バグによるバグの為のバグ
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ー惑星リズ建国記念博物館の収蔵品ー
・エルデ・レ・ラピーヌ級星間クルーザー
魚人族ヴェリーティア共和国製の中型クルーザー。一応中型と言い張るものの、船体サイズは一般的な大型貨物船より大きい為、銀河上での扱いは大型クラス、港湾に入港する際も大型扱いで誘導される。
魚人族と言う性質上艦内を水で満たす必要がある為大型艦と同等の大きさのほとんどが航行設備を占め、実際の居住区画は中型船並みとなってしまっている。
・SH01中型貨物船、BH01大型貨物船
アズランド新生帝国製の軍用貨物船、未修理の難破船の在庫が無くなった事により製造が開始された。戦闘艦などの残骸を原材料とし、中古部品を使用している事から性能にバラつきはあるものの銀河で一番環境負荷の低い船とされる。
あくまでも平均値だが、性能は人類の製造する船としてはおおよそ中央値、銀河目線で見てもトータルバランスがよく、如何なる用途でも耐えうる事から人類としては高性能艦とも言える性能を有している。
一定期間アズランド新生帝国軍で使用された後民間に払いされられており、中には1度だけしか物資輸送に従事していない新古品も存在する。
「・・・なにこれ?」
「なにこれ・・・?」
リーサ艦隊が焦げた何処かのプラントの破片のような船を持ち帰って来た・・・別にセルルド星系から船の残骸を持ち帰るのは日常茶飯事、珍しい事では無い・・・しかしこの物体、銀河の船に詳しいルーガも分からない、さらには後ろの船舶オタク2社とカリスマ営業マンも分からないと来た・・・そしてこいつらも何処から湧いて出てきた?
ツェルナは船のような何かを撮影して何処かに送っている・・・ササッと回答が帰って来たようだ。
「ママに聞いても分からないけれど、エルムスミエルおじさんが知ってるっぽいから直ぐに来るって!」
「・・・で、リーサ・・・これはどうした?」
「セルルド星系に現れた不明船、丁度ドロイド艦隊と交戦している最中に現れて・・・その・・・間違えて撃ち抜いた」
「やっちまったなぁ・・・でもエルムスミエルが知っているって事はこれはカーディナルじゃないよな?」
「・・・たぶんな?しっかしなんだこれ?マジで分からん」
ルーガはギャラクシーネットワークで色々調べているが答えに行き着く事が出来ないで居る・・・最終的にエルムスミエルが駆け込んで来た。
「どうしてそんなに焦ってる?」
「一応、それはお前の廃船コレクションに入れてはいけない事を警告しにきたのでな?・・・それはエズ・儀・Bレ帝国軍遠征艦あるいは外航船である、名はエキュ・間・キー級戦艦である・・・ベース艦は120年前のエマンクリシット皇国のエクシーキ級戦艦である」
「・・・エクシーキ級?・・・エクシーキ級・・・」
ルーガはギャラクシーネットワークで調べる。
「・・・エクシーキ級・・・なにこれ?」
だが出てきた物は完全に別物だったらしい。
「無論、そのような古代兵器、現在でも通用する訳なかろう?これは近隣諸国が好き勝手近代化改修をするようにプログラムし直したある種のバグ艦船、当然原型など留めておらぬ。これは恐らくエズ・儀・Bレ帝国のみで現在生産されている最新仕様の古代兵器、勿論シャシは古いが近代化改修は抜かりない、こんな見た目でもエンデラー級戦艦と大体同等性能である」
「・・・これが?」
リーサが指を指してこんなジャンク品的な何かが皇国軍の現行戦艦と同等性能を持っている訳が無いと訴える。
「見た目に騙される無かれ・・・とはいえ、手を出したのか?それとも何処かの船団がいつものごとく拾ってきたのかね?セルルド星系を運航する商船は今は無いはずだが?」
「うちが・・・やっちまったな?」
「はぁ・・・まぁ無理もない、IFFもトランスポンダーも元々バグり散らかしておるからな?外交官が生きている事を祈ろう・・・こんな所まで来たと言う事はなんらかの外交目的で間違えないはずだ・・・」
エルムスミエルが頭を抱えながらエキュ・間・キー級戦艦に近づく、船体底部の搭乗口を開ければ丸い球体が転がって来た。
「うむ・・・おそらく無事なようだ」
「・・・どこが?」
目を回した表示のディスプレイが球体に存在する・・・大きさ的には直径60センチと小ぶり・・・エルムスミエルがそれを拾い上げてっぺんを軽く叩いたら直ったのか起きたのか分からないが意思疎通が出来るようになった・・・が、機械のノイズ音だけで何を言っているかすらわからない。
「ふむ・・・セルルド星系の視察と人間族の状況を確認しに来たようだな?エズ・儀・Bレ帝国近隣諸国が仕組んだ物であろう」
・・・なんで分かるんだ?人類はそんな目でエルムスミエルを見つめる。
「正直な所、故意に破壊したとしても外交問題になる訳では無い・・・なぜなら近隣諸国が共同で管理している国と言う名のロボット工場だからだ。戦争するかについては近隣諸国が決める・・・まぁ、状況が状況である、砲火の巻き添えを食う事もここまで送り込む上で想定されているだろう・・・これを有線ケーブルでギャラクシーネットワークに繋げば通信が出来るがあるかね?」
「・・・この端子ならあるぜ?この場には無いけどな?事務所に数本転がってた気がする」
ルーガは頭をかきながらここまで乗りつけてきたエルーラの三流ミニバンに向かう・・・ちゃっかりエルムスミエルは本国から巨人族の乗用車を持ち込んでいる・・・やはりランドラー王家のリムジン同様車幅が広い、これでもコンパクトカーらしいが、コロニー中心部で乗るのにはちょっと難しい大きさだ。
ここに居る全員は手頃な車にそれぞれ乗り込み、シルバーロッドの艦船競売場まで向かった。
「・・・たぶん、これじゃねーかな?」
シルバーロッドの艦船競売場に着けばケーブル探し、ファーレンヒのほぼ定位置のようなカウンターからは何処に押し込んでいたのか分からない程の数の段ボールが出てくる・・・競売場に居た他の種族からも、いや・・・そのカウンター裏にその量はおかしいだろう?と言う顔で見守られつつ出てきたケーブルをエルムスミエルに渡す。
「うむ、これは現行規格のカテゴリ8ケーブルである」
「現行のケーブルだぜ?」
「コネクターが地味に違うので使えん、3世代前のカテゴリ5ケーブル、しかも最低でもカテゴリ7変換では無いと駄目なのだ」
「3世代前・・・?えーっと・・・ファルマン・・・何年前だ?」
「知るかよ」
段ボールに囲まれている、顔に古傷が残ってもなお美しいファーレンヒの無言の笑顔に答えを求めても何も解決しないのだが・・・いや、解決しそうだ。
「ギャラクシーLANケーブルは前の世代が2世紀前だったと思いますので、恐らく最低でも600年前以上かと」
ファーレンヒは笑顔を崩さず答える・・・流石元皇女、それ相応の教育を受けていらっしゃる。
「いや、残念だが1500年前の代物である」
「全然見当違いで申し訳ありません」
だが、全然違ったようだ・・・というか、そんなに古いケーブルはこの時代でも機能するのだろうか?
「マジ?流石にそんな古いの無いぞ?」
ルーガはさらに散らかす。ファーレンヒに埃付きの中古ケーブルが飛び散っていくが、受付嬢の鏡と言うレベルで表情を崩さない・・・業務熱心なのは良い事だが、流石に怒って良いと思う。
「我々のステーションであれば家電量販店に置いていなくも無いが、人間族のステーションではまず見かけんケーブルである・・・買い付けに行っても良いが、セルルド星系の状況を考えるとリスクが非常に高い」
「・・・えっ・・・まだ現役のケーブルなの?」
「当然である。この辺は銀河工業連盟規格でほとんどの工業製品の規格は統一されておるが、我々の領域の向こう側は途上国や世紀末国家、互換性の無いローカルテクノロジーも多い。独自規格や遅れた規格が未だに流通しておる・・・こうなるのであれば、最初から外交船の中を家探しするべきだったか・・・我が船で使う事は無い規格のケーブルであるからな?」
エルムスミエルはそう言いながらツェルナを眺める。そう言えば後ろではミヒミヒピーガラガラ聞こえる・・・だからなんで異星人は普通に話せるんだよ!?
「・・・ボス殿、とりあえず、U-6を使われてみては?文通程度でしたら可能かと」
L87がそう言いながらファーレンヒに引っかかっているケーブルの撤去を始める。リユンとアーシャとクリナもこの場に気が付けば居る・・・お前らも何処から湧いてきた!と、言いたい所だが、上の軍事区画へ行く為のエレベーターシャフトは競売場の真後ろ、なんなら直通通路がある・・・誰が使うって?主にルーガや上の総司令部勤務の人達である。
気が付けばアーシャとクリナは帝国軍の制服を着用するようになっていた。ちなみにアズランド新生帝国軍の総司令本部所属の大将で、リユン元帥をいとも簡単に落として見せた大きな胸には大将の階級章が輝いている・・・ちなみにアズランド新生帝国軍唯一の異星人軍人でもある。
「・・・U-6?なんで?」
・・・そんな事はどうでもよいとして・・・何故U-6?
「U-6は戦闘支援型であるのはご存じでしょう?装備するナノドローン次第で様々な任務に対応する事が出来ます、例えば・・・偵察や工作など・・・ナノドローンで電子妨害も可能です」
「・・・この場合は?」
「最初からここに居合わせた訳では無いのですが、恐らくはそこのスクラップ異星人を経由し、ゴミクズの母星とコンタクトを取りたいのだとお見受けします、それでしたら電子戦装備で対応可能でしょう、ナノドローンはどのような端子であろうとも関係なく接続回路を構築できます・・・問題は・・・」
「・・・問題は?」
「当時、第一師団は防衛戦装備で任務に当たっておりましたので、ボス殿が鹵獲したU-6は当時防衛戦装備、つまり広範囲シールドが構築可能なナノドローンを装備していたはずでしょう」
「・・・つまりそれはこの場に無いと」
「そのように・・・しかし、我々がかつて保有していた戦闘艦の残骸から入手が出来る可能性があります。Uシリーズ及びCAFシリーズ、LOシリーズ等、対応するシャシはかなり豊富にありますので獣人族連合の戦地の後を捜索頂ければ見つかる事でしょう。特に電子戦特化型のLOシリーズは艦艇搭載型や偵察機搭載型など、バリアントタイプが豊富です・・・あいにく全ての個体は現存しておりませんがハッキング程度であればたとえ専門外のCAFシリーズでも可能でしょう」
「・・・エステナ帝国人ってそんな事も出来るの?」
「何をおっしゃいましょう?我々はオヴィルツィッヒ帝国が作り出した兵器でござます。戦闘型であればこれくらい出来て当たり前です」
L87がケーブルの束を片手に、我々は何の為に作られた存在か忘れたんですか?ボス?と言うような顔をしてくる・・・そう言えばユリアスの執務室の片隅にナノドローンのボックスが置かれていた、恐らくそれの事だろう。腕装備はエステナ帝国人は基本装備したままだが足装備は外してしまっている・・・これが機能拡張に当たる装備なようだ。そしてナノドローンにも種類があるらしい。
・・・で、あれば、既にあるんじゃないか?
「と言う訳でルーガ、ユリアスの執務室にあった箱はあるか?」
「え?CAF姉妹が持ってた分しかないぜ?しかもクソトカゲの手によって分解済みだ、たぶんもう使えない」
「・・・アイツ・・・!!でも、また別な近接戦闘向け兵器だったはずだ・・・シドニアⅡとかにも無いのか?」
「乗っかってた前の持ち主は皆生産型みたいな容姿だったはずだぜ?」
「ワーグナー星系へ送り込んだ初期の頃の艦隊は制圧作戦用の艦隊編成だったはず、偵察装備は偵察機搭載型・・・つまり偵察機その物がナノドローンを運用する装備と言う訳です。当時は早期制圧が第一優先でありました為、火力をかなり重視した艦隊編成でした。わが軍が偵察を重要視するようになったのはエルデナン星系陥落後です。つまりエルデナン星系以降で回収が現実的かと・・・ちなみに艦艇に搭載される船員は艦長や海兵を除き生産型ですので彼らとは互換性がありませんし、仕損じを除きナノドローンも扱えません」
・・・つまりL87は仕損じなので一応ナノドローンを使えるらしい・・・という事はさておき、巨人族ステーションで買い付けるのが早いか、残骸からナノドローンボックスを回収する方が早いかの2択である。買い付けは道中危険だが確実性はある、残骸からサルベージは時間が掛かるが安全は確実に保障される・・・しかしながら正直手に余り過ぎて、もはや執務室で飼っている猫同然のU-6の性能も気にはなる所でもある。役に立てられるのなら何かしらはさせたい所・・・確かにCAF姉妹も持て余しては居るのだが一応こっちはこっちで実験動物の方で忙しそうにはしている・・・色々どうかと思う所はあるが、もうクソトカゲもエステナ帝国人を量産出来るようになりつつあるので・・・うん、やっぱ駄目だな?
そうと決まればサルベージ部隊に調査を依頼する・・・が、彼らはあまりにも優秀過ぎた。もう既に23隻の残骸を確保し、直して使うのか、それともそのまま金属資源にして良いのかの方針が決まるまで一旦資源と一緒に保管していたらしい・・・それは翌日にバーボン星系に届けられるよう手配された。
「・・・一応確認するか」
「あればそれに越した事はないからな?」
エルムスミエルと並んで外航船を見上げる。中に入ってみればエズ・儀・Bレ帝国軍の兵士的なロボットが船の修理をせっせとやっているが、侵入者に対して何もしてこないあたり、かなり致命的な欠陥があるような気もする。それ以前に艦内設計が巨人族特有であるのにも関わらず全く別物という印象を受ける。
「何か足らないと思えば、光るコーキング材が無いのか」
「コーキング材など何でも良いからな?材料が特殊なだけで性能自体は他の種族が使用するコーキング材と対して変わらぬ・・・わざわざ我が種族のコーキング材を使うメリットも無かろう・・・ちなみにアブダブバスの油脂から作られておるから光るのだ、主に深海に生息しているのでな?」
「えっ・・・噂のその魚ってコーキング材にもなるの?」
「食べて良し、加工するも良し、繁殖力が非常に高く大型である。異常繁殖してしまった時は海洋全体が光ってしまう・・・きちんと管理せねば海洋汚染をも引き起こしかねぬ・・・古来より我々はそれを間引くついでに有効利用してきたのだ」
・・・そうかぁ・・・。
とある元皇女様が作った謎のスープのような何かを思い出す・・・工業製品にもなるのだから余程の大きさかつ、余程の繁殖力なのだろう・・・確かにそれは間引かないと生態系破壊になりかねない代物だ。
エルムスミエルと一緒にありとあらゆるケーブルを確かめるが無い・・・正確には使われているケーブルの規格がさらに古い物と言う物だった。
「とんだ無駄足であったな?」
「・・・コーキング材」
結局何も成果が得られないまま時間が過ぎ、そしてヴェルグーリさんの店に至る。エルムスミエルの目の前には例のスープがある。
「・・・はて?ここからコーキング剤にでもなるのかの?」
「・・・いや?本来の材料として使われる深海魚が巨人族の船や建造物にも使われるらしいんだ・・・」
「ほーっ・・・それは初耳じゃの?」
ヴェルグーリさんはそう言いながら俺の目の前にチャーハンと餃子を出して来た。本当にこの店は何でも出てくるから恐れ入る。爬虫類族の商人が食べているのは激辛タコスサンドだし、獣人族に対してはただ皿に盛られただけのステーキ、草食の種族に対しては牧草サラダと言う名のただの牧草にドレッシングをかけただけの代物・・・人間の食べ物だって帝国領内のありとあらゆる料理が全部出てくる・・・理由はウエイトレスとして雇われた人達の出身地も多種多様だからである。
翌日から残骸の中を家探しする・・・相変わらず最前線の火葬ステーションはキャパシティオーバーなのでほとんどは船員付きの当時物・・・だが都合が良い、もしかしたら装備品を装備したままの個体がいるかもしれない・・・ついでに遺体はバーボン星系でも処理が出来る・・・むしろ前線から遠いバーボン星系の方が余裕があるのだ。
「・・・で、エステナ帝国人は基本的に火葬?土葬?」
「んー?大体土葬かなぁ?」
「その場次第と言うか、弔いって基本しないから、余裕があったら埋めるか、近くで何か燃えてたらそこに放り込む感じー?」
CAF姉妹はそう言いながら4本腕の化け物を軽々片手で持ち上げで何処の所属だったか確認する。いくらミイラ化しているとはいえ、後ろで普通の人間が苦労していると言うのになんて力だ・・・と、思いきや同じ見た目でも彼女らは大鎌使いだ、そりゃそれなりの筋力があるまでの事・・・その腕の細さでな?とは思う所もあるが。
「245師団のゾデック・A-908S、これはワーグナー星系に展開していた殲滅部隊、外れ、ボス」
U-6はCAF姉妹が持ち上げた化け物を確認する。CAF姉妹はなーんだとか言いながらその辺にぶん投げた・・・この様子じゃ確かに弔いはしないだろうな?扱いが雑過ぎる。
一応船内の片付けはドーベック艦隊所属の海兵達が行っている、CAF姉妹がぶん投げて行った死体も時期に彼らに回収された・・・普通の担架じゃ耐荷重不足なので貨物コンテナ用ドーリーを持ち込んで10人がかりでそれに乗せている。
それから23隻と追加で見つけてくれた8隻を家探ししたり、ついでにニコイチにしたりをしていれば一週間も経過していた。そしてようやく当たりが来た。ぺスタ星系から持って来たシドニアⅡ級航空母艦だった物、これに搭載されていたのがRF-34Jと言う偵察戦闘機、勿論損傷しているが船ごと破壊されたと言う訳では無く、被弾したような損傷具合だった。
「おーこれこれ」
「ま、この程度の損傷なら動けなくなって終わりってヤツ?」
CAF姉妹がシドニアⅡの格納庫で周りをキョロキョロしている。格納庫の壁には大穴が開いており、エンジンも大破、ジェネレーターも壊れているので一般船員は被弾から生き延びていたとしても全員窒息死を迎えている・・・ちなみにここはいつものごとくセントラルプロムナード型ステーションの格納庫の中なので酸欠の心配は無い。
「周りに比べりゃ一番程度はいいっちゃ良いが、良くも無いな」
ひとまず無重力にさらされた後、ここに入れられた後逆さで床に叩きつけられたであろうRF-34Jを新生帝国軍の人に重機でひっくり返して貰った後、使えそうか確かめてみる。
「・・・あれ、電源が入ってる」
リビューイ帝国が陥落してから何カ月経っている?半年は余裕で経っているはずだが、船舶用ジェネレーターは耐用年数40~50年以上は当たり前だ。使った分だけ消耗するので環境や作りさえ悪く無ければ燃料棒腐りを起こすなんて事も早々無かったりする・・・つまり帰還直後にシドニアⅡが壊滅的損傷を受けてしまったと言う事なのだろう。
ひとまずは偵察機だけあり一般的な3名乗員・・・と言う訳では無い、1名でなおかつ居住設備や休憩スペースその物が無いと言う中々のブラックな仕様・・・電源が切れていないと言う事は乗員付き、手足が・・・機械のエステナ帝国兵がそのままついてきた。
「このパターンもあるのか?」
とりあえずは降ろす・・・しかし重い・・・これはあれだ、手足が機械なんだ、いつぞやの元皇女様と同じ構成だ・・・その元皇女様は今はだいぶ軽量化されて総重量は70kg程である・・・そんな事はどうでも良いとしてとりあえず機外に出した。
「あれまー・・・C-T7・・・なんて骨董品、てことはこれハズレだね?」
「・・・なんか今までのエステナ帝国人の系統も違えば命名規則もなんか違うな?CAF-78、説明求む」
「あいさー!エステナ帝国人にも旧型が存在するんよねーC-Tシリーズもその一つ、旧型はそれはもうバリエーション豊富でさー?割と使えない出来損ないも多いワケ」
「・・・旧・・・型・・・?」
「旧型ってゆーても由来は一緒、どちらかと言えばコスパ悪すぎて作られなくなった奴らを旧型って言ってるだけ、C-Tシリーズのように機械融合型とMALLT-3か4シリーズと言った生産型の基本系と言うただのクローン型、SALLT-αとか言う、光に当たって生きる草みたいな奴、そしてあーしらBALLT-7、戦闘強化型・・・色々バリエーションはあったんだけどね、SALLT-αは製造コストが高すぎる、C-Tシリーズは研究的にもあーしらの祖先と言うべきもんだけど古い設計だし作るのメンドイし対して強くもない・・・唯一の利点としては機械製品との相性が良い、それだけだけれどナノドローンの開発によりあーしらに一本化された、だから今じゃ作ってないけど動くヤツはまだ動くから一定数残ってるってワケ」
「帝国もだいぶヤッてんな・・・」
「でしょでしょー?さっさと滅びるべき!」
「・・・ううん?・・・そう来るか」
「とはいえ、C-Tシリーズ、人間から見れば欠陥品でもあり、エステナ帝国としては独立の中核でもあったから割と長く生産はされてた。でもやっぱり維持も大変でさぁ?生体部品は定期的にお取替え必要だし、機械部品もお取替え必要、系統の違う部品点数が凄く多いからマジ面倒なんよねー・・・でも寿命は部品ある限りほぼ無限だから、最終的に首脳陣はほとんどAIチップだけ残されて永遠会議三昧・・・現場で動く物はほとんど機械化が進んでいった、その中でもこれ、C-T7は最終生産型、もう生体パーツは皮膚とそれを維持する内臓部品しか使ってない、正直もう生体部品が無くたって動ける構成だったハズ・・・ちなみにおおよそ30年前のモデルだし、たぶんまだまだ使えるっしょ?・・・えーっと・・・どうやってスリープから起こすんだっけ?」
CAF-78が腕周りのスイッチを適当にポチポチする、確か首の裏じゃなかったか?とU-6が言うのでその通りにやったらなんか起動に成功したらしい・・・しかし・・・。
「・・・なんか使用人が増えただけだな?」
RF-34・・・これにも実は種類があったらしい、J型は機械偵察型、主にC-Tシリーズに対応する設計、対して同等の任務を遂行出来るCAFやUと同じ枠のLOシリーズはQ型を使う、こちらこそ本命のナノドローン搭載型・・・RF-34Jは本当にただの偵察機、なんなら無人偵察機とも言える偵察機だった・・・ただし本当に大ハズレで片付けてしまう物でも無かった・・・J型は母艦を必要としない長期間偵察任務に従事できる点である。大体1~2カ月くらい未補給で偵察が出来るので長期的な偵察任務に投入される。対してQ型は搭乗員その物に補給が必要なので1日2日程度の短期偵察任務に投入されていたようだ。やはり向こうの情勢を考えてみても、小刻みに補給を繰り返すのにもリスクがあるが、偵察艦を用意しようものなら直ぐにドロイド艦隊にハチの巣にされかねない、長期間の偵察が可能な小型機が必要だったのは確かなのでC-Tシリーズは当時の曲面では偵察の要として重宝されたはずである。
C-T7はローラの隣に立っているだけ・・・掃除、洗濯はお手の物、ローラとほぼ差は無いが料理が壊滅的に世紀末・・・しかし腕の電子戦レーダーのマイクロ波で戦闘糧食を温める電子レンジのような機能はローラには無い・・・一般的にエステナ帝国人も普段はC-Tシリーズをメイドロボのごとくこき使っていたらしいのでひとまずU-6にお世話係が出来たのは良い事だが、ローラは気に食わない様子・・・そんな事はさておき、今回のシドニアⅡはハズレだったか?いや、普通に当たり、エステナ帝国の偵察部隊の航空母艦だったらしく、C-Tシリーズを搭載しているのならLOシリーズも搭載しているまでの事・・・あいにくナノドローンボックスは壊れていたが回収は出来ており、それをU-6が直している。おかげで床には基盤や配線が散乱している・・・あいにく代替え部品ならルーガに聞けば何処かの船の部品やら普通の電子工作部品を仕入れてきてくれる・・・ドロイド艦隊の基盤なんかも使用してとりあえず出来たっぽい。
「・・・ま、見た目は気にしてらんない」
基盤むき出し・・・だがU-6は久しぶりに足にも装備品を装着する。そしてハッキングには成功したが・・・そう言えば元からバグっている・・・U-6の舌打ちがどんどん増えていく。
「・・・駄目、ボス、メモリが壊れててセルルド星系に来た命令プロトコルが存在していない・・・このガラクタめ・・・」
U-6はそう言いながらエズ・儀・Bレ帝国の外交官を投げ捨てる・・・そんな事すれば壊れる・・・いや、既に壊れているのか・・・。
「・・・となれば、もう送り飛ばして来た国々に直接聞きに行った方が早いかと」
L87は紅茶を飲みながら溜息をつく、その時、リユン元帥が駆け込んで来た。
「皇帝陛下!大変です!」
「小型機で済む範囲で頼む」
「巨人族方面に繋がるゲートが遮断されました!」
・・・先手を打たれたか・・・。
「とりあえず・・・全員呼んでくれ・・・それと、ロックベルト星系のジャンプゲートの電源を切っといてくれ・・・完全体で停止が難しければ破壊しても構わない・・・後で直せばいい」
「はっ!」
リユン元帥は一度敬礼をして各種命令をしに一旦この場から離れる。
「サシリア・・・ズァパリ民国にロックベルト星系方面のジャンプゲート停止と事が済んだら復旧を頼めないか?詳細は後で新生帝国軍から通知するようにする」
「かしこまりました」
L87の目の前で紅茶を飲んでいたサシリアは落ち着いた様子で立ち上がる、A30も立ち上がった。
ー銀河の常識ー
・エズ・儀・Bレ帝国
かつてエマンクリシット皇国の民間企業が企画したテラフォーミング計画の暴走により生まれた国、幸いAIチップに致命的なセキュリティ欠陥があり、一大事にはならなかったが増殖力は非常に高く、基本的にバグり散らかしており、オリジナルはまともに対話も出来なかった過去もある。近隣国はこれを魔改造して利用しており、その用途もハッキング装置から家庭用ホームスピーカーまで多種多様である。




