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「それじゃ~ 私が学園まで案内してあげるね~」
行先が何処かとリリネルさんに尋ねられて、王都の学園であることを教えた。
ノリノリで案内してくれるのはありがたいが、もう少し他人の目を気にしてほしいところである。ただ声が大きいだけで視線を集めるし、騎士甲冑を着たままだし、その女騎士が意外に美人で、振り向いた人たちの視線が集まっているのだ。
「学園エリアまでは結構距離があるから~ 質問タイムってことで気になること、何でもきいちゃってー」
空を飛ぶ奇獣を収容するビルを出ると、そこは現代の地球となんら遜色のない景色が広がっていた。大都市。見上げれば摩天楼。目につくところにはいろいろな広告宣伝が有ったり、奇抜なファッションをしている人もいれば、リリネルさんのような騎士鎧など防具を身につけている人もいる。行き交う人々には活気があり、栄えているのが良く分かる。車や電車が無いだけで、シュナイダーなどの地上の奇獣はたくさん走り回っていた。
リリネルさんは道路を走る一台のシュナイダーが引いている馬車を呼び止める。「学園前までおねがーい」と言って俺たちは同乗した。どうやらタクシーのような使い方で間違いないようだ。王都の地図に現在位置を指す赤い点が動いている。カーナビの機能をしたものがあった。飲み物やお菓子も置いてあり、アルナは嬉しそうにお菓子を齧っている。
「レッド君は王都初めてだよー すごいよー って顔にかいてるね~ かわいいねー」
「その通りですけど、人の顔をまじまじと見ないで下さいよ」
「レッドは田舎者だからしかたない もぐもぐ」
「てめーは喰いながらしゃべるな!」
くだらない話をしながら学園がどういったところかを、聞いてみると予想外にリリネルさんの説明は詳しかった。
学園は、初等部、中等部、高等部、そして、専門部(普通科、戦闘学科、文学科)の大きく六つに分かれている。場所は学園エリアという王城のすぐ周囲にある広大な土地の中に集約されている。何故そんな王都の中心にあるのかというと――
「国の将来を担う金の卵は、成熟した親鳥よりも厳重に守るべき価値があり、育てれば親鳥をも超える鳳凰になるやもしれぬ! ならばっ! 子を守り手厚く育てるのは親鳥の義務である!」
とリリネルさんが渋い顔で国王のマネをして教えてくれた。国王を見たことないし演説を聞いたこともないので上手いかどうかは定かではない。
ただ国王が将来への投資に、国防に必要な予算と同等の国家予算をつぎ込んでいることに驚愕した。それはこの国の子供たちだけでは無く、移民の子供たちにも同等の待遇をするという点にますます驚いた。将来の可能性を摘むことは殺人並みの犯罪になるという。
「夢を目指すこと? 大いに結構! 夢は掴みとるものである! その機会は皆に均等にあらねばなるまいっ 我が国はそれを体現しよう! 我の元へと集まり、仲間と競争し、好敵手に打ち勝ち、夢を掴みとれ!」
とかなんとか。また似ているかよく分からないモノマネを見せられた。馬車の馭者のおっちゃんは涙して感動してた。モノマネにそこまで感情移入できるもんなんだな。
話は大きくそれたが、俺とアルナが入学するのは、専門部戦闘学科である。戦闘学科は主に、騎士や冒険者になるために、体術や戦術、戦闘に必要な魔法を学ぶところだ。リリネルさん曰く、バトルジャンキーの脳筋の集まりらしい。ちなみに、文学科は、地球の文学科という括りとは似ているが少し違う。卒業生は騎士もいれば、王都を支える政治家や官僚など様々だ。基本的な学習内容は、座学が多いという。政治、経済、歴史、魔法が中心で、騎士になるものは、実行部隊では無く戦略などを思案する頭脳部隊希望なのだという。普通科はオールマイティーで、いろいろと学べるらしい。
そして最も聞きたかったのは。
「リリネルさん、飛び級ってありますか?」
俺からすれば冒険者になりたいだけなので学校にかんしては全く興味がない。兎にも角にも、卒業資格さえくれれば、どうでもいいのだ。実力が既にあるものなら、1、2歳は条件に満たしていなくても冒険者に認可してくれるとオグマが教えてくれたのだ。そのために5年通わなければならないのを、飛び級で短くしてやろうと思っているのだ。
「んー 無いことは無いけど~ 難しいと思うよ~」
「どうしてですか?」
「レッド君は戦闘学科に入るんだよねー?」
「はい」
「戦闘学科だと実力が全てなんだけど~ 年に一回ある戦闘大会で上位を修めないと、飛び級は出来ないのよ~」
何だそんなことかと安心した。むしろそれなら一年目で卒業できる。どうせノートの街の冒険者たちほどの実力を持つ学生が、いる筈がない。しかし、ほくそ笑みかけたところに、爆弾を落とされた。
「その大会なんだけどね~ 学生限定じゃなくて、世界中の冒険者とか騎士たちも出場するのよ~」
「はぁ!?」
ということはノート街クラスの冒険者が参加すると・・・
それじゃ上位になるのはかなり厳しい。
「みーーーんな、優勝してエキシビジョンマッチに出たいのよ~ Sランク冒険者にして、竜滅の英雄騎士にして、世紀の大賢者の称号をもつ世界最強の国王様と闘うのを夢見てるのよ~」
「・・・」
なんて国王だ。大会で自分の命を落とす可能性だってあるだろうに。俺が他国の人間ででこの国を戦略しようと思ったら、こんな大会なんてチャンス以外の何物でもないだろう。
そんなこんなで話し込んでいると、学園エリアへと到着した。




