荒地のその先へ
未知の惑星には様々な発見があるのかもしれない。
ー惑星リズ建国記念博物館の収蔵品ー
・VZR-1000H
フルジア王国エルーラ社製の大型客船または大型クルーザー。フルジア王国にとっては富を象徴する船ではあるが、オヴィルツィッヒ帝国では成金ご用達、もしくは客船として格安星間客船として一定数運用されている。
需要が限定的な為、あまり売上に伸び悩む機種で作れば作る程大赤字を叩き出す船でもあり、エルーラ社にとっての最大の負債でもある。
・メソポタニア級フリーゲート
エマンクリシット皇国プリズムミリタリー社製のフリーゲート艦、ストーム級の前の世代であるサヴェージ級よりもさらに古い世代の船であり、現時点で運用する国はかつてエマンクリシット皇国によって生み出された1カ国しか存在しない。
ドロイド艦隊で運用されているメソポタニア級は居住設備を必要としない特別仕様でほとんどが制御部品か空洞を占める。
直線が得意で旋回性能が悪いのは現在のストーム級に通ずる所がある。
目の前にはケーキが置かれている。誰の誕生日だ?俺では無い。
「社長!おめでとうございます!」
「・・・シルバーロッドとエルーラ社、アーバン船団商事とジェリーガン船団運輸が援助してくれたおかげだけれどな?フルジア王国政府がうちの船の税金を全額免除にしてくれた事も大きい」
・・・まだ大赤字だが倒産はひとまず免れた、目の前のケーキはそのお祝いと言う訳である。マイラ達が作ってくれたらしく、ツェルナとサシリアは直ぐにでも食べたそうによだれを垂らしており、ケーキをミヴェルマンが切り分けていた。
飾りも無い、殺風景な中型交易ドックの事務所、ネドリー運輸の存続記念パーティだ。年末年始は警備事業以外は一斉休業、普段見ない顔も皆リストーン星系に戻ってきているが、動かしていた船の数に改めて驚く・・・もう貨物船は1400隻を越えていた。
「ファルマンちゃん、はい」
「どうも」
ケーキが主要メンバーに行き届いた所でルーガが乾杯の音頭を取る。
「今年は皆よく頑張ってくれた!来年のネドリー運輸の存続を願って乾杯!」
「乾杯!」
ひとまずそれに合わせてグラスを持ち上げておく、本来は俺がどうこう言うべきだが、とにかく酒が飲みたいルーガ陣営の幹部達、そしてその料理を用意したズァパリ民国陣営のツェルナとサシリアのお世話係とミヴェルマン、テティア女王陛下がここで盛り上がっているだけで、肝心のネドリー運輸側は特に何も無し、警備事業その他の総括と言っても良いリユン少佐やネドリー運輸本社の幹部なんて来ない、ちなみにルシャーサ女王陛下はズァパリ民国の年末年始の式典がある為居ない。
ひとまず炭酸飲料を一口、そしてタブレット端末に向き合う・・・メール処理だ。
・・・未だ航路を塞いでいる金属スクラップのリサイクルで精製された建材、大部分はエルーラ社の造船資材にしているが供給が多すぎる。
物流会社なのに金属資源の生産活動を何故か始めている、そうでもしないとこの星系で身動きが取れない、そうして作られた金属資源はコロニー建造に仕方なく充てており、大型交易ステーションの真横に特大コロニーを建築ドローンの数の暴力と運用上限を突破する為のセクション工法により普通は5年掛かる代物をまさかの1カ月ちょっとで建設した、4区画あるうちの1区画しか使っていないが、このメールは資材置き場にしている残り3区画が満杯を迎えてしまいそうと言うメールである。ちなみにこの資材置き場と化しているコロニーで唯一稼働している1区画はズァパリ民国政府が買った区画、本来ランザールに作るべきズァパリ民国大使館が何故かここに出来た。理由はある、子供を宇宙に出すのはあまりよろしくない、そう言う子供達が住む場所がこのコロニーの1区画である為である。ランザール自体にズァパリ民国人は住んでいない為、リストーン星系が一番適切だったと言う訳だ。そしてテティア女王陛下がリストーン星系に居るのはこの区画を治めている大使だからである。これに伴い、アーバン船団商事の本社ビルや、ある程度大きくなったズァパリ民国人の子供、その養育施設類も移転した。区画もほとんど宿泊施設が中心で港湾回りはズァパリ民国人で行きかうようになったのだ。
・・・しかしツェルナとサシリアは研究ステーションに非常に良く居るのは何故か。
彼女らは住み慣れた研究ステーションの方が楽しいらしく、うちの人間以外一切使わない直通シャトルで毎日渡って来るようだ。流石にお世話係同伴であるが・・・。
・・・このケーキ、美味い。
メールを確認しながらケーキを一口食べた。ズァパリ民国人が手伝ったとはいえ、かなりの腕前、味も良い。意外と何でもそつなくこなすマイラ、兄の為に家事もしていたのだから当然だろう。
そんなマイラも今や大型貨物船乗り、先日、エルーラ社に発注した特注仕様のER-3000Cの船長に昇格させたのだ。金も無いのにどうやって?材料と部品全て持ち込みでほぼ船体だけを作って貰ったのだ。その為新造時からほぼ新品の中古セブンスターエンジンを搭載、ジェネレーターユニットも帝国製の軍用高性能ジェネレーター、おまけに提携価格でさらにお安く、正規の価格の3分の1に抑えられたのだ。しかも純正より3倍も高速、これに味を占めて、うちの船は皆これに置き換えを計画している。大部分の中古船は売る方針だ、買い手ならいくらでもある。増やしていっても良いのだが、他もビックになってもらわなければ困るからだ・・・それに物流に従事している人達にも少しは良い船に乗せたい気持ちもある。ちなみにマイラの乗っていたヴァルカンは知らない間に売り飛ばされていたランスロットのポジションに収まった。
新たなメールが届いた、リユン少佐からだ・・・。
「ツェルナ、残りはやる」
「やったぁ!」
食べかけのケーキをツェルナに、炭酸飲料をサシリアにあげて事務所を出る。そして小型機ドックからE-900Mを乗り出して大型交易ステーションの軍用ドックに直接乗りつける。リユン少佐の所へ行けばちょっとまずい事になっていた。
「・・・マーズラ星系に飛んだ迷子は見つかったか?」
「それが、だいぶ奥深くに居るようで・・・カトロニコフ艦隊が敵造船施設破壊で引き付けているものの、回収に向かったオーエンスが身動き取れないようです、CP9惑星の軌道上にある造船施設に居ます」
「何で敵施設に!?」
「敵の施設を盾に籠城しているようです、ドーベック艦隊があと1時間で到着します」
「まったく、なにをどうしたらジャンプゲートを間違えるんだか・・・」
「・・・同感であります」
リユン少佐と溜息をつきながらマーズラ星系の戦況をリアルタイムで映したモニターを眺める・・・メソポタニア級自体の数はそこまで多くは無い・・・リストーン星系にこぼれ出てくるのが一定数居るおかげだろう。
・・・まったく!どうしてこんな目に!
リーサは溜息をつきながら造船施設の死角、造船中のメソポタニア級の横に貼り付けてあるオーエンスを眺める。どの道あの船はもう駄目だ、そしてここは造船設備しか無く対空兵装が無いエリア、適当な造船ドローンにしがみついて船体部品倉庫へ他の海兵と一緒に侵入、酸素があるとは思えないが1時間以内に対空兵装を無効化し、ドッキングベイに入れれば籠城が出来る。
ひとまず倉庫の造船ドローン充電システムに居る造船施設のドローンをハッキングしてみる。
「うん、ツメが甘い、酷いセキュリティ」
ヤシマ中尉は拍子抜けした顔で端末の画面を見る。ステーションの建築図面が出てきた、これは恐らく建築ドローンが持っている図面だろう。建築ドローンと造船ドローンは基本的に同じ物と言っていい、ステーション建築後に建築ドローンは造船ドローンに姿を変えて使い潰されるのが通例でる。
「中央コントロール室があるのね、造船からバトルドロイド製造、施設防衛まで一括管理するメインコンピューターがある」
「ですが、流石にこれからはハッキング出来ません」
「行くしか無いでしょ?」
リーサはビームライフルを構える。図面通りに中央コントロール室を目指すが通路はバトルドロイドが警備で巡回している。しかも見つかっている。撃ち合いをしながら目指す他無い。
「・・・数が多い!」
「この先にバトルドロイド工場があります!」
「本当にここ通らなきゃ駄目!?」
「道がありません!」
「・・・クソっ!」
正直、人の動線を考慮していない設計、プラントが全部繋がっている。自動化前提の工場で、精製品が最優先で動く構造だ。ある程度行くと半導体関係のプラントからバトルドロイド工場へ分岐するルートに行く、完成したバトルドロイドは船員と施設警備に分かれるようなので施設警備に分かれるバトルドロイドのルートを辿って中央コントロール室に向かう必要がある。
ひとまず半導体の搬入レーンを破壊し、材料の元を立つ、これで出来るのは動かない金属ゴミ、そうなれば後は数を減らしていけば不良品だらけになってレーンが詰まる・・・ただ、爆発も怖いのでその先も破壊していく必要がありそうだ。
急いで電源ケーブルを破壊したりと色々と止めながら走ればようやくたどり着いた、ここから警備用バトルドロイドが分岐していく、当然警備だらけ、だが頭をやってしまえば狙いがつけられなくなりその後の接近しての破壊も可能となる、頭を壊して、装甲をこじ開け内部を破壊する。中々の運動量、そろそろ酸素残量も厳しい。
「着いた!急いで!」
「了解」
ヤシマ中尉は端末を中央コントロール室のサーバーに繋げる、目標は防衛システムのシャットダウンだ。
「終わりました!」
「パルサー大尉にドッキングベイまでオーエンスを持ってこさせるよう言って!」
「了解!」
防衛システムをシャットダウンすれば防衛用のバトルドロイドも止まる。ただし防衛用だけ、船員向けバトルドロイドは停止しない。幸いドッキングベイはその保管庫の方では無い。
全力でオーエンスへ逃げ込む。ひとまずは酸素の補給だ、ギリギリ持ったと言った所だろう。
「奴らも手を出せはしませんが・・・」
「とりあえずカードリッジの補充をしてから・・・そこからどうするか」
・・・エンジンは一発しか残っていない、修理は可能だがここにあるエンジンは前時代的な物、性能が悪い。とは言え、外を囲んでいるメソポタニア級も手が出せずに沈黙、防衛目標を攻撃する事になる為フリーズしているか、落とさなかった防衛艦隊の行動システムにより抑制が働いているのだろう。
「やっぱりおかしい・・・」
しかしヤシマ中尉がここまで来るまでずっとタブレット端末を見ながら考え事をしている、いい加減そろそろ聞いてみるべきだろう。
「何が?」
「これです」
ヤシマ中尉は先ほどの造船ドローンから抜き出した図面を見せてくる。
「このドッキングベイや一部区画には酸素ジェネレーターが装備されています」
「何で?必要ないのに?」
「恐らく製造の工程で酸素が必要なのでしょう・・・ですが、図面通りであれば・・・」
自動化された各種プラントには確かにそんな物は無い、しかし一部の区画にはある。
これはもしや・・・?
「設計上では300年前の物です、プラントは200年前、明らかに既成モジュールの組み合わせで建築されています」
「・・・うちの初期ステーションもそうだった、基本的にモジュールの組み合わせ、つまりそう言う事のようね」
「バトルドロイドの侵攻を止める為に隔壁閉鎖後、ドッキングベイのジェネレーターの電源も付けましたが・・・果たして本当にあるのかどうか・・・」
「調査は必要ね、とは言え、船員用バトルドロイドを止める手段があるのかどうか・・・」
「もう一度コントロール室に行く必要はあります」
「準備を始めて」
「了解」
「で、外の状況は?」
ヤシマ中尉を解放して今度はパルサー大尉の所へ、レーダーコンソールは屋内なので機能していないが、入港前のデータが残っている。
「間もなくドーベック艦隊が到着予定です」
「・・・それまでに、バトルドロイドを片付けないといけないようね?」
「恐らく外は片付けてくれます、しかし、このままでは我々も木っ端みじん・・・」
「・・・まったく、どうしてジャンプゲートを間違えるのか」
「飲酒による誤操作、釈明の余地もありませんが・・・」
リーサは困り果てるパルサー大尉を横目に艦橋を後にする。海兵隊から補充された酸素カードリッジを受け取りヘルメット装着、ライフルを受け取って再び船外へ、バトルドロイドの姿は無いが、カメラ映像からも、バトルドロイドの製造ラインで火災が発生している様子、詰まらせて大惨事と言う訳だ。
「消火装置は?」
「そんな物ありません!」
「このままじゃステーションごと燃えるわよ?」
・・・と言うよりなんでそんな基本的なシステムが存在しない?
不必要な物はあるのに肝心な物が無い、ちょっと良く分からないが、どちらであっても目の前の状況はどうにもできない。
「方法は・・・」
頭をかきむしる動作をしようとするヤシマ中尉、しかしヘルメットがそうはさせてくれない。
「中佐!モジュール切り離しはいかがでしょう?」
海兵隊の一人がそう言ってくる。良い案だ、モジュールタイプの民間ステーションに限っては消化困難時はモジュールパージによる延焼拡大阻止という方法がある・・・特に港湾は火災が多い為切り離し可能な構造にする事が大抵の国では法令で義務付けられており、一体型コロニーステーションだろうとパージ失敗時でも外から安全に船舶で引っ張れるシステムがある。この手に良く使われるのは警察船もしくは軍艦、なので軍人は必ずこの訓練を受ける、海兵はモジュール切り離しシステムの操作、船員は牽引プロセスだ、知らない訳じゃない。
「幸いにも作りは一体型ではありません、モジュール切り離しが可能です、しかもこの区画、造船ドックとほぼ近いです、ここには完成が近いメソポタニア級があります」
「・・・メソポタニア級のハッキングはここで出来る?」
「出来ます!現状指揮官が自動割り当てされていないので遠隔操作が可能です!」
「了解、海兵はメソポタニア級にステーションモジュールを固定して!目の前の惑星に落とすわよ!」
「了解!」
海兵隊員は走っていく。
「・・・所でこのステーションは何処まで耐えられる?」
「500度前後と思われます、大気圏に放り込めば燃え尽きるはずですし、既に内部で燃えています・・・対象区画の切り離しシーケンスを実行、メソポタニア級のハッキングを急ぎます」
「お願い」
ヤシマ中尉は大急ぎで膨大なタスクをこなしていく、30分もすれば建造中のメソポタニア級3隻がステーションモジュールにガチガチに固定出来た通信が入る。
「海兵隊員は全員退避!やって!」
「了解!」
ステーション全体がメキメキ音をたてながら揺れる、バトルドロイドを乗せた区画が目の前の惑星に向かって進んでいく、1時間もすれば区画が真っ赤な光と共に砕け散る様子が見られるとは思うが、その頃にはドーベック大佐の顔が目の前にあった。
「到達こそ出来たが・・・」
「これはもはや戦争です」
一方的な侵略戦争を仕掛けていると言っていい。しかし、機械の手からこの星系を奪取するだけ、しかも帝国軍の現行艦の敵では無いと来た。
「この星系をフルジア王国領にするのは簡単でしょう、しかし皇国や帝国がどう動くか・・・」
「とは言え、現状、この星系の金属資源はほとんど皇国軍のポンコツが全部船に替えてしまったのでしょう?こんな無価値な田舎、欲しがる国なんてあるのかしら?」
「戦争の種にするくらいなら、我々が領土主張すべきか、扱いとしては皇国の飛び地のようです、その証拠に皇国軍が艦隊をこちらに向けているようですな?領土主張など簡単、なんらかのステーションを建設するだけ・・・幸いこのステーションの支配権は我々の手の中、他の皇国軍のステーションはカトロニコフ艦隊が間もなく殲滅でしょう、このステーションから他のステーションの座標も全て割り出せました」
「・・・問題は隣のバーボン星系も同様の状態になっている事ね、この星系の資源がスペースデプリだけになりましょう」
「さようで・・・ひとまずはこのステーションは我々ネドリー運輸の登録に変わった」
「我々も、なんでもありですか・・・そうですか・・・」
「海兵に始まり、艦隊指令、整備士、パイロット、衛生兵までなんでも揃っております。特殊工作兵も居て当たり前ですな・・・我らの司令官殿はたぐいまれなる強運の持ち主だ」
「・・・つくづくそう思います」
カトロニコフ艦隊から通信だ、全てのステーションを撃破、暫定の支配権はネドリー運輸の物となった。
「終わりましたな」
「それにしても、あの星は何?」
「マーズラ星系CP9惑星、調べた所、地下から有毒なガスを放出している惑星ですな?毒ガスを排除すれば居住可能ではありますが、昔のデータと異なる特徴・・・一面岩や砂で覆われた星と言われていますが、海もあり雲もある、陸地は緑に覆われている・・・皇国がテラフォーミングした星では無いはずですが・・・何かがおかしい、調査はすべきかと思われますな」
「とうとう我々は母星も手に入れるの?」
「・・・処理に困る建材の使い道にピッタリでしょう?」
「それもそれで困っているけれども・・・」
二人は頭を抱えつつ、カトロニコフ艦隊と合流する。カトロニコフ艦隊も損傷が激しく、どの道ジャンプゲートを越えるには修理が必要、無人で元から壊れていれば別に気にせず飛ばせるが、船員も居るならば別の話・・・システムや船員に悪影響無く越えられるのは中破の船体だけだ。幸いにもこのステーションには造船ドローンがある。造船ドックを埋めている作りかけのメソポタニア級をどかせば修理も容易だろう。だがその前に迷路のようなこのステーションを少し整理する事を始めなければいけない。
「造船ドローンは建築ドローンと同じなのは分かるから、このいちいち造船ドックに行く為に宇宙へでなければならないステーションを整備する所から始めましょう」
「プリセットモジュールでは居住区画まで作れる・・・民生品をそのまま転用していたようですな?」
「その通り・・・だがその図面データには存在してはいけない物もある」
「これは・・・セルルド星系にあった皇国軍の要塞ステーションですな?」
「そう、流石に軍用ステーション、装甲などは特殊な建材を使っているから全て建造するのは不可能、でもこれを建造すれば」
「なるほど、我々が20年前に破壊した制御装置も復元出来る可能性があると・・・」
「ついでに資源の無駄遣いも出来る・・・大部分の設備を省けば建築完了には1年程かしら・・・実際は30年かけたらしい」
「・・・しかし、1年かけて建造している間に通常兵器で決着がついてしまうのでは?」
「我々元帝国軍人も無尽蔵にリストーン星系から回収出来なくなった、再就職先が出来ている、船もそう、フリーゲート以外は王国軍にほぼ納品、ルーガさんがある程度会社向けに残してくれているとはいえ、軍拡ももうほとんど停滞している・・・おまけに隣の星系も酷い有様よ、我々も巨大な要塞ステーションを持つべき」
「それはごもっとも・・・しかし、勝手に建築を進めては・・・」
「近しい国には後で正統な理由を付けて説明すればいい・・・他の国と戦争するつもりで建築する訳じゃない、シルバーロッド整備工場名義にでもしておくと良いわ」
「確かに・・・準備を進めましょう」
ひとまず、オーエンスで助けた迷子は無事なZB8型フリーゲートでリストーン星系に帰した。翌日からは、ER-2000B、そしてサラマンダー級航空母艦が救援ついでに大量の建材を抱えてやって来た。
「まーたヤベー物を奪ったな?」
「取らなければ私の命も無いもの・・・おまけにこの宙域の暫定所有権はうちの物」
「お前さえ良ければリーサちゃん、領主になって勝手に新生帝国でも建国してくれって言ってたぞ?」
「それは駄目、ネドリー運輸の名じゃなければ確実に領有権は取れない・・・王国でも良いけれど王国領にするならどうせ帝国と取り合いになるでしょう?帝国が絡めば皇国も黙っては居ない、リストーン星系も戦場になる、それを見越して共和国とかも領有権を認めようとしないはず」
「だーよなぁ?手続きはしてる、ズァパリ民国とシーモア共和国はうちの会社が領有する事を望んでいる。ただし条件付きだ、薬草農園ステーションを建造する事だ、まぁ簡単だろ?」
ルーガはドッキングベイに何故かある備え付けベンチで溜息をつく。何で座る生き物が居ないのにこんな物まで作ってある?既製品の設計モジュールだからだ。巨人族用なので座面が高い。
「それどころか、目の前の惑星で作れる可能性があるわ?」
「それもそうだな?クソトカゲも調査に行きたくてウズウズしてるぞ?あの星自体も元々は荒廃した毒ガスまみれの固形惑星だったはずだ・・・まぁそれは時期にだが、フルジア王国は領土主張しない方針だ、トライアド民主共和国はうちに多大な恩があるおかげか、何故か協力的でもある。否定的なのは帝国と皇国くらいだな?他の国も領土主張しようにも領地から離れ過ぎている。勝ちだぜ?ひとまず、この宙域の管理者を連れてきた。エリー リリック副ステーション長と民間警察やら行政系の総括だ、軍事系はマヤ アサヒナ少将・・・リユン少佐の右腕だぜ?うちの会社のエリート連中だ」
「研究ステーションはどうするの!?」
「それぞれの副行政官を任命する、昇進くらいあったって良いだろ?・・・ところで俺はいつまであのステーションの管理者を兼任していなきゃいけない?副行政官は誰を充てても文句言わないのに管理者だけはガン何替える事を許さないんだ、あのクソトカゲ!!」
「営業回りで貴方ほど信頼出来る人は居ないからじゃないかしら?」
「俺は整備士だぞ?」
「実際、うちの会社もほとんど貴方の顔で仕事を取ってきている節がある・・・諦めなさい?実際の業務量的には飾りに近いんだし」
「・・・何処が・・・飾りなんだよ・・・」
ルーガはがっくり肩を落とし床を見つめる。
「・・・で、このステーションはどう改築するんだ?大量の建材が居るとは言っていたが?」
「これを建造する為よ、整備ドックとして改築しないと後々面倒だからそこはシルバーロッドでなんとかして」
リーサはタブレット端末をルーガに渡す。
「おいおい・・・皇国軍の特型要塞ステーションじゃないか!?材料は・・・いくらでもあるけれどもよ?」
「バーボン星系もマーズラ星系と同じ状況よ、いつ溢れてくるか分からない」
「だからって・・・いや、このステーションのモジュールをリサイクルすればいけるぞ?装甲パネルはどうしようも無いが・・・この年式のステーションはモジュール製法だ、外部の装甲無しなら半年あればいけるな?」
「そんな短期で出来るの?」
「だって、残りは兵舎と特型ドッキングベイ、司令部ユニットを建造するだけだ、造船資材モジュールなんて要らないだろ?居住区は後付けでいい、防空兵器もあまり物を持ってきて適当に取り付ければ良い、適当に加工した建材を溶鉱炉で再加工すればあっという間だ、溶鉱炉を大量に作ればいいだけだし、溶鉱炉自体も組み立てれば即完成する物もある、防衛自体は有り余っている皇国軍艦を使おう、保管区域がまたすっきりするな?」
「その船の船員はどこから・・・」
「セルルド星系からまた来る予定だ、それに・・・星系警察の方針も来月から変わる、海賊の中でも初犯で未遂は船舶の没収と1週間の留置だそうだ、牢屋に入れたくても入れられなかったうちで預かってる若者を入れなくても良くなるんだから丁度良いだろ?うちでポンコツ貨物船をタダ同然で買えると聞いて更生する若者も大半だしな?」
「ああ、そう」
「とりあえず、CP9惑星の調査隊は戻ってから編成する、オーエンスも持って帰るぞ?小さな船長が元気ないんだ、サラマンダー級の甲板に乗っけてくれ」
「了解」
ルーガは立ち上がって大型艦ドッキング桟橋まで行く、この桟橋も標準装備らしいが、大型船が一切ない、自動採掘船は中型らしく無人運航している一切害の無い船舶である。言う事を聞くので破壊はしていないが、採掘してくる資源はバケツ一杯程度しかもう採掘してきて居ない様子だ。
・・・しかし、なぜCP9惑星がこんなに変わり果てているのか?
それは2週間後の調査で分かった。
「酸素はある、気圧も問題なし、毒ガスも検出されない」
「明らかにこれは人工物だぞ?」
「ああ、しかも人間属の物だ・・・さては帝国がテラフォーミングしてたな?」
ひとまずヘルメットを外してルーガと会話する。目の前には草木に覆われた巨大な空港のような跡地、地面はコンクリート、サラマンダー級が降り立っても強度自体はまだある。
ひとまずセルースと名前が付いたネドリー運輸所有の惑星、正確には行政施設を建築すれば正式に所有権が付与される。要するに都市を築けと言う事だがその基礎はここにある。そして都市を築くのも我々の得意分野である・・・面倒な連中が来たので素早い行動が必要になった。
「・・・サリマンの貨物船が海賊を引き連れてなんのようだ?」
「・・・さぁな?」
ひとまず分かった事、ここは帝国が開発していた植民地惑星だった事だ。残されていた物から察するに皇国軍のテラフォーミング処理部隊によって破壊されたのだろう、しかしテラフォーミング計画自体は終盤だった様子、草木は十分自生し、テラフォーミングドローン無しでも十分居住可能な惑星になったようだ。それを帝国が手放す訳が無いと言う事である。しかしこの場所以外に手っ取り早く都市を築く事が出来る場所は無い。だからうちのプリズムライオッド12はサリマン運輸のER-3000Cに囲まれている。海賊達はうちの海兵とにらめっこ、この船を攻撃してみろ、衛星上にあるうちの巡視船団が黙っていない、しかしうちも違法性が無い民間企業に手を出す事も出来ない。
「奴らはうちをここから追い出したいようだ」
「あーあー、心配するな、AT3型空母にもっと大規模な行政庁舎モジュールと居住モジュールを搭載して明後日には住人と一緒に大気圏突入だ、コンテナハウスで占領出来ると思うなよ?備え付けの建物が必要なんだ」
「いつの間に」
「うちにはどれだけ建築ドローンがあると思ってる?ビルなんか1日あれば建てられるんだぞ?・・・後は銀河議会の調査委員しだいだが・・・ひとまずは調査だ」
「問題があればそもそも住めた物じゃないからな?」
「そう言う事だ・・・つーわけで、乗れ」
ルーガがピックアップトラックを指さす、乗り込めばサンバイザーやシートにビニールが付いたまま、エルーラの新車だ・・・流石に車くらいは新車で買える。オフロード車両は地上でしか意味が無いので地上仕様、大排気量のディーゼルエンジンと4輪駆動で圧倒的な走破性能を実現、コロニー用の電気自動車では到底叶わないモンスターマシンだ。
「これが内燃機関の車か・・・クセになるぜ」
「電気自動車ほど起伏の多い地上じゃ役に立たないからな?充電場所も限られるし環境変化にめっぽう弱い・・・で、アテはあるのか?」
「ここからしばらく行った所にドーム状の遺跡があるんだ、それが何かを知りたい」
ルーガはそう言いながら車を走らせる、ちょっと空港から出ればジャングル、調査隊の他の車も同じ車で10台続く、新車は一瞬で泥まみれになるが、元々道があったらしくそこまで走りにくさは無い。
「ほとんどは見覚えのある植物だな?」
「全部外から持ち込んだ種だろう?今の所知的生命体は無しって所だろうか?」
しばらく走る事30分、ようやくドームが見えてきた。扉は閉ざされている、なにやら実験施設のようだが・・・。
「・・・シノノギ製薬のロゴがこんな所に・・・」
「これ、まずいぞ?この星は帝国の物になりかねない流れだ」
「とは言え、住民は何処から調達する?最低でも1万人は居ないと駄目だ」
「その点、うちはそれをもうクリア出来ている。ステージアコロニーの難民を移住の方向へ持って行っているし、うちが預かっている海賊になりたての若造共を全部この地に降ろせば2万人は容易い・・・だが・・・」
「だが?」
「帝国にも1万人以上を確保する方法がある・・・ともあれここを開けよう・・・切開工具は?」
「ほれ」
「・・・どうも」
ルーガはレーザー切断機を受け取る。エルムンドドエルはワクワクしながらドアの破断を待っていた・・・そういや付いてきてたっけ、コイツ・・・。
4人で切り開いたドア、その先には資材搬入口があった。
「・・・さーて、何をしていた施設なのか」
ひとまず車が先行する。光源は車だけ、中は真っ暗である。その後も施設を探索するが、荒廃していてよく分からない、湿気も凄く、紙と言う紙は無い、後は電子データだけだがそれも同様だ。
「成果は特に無し・・・か・・・」
「いや、ここはあくまでまだ外周だ、中心部にたどり着けていない」
「まだあるのか・・・疲れたぞ?」
「その入口ならこの先にあるぞ?」
エルムンドドエルは暗闇のほうを指さす、怪しい生体プラントのような物があった方面だ。
「あくまでも、推測だが、人造兵器の開発ラボのような印象がある、中心部はその実験場じゃろーな?」
「その推測が付いたんならここまでで良いだろ?」
「何を作っていたか、医療研究者としては大変気になる所じゃのー」
「・・・へーへー」
仕方なくエルムンドドエルに付いていく、たどり着いたのは生体プラント、大きな培養プラントと実験生物の白骨死体がある。さらに進めば大きなドア、切り開いて見ればただのジャングルだ、ただし踏み固められて草が生えていない獣道がある。この大きさからしてドーム型都市と同等サイズである。
「こりゃなんか居るぞ?」
「そのようだな?」
警戒しつつ一歩踏み出す、すると茂みから物音がした。慌ててビームライフルを向けるが、相手は槍を構えていた。
「・・・ニンゲン?」
「・・・先住民か?」
ゆっくりライフルを降ろせば相手も槍を収める。未成年の少女、衣服はそれこそ神話に出てきそうな物、そして耳が長く、とんがっている、爬虫類属のような尻尾もある。人間属的に言えばエルフと呼ばれる架空の生き物に近しい容姿だ。
「おお!キメラじゃな!」
しかしこのクソトカゲは学術的な言い方をしてしまう。銀河にエルフと言う種族は存在しないのだから当たり前か・・・。
「キメラ?」
「人間属と魚人族のかけ合わせじゃろう?魚人族は地上では長く生きられぬ、遺伝子改良の実験じゃろう?我々にもその手の研究に加担していた者がおった、もっとも、遺伝子改良技術はおぬしら人間属の方が詳しいじゃろ?」
「俺は商人だ」
「同じく整備士だぞ?知るかボケ!」
「・・・で、どうするんだ?もう見る物も無いだろ?帰るぞ?」
実験生体が独自のコロニーを築き上げていたとなればこの惑星の所有権はもっと複雑だ。滅ぼして占有するか、同盟でも結んで一方的な取引でもするか・・・どちらにせよ商人が惑星を所有するメリットは無い、もうそれは国を作る事と同じだから・・・。
帰ろうとすれば少女に腕を掴まれる。
「クスリ、クレ!」
「・・・薬?なんの?」
「イデンシアンテイザイ!クレ!」
「・・・悪いがそんなの持っていない、なんだそれは?」
「ほう・・・不完全体かのー?確か持ってきていたぞ?ファルマン!車から鞄を取ってきて!」
「あ?何で持ってるんだよ!?」
「営業商材として色々なサンプルをいくつか持っておる!研究者として当然の事!」
「・・・分かった」
「お願い!お願い!」
「取りに行くって言ってるだろ!!」
周回を始めるエルムンドドエルを蹴散らし車まで戻る。
「・・・これだな?」
そういえばよく見るこの大きな鞄、中身は見た事が無いがキャスターが欲しいくらいにとてつもなく重い四角い箱型の鞄である。試しに開けて見ればゴミの山、色々な薬が無造作に押し込められている・・・これは単に整理していないだけな気がする。
そっと鞄を閉めて実験エリアまで戻れば、仮称エルフ族の成人男性が居た。
「ニンゲン、コッチダ」
「うちの連れは?」
「ヒメサマガテイチョウニモテナシテイル」
「・・・で、何で薬が必要なの?その、遺伝子安定剤という奴」
「ワレワレハフカンゼンタイ、イワユルシッパイサク。イデンシアンテイザイナケレバジュミョウハサンジュウネンとミジカイラシイ、ニンゲンガノコシタクスリハソコヲツキ、ワレワレハシュノソンゾクノキキニオチイッテイル」
踏み固められた道を進めば、ツリーハウスが見えてくる。畑などはあるが、どれも原始的、文明が人間族に追いつかないのは短命になってしまったゆえと言う事だろう。軽く聞いていれば、歳を取るに連れて細胞の再生が崩壊に追いつかれてしまい、死に至ってしまうようだ。それを抑えるのに遺伝子安定剤と言うのが必要と言う訳である。
「コチラダ、コクオウヘイカガオマチデアル」
「道案内どうも」
ツリーハウスの中でも一番立派な物、ベッドには一見ルーガと同い年くらいの男性が寝たきりになっている。
「おー!ちゃんと持ってきたかの?」
「・・・このクッソ重たい鞄に本当に入っているのか?ここまで持ち上げるのもだいぶ苦労したんだぞ?」
「確か数年前にサンプルとして持って行った物がまだ残っておる!」
「数年・・・前?・・・使えるのか?それ・・・」
「多少期限が過ぎていても問題なかろう」
エルムンドドエルは汚い鞄の中身を辺りにまき散らして適当な錠剤5個を取り出した、明らかに使いかけ。
「ふむ、これこれ!」
「本当にそれか?」
「作ったの私!私がこれと言うんだから間違えない!」
「・・・へーへー・・・散らかした物はちゃんと片付けろよ?」
エルムンドドエルは先ほどの少女に薬を渡す・・・ここに居ると言う事はこの集落のお姫様と言う訳だ。
「一日3回・・・だったかの?現行の製品版は一日1回で済むけれど、これ、プロトタイプのサンプルだから」
「アシタニハツキル・・・モットホシイ」
「これ以上は宇宙から持ってこないと無いねぇ」
・・・どうせ持ってこいだろ?
そう思って窓の外を見る、集落が一望出来る、素晴らしい立地だが、みずぼらしい金属の音が鳴り響く。
「ルーガさん、あれ」
「クソっ!海賊どもかっ!燃やす気だぞ?」
「どうして?」
「この施設は元々シノノギ製薬の実験場!つまり奴らはここを拠点にするつもりだった!」
「帝国の企業の施設なら帝国の領土主張がまかり通ると言う訳かっ!」
「だが先住民が居る!」
「根絶やしにするつもりだよ!俺らごとな?凶暴なエイリアンを始末するつもりで火を放った、俺らはそれに巻き込まれてしまった、殺すつもりは無かったと言うシナリオだろうな?」
「くっそっ!やるぞ!」
ビームライフルを持って外へ、集落の入口では既に守衛の人達がやられている。
「ヒドイ!」
「あんたお姫様だってな?下がってろ!そんなので対抗できる訳ないぞ?」
ルーガが止めようとはするが、弓で海賊の頭をぶち抜く。
「・・・やるなぁ・・・っ!」
だが、装飾が目立ち過ぎる。慌てて彼女の左足を後ろから蹴り飛ばして転ばす、頭のあった位置をビーム弾がすり抜けていき、後ろの木を焦がした。
「ナニヲスル!!」
彼女はプンプンだがそれをやった奴にビーム弾を放つ。
「良いから頭ひっこめろ!」
強引に腕を掴んで引き寄せる、そして抱き込みつつ反撃、ビーム弾で木がどんどん焼けていく、このままではまずい。
次第に風が出てくる、スラスターの音だ・・・こんな事するのは彼女しかいない。リーサだ。
空を見上げればプリズムライオッド12が強引にドームを突き破って頭を突っ込んできた、この中には海兵隊が100人ほど居る。
「・・・船なら一瞬だな?」
「海賊達も逃げてくぞ?」
「・・・田舎者だけで良かったぞ・・・元帝国軍人が混ざってたらもっと面倒になっていた所だ」
「・・・レイヲイウ」
彼女は顔を赤らめながらそう言った・・・が、ちょっと落ち着くには状況が混乱し過ぎている。
「いや、まだ早い・・・この森を消火する手段は何かあるか?」
「ナイ」
・・・スプリンクラー・・・はこの施設の電源が生きていないと無理だよな?
残念ながら施設の発電システムは朽ちている。発電システムが朽ちていると言う事は他も朽ちているのだ。
「全員退避だ!急げ!」
「マテ!ドコヘツレテイク!」
王女様とやらを抱き上げてプリズムライオッド12へ走る、降りてきた海兵隊も住人集めに必死だ。
「ムラガ・・・ヤケテイク」
プリズムライオッド12は森林火災のど真ん中に置いても燃える事は無い、燃えたらそもそも大気圏突入に耐えられないと言う矛盾が発生する。艦橋の外は火の海だ・・・残念ながらプリズムライオッド12は航空母艦、森林火災用の放水機能は無い。艦載機も同様、まず水が貴重な宇宙空間で運用する物に外部への放水設備なんて物は存在しない。
「悪いな、何もしてやれない」
「アイツラ、ユルセナイ!ソレヲヨコセ!」
少女が泣き顔でファルマンのビームライフルを奪おうとしてくる。慌てて真上に持ち上げるが、これ、結構重いんだよな・・・。
「ヨセ!シルヴァ!・・・モトモトワタチタチハホロビルウンメイナノダ・・・スベテウケイレヨウ・・・」
「オトウサマ!アレサエアレバ!」
少女は持ち上げているビームライフルを指さして徹底抗戦するべきだと主張する。
「オチツクノダ!カンジョウニマカセテモノゴトハススメテハイケナイ!」
「・・・ソンナ」
シルヴァという少女はファルマンの足元に座り果て、泣き始める。ひとまずルーガを呼ぶ。
・・・王様の名は?
・・・ソデスだぜ?どうすんだよ?
・・・俺らは武器を貸す、彼らでサリマン運輸が連れてきた奴らを倒してもらう、その間に俺らが彼らの住宅を建築する、そして彼らにこの星を統治してもらう、物流は俺らで独占、良いだろ?
・・・悪くは無いな?
・・・決まりだ。
ルーガと話し合った後、車いすに乗せられたソデスの前に立つ。
「ソデス国王陛下、我々から提案がございます」
「ワレワレハコノジョウキョウヲウケイレルシダイ・・・」
「武器をお貸しいたします、勿論使い方もお教えいたしましょう」
「センソウヲシロトイウノカネ?キデンラニナンノメリットガアルノカオキカセネガイタイ」
「分かりました」
ソデスを中央の指揮コンソールまで連れて行く、そしてギャラクシーネットワークの星系図を表示する。
「現状、この星系の領有権は我々にありますが、領有権は惑星統治で他の国家が手に入れる事が可能です。まずは貴方の国を襲った集団はこの惑星の統治が目的です。そして我々はフルジア王国に属する商人、ネドリー運輸と言う者です、貨物輸送から船舶修理と販売、コロニーの建設から運営、そして民間警察業務をしております。我々が今ここに居るのはこの惑星の調査の為、居住が可能な惑星かどうかを調査する為に参りましたが、既に原住民である貴方達が居る以上、我々は貴方たちを排除しない限り、この惑星は統治出来ません、相手も同様です」
「ナラ、ナゼタスケル?」
「先ほども言いましたが我々は商人です。国家を築く為の開拓団などではありません、惑星を統治する気も無いのですが、この惑星の広大な大地で薬の材料を作成しろと他の国から言われておりまして、この星で何らかの生産をしなくてはならなくなりました。貴方の国で薬の材料を生産していただきたい。出来た物は我々が外貨にします、我々はそこからちょっと経費を引かせていただくだけです。ひとまずは遺伝子安定剤と物々交換でいかがでしょう?」
「ワレワレハモトモトジッケンタイ、ソウゾウシュノイウコトハゼッタイ、キデンガリョウドシュチョウスルノモスキニスルトイイ」
「・・・なるほど、契約成立と」
手に持っていたビームライフルをシルヴァに渡す。
「使い方はうちの海兵隊が教える、実戦はもう少し後にしてくれ」
「・・・ワカッタ」
艦橋に居た海兵隊員に目を向ける、ゆっくり頷いてシルヴァを連れて艦橋を出て行った。
それから2日、元々弓の使い手が多い事もあり、ビームライフルは手に馴染んでしまえば軍人さながらの手馴れ、それに教えるのも軍人だ、自然と帝国軍式の動きになる。海兵隊員達はビームライフルの特性や被弾した時どうなるか、そして応急処置まで一気に教え込んでいく。元々飲み込みも早い種族で言語の変わりようも異常なほど早かった。
「悪いが主役は君達だ、作戦までは立案してやれるがここからは君達だけとなる」
「十分デス」
「全ては我が国のタメ!」
70人程のエルフ属の戦士達がプリズムライオッド12のブリーフィングルームで雄たけびを上げる。作戦決行は夜、AT3型航空母艦とその護衛艦が海賊と戦闘しているのでその隙に手薄になるシノノギ製薬のキャンプを襲う・・・相手はシノノギ製薬、その身辺警護はサリマン運輸の警備部門・・・いつものペアと言う訳だ。
戦闘が始まった時刻、うちの船はシノノギ製薬が焼き払った実験場までの道に降ろしてある、彼らは美味い事盾として使ってくれるはずだ。
・・・うちはうちでやる事がある。
AT3型空母からモジュール建造物を取り出して組み立て、内装工事はまだかかるが建物だけなら3時間で完成する。うちの建築士達の自信作、プリズムライオッド12の艦橋でコーヒーをすすっているだけで建物が直ぐに立つ、海賊は妨害する船がもう残っていない、おまけにセルルド星系でドンパチにより第2便以降が足止めを食らっている。
「戦闘は?」
「余裕そうね?エルフ族の死者はゼロよ、怪我人はそこそこだけれども」
「流石帝国軍方式って所だろうか」
「そもそも彼らのポテンシャルがかなり高いだけよ」
偵察機から送られてくる情報は3日前まで弓や槍を持っていた種族とは思えない、そして容赦も無い、ER-3000Cのエンジンは全て破壊され航行不能、研究員などは行き場を無くし、一方的にやられるのみ、地上の兵器類はうちの戦闘機に警戒していたのが裏目に出て全て破壊された。一応誤解の無いように言うが、うちの偵察機は飛んでいただけである、武装は備え付け以外何も乗せていない。そもそもプリズムライオッド12には載せるものが無い。
「俺も、もう死の商人だなぁ・・・」
プリズムライオッド12の艦橋を見渡す。サラマンダー級をプライベートクルーザーにしている奴はそう呼ばれるのだ。
1週間後、セルースに降り立った最初の国賓はズァパリ民国のテティア女王陛下だ。まず最初にエルフ族の国、ステラー王国の銀河進出を銀河議会に持ちかける事を宣言し、それは銀河ネットワークのニュースの一面を飾る事となる。その翌週からはシーモア共和国首相のエルムズデブラ、フルジア王国国王のハリス ゼルラード、トライアド民主共和国首相のボルボックスが降り立ち、建国承認の為の視察を行った。
住人の数と行政建築物はあくまでも文明を持たない惑星の領有の条件、原住民が居れば別の話でそれを下回っていても問題は無い、そもそも彼らの人口も1万人は越えている。あとは焼け落ちた行政施設の再構築だけ、施設外に作られていた村にツリーハウスもいくつか残っており、たとえうちが持ち込んだ行政庁舎が認められなくとも既存のツリーハウスで代替えが効くことだろう。後は近隣諸外国の承認さえあれば銀河議会に名を連ねる事が出来る、うちは良くも悪くも顔が効く、最低でも4カ国の承認があれば他の国の承認も得られる確立かなりの物となるだろう。
しかしひとまずは惑星開拓、シノノギ製薬が焼き払った森林、空港に近いエリアに都市を築く、河川に近いエリアは畑にさせてくれる事になった。農作に関してはズァパリ民国が主導してくれる事になっている。都市計画はうちがなんとかする。エルフに関しては人間族の創作民族であった事もあり、帝国でも同様認識があるので建築士は自然を基調としたファンタジー都市計画を大興奮で進めている。
サリマン運輸が残していったER-3000C、返り討ちも含めて手放した143隻は全て廃船手続きがされた事を確認してから修理して再登録、海賊未遂の若者を使ってステラー王国との交易船に使う事とした。船体も比較的健全なので大気圏突入は十分こなせるだろう。
一方でマズーラ星系の領有権もステラー王国に譲りはしたが、宇宙軍が無いので防衛回りは全てネドリー運輸頼み、軌道上のステーションは自由に建設可能と一方的に近い権利を持った。勿論サリマン運輸はそれを良しとしない様子、あからさまに海賊はうちの商船だけを狙うようになった。
一方で皇国がテラフォーミングしていた惑星は何処へいったのか、それについても調査した。小惑星と化していたようだ。ドローンを排除する過程で使用した兵器が強力すぎて星ごと粉砕、金属資源が多かった事もありバトルドロイド艦隊が爆発的に増え、そしてある時に全て活動が停止したような形、セルースをテラフォーミングしていた帝国ドローンも破壊されたが、対象はドローンのみで運よく実験場だけ生き延びた。ステラー王国の人達は星降る厄災と呼んでいたらしい。
「ここが、銀河議会・・・」
エマンクリシット皇国領にあるハイヴェール星系にある銀河議会ステーション、1000近い国家が色々な会合を開く、いわゆる銀河の秩序の中核・・・そんな所にプリズムライオッド12で乗りつけるが、他のステーションとは異なり、ここではそれが普通。ドッキング桟橋に接岸するのは大抵政府専用の大型クルーザーか戦艦級、唯一の巡洋艦はズァパリ民国のロゼンダ級と決まっているのだが、空母を接岸するのもうちが初めてらしい。流石に国の代表が集まる場なので各国の軍艦も全て揃っている・・・当然うちもドーベック艦隊を引き連れてきているし、最近顔なじみの艦隊も揃っている。シーモア共和国の艦隊は艦船が少な目だ。この前大損失を出したからである。ズァパリ民国も同様である。
・・・準備はしてきた。
近隣友好国からは特別問題ないと言われている。未知の宙域から接触してきた異星人が銀河議会に加入する事もよくある話で、通らなかった事など一度も無い。事前調査でも原住民である証拠はある。唯一難点なのは作られた存在である事だけ。だが創造主の手から200年以上も離れて生存していられたので恐らくは問題ないだろうと言う事、帝国は確実にゴネてくる。皇国もバトルドロイド艦隊で一度統治しているのでそれ以前からの領有権を行使してくるだろう。しかしそもそものマーズラ星系以降の宙域の閉鎖の原因は皇国と帝国にあるので他の国もあまり賛同は得られないはず、後はソデス国王の態度次第、礼儀作法はテティア女王から教わっている、フルジア王国のハリス国王も近隣国代表として横に付く事になっている。
「くれぐれも、失礼の無いよう」
「ここまでありがとう、礼を言う」
「いえ」
ソデス国王とシルヴァを見送る。プリズムライオッド12の隣はロゼンダ級が居る、このロゼンダ級はテティア女王陛下の物、反対側はVZR-1000H、フルジア王国の政府専用船なので直ぐにテティア女王とハリス国王に会う、彼らはギクシャクしながら頭を下げる様子がドッキング桟橋から見えた。
船員は基本的に艦内待機なので特別する事も無い、議会の中継もあるが、皇国と帝国の外交官の言い争いの時間が長い、国家承認決議も結果としては真っ二つだ。
・・・皇国と帝国の傘下の国が承認しようとしなかったか・・・。
この2大国が絡んでいない国は全て承認する方針、しかし皇国と帝国、共に植民地国家を多く従える。フルジア王国も帝国側の植民地国家ではあるが、今回はステラー王国の為に動いた。帝国を裏切るような状況なので今後は国境付近もピリピリするだろう・・・勿論トライアド民主共和国含む周辺国も同じくではある。
帝国はステラー王国は帝国の生体実験の成果物とし、帝国に所有権がある事を主張、また、機械による星系統治は無効と異議申し立て、帝国傘下の国はそれに賛同している。皇国もステーションがマズーラ星系にあった事から星系の実質支配権を行使、収集が付かなくなってしまったようで議会は次に持ち越された。つまりは次の議会までに帝国と皇国どちらかが統治してしまえばどちらかの派閥が領有権をもぎ取れると言う訳だ・・・これはまずい。
「誠に残念だ」
ソデス国王は残念そうな顔をしている。
「今回は少々異例な事態ですわね・・・上等手段を行使しましょう」
「既に我が国とは同盟を結んでおろう?それを軍事にも拡張するほか無い!」
テティア女王も顔が悩ましい。ルシャーサ女王陛下もカリカリしている。
「ですが、我が国の艦隊も未だ損害を回復しきれておりませんよ?」
「分かっておるわ!」
「確かにテティア女王陛下のおっしゃる通り、ここまで揉めるのは異例、我が国で軍事面はどうにか致しましょう」
「しかしフルジア王国は本来帝国傘下の国家ではございませんか?皇国はともかく帝国に歯向かえば・・・」
「そこで我らの出番と言う訳か」
「そのようですな?」
エルムズデブラ首相とボルボックス首相もやって来た。全面戦争は避けたいが、トライアド民主共和国は皇国寄り、シーモア共和国に至っては中立である。艦隊を置いておくだけで抑止力に繋がるかどうかと言う所、しかし、銀河議会に参加している国も指をくわえて見ている訳じゃない、領有権は別に要らないが利用価値はあると思った国の長が議会終了後に小国を中心に同盟を結ぶ事を持ち掛けてきた、これで全面戦争を阻止しようとする。2大派閥に邪魔されて少数にとどまったが、 それでも遠方からマーズラ星系へやって来る国もあるようだ。
決議が延期になってから一月、ラクトパレト王国を筆頭とした27の国の使節団を迎えに行く、人類にも黒人、白人、黄色人種などが居るように、獣人族連盟は銀河最大とも言える種族連合、当然国の数も100以上、種類も豊富、色々な種類の人が居るならば船も色々、獣人族系列の造船会社は大型艦が造船出来るレベルの著名な企業だけでも40社以上もあるのだから当然か、居住設備は種類によって異なるので同じく体格が大きい巨人族を除いては他の種族が使える船も少ない。もちろん彼らもタダで守るつもりで接触してきた訳じゃない、それ相応の対価、無理難題を押し付けてきた。獣人族用のコロニー建設と来た、獣人族にとって飛び地も良い所だが、彼らも支配下に入れたいようだ。
・・・と、言うのも・・・。
理解に苦しむソデス国王にプリズムライオッド12の艦橋で星系マップを表示する。あと4ゲート先に魚人族の領有星系がある、その先に獣人族の領土がある。獣人族は領土拡大にとても意欲的な民族、色々な種族を滅ぼして来た戦闘狂いの民族である。魚人族とも戦争をした過去があり、魚人族は意図的にジャンプゲートを遮断し引きこもってしまっているそう。獣人族国家の狙いは新しい土地だ、獣人族は発情期に一度に10~20人を産む、慢性的な土地不足がとても深刻な状況であり、銀河バランスとしても不謹慎な話、本来は獣人族と皇国帝国が万年戦争していなければいけない状態、だが双方共に中立、むしろ漁夫の理で帝国の土地を狙っている節がある。
爆発的に増える人口問題、それを言えばズァパリ民国を筆頭とした昆虫族の方がもっと酷いとも言えるが、昆虫族はそもそもの寿命が短い、獣人族の食料にもなっている種族も居るのでなおさら短命、対して獣人族は種族によりまちまちだが80年から1500年ほど生きるのが普通、獣人族の星系はステーション間シャトルで10分でなんらかのステーションに行けるほどコロニーやステーションだらけだと言う。
「結論から申し上げますと、獣人族をこの星系に住まわせてはいけません、勿論、商人などの一時滞在などは除きます。専用コロニーが出来れば支配権があっという間に奪われ、そして近隣国をも破滅に招きます」
マヤ少将がそう指摘する、確かにそう、ここは皇国のバトルドロイド艦隊と同じ事が言える。
「とは言え、彼らの力は偉大・・・」
「せめてこれから建設する商業エリアに特区を設ける程度でよろしいかと・・・」
「問題はそれをカバーする商用商材の確保だな?なんかある?エリーさん?」
「うーん・・・エルムンドドエル様に何か薬を開発してもらうとか・・・っすかね?」
エリー リリックが腕を抱えてそう言う。彼は元々ルーガの整備工場の事務員として採用された民間新卒、急にこんなステーション管理者にされて未だに慣れていない様子とも言えるが、それはルーガも同じ、ビジネスマナーがなっていないとマヤ少将は厳しい目つきで睨んでいるが、もう少し経験を積んでもらわなければしょうがない所もある。
とりあえず電話でクソトカゲを呼び出す・・・ここはリストーン星系、マーズラ星系では何もかも建設中なのでズァパリ民国の大使館を借りて外交している訳だが、丁度昼休憩、テティア女王陛下の計らいでズァパリ民国の料理が獣人族の使節団に振る舞われる予定だったが彼らは肉食である。そこでヴェルグーリさんに来て貰った。出てきた料理は見た目の上品さも皆無、お世辞と言って高級ホテルのような料理とはほど遠い、しかしそれで良かった、彼らは見かけは全く評価しない。流石は元海賊だけあって、色々な種族の料理に詳しい。
結局クソトカゲとは連絡がつかないので、いつものようにステーションの警備に連行してきてもらう。
「ステーションの所有者の扱いをもう少し改めないか!ファルマン!!」
「オメーが電話に出ないからだ、獣人族のお困りごとに対する薬は何かないか?」
プンプンしているエルモンドドエルに何か役に立ちそうな薬を作っていないか聞く。
「そもそも何に困っている?それが分からねば質問にも答えられぬが?」
「そうだなぁ・・・使節団はコロニー建造を要求してきた・・・恐らく居住地の不足が背景にあると思う」
「そう言えば人口が増えすぎてコロニーが足りぬと万年騒いでいるのー?ならお主らの国の避妊薬とかでよかろう?フルジア王国のオオタニ研究所とかが作っとらんかね?シノノギ製薬の子会社も作っていたぞ?避妊については年中発情期の人間族の得意分野では無いかね?そもそもその辺は既に輸出とかしているのではないのかのー?」
「それだ・・・」
「話は終わりかね?風邪薬とかも普通に流通しておるはず、我々でも手を出していない所と言えば避妊回りだけ、だって我々には必要無い技術だからの?研究に戻るぞ?大体これくらいの話なら電話で良いでは無いかね?」
「オメーが電話に出ないからだ!」
・・・と、なると美味い事、薬関連でコロニー建設を阻止すれば良い話、しかしクソトカゲの言う通り、既に輸出している品なはず、人類が宇宙に出る以前から存在する薬であり、おそらく製造技術なんかも獣人族に渡っているはずなのである。しかし・・・。
「輸出していない・・・だと?」
あくまでもこれはうちが運んでいる貨物のデータの一部に過ぎない、ほとんどが工業製品、おまけに元サリマン運輸のER-3000Cの搭載品ログにも乗っかっている様子は無い。薬品ばかり乗っけていた様子だが麻酔関係がほとんど、話にも出たオオタニ研究所にも問い合わせたが国内製造しかしていないらしい。向こうの言い分いわく、人間族は戦争の長期化で人口減少が著しく、作っても売れてはいけないそうで、この分野の同業他社も軒並み倒産している様子、だが、無いと困る人もいる為大赤字で仕方なく製造しているようだ。話を持ち掛ければ売れるの?と聞かれる始末、人間族にとって、避妊技術は枯れた技術のようだった。
翌日の会議にオオタニ研究所の社長に来てもらえば意外な事に獣人族は目をキラキラさせる。画期的な技術らしく、ルーガの巧みな交渉術でコロニー建築は大規模プラントにすり替えられた。建築もうちが全てを持つ形なのでオオタニ研究所も損が無い、工場移転を易々と受け入れてくれた。
だが、それが半分無駄になる事件が発生していた。それに気が付いたのは一年後だった。
ー銀河の常識ー
・ステラー王国
オヴィルツィッヒ帝国がかつてテラフォーミングを実行し、シノノギ製薬が遺伝子研究を極秘で行っていた改良人間の住む惑星。セルースは基本的に人類がテラフォーミングで持ち込む植物が自生しており、かつての毒ガス惑星の面影は一切無く、とても自然豊かである。
ネドリー運輸の隷属国家と言う、意味不明な立ち位置におり、オヴィルツィッヒ帝国製のクローン兵や改良獣人人間の受け入れ地として人口を急激に増やしていく事となる。
作られた人達の楽園国家。




