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ふれねさんは、フレネミー  作者: kyonkyon


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3/5

ふれねさんは、フレネミー 3話

翌日の学校は、とても静かでぽかぽかとした陽光がどこか心地よい。


俺はそのせいかかなり眠く気を抜いたら今すぐにでも眠ってしまいそうだった。

というか、寝ようとしても奴が原因で眠れそうになかった。


俺がけだるそうに席に座ろうとすると、そこに奴はいた。


「お。オタクくん!おっはよー!」


なぜか俺の隣の席にフレネミーが座っていた。

どうしよう、ちょっと怖いかも。

俺は挨拶せずに席に座る。


すると、フレネミーはグイっと俺の近くに近づいてきた。


「ねーねー!聞いてるの?まだ寝てる?」


そう言ってフレネミーは首をかしげていた。

艶のある黒髪をツインテールにして、赤い髪飾りが少しとんがっている様子はまるで小悪魔のようだった。

くそ、無駄にかわいいな。


「てか、なんで隣に座ってるわけ?お前の席あっちだろ?」

「えーだって、オタクくんいつも一人だから寂しいかなって。」

「余計なお世話だ。俺は一人が好きなの。」


やっぱりぱっと見何考えてるかわからないな。

いじめたいのか・・・それともまた俺の弱みでも握りたいのだろうか?


「あのさ・・・英語の宿題写さしてよ。」

「なんで。」

「英語わからなくてさー、英語の先生宿題に厳しいって聞くし・・・お願い!」


そう言ってフレネミーは昨日のプリントを見せた。

俺はそれをみて青ざめる。

空欄が多いし、明らかに英語が読めていなかった。


「・・・poolがpoorになってる。それだとプールに行こうってなってるのに、貧しい人ってなるよ。」

「え!プールの綴り自信あったのに!」


・・・マジかこいつ。

とはいえ、俺は受験に落ちてなんとなく選んだこの高校は偏差値は40もない。

確か最初の英語の試験でA~Zまでの大文字と小文字を全部書くとか、もはや小学生レベルの問題が多い。

その中でもこのレベルとは・・・フレネミーは勉強が苦手なのかもしれないな。


「写すだけじゃあれだから、手伝うよ。まずこの問題の解き方は・・・。」


俺はなぜか朝の時間にフレネミーに勉強を教えていた。

最初は何ともなかったのだけど、意外と従順な彼女をみて少し注意が逸れる。


「わ!オタクくんめっちゃ字がきれい!」

「・・・普通だよ。それで英語は最初に結論を言いがちなんだよ。自分は何をした。そのあとにいつどこでとかが付いてくる。」

「あ、解けた!すごい、うちもやればできたんだ!」


そういってフレネミーは純粋に嬉しそうな笑顔ではしゃいでいた。

・・・こんな俺でも、人の役に立てるのかと少し驚いてしまった。

受験が落ちて、周りから浮いていた俺が恐らく初めて人のために行動した。

もちろん、フレネミーがなぜ俺なのかの真意はわからなかったのだけど。


「お前らー、席に就けー。」


そのタイミングでホームルームが始まる。

フレネミーは去り際に俺を見て二カッと笑った。


「ありがと!今度からわからなかったら全部オタクくんに聞くね!」

「い・・・いや、たまには先生に聞いたり自分で解けよ。」

「うん!頑張る!」


そう言って、フレネミーは元の席に戻っていった。


「・・・なんなんだよ、あいつはさ。」


授業中も俺はなぜかあいつが視線に入ることが多くなった。

特に目に入るのは・・・体育の授業だった。

新学期が始まると体力測定がある。


握力とか、反復横跳びとかやるやつだ。

その中でも特にシャトルランなんかは大っ嫌いだった。

ドレミファソラシドの音楽が永遠に流れてきて数が増えるたびに速度が上がる。


俺はなんだかんだ50くらいでストップして、休んでいた時だった。


「おおー!美衣すっごい!」

「いっけー!美衣!」


女子が全員リタイアする中一人だけ男子に混じって走っていた。

もちろんそれがフレネミーだった。

すでに130と女子の基準では最高なのに、陸上部の男子と競い合っている。


もうかなりハードで汗だくになっているのになぜか楽しそうで・・・それでいてとにかく根性で走っていそうなくらい必死で走っていた。


他の男子も無理って言う中、彼女は弱音を言うことも無く食らいついている。

そして、クラスの女子たちもフレネミーを応援していた。


「いや~振音さんって可愛いよな!」

「バスケ部でも期待の新人だって言われてるし!」

「おい!お前告れよ!」


もちろん男子もフレネミーにくぎ付けだ。

なんであんな奴が俺にばっか構うのかわからないけど、頑張る様子は確かにかっこよかった。

こんなの、平均的に頑張ればいいのに・・・意味が分からない。


でも、それと同時にあいつはあんなに打ち込めるものが多いのに、俺は何もできていないという劣等感がこの時強く感じていた。


☆☆


授業が終わりにかかると、クラスメイトががやがやしている。

もちろん、クラスで浮いている俺にはわからなかったけど・・・その理由を理解するのにそう時間を要することはなかった。


「おまえらー、これから席替えするぞ。」


その声でクラスのボルテージが上がりまるであの賭博録のようにざわ・・・ざわ・・・という擬音が似合う雰囲気になっていた。

なんでそんなことで盛り上がっているのだろう。

単に席が変わるだけなのに。


「くじ引き形式で行くからなー、安藤からくるように。」

「へーい。」


名簿順でそれぞれくじを引いて、指定の席に座る。

俺もくじを引くと窓際の席になっていた。

まあ、悪くはない。

というか、授業が楽すぎてスマホをいじるのにもってこいだからラッキーだ。


そして、クラス全員がくじを引き終わったので先生の号令とともに指定の席にみんなが向かう。

俺はそこに腰掛けると、不意に隣から声が聞こえた。



「お!?うちオタクくんと席となりジャン!」

「げ・・・。」


そう、偶然か必然か隣の席はフレネミーだった。


「これから・・・よろしくね。オタクくん!」

「お・・・おう。」


フレネミーは八重歯が見えるように微笑みかける。

まだ彼女に苦手意識がある俺は・・・どうにも喜びきれず複雑だった。


春風は、強く吹き荒れる。

そして・・・次第に日差しが強くなっていくようだった。


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