表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/53

第41話 新しい鍵の塔作り

短いです。

 ヴァンとの話し合いの翌朝。

 スミレがこちら側に来た最初の部屋、こちらでは鍵の塔の部屋と呼ばれているらしい、に来ていた。

 破壊された鍵の塔の瓦礫は綺麗に片づけられている。来た時には気づかなかったが、部屋の中央の床には中心から波紋のように円が描かれている。

 その外円のすぐ傍には木製の台車。

 その上には色々な形の白い石が積まれていた。

 おそらく塔を作る材料、貴煌石だ。そのそばにはオムさんとその孫のチムがいた。


「すいません。遅くなりました」

「いや、構わんよ。昨日の夜に渡しておけばよかったんじゃが、すっかり忘れておってな。こちらこそすまんの」

「いえ」

「お姉ちゃんよく似あうよ!」

「そう?」


 スミレは今白袴に着替えていた。上着の袂はかなり長い。

 額には朱色の長い布を巻いている。

 鍵を作る時の衣装だと、先ほどの朝食時に渡されたものだ。


「ねえ! ここで見ててもいい?」

「オムさんがいいっていえばね」

「お姉ちゃんがいいなら、いいって、ね、じいちゃん!」

「おお。スミレさん、かまわんかの?」

「ええ」

「やったあ!」


 チムは飛び上がって喜んでいる。

 テレビも何もないここでは、少しの変化でも楽しいのだろう。

 昨夜夕飯を食べながら、チムの両親の事を尋ねた。チムの両親は役人で国の中央で忙しく働いているそうだ。大きな休みの時にはここに来てチムと過ごすのだそうだ。

 普通は両親と一緒にいるものだが、彼らの家族にも色々あるのだろう。


「さてと」


 スミレは頭を切り替える

 昨夜のうちに鍵の形は考えてある。

 後は、作るだけだ。一刻の時間も無駄にしない。

 早く元の世界へと帰るのだ。

 スミレはしゃがみ、石に手を伸ばす。


「これが貴煌石ですね、こんな白い石だとは思いませんでした。てっきり青色をしているかと」

「ああ、元々は貴煌石は白いんじゃ」

「そうなんですね。それにもっと一つの石が大きいかと思ってました」


 台車に乗っている石は主に長方形であるが、その他にも色々な形がある。組み合わせて使えそうだ。またどんなに大きなものもスミレの手のひらに収まるくらいの大きさである。かなり使いやすそうである。


「前の鍵の塔は5メートル位ありましたわ。この小ささのものを使うなら、結構な時間がかかりそうですね」


 この小ささだからこそ、スミレでも扱える重さに収まっているのかもしれない。


「ヴァン様から聞いてないかの。鍵は小さくて構わんのじゃ。大体これくらいの高さで大丈夫じゃよ」


 そう言って手で示された高さは1メートル。


「そんな小さくていいんですか?」

「おお」


 オムは力強く頷いた。


「わかりました」


 スミレは俄然やる気が出た。

 その小ささなら、1週間もかからずに、出来上がりそうだ。いや頑張れば、2、3日でいけるかもしれない。

 取り上げた石も、とても軽い。

 大げさかもしれないが、強い風がちょっと吹けば、飛ばされてしまうのではないかと思うくらいだ。

 スミレにとっては作業しやすいのでありがたいが。

 スミレは石を持ち、円に足を踏み入れた。

 そして、長方形の石を、円の中央に置く。


(どうか、二つの世界が平和でいられますように)


 どうしても扉が必要であるなら、争いがないよう。

 そう願いを込めた。

 すると。

 ズルリ。

 身体から何かが凄い勢いで抜けていく。


(ええ?!)


 と同時に。

 視界が縮む。


「やはりの。後ろにいて正解じゃ」


 傾く背中に温かい手。

 遠のく意識に最後に聞いたのは、それだった。

 こうして鍵づくりの第一日目は、一つ石を置いただけで強制終了になった。



今日は短編小説も同日にアップしています。よろしければ、お読みいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ