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石板に刻まれていた古代の魔方陣をしっかりと分析して脳みそにインプットした。ノートに書き写そうとすると、アルナにひったくられたので覚えるしかなかったんだ。どうもスキルの【思考10】【記憶10】【学習10】のお蔭もあって覚えるのは簡単だった。
イヴ・ジャバヴォックから貰った魔水晶で習得していないかを確かめてみる。
【名前】レッド・ジャバヴォック
【年齢】10歳
【種族】ヒューマン
【出身地】深淵深緑の魔境
【身体】身長142.5cm、体重34.2㎏、etc
【魔法属性】
火詠唱5、炎詠唱1、水詠唱5、氷詠唱1、雷詠唱5(1up)、土詠唱2、風詠唱5、光詠唱2、
火魔法陣5、炎魔法陣2(1up)、水魔法陣5、氷魔法陣1、雷魔法陣4、土魔法陣2、風魔法陣2(1up)、光魔法陣2、古代魔法陣1(new)
竜魔導1
【スキル】
思考10、記憶10、学習10、探究10、算術10、
短剣7、長剣4、槍3、盾3、拳術5、蹴術5、
望遠3、跳躍10、回避10、歩術4、騎乗3(2up)
【称号】紅の狂竜の名を継ぎし者
【加護】紅の狂竜の加護
見事に習得していた。アルナが危惧していたことは的中した。今度こっそりと練習するとしよう。古代魔法陣の他にも、今までの戦闘でレベルが上がったのも確認できた。いい傾向だ。
ふと気が付くと辺りは薄暗くなってきていた。すぐに野営の準備に入る。アルナは最後まで遺跡での野営は嫌がったが、ゴリ押しで勝手にテントを張るとしぶしぶ手伝ってくれた。薪の代わりに火の魔法陣を展開して、短剣を伝って魔力を流す。ちょうど明け方に火がなくなるようにしておいた。
明日が楽しみで仕方がない。まだ調査してない一番大きな建造物の内部に潜入するのだ。ワクワクしすぎて寝れないかもしれない。すでにキングは俺の傍に寝そべって目を閉じている。本当にこいつは出来た相方だ。腹が減ったら勝手に獲物喰ってくるし、頼めば俺たちの分まで狩ってきてくれる。無理して倒したかいが、あったってもんだ。
アルナが作ってくれた夕飯は、簡単なスープと保存食のビーフジャーキーのような燻製肉を干したものだった。絶対に本人には言えないが、あまり料理が上手ではないのだろう。だが俺が変わろうとすると、自分がやると言って調理道具を手から離そうとしなかった。
夕飯も平らげて俺はキングを枕にしながら、仮眠をとる。アルナは「おやすみ~」とテントの中に籠ってしまった。キングを相方にする前は交代で警戒に当たっていたのだが、空の旅が可能になってから俺が引き受けるようになった。昼間にキングの背中で寝ればいい。
魔物はどうかしらんが、動物が寝静まった真夜中は嫌いじゃない。地球にいた頃もベランダで夜のとばりが下りるのに合わせてタバコを咥えたもんだ。胸ポケットには相変わらず何も入っていないがな・・・
そろそろ瞼を閉じようとたが、辺りが紫色に淡く光る魔法陣に包まれた。明日の朝までの分の魔力を込めたはずの火の魔法陣がまるで飲み込まれるように掻き消えた。紫の魔方陣は、ちょうど調査したばかりの古代文字がつかわれていた。
「おいおい、なんだってん――
体を起こすと背後から殺気を感じる。独り言を途中でやめた。火が消えて地面に突き刺さしていた短剣を急いで引き抜いて、逆手に構え背後からの殺気に対応した。振り向いたとき殺気の正体と短剣が交えて火花を散らす。金属特有のキンッという高音が耳に響いた。
「ガイコツ!?」
俺の短剣と、フード付の闇色の街灯を纏った骸骨が手に持ったギザギザの短剣のような刃物がつばぜり合う。ガイコツはまるで感情があるように、「しくじった」とつぶやきたかったのか、カコカコと歯を鳴らしていた。
ガイコツの攻撃が続く、かなり俺に似た動きで全身のバネを使う攻撃だ。攻撃の手数は多いし、一撃一撃に重みがある上に、急所ばかり狙ってくる。なんとか防いではいるが、火の魔方陣も消えて暗くなったせいで動きがとらえにくい。どうも防戦一方になってしまっている。
「くそっ! アルナ、キング起きろ! 敵襲だ!」
アルナはテントからもぞもぞと寝癖を掻きながら出てきて、キングはパチリと目を開けると寝そべっていた体を起こした。アルナはまだしも、キングは元野生の癖に警戒心が無さすぎる。空の王者だったキングは襲われることなど無かったのだろう。それにしても殺気に気付かないとは、たるんでるな!
剣戟の音が周囲へと響き、暗闇の中で何度も火花が散る。俺はこのガイコツの性質が悪さに舌打ちする。ガイコツには筋肉も無ければ目もない。相手の微妙な筋肉の動きや、目の動きを見て分析ができない。相手の攻撃を先読みできないのだ。どうしても相手の攻撃を待ってからだと、後手になってしまう。
なんとか暗闇に目がなれたところで、ガイコツの攻撃を躱しきり、攻勢に出ることができた。つばぜり合いから体の捻りをつかってガイコツを押し飛ばす。スピードさえ遅れなければ、相手は骨だ。質量は明らかに俺が勝つ。
だが、ガイコツの切り替えが早かった。もぞもぞとテントから出てきて目を擦っているアルナを標的にしたのだ。出遅れた!
咄嗟に魔法を使おうとして詠唱しながら魔力を活性化しようとして異変に気が付いた。
「炎よ 弾丸となりて――っ!? 魔法が使えない!」
薪代わりにしていた魔法陣の魔法が消されたことにもっと注視していればよかった。あの紫色の魔法陣は魔法を使えなくする・・・いや、魔力の流れを阻害する古代魔法だったんだ。
寝ぼけているアルナにガイコツのいびつな形の短剣が迫る。間に合わない!焦る俺に対して、カコカコとガイコツが笑っているかのように歯を鳴らした。
しかし、ガイコツの短剣はそれ以上振り下ろされなかった。キングの強固な前足の爪がガイコツの短剣をもった腕ごと抉るように吹き飛ばしたのだ。俺は安堵のため息を漏らしつつ、丸腰のガイコツの頭蓋骨を両断する。【跳躍10】で5メートルほどの位置から回転をつけた重みのある一撃をお見舞いしてやった。




