ドロイド戦争
銀河共同体の歴史においても巨人族は長寿な割に欠陥品を作る事が非常に多い種族である。それは自ら設けた船の安全性能すらおろそかにし、銀河議会の議会長の特権で基準を満たしていない船すらをも平気で生産し、運用している程である。
ー惑星リズ建国記念博物館の収蔵品ー
・ポライト級巡洋艦
エマンクリシット皇国プリズムミリタリー社製の巡洋艦、皇国軍艦隊において最も火力を有する船ではあるが、その分船速が遅く、ストーム級の船速についていけない事や、旋回性能等は巨人族製特有の悪さをそのまま引き継ぐ為皇国軍艦隊において最も使い勝手の悪い船である。
帝国軍を迎え撃つ状況においては真価を発揮するものの、ストーム級に随伴して帝国軍の背後に回り込むには性能が足らない為ストーム級の損失が出やすい傾向にある。皇国軍ではもう少し船速が出ればと言う声も多い。
ネドリー運輸では帝国製のジェネレーターで皇国軍が求めていた事は叶ったも同然だったが旋回性能が悪い為ほとんど粗大ごみ扱いとなってしまっている。ポライト3000Cのベース素材。
・セレストスピアー級戦艦
ステラー王国が開発し、シルバーロッド整備工場が製造する戦艦、長射程兵器を搭載し、船体強度も強靭で速力、旋回性能共に申し分なく、非常設備などの設計も抜かりない、オヴィルツィッヒ帝国とエマンクリシット皇国、ズァパリ民国、シーモア共和国製の船のいい所取りをした船で銀河共同体中でとんでもないポテンシャルを秘めた船と噂されている。
ネドリー運輸系列のデザイナーがファンタジー要素を強く取り入れた為、量産艦ですらも高級ホテルのような帝国軍旗艦級の艦内デザインを有する。
ステラー王国旗艦はオーベルト、アズランド新生帝国旗艦はユリアス
「フランクリン大将は作戦通りブリッド星系の制圧を開始しています、しかしドロイド艦隊の数が多く、残骸に囲まれ一時休戦に持ち込まれました、撤去しなければ戦闘を再開できません」
「・・・リストーン星系の悪夢、再びですか・・・」
警備部の副指令、アウグスタ マクシミリア大将が悩ましい顔をする。帝国軍時代末期は空母機動部隊を率いていたが、純正エンジンでは鈍足の極みでもあったAT3型航空母艦ではストーム級フリーゲートから逃れられる事などまた夢の中の夢・・・ストーム級に囲まれタコ殴りにされ今に至る、多数の部下を指揮する能力はかなり優秀だが、作戦立案に弱い40代の女性司令官である。昇進も上官が殉職した為と評価が伴った昇進では無かったようで、戦術知識が乏しかった事がそもそもの敗因であろう。彼女は既婚者で夫は20年前、息子は3年前に戦闘で無くしている。いずれも徴兵による物、そして彼女自身も徴兵である。リストーン星系に来たのは初めてAT3型航空母艦がネドリー運輸の資産に加わった時からと、今となっては古参メンバーとも言える一人、副指令に昇格前はステーションの海兵隊の指揮官を担当しており、帝国軍ネットワークの中核だった。昇格の理由はマヤ・アサヒナ少将をマーズラ星系の要塞ステーションに配置した事であるのでやはり評価に伴った昇進とは言い難い。
ブリッド星系のジャンプゲートは敵艦の残骸で大きなドームが形成されてしまっている。引き上げ船を入れてもドロイド艦隊に撃たれる事は無いが、引き上げた物をどうするかだ。リサイクルする他無い。
「この状況を受けて、我が社の建築部門がバーボン星系の惑星クリスタの衛星軌道上にコロニーを建築する計画を提案してきました」
「・・・アイツら、ちゃんと寝てる?」
「3千人もいれば、ローテーションも問題ないように思えます。それに設計はマスビダ星系側の交易ステーション及び、当ステーションの設計をそのまま流用するそうです」
「・・・相変わらずブッ飛んだ企画だよなぁ?」
本当に尊敬したくなるほどに仕事に熱心な人達である。計画上では数の暴力で総工期40年程を1年に収める、居住型コロニーをクリスタの衛星に5基、首都コロニーを一つ、そしてリサイクルステーションを10基に各種製造プラントをマズーラ星系側のジャンプゲート付近に建設、その運用用の交易ステーションも併設、そこからクリスタまでの航路上にある元ドロイド艦隊の造船所を改築し、造船業に関する工場プラントと整備施設、慢性的に一杯だった部品倉庫用のステーションも作る・・・第二のリストーン星系を築こうとしているのだ・・・正気か?うちの建築部門は・・・。
・・・とはいえ、現状どこも領有権を行使していない、自動的にステラー王国に編入しても良いが、まだ彼らは宇宙で採掘をするほどの経済力が無い、つまりバーボン星系はネドリー運輸が所有する星系と言う事になる。銀河議会は何と言っているか、ドロイド艦隊が入って来る星系など何処も欲しくは無いので新生帝国の建国を承認すると言ってきている。勿論皇国が領有権を主張したが、帝国傘下の国もお前らで好きにしろと言う意見、過半数の同意を得てネドリー運輸の持ち物となってしまったのだ。
事実、ゴミだらけ、資源は氷と光エネルギー以外はドロイド艦隊に食いつぶされてしまっている。価値がほとんど無い星系で間違えない。
「好き勝手やらせてやれ・・・過労で倒れても知らんぞ?」
「そのように伝えます」
マクシミリア大将は敬礼、俺もゆっくりと敬礼をしておく・・・そして彼女は部屋を出て行った・・・だから、俺軍人じゃないんだけれども。
・・・と言うか、バーボン星系をうちの持ち物にすればリストーン星系はどうなるんだ・・・?
完全に影も形も無い新生帝国の物となる、あくまでもうちは民間企業なのでまだフルジア王国領扱いになっているだけである・・・が、ずいぶん昔から完全に統治を放棄しているようにも感じなくはない。
・・・誰かに統治してもらうか?
ともあれ現状確認の視察に出向かなければならない。事務所を出て格納庫へ、プリズムライオッド12に乗り込むと今まで対して役にたたないサラマンダー級が役に立つ。
・・・おいおいちょっと待て。
全艦隊に送信されたと言う皇国軍の命令、それ自体はいつもの事だ、帝国にもこの情報は売っているがドロイド艦隊に悩まされ、そして対処しきれないのが現状、そしてあくまでも自分達はフルジア王国のPMCみたいな物、帝国軍と契約出来るのはせいぜい物資輸送や非戦闘員の撤退及び救護支援のみ、戦闘に参加する事は基本無い。
「・・・ハンマー・オブ・ゴッド・・・だと?」
これは何か、対惑星兵器である、銀河議会により戦争で使用が禁止された兵器の一つ、文字通りの惑星粉砕兵器、RB26迫撃戦艦よりさらに巨体で、皇国軍が所有している戦闘艦の中では全てに置いて最大を誇ると言われる超ヤバイ奴である。そんな化け物を何処に向けているか・・・目標はレミア星系首都惑星、スライパー、総人口は約4500億人である。
「・・・皇国軍は何を考えている?」
ハンマー・オブ・ゴッド、破壊も一筋縄では無い、今まで渋っていた皇国軍の大艦隊に取り囲まれ接近も不可であろう。破壊が出来るかどうかについても不明、皇国艦で護衛に就くふりをして攻撃しても皇国艦の火力では装甲は抜けない、鈍足だからこそ装甲が分厚いのだ。つまり手出し出来る手段が無い。まずやりあうには銀河全体が皇国に宣戦布告、各国が全力でタコ殴りにしなければならないのだ。それなら全員退避を選ぶのが現実的である。
とりあえずオルドネスク提督を呼び出す、その間に全ての船と他社に協力依頼を送った。うちの貨物船は輸送中の物は全て荷物を最寄りのステーションに下ろしてこの巨大ステーション、セントラル・プロムナードに集結させる。動ける船は全て動かす、うちだけでも2万隻、ステラー王国も頼んでも居ないのに船を出してくれた。オーベルトも含む全ての船、僅か134隻だがステラー王国軍は全投入である。ズァパリ民国はサシリア王女の独断で30隻、アーバン船団商事とリストーン星系に滞在していた船団2つが全面協力、ロゼンダ級はツェルナに任せて全出動、ノースソルドック商事、スターオーシャン物流も全投入してくれる。ズーデント通商などのトライアド系はオデム=ササラ周辺に居る船が協力してくれる流れ、シーモア共和国も国内外問わない貨物船を用意してくれる事となった。
「・・・銀河全体を支配し、自らが法になる事で正当化するつもりかっ・・・!」
オルドネスク提督はテーブルに拳を降り下ろす、その隣には呼んでも居ないがオレット巡査部長、星系警察はスライパーからの避難民の受け入れにあたるので前線には赴かないが、受け入れ地点の整備を裏でしてくれる事となっている。
「・・・今回は銀河全体でも異を唱える国がほとんどだ、我々フルジア王国軍は国連軍としてシーモア共和国軍とドライアド民主共和国軍と共にハンマー・オブ・ゴッドの撃破を担当する」
「うちも全力投入で帝国艦を6万隻出しますよ、帝国軍が失ったはずの有能な人材ばかりです」
「良いのだな?」
「・・・まだ、跡形も無いとはいえ、国土持ちですから・・・それに全て帝国の人間です、祖国を破壊されるとなっては彼らの怒りを抑えきれるはずがありません」
・・・とは言え、皇国艦相手に皇国艦は使い物にならないので民間船の護衛及び、ボロで大気圏突入出来ない船の変わりに大気圏突入を行う、割り振った帝国軍人達には申し訳ないが避難も立派な作戦の一つ、貨物船だけでも総勢4億隻、銀河でアクティブな貨物船のおおよそ2割近くがスライパー脱出作戦に参加した。
「・・・この恥晒しどもがっ!」
「同感である、我も同族として誠に遺憾である、同胞のバカ共に変わって謝罪する」
「アンタらはそもそも別の国の商人だろう?トライアド民主共和国軍もあのイカレポンチを破壊する為に動いたそうじゃないか?」
「ネドリーの所に感謝だな、トライアドの地にはその気になればいつでも動かせる軍艦3万隻と皇国軍の難民が居る、それを輸送したのもお前達トライアド籍の商人じゃないかね?」
抑えきれない怒りを抱えるトライアド籍の商人達をシーモア籍の商人達がなだめる。いくら同族であっても彼らトライアド籍の商人にそもそも責任は存在しないのだ。
「・・・我々は新造のER-3000Cとロゼンダ級及びササリッサ級、皇国軍艦、少し危険を伴うが海賊船を大気圏突入させる、海賊船団はヴァルカン船長、ヴェルグーリの指示に従い大気圏突入するように・・・それでは、行くぞ」
ユリアスが先行してスライパーへ大気圏突入を開始する、地上は地獄だった。帝国軍の救援が来ない事に怒りを感じ、暴徒と化しているようだ、それはスライパー領主の建物に火を放っている。
「・・・もう少し帝国艦を入れておくべきだったかっ!」
「・・・いえ、投入できる帝国艦に余裕はありません、今後の戦況次第では全滅もあり得ます、皇国艦には帝国軍人の軍服を着た海兵隊が乗っているので少なからず帝国が救援に来てくれたとごまかす事も出来ましょう」
「とはいえ、これは事態を争う、俺が行く」
「お気をつけて」
艦橋を出て格納庫へ、ここには余り散らかしているES17戦術偵察機がある。流石最新式、故障なんて一つも無い。
ユリアスから発艦、領主の屋敷に行けば不必要な殺戮の真っ最中だ。初めて着る帝国軍の軍服、胸元にはアインザック スニッツェルの名札と階級章、スギヤマ大佐が惑星スライパーでならば必ず役に立つと言って渡して来た物だ。その中には傷ついて焦げ付きのあるペンダントがある、開けてみれば一人の女性の写真が入っているではないか・・・これこそがスライパー領領主の娘、エルゼ スニッツェル・・・要するに妹君らしい。俺とアインザック大佐は大体共通点がそれなりにある、多少の変装をすればなりきれるようだ、スギヤマ大佐は特にどういう場面で役に立つのかは考えていなかったようだがこう言う事だろう。丁度目の前の廊下を写真の女性が家来に連れられて通り過ぎていく、その過程で家来が撃たれて倒れた。
・・・まずい。
ビームライフルのパワーパックを装填して構える。追手の市民達の足元に向かって何発か放ち、敵の注意を引き付ける。
「くそっ!まだ居たか!」
「・・・我を誰だと思っている!今すぐ銃を捨て、空港へ急げ!皇国軍に偽装する為の船を用意するのに骨が折れたぞ?」
「・・・そのお姿、帝国軍第4681遊撃機動艦隊司令官、アインザック スニッツェル大佐!?」
「・・・祖国と運命を共にしたければ結構、それとも我が直々に手を下しても良いのだぞ?」
「・・・退くぞ!」
・・・やれやれ。
アインザック大佐、どうやら帝国軍ではガチガチの冷酷極まりない武将のような人柄だったらしい。上から下までびしょ濡れのエルゼの所まで行く、なんとか彼女の家来は生きているようだ。
「お兄・・・様・・・」
「来い、庭に船を用意してある」
「お坊ちゃま・・・私は置いて・・・」
「黙って運ばれろ・・・察しは付いているだろう?だが黙っていろ」
「・・・申し訳、ございません・・・」
ひとまずES17戦術偵察機まで運ぶ、そして搭載の救急箱で応急処置だ。
「父上は?」
「暴徒によって・・・殺害されました」
「母上は?」
「・・・6年前に・・・病気で・・・お亡くなりに・・・なられておりますが・・・?」
「・・・そうだったか、直ぐに出す」
血にまみれた手袋を外して操縦席へ、上に上がればユリアスは直ぐに分かる。とにかく急いだ、ユリアスに行けばもっとちゃんとした応急処置が出来る。
ユリアスまでは直ぐだった、エルゼの家来は早急に海兵隊達によって医務室に運ばれる。
「お兄様・・・この船は・・・帝国の新しい船?」
「・・・だまして申し訳ない」
スギヤマ大佐から預かったペンダントをエルゼに渡してやった。
「・・・詳しい事は、スギヤマ ジュンイチと言う男に聞いてくれ」
「お兄様?」
「俺の名はファルマン ネドリーだ、フルジア王国の商人、アインザック大佐は優秀だったよ、申し訳ない」
「あ・・・あぁぁぁっ!」
エルゼは泣き出した、そしてポコポコ殴られる、既に殉職した連絡は帝国軍から行っている事だろう。
・・・これで、良いんだろ?スギヤマ大佐。
アインザック大佐の名札を外しながら格納庫の天井を見上げた。
「エルムスミエル、メンタルは大丈夫かい?」
「・・・ログランドットは船長室で膝を抱えているとは聞いている」
「人間にとって、巨人族は敵みたいなもんだ、フルジア王国の新参者と初めて会う時も皆そうだったろ?」
「ははは・・・言われてみれば、そうだったな、ファルマン、アイツも最初はそうだった、リーサ、マイラ、帝国軍人は中々慣れてくれなかった物だよ」
エルムスミエルの頬に涙が流れる、それをマドリニスゾリゾは溜息を吐きながら目を逸らして見ないようにする。
「悪いのは皇国だ、民主共和国は関係ないからね」
「何度もそれは、言い聞かせておくよ」
「暗示じゃない、これは事実だよ、アタシの所はもう一杯だ、先に上がる」
「上でまた会おう」
エルムスミエルは映像通信を切って艦橋で大きく溜息を吐いた。
・・・神よ、このような無意味な戦争が許される物なのか。
そうして胸元のペンダントを天に掲げて祈る・・・艦橋でもそうしている者は多い。
爬虫類族の商人達は巨人族の商人を心配して映像通信をよく繋いでくれる、爬虫類族は本当に面倒見が良い種族だ。
「閣下、我々の船はもう間もなく、受け入れ限界を迎える」
「・・・了解、離陸準備、急げ」
エルムスミエルはペンダントをしまい、上を見上げる。艦隊陣形を保ちながら突入してくる船団が見えた、ズァパリ民国籍の船団だ、圧倒的に高い耐熱性を活かして地上と宇宙を行ったり来たりしている。大気圏突入を頻繁に行う設計なので大気圏内航行も無理無く効率的に行う事が出来る。ズァパリ民国船のもっとも優れる機能の一つだ。大気圏内でも精密な制御が出来るからこそ、彼らの船団は陣形を保ったまま大気圏突入を実行出来る、ズァパリ民国の船は素晴らしい船ばかりだ。対して自分の船、ノア級大型貨物船は突入こそ常用できる設計だが頻繁に繰り返す設計では無い・・・だから大気圏突入はこれっきり、あとはそのままリストーン星系まで全速力で走る事となる。
全員を収容出来ず、石を投げられながらもノア級大型貨物船は宇宙を目指した。ノア級大型貨物船の居た場所にはネドリー運輸のER-3000Cが降り立った。この船も大気圏内航行は基本不得意な船である。かなりふらついていた。
首都惑星とはいえコロニーが存在しない訳無い。
プリズムライオッド12を託したマクシミリア大将は狂気じみた作戦を立案した。コロニーの牽引である。流石にジャンプゲートを通れる大きさじゃないのでサルベージと言う訳では無いが、スライパー衛星軌道から外してスライパーの爆発範囲外に運ぶと言う物、と言うのも、地上の救助すら間に合わないとされている。コロニーの人命まで救助となると第二便が間に合わない。だから後で救助するという計画が立案された。そんな物前代未聞・・・と思いきや、既にセントラル・プロムナードで事前演習やっている。コロニー動かした事あるんだっけ・・・俺らは・・・。
しかもカトロニコフ大佐はハンマー・オブ・ゴッドを破壊する作戦を立案していた。その準備は大量に余っていて足の速い皇国艦が全部やっている。帝国からは批難が集中するだろう・・・だがそれはネドリー運輸の警備部門の主力艦隊総指揮官、アインザック シュニッツェル大佐が実行した事にする・・・死してなお汚名を着せられるのか、それとも英雄になるのかについては分からないが、カトロニコフ大佐がそうしろと言っていたのだ。
なんとかして動かしたコロニーにも無理矢理押し込み4000億人は引き上げたが時間切れ、第二便が到着する頃には奴が来ていた、ハンマー・オブ・ゴッドである。
・・・皇国軍艦隊は削りはしたようだが・・・。
フルジア王国軍、シーモア共和国軍共に半壊、トライアド民主共和国軍は全滅と悲惨極まりない、リーサの艦隊も遠方射撃で頑張ったようだがかなりの損害を出している。
民間船の退避は全て終えている、後は軌道から外したコロニーに被害が行かない事を祈りたい所だが、始まってしまった・・・神の鉄槌、惑星粉砕が・・・ジャンプゲートギリギリの巨体から放たれるかなりの高出力ビームが惑星を溶かして行く、そして貫通、惑星崩壊が始まって生物にはどうにもできそうにない状況に陥った・・・とんでもない兵器だがここでスライパーを生贄にしてでも奴はこの世界から抹消しなければいけなかった。
ハンマー・オブ・ゴッドの後ろから高速でコロニーが飛んでくる。このまま行けば逃げる間も無くコロニーは間違えなくハンマー・オブ・ゴッドのエンジンを粉砕する事が出来る。
ポライト級巡洋艦400隻が自船のアンカーを破壊して離脱していく、まずはエンジンにコロニーがクリティカルヒット、だがハンマー・オブ・ゴッドは押されて前に出るだけである。だが、このコロニーには何が入っているか・・・在庫過剰で宇宙にも放り投げていた船舶用の中古ジェネレーターユニットである、特にメソポタニア級などのジェネレーターは現行ジェネレーターに半分以下の性能の粗大ごみ、処理に困る代物だった、それを足の速い皇国艦は全力でリストーン星系から持ってきていたのである。ちなみにこのコロニー、誰も居ないので安心して欲しい。しかし起爆装置が無いのだ。
その後ろからRB26型迫撃戦艦がストーム級フリーゲートに迫る速度で飛んでくる。鈍足ならば引っ張れば良い、かつてエデルゼウス25がそうしたように60隻のストーム級フリーゲートを馬のごとく引っ張らせてあり得ない速度でコロニーを射程に入れる。そしてRB26迫撃戦艦は主砲を一斉射した、元々コロニーならば楽々粉砕出来るレベルの威力だ。コロニーを撃ち抜き、内部のジェネレーターに発火、コロニーは大爆発、ハンマー・オブ・ゴッドは制御不能に陥り、射出されるようにスライパーに墜落していった。
・・・誰だよ、こんな狂気じみた作戦を立案した奴・・・。
後でカトロニコフ大佐に問いただせば立案自体はスギヤマ大佐、それを全責任を負う形でカトロニコフ大佐が実行に移したと言う事、作戦の由来はスギヤマ大佐の母国のとあるSF傑作漫画のコロニー落としと言う描写が原案だと言う。勿論銀河協定でもコロニーを地表へ落とす攻撃は禁止されている・・・この場合、違反に該当するか非常に線引きが難しい、しかし直接的な民間人へのダメージは無い、それにぶつけたコロニーとはシノノギ製薬系列の人造獣人奴隷のオークションコロニー、いわゆる闇取引場、3億もの獣人を逃がすのに苦労した。
・・・だがまだやる事はある。
「第二便以降はコロニーの引き上げに務めてくれ」
軌道から外したコロニー、ジャンプゲートを通れないのでそのまま引きずる事は出来ないし、軌道から外してしまったのでステーション機能に障害が出てしまっている、食料供給もなくなってしまったので食料を流しつつも全力で安全な場所へ避難させなければならなかったのだ。
セントラル・プロムナードに帰還すれば酷い有様だった。避難を優先したのでセントラル・プロムナードおよび、オデム=ササラ国営貿易ステーションは人で溢れていた。最も一番収容しているのはセントラル・プロムナード、高速道路にも避難民が溢れ3車線通行止めで一車線しか使えなくなってしまっている、研究区画はセキュリティの都合押し込めない、フルジア王国の商船はこれらをランザールの地上に下ろさなければならなかった、ともあれ、オデム=ササラが優先、3億の人造獣人はステラー王国が引き取ってくれたのだが、早くも都市不足という状況らしい。
「ひとまずは協力してくれた企業には何らかの船を譲る、これで良いかな?」
「帝国からの報酬は無いのですか?」
ローラは紅茶をデスクに置きながらそう聞いてくる。
「・・・勲章を貰えるそうだが、どうやってビーア星系に行けと言うんだね?って話、実質ボランティアだよ、それに民間に声をかけたのは俺だ、報酬はうちが立て替えよう」
「それでは一番の武勲を上げた主人の部下にも・・・」
ローラはソファーに横になっているリーサを心配する。部下の半数を失ったリーサの艦隊、旗艦のFT14型戦艦も大被害を受けていた、偉そうにしていると言うよりかは意気消沈していると言う様子だ。
「・・・そうだな」
とりあえず引き出しを開ける、そこに入っていたのは車の鍵である。一つ取り出してリーサの手の中にそれを収めた。
「・・・何よ・・・これ・・・」
「報酬だ」
リーサはその鍵をテーブルの上に置かれた手付かずの紅茶の中に叩き込んだ、カップが倒れ、紅茶がテーブルの上に広がる。
「・・・こんなの・・・要らない!」
「足止め、よく耐えて見せた、ありがとう」
リーサを強く抱きしめる・・・どんどんリーサの力が抜けていくのを感じた。
「・・・いずれは・・・こうなるって・・・分かっていたのに・・・・」
リーサは大泣きし始めた。泣き止むまでずっとそのまま、その間にローラは物音一つ立てずに片付けと新しい紅茶を用意してくれていた。
「・・・ルーガの用意してくれる船はポテンシャルを最適に引き出す改造が施されていた・・・なのにも関わらず、私はそれを活かしきれなかった・・・」
「あの人も忙しい、よほど自慢したい時は全部教えてくれるが、そうでない場合が大半だ、あまり背負いこむな、俺だって・・・俺の命令で部下を死なせた事もあるんだ」
ポケットに入っていたアインザック大佐の名札をテーブルの上に置く、アインザック大佐の場合は事故のような物だったが海賊の襲撃などで海兵や船員を死地へ送った事がある、皆誉を持って死んでいってくれたようだが、本当ならば銃を握らない人生や船に乗らない人生もあったはずなのだ。
「彼らの死を無駄にしないように上に立つ者は最善を尽くさなきゃならない、その為には直ぐに前を向く事も重要なんだ」
「・・・そう」
リーサにキスをされる。何故このタイミングなのか。
「・・・私は貴方が好きだった、貴方の言う通り、もう少し前を向いて生きようと思う、私を助けてくれてありがとう」
リーサは立ち上がって紅茶カップの隣に置かれた鍵を持って部屋を後にする。
「・・・貴方には刺激が強すぎたのかしら」
リーサはドアの向こうでそう言ってフフッと笑いながら廊下を歩いて行った。誰か居たらしい。
「・・・全く、またお嬢様はのぞき見を・・・」
ローラが溜息をしながらドアへ、リーリアを引っ張って戻って来た。
「ファルマン様!何故一度振ったお方と・・・!そっその!キスを!?」
「・・・そもそも振った事が一度も無いんだが?それより今度の移民の数も凄いぞ?地上に都市をもう一つ作らなきゃいけない状況だ」
「その前に私と子作りしてくださいまし!」
「子を作るのは全てひと段落してからにしろ」
「作ってくださるのですね!?約束ですわよ!?」
「覚えてたらな?」
・・・直ぐに忘れよう。
とりあえずステラー王国の事務処理をリーリアに押し付けて事務所を出る。事務所前は巨大な調理場と化してた・・・うちの屋敷の管理はしなくてよいので炊き出しを命じたのだ。だがこのステーション、いやフルジア王国には総人口の2倍の移民を養える食料供給が無い、こうなる事を見越して準備はしてきたが全然間に合っていないのが現状なのだ。あとは何処までバーボン星系で養えるか・・・だ、そう言えばバーボン星系を国にするのに丁度良い人材が居る。
エルゼ シュニッツェル・・・アグランダー王国の第一王女である。
アグランダー王国はいわゆる帝国の植民地国家、国扱いだがあくまでも領主のような立ち位置の国、帝国の手駒の一つである。アインザック大佐はいわゆる王子だった訳だが、前線に近い国だったので先は長くないと徴兵がかかった、あるいは領地を守る為自ら志願したである。それは期待の若き大物と呼ばれたりする訳である・・・領地を失った今、彼女はただの平民となるのだがその手の育ちならバーボン星系の統治を任せても良いだろう。
スーパーカー・・・は反感を買いそうなのでもっと価格帯の安いスポーツカーでB区画のVIP格納庫まで向かう、この区画も炊き出し拠点だ。ここはズァパリ民国軍が働いている。迎賓館へ行けば、ツェルナとサシリアが居た、どうやら客室にこもりっぱなしらしい。
「ご飯も食べてくれない」
「・・・だからなんでカップラーメンなんだ」
「いつでも食べられると思って・・・」
客室の前には未開封のカップラーメンとお湯の入ったケトルが置いてある。
「入るぞ」
「お父様!いきなりすぎます!」
「そーそー!女の子の部屋だよ!?」
ツェルナとサシリアが止めに入るがドアを開けてしまっている、部屋は暗い、エルゼは屋根付きの大きなベッドにうずくまっていた。
エルゼ シュニッツェル、年齢は17歳、ツェルナ達より断然年上だ。
「改めて自己紹介させて貰うが、俺はフルジア王国の商人、ファルマン ネドリーだ、このステーションはエルムンドドエルと言う医学研究者のステーションで、ネドリー運輸が維持管理をしているステーションだ、今まで帝国の難民を受け入れてきたが、そもそもフルジア王国に惑星一個分の難民を受け入れられるキャパシティが無い、それはこのステーションにも言える、悪いがうちもそこまで特別扱いが出来る余裕がない」
「えーっ!追い出しちゃうの!?」
「もう少し期限を用意するべきだと思います!!ズァパリ民国からも支援金を出します!!」
「まだ話は終わっちゃいないぞ?ツェルナ、サシリア」
いきなりの事で慌てるツェルナとサシリア、しかしズァパリ民国から支援金を貰う訳にはいかない、そもそもそれはルシャーサ女王陛下が決断を下す事である。
「・・・話を続けよう、正直に言えばアグランダー王国の難民はほとんど出て行って貰わなければならない、だが何処へという話になる。実は我々は一つ統治下に置いている星系がある、もう既にアグランダー王国の国民のごく少数がこの星系に移住している、君にはこの地を統治してもらいたいと思う」
「滅んだ国の娘に・・・そんな・・・」
「無理強いはしたくないが、一般市民になれば今までのような生活は出来ないと思え、そんなドレスも二度と着られない、迎えも無ければ特別扱いもされない、大きな屋敷にも住めなければ、貴族料理が・・・」
カップラーメンをエルゼの目の前に投げる。
「・・・毎日これに変わると思え、覚悟が決まったらそこの2人に言うと良い、片方はズァパリ民国ランドラー王家のサシリア王女殿下、もう片方はズァパリ民国ファランス領領主、ファランス卿のツェルナ辺境伯だ、君より年下だが、大使館業務や領地経営などでは君の先輩となるだろう、それに君の父上の配下もある程度は存命だ、何だったら君の兄が信頼していた配下を君の配下に入れても良い」
・・・直ぐに返事が出来る訳は無いか・・・。
エルゼはカップラーメンを抱えてさらにうずくまった。それを見て部屋を後にする。
「パパ!言い過ぎなんじゃない!?」
「あれくらい言っておかないと一生あのままだ、うちは無職の元お姫様を養える資金が無い」
「パパがあの星系統治しているんじゃないの!?」
「アホ!うちはただの物流会社だ!国を作っちまったら色々厄介なんだよ!!」
「でも、税金はかからないし軍隊も動かし放題、資源も使い放題、いっそ建国なされては?もう既に銀河議会では国として認められているのでしょう?後は国家の名前を決めるだけです、銀河議会が決めた仮名称のアズラント新生帝国でも良いのでは?」
「国名はどうだって良いんだが、俺は何で商船会社を目指したと思う?フルジア王国の物流をより良くする為にこの会社を立ち上げたんだ!他国籍になればそれこそサリマンと同じなんだよ!」
「でも、お父様はフルジア王国の物流を大きく改善なされました、お父様の会社無しでもフルジア王国の物流は半数が自国で賄えます、それに、退くおつもりが無ければアーバン船団商事などと同じく外国籍として今後もお付き合い出来るかと思います、もしくはフルジア王国籍として半数を残してしまえば良いかと思います、そう、ノースソルドック商事様のように支店があれば良いのです」
「相変わらず大したもんだよ、サシリア王女殿下は・・・」
「馬鹿にしているんですか?お父様?」
ひとまずサシリアの頭を撫でる、溶けるように幸せそうな顔をする。とはいえ、ルーガと約束がある、フルジア王国籍で無くなれば、うちの船は面倒を見なくなる・・・流石にバーボン星系までついてきてくれないはずだ。
それから一週間、状況は大して変わっていないが、C地区の居住区画が一つ完成したので高速道路に溢れた難民はC地区の更地に難民キャンプを移した。来週には第二区画、さらに次の週には第三区画が完成する。そして中型船の整備ドックがその下に移設され、中央ステーションはさらに2区画居住区画を下に伸ばす事となる。
一方でオロラ星系側の防衛ステーションは完成、そのドローンはバーボン星系に送られ食品加工系のプラントの建造加速に充てられた。リストーン星系のリサイクルステーションのキャパシティも余裕が出来、セントラル・プロムナードはさらに工期を短縮出来るようになるだろう。
スクラップ処理は海賊の食卓の半分の宙域清掃が完了、しかしもう半分の密度が非常に濃い、もう難破船の調達はオロラ星系、もしくはセルルド星系からの割合も増えてくるだろう、しかし修理しなければならない難破船の在庫はまだおおよそ25億隻もある、早々尽きる事が無いだろう。
しかし皇国軍・・・。
ドロイド艦隊は気まぐれ侵略しかしない。ドロイド艦隊の弱体化を急ぐが余り、艦隊をバーボン星系に送ってしまったのが敗因だった。ドロイド艦隊がオロラ星系に現れ、フルジア王国の防衛の要である防衛要塞を攻撃、ハンマー・オブ・ゴッドで大損害を食らったフルジア王国軍は軍備を回復しきれていないので易々と要塞を破壊されてしまったのだ。後は総崩れ、撤退戦は支援したが前線はリストーン星系へ、フルジア王国の雪辱はうちの要塞ステーションが挽回したものの恐れていた事件が発生してしまった。
「・・・そもそもあって無いような物だったが・・・」
「よっ!旦那!ここは晴れて旦那の領土だぜ?」
包帯をしているオルドネスク提督が目の前に居る・・・この人が居るという事はオレット巡査部長も居ると言う事、星系の領有の条件は、母星がある、もしくは軍事ステーションがある、もしくは人口10万人の国営コロニーがある事が条件、リストーン星系にも国営コロニーはある、ただし星系警察のコロニーだけ、犯罪者は人口に含まれないので自動的に仮称、アズラント新生帝国の領土となってしまったのである。
・・・では、なぜフルジア王国はリストーン星系の領有権を持っていたのか、厳密には放棄していた状態だったが、オロラ星系に防衛要塞があったからである。領有権を持つ同一国家の領地に挟まれていればそこは自動的にその国家の領地と認める特例がある、これがあったからフルジア王国の領土で居られたのだと言う。
「・・・あーもしかして、俺らは自動的にフルジア王国籍から外れるって事か?」
「そう言う事になる・・・世話になったな、これからは隣国として共に戦おう」
オルドネスク提督は深く溜息をつく。
「・・・なぁ、ルーガ」
「・・・な?俺が言った通り、ビックになった奴は他の星系に行くんだよ・・・だが、今回ばかりは前代未聞にも程がある」
「そもそも、フルジア王国に見切りを付けた覚えが無い」
「・・・分かってるさ、俺の約束はお前がビックになって他の星系に出ていくまでだったが今回は追い出されたに等しい、リストーン星系に首都を置くって言うなら今まで通りついていくぜ?俺だってあんな立派な要塞が僅か30分で落ちるとは思ってなかったんだ」
「申し訳ない」
「と、言いつつ、これでうちの軍隊の後ろに隠れられると安心しているだろ?とは言え、これで兵器開発も出来るし、ステラー王国艦も導入出来る・・・製造ライセンスはうちの会社が持ってるんだ、ようやくあのセレストスピアー級が本領発揮出来るってもんだぜ」
「とっつぁんの会社も帝国の有能人材結構居るからなぁ・・・」
「その気になれば戦艦丸々自力で作れちまう奴らがゴロゴロ居るんだ、とりあえずは仮称、アズラント新生帝国の為なら何だってするぞ?皇帝陛下?」
「・・・どうしてこうなった」
「あの防衛要塞も帝国のお下がりだったからな、仕方あるまい・・・我々の代わりに皇国軍から取り返してくれると助かる、勿論領土は貴殿の物だ・・・そう言う訳で今後とも我がフルジア王国と良き関係を気づいていきたい」
「既に最悪ですよ・・・提督・・・何してくれてるんですか・・・」
ひとまずはオルドネスク提督と握手する、リストーン星系の住人はフルジア国民では無くなるようだ、もとより経済が完全に別物、既に通貨は銀河共通の通貨システムを採用しているので通貨が変わるとかも無い、税金関係もフルジア王国がうちに徴収を委託していたシステムがそのまま流用されるだけだ。
そのような事件があった後、ツェルナから呼び出しがあったので迎賓館へ赴く。
「・・・アズランド新生帝国の領主になるって」
「そりゃよかった・・・今しがたリストーン星系がアズランド新生帝国の支配下に変わっちまったからな・・・駄目ならステラー王国に投げようかと思ってた」
「ステラー王国の国力じゃまだ他の星系の統治は出来ないよ!」
そう言いながらツェルナは応接室に案内してくれる。
「お久しぶりです・・・皇帝陛下」
「・・・皇帝陛下になるのは君だ・・・そうでいいんだな?」
「アグランダー王国を守る為、兄は帝国軍に志願しました、しかし兄が戦死した以上、アグランダー王国は私が統治せねばなりませんでした、国が違えど、統治する国民は同じ、生き延びた国民の為にも私が上に立ちたく思います」
「・・・その言葉を待っておりました、女帝陛下」
ツェルナと一緒に膝をついて頭を下げる。
「いえ、貴方が皇帝になるべきです、私は皇后となります、共に良い国を作りましょう」
「・・・え?」
エルゼは目の前に座り込んでキスをしてくる、ツェルナがミェッ!?と変な声を上げた。
「・・・その・・・兄が薦めていたスギヤマ様は既にご婚姻なされているとお聞きしましたので」
「あー・・・そう言えば、俺も・・・」
ボヌアをスギヤマ大佐に押し付けなければ皇帝と言う役職をスギヤマ大佐に押し付ける事が出来たかも知れない。
ー銀河の常識ー
・アグランダー王国
レミア星系を統治するオヴィルツィッヒ帝国の植民地国家の一つ、かつて存在したイギリス、フランス、ドイツの3カ国によって開拓された人類史でも比較的初期の開拓星系で、エマンクリシット皇国による侵略戦争時はジャンプゲートが存在しなかった為人類が統治する最果ての地ではあったが、地球消滅に伴う混乱と停戦による銀河共同体加盟宣言により人類で不足している物資の支援の名目でシーモア共和国がジャンプゲートを整備し、支援物資の荷下ろしの要所となった。これによりシーモア共和国との交易は一カ月から半日に大幅に短縮され、その後、ジャンプゲート技術をシーモア共和国から学んだ人類はジャンプゲートを領有星系に張り巡らし、人類の領土の主要航路の一つとなった。
現在はほとんどの貨物はオヴィルツィッヒ帝国ビーア星系まで向かう為交易の拠点としての役目を終えてはいるが、異星人から人類を守る防衛の要所として現在でも非常に重要な星系である。




