【王宮執事じいやの見聞。国王の気になること】 2
正直なところ、私はエディオット様のお言葉に疑問を抱いていました。愛し合う者の言うこととは、どこか異なるような気がしたからです。
私ですらそんな気がしたのです、陛下もまたそんなお気持ちになったのでしょう。
しかし陛下は、それを直接お口にはお出ししませんでした。
『分かった。とにもかくにも、二人が結婚に乗り気になったのだ、素直に喜ぼうじゃないか』
『そうしてくれ。じゃあ、用件が済んだなら俺は寝る』
そう言って、エディオット様は踵を返してお部屋にお戻りになっていきました。
そのお背中を陛下と私は見つめていましたが……エディオット様のお姿が見えなくなると、陛下は仰いました。
『やれやれ。何があったのかは分からんが……今後は結婚式の日取りを考えていくか。いつになるかは分からんがな』
陛下は公務に忙しく、エディオット様も今日の午後こそ予定は空きましたが、普段は様々な公務や日程を組まれておられます。
エインズ家のアイラお嬢様もまた、演奏会や絵画の展覧会などのご準備があってお忙しいご様子です。
また王太子殿下やウォール様やエルザ様なども何かとお忙しい御身です。そんな皆様の日程を合わせて結婚式の日取りを決めるのは、困難を極めるでしょう。
陛下のお悩みを少しでも軽減出来たらと思い、私は進言しました。
『陛下、私も陛下や皆様の助力が出来ればと思います。何かしらご用命がおありになれば、何なりとお申し付けください』
『うむ、感謝するぞ、じいや』
『身に余るお言葉です』
私は恭しく頭を下げました。
『では早速、じいやの意見を聞きたいことがあるのだがな』
『は。何でございましょうか?』
『実はちょっとした祭りを考えているのだ』
『は……お祭り、ですか……?』
『うむ』
てっきりエディオット様達のご結婚に関することだと思っていたので、私は不意を突かれました。
そのお祭りとやらが初耳だったことも、もちろんありますが。
『祭りの準備で雇用を創出し、屋台や関連グッズなどの販売で経済効果を狙う。無論、多くの者が来場するように事前の広告もばんばん打つつもりだ』
私は納得しました。
『なるほど。しかし、いったいどのようなお祭りをするのでしょうか?』
『武道大会だ』
『ぶ……⁉』
思わず私はびっくりしてしまいます。
そんな私を見て、陛下は面白そうににやりとしました。
『あくまで予定で、詳しいことは未定だがな。普通に企画が取り止めになる可能性もある。だから関係者以外には他言無用だぞ』
『それは承知していますが……いったい何故武道大会などを? 普通の季節祭りや祝祭、神様をもてなすお祭りではないのですか?』
『ちと気になることがあったからだ。それを確かめてみたくなった』
『気になること……?』
『この国で誰が最も強いのか、だ』
陛下は不敵にそう仰いました。
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