ふれねさんは、フレネミー 2話
フレネミーという言葉をご存じだろうか?
最近流行りの造語の一つである。
友達のふりをして、ボソッと傷つくことを言ったりする人いるじゃん?
あーいう感じに友達という意味のフレンドとエネミー・・・それらを合わせてフレネミーという。
それはいい・・・それはいいのだが。
「あはは~、なんか流れで一緒の帰ったけどオタクくんとサシで帰るの初めてかもね!」
「だ・・・だからオタクじゃなくてオヤケって・・・!」
どうみてもフレネミーそうな人と一緒に帰っていた。
てか!何だよ振音美衣って!名前からしてフレネミーって言っているようなもんじゃねえか!
さっきは小ばかにしたクラスメイトに怒ってくれたのは感謝するけど・・・とはいえ信用するには足らなかった。
「まあいいじゃん!てか・・・普段はオタクくん一人で帰ってるの?」
「た・・・たまに別のクラスのやつと。」
「え、まじ!?ごめん・・・急に連れてって・・・学校戻る?」
「い・・・いや、今日は部活らしい。」
もちろんすべて嘘である。
こんな感じでフレネミーさんはどうでもいいことをたくさん聞いてくる。
気をつけろ・・・、ちょっとした弱みなんて握られてみろ・・・・
「ねー聞いて!オタクくんやっぱオタクで童貞らしいよー!」
「えー童貞ー!?キモーイ!」
「童貞が許されるのは小学生までよね!」
「きゃははは!」
・・・絶対こんな感じで馬鹿にされる。
高校生ライフは平和に暮らしたいというのに・・・どうしてこんなことに。
「オタクくんは中学どこー?」
「・・・北中。」
「え、めっちゃ遠いじゃん!!じゃあ通学1時間くらいだよね!」
スゲー近い。
俺が距離を取ろうとしても、一定の距離まで近づいてくる。
あーあ、人生で何度も妄想した女子と帰るイベントが・・・フレネミーとはな。
俺はフレネミーの顔をみる。
少し幼い顔立ちと地雷系メイクで角のような髪飾りも相まってのようである。
髪は黒髪がさらりとしていて絹のよう・・・そして、プルンとした唇と・・・ほんのり香るバニラに近い匂い。
くそ・・・なんだこいつかわいいじゃねえか。
認めたくないのに、少しこのシチュエーションを良いと思っている自分がいる。
すると、フレネミーは俺と目が合った。
やべ、見すぎてたかもしれない。
「お?オタクくんやっと目があったじゃん!いっつも目が合わないけどこうしてみると目が二重で綺麗だね!」
「う・・・うるさい。」
「お?オタクくんデレてる?ツンデレか!?」
「や・・・やめろ!」
フレネミーは楽しそうに俺の背中をバンと叩く。
マジで近い・・・今まで女子って触れてはいけないものだと思ってたのに当たり前に触れられるから・・・ドキッとしてしまった。
「ねえ、オタクくん。」
「な・・・なんだよ。」
急にフレネミーは声のトーンを落として足を止めた。
うっとおしそうに俺は足を止めて彼女の方を向くと・・・彼女は少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「今日、山田達にからかわれるようなこと言って・・・ごめんね?うち本当にオタクくんの小説のアニメの話したかったんだ。兄貴と一緒に見てるし・・・その話できる人がいてうれしかったから・・・さ。」
そう言って、彼女は少し目を吊り上げて、まるで告白するかのような真剣さで俺の方を見つめた。
「また、帰り道良かったら一緒に帰らない?ぶっちゃけ、オタクくんの方が話合いそうだし!」
そう言って、俺たちは春風を浴びて・・・温かい太陽とほとんど散ってしまった桜の花びらが寂しく舞っていた。
ほんのりと桜の匂いが春を感じて・・・時間が止まったように見えた。
「じゃあ、うちこっちだから!また明日!オタクくん!」
「だ・・・だから俺はオヤケだーーー!!」
「あはは!ごめーん!」
彼女は反省する素振りも見せず思いっきり手を振る。
俺は恥ずかしさをごまかすように、その場を後にした。
そして、家に帰って晩飯を食べて・・・布団に入ると、フレネミーのあの屈託のない笑顔が脳裏をよぎってしまう。
もしかしたら・・・フレネミーは純粋に俺と仲良く・・。
「小宅くんみたいな人・・・ぶっちゃけ苦手なんだよね。」
少しだけ希望を持とうと思ったら、またあの日の失恋を思い出して・・・現実が見えて気分がまた落ち込んできた。フレネミーはああやって仲良くなりたいって言ってるけど、きっとあいつも同じだ。
また好きになったら、きっといつか裏切られるかもしれない。
急に明日が怖くなった。
俺は・・・もう一度布団に入ってぼんやりと空を見つめた。
その晩はなかなか寝つけず・・・まるで永遠の時間をさまようようだった。
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