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ガイコツを討伐したが、相手は一体だけではないと直感した。紫色に淡く光った魔法陣は今だに効果は続いている。魔力が上手く操作できず、詠唱も魔法陣も魔法が発動できない。【竜魔導1】はまだどうだかわからんが、使ったこともないので今回は放置だ。
「兎にも角にも キングはアルナを連れて上空で待機。闇に紛れくるガイコツに対応できるのは俺だけだし、朝日が昇るまで逃げといてくれ」
グルル
了解とでもいうようにキングは、アルナを咥えて飛翔した。寝ぼけながらもしっかりと魔石の入った袋を抱えているのがアルナらしい。
魔法が邪魔されて身体強化できなけりゃ戦力にならないし、夜目が効かないと足手まといでしかないからな。
逆に言えば、魔法が使えるようになれば、アルナとキング戦力にはなるんだ。あの石板に刻まれていた魔法陣か、もしくはまだ調べてない一番大きい建造物が怪しい。
「まずはあの石板を―― 先にお客さんがいらっしゃったか 何名様でお越しですか?」
闇に紛れて姿を現したガイコツどものカコカコと歯を鳴らす合唱が、遺跡に聞こえてくる。ざっと感じた気配だけで30以上だ。一対多か・・・かなり厳しい戦いになりそうだ。
石畳で足場が悪いが、石像や半壊の建造物など狭い範囲に立体の足場があるのがより厄介だった。ガイコツどもは俺と同じタイプの戦闘スタイルなのがもっと戦いにくい。跳躍、回避が得意なスピードタイプなだけあって立体な足場と複数いることを利用して一撃離脱の複数連続攻撃を仕掛けてくる。攻撃を防いだかと思うと、休む間もなく次のガイコツが攻撃してくる。それが平面じゃなくて立体だ。
「マズイな こいつ等強い! 連携も取れてやがる!」
一度防がれた攻撃は二度と使ってこなかった。それほどまでにガイコツどもの短剣術は驚異的だ。こっちが筋肉の動きや目の動きを捕捉できなくて後手にまわることを上手く利用しやがる。骨の動きを少しづつ捕えられるようになったかと思うと、それ自体がフェイントだった。細かい切り傷が全身に増えていった。地味に痛い。このままだと嬲り殺されて終わりだ。
「魔法は使えないし・・・ くそ!」
防戦に回り続けて攻撃ができないし、じわりじわりとダメージを負ってイライラしてきた。
ガイコツの攻撃を短剣で受け止めて鍔迫り合い。背後から違うガイコツが俺を狙っているのがなんとなくわかった。鍔迫り合いに負けるフリをして押し込まれ後方へと一足で下がり、後ろで攻撃しようとしていたガイコツにバックのまま詰め寄った。そして鬱憤を晴らす体重の乗った裏拳をガイコツの顔面にお見舞いする。
すると面白い様にガイコツは胴体を残して、頭蓋骨だけが吹っ飛んで行った。ピンポン玉のようにバウンドして暗闇のどこかへと頭蓋骨が消えると、胴体が力なく崩れ落ちたのだ。
「ほぉ これはこれは」
つい悪い笑みを浮かべてしまった気がする。ガイコツの弱点の発見で俺のテンションが上がる。奴らは接続部分である関節の強度が低いようだ。そして頭蓋骨を胴体から切り離せばジ・エンドだ。
「ピンボールはお好きですか? お客さま」
ここからは【拳術5】【蹴術5】が活躍する。ガイコツどもの立体機動にも慣れて、同じ戦闘タイプなら俺もできるはずだと真似してみたら・・・できた。壁や石像を足場にしてガイコツどもを追い回し、頭蓋骨を闇のかなたに蹴り飛ばしてやった。調子が乗ってきたのでスキルのレベル上げにちょうどいいと思い、わざと短剣で応戦した。
劣勢となったガイコツどもは判断が早い、すぐに撤退を始める。
だがそんなのを許す俺ではない。小さいなりでも傷をつけたんだ、地の果てまで追いかけてその頭蓋骨を蹴り飛ばしてやる。
俺に戦闘技術を教えてくれたノートの冒険者たちが口を酸っぱくして何度もこう教えられたんだ、「やられたら完膚なきまでにやり返せ」大いに感銘を受けた言葉だ。バトルジャンキーしかいない冒険者たちだったけど、これだけは共感できた。だからいずれ俺をしごきまわしてくれたお礼をしなくちゃ。強くなる意志は絶やしたことは無い。
ガイコツどもが撤退した先は石板では無く、一番大きい建造物の中だった。敵の本拠地さえわかれば、こっちのものだ。叩き潰してやろう。大規模魔法を発動しようとして、魔法が使えないことを思い出す。
「潜入して殲滅するしかないか・・・罠な気がして仕方ないんだけどな」
まぁ魔力を邪魔して魔法を使えなくする古代魔法の正体も知りたい。もしも覚えられて使えるようになるならかなり有用だ。
最大に警戒しながら建造物の内部に入ると、予想とは違った内部構造に舌を巻いた。もっと外の彫刻技術が使われているのかと思いきや、ドームのようになっていた。太さのある石柱は建造物の内部を照らすように魔石のようなものが埋め込まれている。まるで首都圏外郭放水路のような雰囲気だ。よく周囲を観察すると、内部の端は小さな壁がありその向こうはコロッセオのような闘技場の観客席のようになっている。もしかすると此処は古代の闘技場かなにかだったのかもしれない。
ゴゴゴゴゴと大きな音がすると、入り口が閉じられてしまった。暗かった建造物内部が一気に明るくなる。石柱に埋め込まれている魔石がより強く光ったのだ。
そして、建造物内部に鎮座していたそいつが俺にむき出しの牙をガキンガキンと鳴らして威嚇してきた。
「やっぱり罠か」




