド民主共和国の商船の船長が居る、怪我人が直るまでは面倒見るが、うちの会社は元帝国軍人が大勢いる、悪いがうちの会社で第二の人生を送る事は出来ない、同族の国に移住してくれ、この行為も民間人の責務なんだ、悪いがリストーン星系までご同行願おうか」
「・・・好きにしろ」
「一時間も掴みっぱなしで悪かった」
「貴殿に命を握られている身だ・・・構わぬ・・・この船の同胞が助かるのならば安い物だ」
「出来る限りはするよ」
2時間かけてリストーン星系のジャンプゲートをくぐる、30分かけて物流ステーションにドッキングした。
「俺が先行するが、半ば帝国軍基地みたいな物だ、言葉使いは気をつけてくれ」
「御意」
船長らしき人物にそう言い聞かせる。ゲートの先にはルーガが立っていた。
「まーたえぐい物拾ってきやがって!」
「事情は後で説明する!衛生兵だった奴を急いで送ってくれ!」
「もう準備出来てるぜ?」
ルーガの合図で担架を抱えた衛生兵が駆け込んでいく。
「しばらく、世話になる」
「このステーションの主はこっちだ」
「ファルマン!頼んでいた物は!」
「・・・空母の横に引っ付いてるぜ?」
エルムンドドエルは客人そっちのけで中型機用貨物ドックの方へ走っていく・・・オイ。
「トカゲ属のステーションとは・・・人間族の領域では?」
「フルジア王国は他の種族と交流は盛ん、アンタらの所で言うトライアド民主共和国と似たような国だ。敵意むき出しなのは帝国と皇国だけだったりするのは流石になんとなく分かっているだろう?明日からうちの船でオデム=ササラ国営物流センターまで送ってやる、そこからトライアド行きの商船に乗り換えてくれ」
「何から何までかたじけない」
「喧嘩だけはやめてくれ」
「分かっている」
「・・・ついでにあんた、自家用空母は欲しくないか?」
「要らぬ、庭先に飾れるような代物でもない、貴殿の好きにすると良い。もう軍用艦などこりごりだ、良い事など何一つない」
「そっか、うちも要らないんだけれど」
ひとまず居住区へ案内した。ここは無職の帝国軍人が住んでいた仮設バラック地帯、船を直す段階で出てきた廃材や居住設備類をとりあえず空地に持ち込んで出来た場所で、居住区では全力でまともな建物を建設している。元帝国軍人も基本徴兵された人達、その前職もこのステーションをまともに維持出来てしまう程に多種多様なので割とお任せでもなんかちゃんと運用出来てしまっているらしい。そう言う訳でここに住んでいた人達はステーション管理か、船乗りかになってしまっている。巨人族にとっては窮屈だがどうせひと月も居ない仮住まい、我慢してもらうしかない。
翌日、ひとまず乗れるだけ乗せてオデム=ササラ国営物流センターに送る。たまたまズーデンド通商が居たのでエルムスミエルに相談する事にした。
「承知した、145名の同胞は私が引き受けよう、知り合いの他の商人にも伝えておく、ファルマン、そして同胞達よ、災難だったな」
「エルムスミエルさん、お願いします」
「ファルマン、君の所は帝国軍人を受け入れているようだからな?どれ、私も真似をして軍人を船員に当ててみるとするかな?丁度商船を数隻増やしたい頃だった」
「エルムスミエル閣下、貴殿のお役に立てるよう、このルドンドセル、全力を尽くしますぞ!」
空母の船長だった人、ルドンドセル大佐はエルムスミエルに敬礼する。常に冷静なエルムスミエルの顔が大きく崩れた所は初めて見た、唖然としている。そして長い手でファルマンの肩を掴み手繰り寄せて小声でこういった。
「・・・なぁ、ファルマンよ、軍人とは皆、こういう物なのか?」
「・・・帝国軍人の間では俺も司令官扱いだ」
「・・・そうか」
エルムスミエルはファルマンの肩を叩きながら遠ざかる・・・いきなり閣下呼ばわりに馴染めていない様子だ。かなり動揺しながらエルムスミエルの船へ皇国軍人を連れていく。
「今度は空母拾ったんだって?」
「ゾリゾか・・・今回は帝国の索敵艦隊に狙われる寸前で危なかったんだ、持ち帰るしかないだろ?」
「まったく君は一個艦隊作る気かい?君は宇宙に乗り出してまだ3カ月目だよね?もう空母まで揃えて・・・たいした大物だよ!来月どうなっているか楽しみだねぇ・・・次は戦艦かい?今度拾ったら是非見せて欲しいものだね・・・冗談だよ?センター長の尻尾がまた取れる・・・」
「実際、組もうと思えば索敵艦隊くらいは組めちゃうんだ・・・どうしてだろう?」
「ま、君の所のサルベージ技術のおかげでエルムスミエルは閣下になれた事だ!あの唖然とした顔は初めてみたよ!あっはっはっ!」
「ゾリゾさんの所も人、要りません?今なら皇国軍人、帝国軍人どちらもご用意出来ますよ?」
「わたしゃまだ船を増やせる資金は無いよ!皇国軍人はエルムスミエルに押し付けて、帝国軍人は君の所でコキ使いな!」
「・・・駄目か」
「うちは君の所みたいにゴミから船を生み出せないからね!地道に稼いでいくしか無いのさ!」
「じゃ、空母付きでどうです?」
「空母で何運べっていうのさ!それどころか空母の甲板山積みにしなきゃいけないのは君の国じゃないのかい?管制の尻尾が全飛びしちゃうね!」
「・・・その手があったか」
「・・・あー・・・本気でやるのかい?」
「やらないと、コロニーにドッキングすらままならなくなりますので・・・ねぇ?」
「止めやしないよ、今度はどう怒られるか楽しみだ、そんじゃ、私が居る時に乗りつけてきておくれ、笑って迎えてやる」
「ええ、そうします」
出来ればジョークであって欲しい・・・でもなんかやりかねん気もしてきたぞ?そんな顔をし始めるマドリニスゾリゾと分かれてオーエンスに戻った。まだ運ばないといけない貨物が多すぎる・・・あまりここに長居も出来ないのだった。
ー銀河の常識ー
・トライアド民主共和国
居住可能惑星:(ズォーイ・ノーティス、ダル・ドル・テゴマ 計2惑星)
グリッドロッド星系などを統治する巨人族系国家。巨人族系国家だがエマンクリシット皇国に比べ、宗教に対して熱狂的な信仰心を持ち合わせていない国民性な為、巨人族としてはエマンクリシット皇国と他種族国家との外交の緩衝材と言う役割を担うポジションの国であり、巨人族系国家でも同様の国がいくつか存在する。
12星系を領有するそこそこ大きな国。
主なコロニー
グリニッジ宇宙貿易港など約3億コロニー




