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今回短めです。切りの良いところで次回に。



 夜。夕方というには遅く、寝る時間というにはやや早い、そんな時間に。

 とある屋敷に、興奮したような幼い少女の声が響いた。



「やったぁ!」


 柄にもなく諸手をあげて喜んでいるのはレイラだ。それはもう満面の笑みで。


 両親から、魔狼を飼ってもいいと許可が下りたからだった。


 母親には、あの流れで許可をもらい(世話は全て自分ですることという条件付きだが)、父親には帰宅してきたときに承認を得た。

 ちなみに、妹は元から大賛成だったし、兄は「妹二人が喜んでいるなら」と賛同。

 嗚呼、必要以上に厳しい家庭でなくて良かったよ。



「──ってことで、名前を決めようと思います」


 部屋で待機していたイネと銀狼に向かって今までに至る経緯を説明し終えたレイラは、そう声高らかに宣言した。

 そうして、銀狼に「気に入ったのがあったら教えてね。頷くとかでも良いからさ」と付け足した。


「いくつか候補はあるんだけど──…とりあえず一通り言ってから、再度どれが良いか聞くね?」


 そう言って首を傾げて尋ねるが、魔狼はじっとこちらを見てくるだけで、一切の反応をしない。

 少し反応を待ったが微動だにしないので、それは諦めて、予め考えておいた名前を述べていく。


「いっくよー。…シルバーウルフ、ブラン、シロガネ、アージェント、ジョン」

「不思議な響きの名前が多いですね。最後のジョン以外」

「ジョンは人の名前の愛称としても使われているよね」


 『狼』『白銀』から連想したもの、あるいは関連する単語を並べてみたのだ。

 ただ、それだけだとあまりにも適当すぎると思ったので、犬の名前でノーマルそうなのを付け加えてみた。

 あ、べつに適当に考えた訳じゃないんだよ? ネーミングセンスにとても自信がないから、自分で名前を考えるのに消極的だったってだけで。


「あー…もっと他のが良いならそれでも良いからね? また考えるからさ」


 個人的にはアージェントっての、発音がかっこいいと思うんだー。

 ま、本人…じゃなくて本狼が決めることだから、指図しないし自由に選んで貰って構わないけれどね。

 どれでも構わないんだよ、私としては。そもそも、自分が気に入らない名前を候補にあげるはずがないからね。


「えーっと、そろそろ良いかな? それでは聞いていきます。……シルバーウルフ。ブラン。シロ…ん? ブランが良いの?」


 ぱたりと尾を振る銀狼。

 試しに候補を全て言ってみたが、ブラン以外には反応なし。


「なるほど。ブランが気に入ったわけか」


 ブランはフランス語で白を意味する。…ついでに言っとくと、アージェントは古フランス語です。


「じゃあ、君は今から『ブラン』だー」


 顔を上げたままで、ぼふっと倒れ込むように抱きつくと、ふさふさした尻尾が緩やかに左右に揺られた。

 少なくとも負の感情ではないようなので、甘んじてこのままの体制でいることにする。


「ブランー」


 何となく呼んでみたかったのでそうすると、さらにゆらゆらと尻尾が揺れた。


 大きく振られる銀の毛並みをぼんやりと見つめながら、レイラはゆっくりと目を閉じた。


ここまで読んで下さってありがとうございます。

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