表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【王国内屈指の公爵家の令嬢ですが、婚約破棄される前に婚約破棄しました。元婚約者は没落したそうですが、そんなの知りません】  作者: ナロー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/83

【クエル孤児院の来訪者】 3


 バンディミックさんの話は次の通りでした。



「実は先日この孤児院に預けられた赤ん坊は、どうやらバンディミック家の血筋に連なる者らしいとの噂を耳にしましてね。こちらでも詳しく調べたところ、我が分家の者の子供だと分かったので、引き取りに来ました」



 院長は答えました。



「あの赤ちゃんの父親はジグソウという方ですが、貴方の分家というのは母方のことを指すのですか?」


「はい。母親の結婚前の名はベリンダ=バンディミック。我が分家の出の女性です。血筋を証明する書類も持ってきています」



 バンディミックさんが収納魔法から何枚かの書類を出しました。


 それらは公的機関が発行した、正式の書類でした。役人とバンディミックさんのサインも記されています。



「なるほど……確かにバンディミックさんの血筋の子らしいですな」


「信じて頂きありがとうございます。つきましては、あの子を引き取りたいのですが、ご了承頂けますかな?」


「…………」



 院長は少し黙ってから、再び口を開きました。



「当孤児院としても、預かった子に血の繋がりのある家族親戚がいるのなら、引き渡したいと考えてはおります」


「しかし、と言いたそうですな?」


「はい。しかし、その家族親戚がどのような方達なのか、はっきりとしないうちは、安心して引き渡すことは出来ません。これは身分や血統といった外的な部分ではなく、性格や気質といった内的な要素です」


「つまり、私がバンディミック家だということは信じるが、具体的にどのような人物像か分からないうちは、子供を引き渡すことは出来ないということですな?」


「その通りです。お気分を悪くされたのなら謝ります。申し訳ありません」


「いえ、顔を上げてください、院長様。貴方の仰ることはもっともだ。身分や血統だけでは、その者の性質までは判断出来ませんからな」



 バンディミックさんは落ち着いていました。



「信じてもらう為には、もっと長い時間を掛ける必要がありそうですね。すぐに赤ん坊を引き取れないのは残念ですが、今日のところは素直に帰ることにします」



 バンディミックさんは立ち上がりました。院長も腰を上げます。



「ご理解頂き、ありがとうございます。玄関までお見送り致します」


「ありがとうございます。ですが、帰る前に一度、赤ん坊を見てもよろしいですか?」


「構いませんよ」


「ありがとうございます」



 院長の後についてバンディミックさんが廊下に出ます。俺もついていきました。


 赤ん坊のいるリビングに着いて、院長とバンディミックさんが中に入っていきます。


 初対面のバンディミックさんを、リビングにいた子供達は遠巻きに見ていました。



「こんばんは」



 バンディミックさんは子供達に微笑みました。俺に見せたのと同じ、あの微笑みです。


 院長が赤ちゃんの元へ案内すると、やはり同じく微笑して見つめていました。



「可愛い子ですな。面倒もちゃんと見てくれているようだ」


「ここにいる子は皆家族ですからな」


「安心しました。ここなら、もうしばらく預けていても大丈夫でしょう。語弊を恐れず言えば、もし劣悪な状態であれば、無理矢理にでも引き取っていくところでした」


「信じて頂けたようで、こちらこそありがとうございます」


「これからも時間があれば来てもよろしいですかな? 貴方にも皆さんにも信用してほしいですから」


「構いませんよ。赤ちゃんの様子が気になるのは、家族として当たり前でしょうから」


「ありがとうございます」



 バンディミックさんは子供達の方も見ると。



「今度来るときは、何か玩具やお菓子を持ってくることにするよ。赤ちゃん用品もね」



 そう微笑みました。


 子供達はぱあっと嬉しそうな顔になりました。


 そうして、バンディミックさんは孤児院の玄関へと向かいます。


 最後に、バンディミックさんは玄関前で俺に言いました。



「クーイ君、君にも信用してもらえるように努力するよ。それと、さっき君にした話は割と本当だから、もしその気になったら言ってきてほしい」


「…………」


「では、院長様、副院長様、皆さん、さようなら」



 みんながさようならと挨拶を返す中……俺は言えずに、バンディミックさんの去っていく後ろ姿を見つめていました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ