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【王国内屈指の公爵家の令嬢ですが、婚約破棄される前に婚約破棄しました。元婚約者は没落したそうですが、そんなの知りません】  作者: ナロー


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【初クエスト完了後、ホストクラブにて】 1


「今日も来ましたよ、受付嬢さん!」



 冒険者ギルドにて。


 訪れて元気に挨拶するスティーブに、受付嬢はぎこちない笑顔を浮かべていた。



「今日も可愛いですね! どうですか、俺とけ」



 スティーブの後頭部が掴まれて、受付カウンターに押し付けられる。


 男装執事のネルンだった。



「スティーブ様、以前言ったはずですよね? 無闇矢鱈にナンパしないでくださいと」


「相変わらず乱暴だなぁ。そんなんだからいつまで経っても恋人がぅぇっ」



 スティーブの顔面をさらに強くカウンターに押し付けるネルン。


 二人のやり取りに、受付嬢はぎこちない笑顔をするしかなかった。


 スティーブの頭から手が離されて、ようやく再び顔を上げることができた彼に受付嬢が尋ねる。



「当ギルドへようこそいらっしゃいました。本日はどのようなご用件ですか?」


「そりゃあ、け」



 ギロリ。ネルンの睨みに、慌ててスティーブが言い直す。



「クエストをしに来たんだ。なんか良いのないですかね?」


「それではお名前を仰ってください。ギルドの登録データと照合致します」


「あ、登録はまだなんすよ。俺もこいつも」



 スティーブは親指でネルンを示す。


 受付嬢が言った。



「ではまず登録からさせて頂きます。初回登録では最低ランクからとなりますので、ご了承ください。その後にご自身の冒険者ランクに合ったクエストをお選びになることが出来ます」


「わっかりましたー」



 元気に答えるスティーブの耳元で、ネルンが小声で言った。



「スティーブ様、お分かりになっていると思いますが」


「分かってるって。名字は変えるさ。へたに騒がれても面倒だからな」



 スティーブも小声で答えたあと、受付嬢に元気良く自己紹介した。



「俺はスティーブ=ソイビーンズ。よろしくね、受付嬢さん」



 大豆はないでしょう。


 ネルンは溜め息を吐いてから、同じく自己紹介する。



「私はネルン=ノーザンです」


「ノーザンって、どこの北部だよ」


「本名ですし、大豆に言われたくありませんが」


「ほっとけ!」



 受付嬢はぎこちない笑みを浮かべながらも、登録を進めていく。



「冒険者職は何でしょうか?」


「俺は剣士で、こいつは執事だ」


「冒険者職も執事、ですか……?」



 受付嬢がネルンのほうを見る。


 本当にそれでいいのですかと思ったのだろう。


 ネルンはうなずいた。



「はい。バトルメイドと呼ばれるものがあるのなら、バトル執事というものもあってよろしいかと」



 スティーブはにやりとして、



「つまりバトルバトラーってか。わははははははっ!」



 彼は大笑いしていたが、ネルンは呆れたように溜め息を吐いて、受付嬢は苦笑していた。


 そうしてスティーブとネルンはギルド登録を済ませて、初めてのクエストに出発したのだった。



 夜、既に街なかに魔法具の街灯が灯された頃。


 スティーブとネルンはクエストを完了して街に戻ってきていた。



「いやぁ、結構時間掛かっちまったねぃ」


「スティーブ様が余計なことに首を突っ込んだからでしょう。通りすがりの冒険者達のクエストを手伝おうと声を掛けるから」


「可愛い子には声を掛けろと言うでしょうが」


「言いません」


「でもてっきりネルンは俺を無理矢理帰らせると思ったんだけどねぃ」


「彼らと話していた最中にいきなりその目的のドラゴンに襲われれば、帰るも何もありません。応戦するしかないでしょう。ドラゴンの仲間も呼ばれてしまいましたし」


「結果的に、時間は掛かったけど、ネルンも手伝ってくれたしねぃ。おいらは嬉しいよ」


「やかましいです」



 そんな会話をしながらギルドへの報告の為に夜道を進んでいると、道の先に一人の女性を見つけた。


 私服姿の、あのギルドの受付嬢だった。



「おんや? あれはギルドの受付嬢ちゃんじゃないか? おー」



 スティーブが手を上げて声を掛けようとしたのを、ネルンがとっさに止める。



「お待ちください、スティーブ様」


「どうしたぃ? 真面目な顔して?」


「私はいつも真面目です。そんなことより、彼女、あのお店に入っていくようです」


「ん?」



 スティーブが改めて受付嬢に目を向ける。


 彼女はとある店に入っていくところだった。


 魔法具の明かりがついた看板には、その店の名前が記されていた。



「……ホストクラブ……?」


「そのようです」



 スティーブは複雑な心境を表すような、難しい顔をした。




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