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第6話 ルール作り

短いです。

 スミレは片桐が同居するにあたって、いくつかの取り決めをした。


 一つ、学校では今まで通り必要最低限の接触にとどめる事。

 一つ、朝食を終えた後、速やかに片桐は家を出る事。

    その後少なくとも30分経過したのちスミレが学校に向かう事。

 一つ、片桐は授業終了後、速やかに帰宅する事。

    そして迅速に東条院警備保障会社のトレーニングルームに出勤する事。

 一つ、食料の買い出しは片桐が担当する事。

 一つ、洗濯は各自が行う事。

 

 などなどである。

 特に最初の一文については、厳守を言い渡した。

 人間というのは、とかくうわさを立てるのが好きである。

 それは興味本位であり、無責任である。そのうわさを立てられた本人たちにもたらす被害が甚大であるほど、他人は喜ぶものである。誠に迷惑な限りである。

 したがって、用心するに越した事がないのだ。

 その為、取り決めは、きっちり守るように言い聞かせた。


 片桐に質問があるかと問うたところ、おずおずと手を挙げた。

 一つは住居である。言える事ではないが、もし迷惑なら香蓮の会社の物置にでも、寝袋を借りて寝起きしても構わない。先程見せてもらった、10畳以上もあるゲストルームを使わせてもらって本当によいのかとの質問だった。


 片桐に示した部屋には、ベッドと机など最小限の家具しかない。来客など滅多にない為、部屋を整える必要性を感じなかった結果だ。全体的に青系統でまとめてあるので、男子には抵抗がないだろう事が、せめてのものすくいと思われる、広さだけはある簡素な部屋だった。元々使用していないのだから、使ってもらった方が無駄にならずよい。それに。


「貴方の健康を管理するのも、私の責任なのよ。すぐ目の届くところにいてもらうわ。いい?」


 片桐はコクコクと頷いた。


「それにね、貴方はあくまでも私の庇護下にあるのよ。香蓮姉さまじゃなくてね。其処をちゃんと覚えておいてちょうだい。それで、まだ質問があるかしら?」


 なぜか片桐は額に汗を浮かべながらも、二つ目の質問を口にした。


「本当にアルバイトまでさせてくれるのか?」

「もちろんよ。独立のための資金にしなさい。身体も鍛えられるし、丁度いいわ」


 香蓮はおそらく片桐をスミレのボディガードに、と考えているのだろう。だが。


(私だって香蓮姉さまに鍛えられているのよ。早々に、追い越されたりするものですか)


 スミレは密かに自分のトレーニングの再開を決めた。


「もう質問はないかしら?」


 頷いた片桐の目に脅えが見えるのは気のせいか。

 優しく丁寧に接しているつもりだ。どこがいけないのか。


(まあいいわ。おいおい、慣れてくれるでしょう)


 多少、自分の性格が率直すぎると自覚はしている。


「では、明日からよろしくね」



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