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第35話 能力が発動しない意味

楓さんはいたずら好きかも。

 スミレは押されるように話し始める。

「私の力、と言っていいのか。それに予知と呼べるものかどうかも定かでないかと。加え、基本、私は何もしません。これを視たいと思ってわかる訳ではないんです。精進したら、楓さんのように力を意識できるのかもしれません。ですが、今の私は、自分の中に力があるかも疑問です」

「でも、貴女は、貴女の叔父さまの死を予知した」


 やはりスミレを調べ上げているらしい。

 もう知られてしまっているのなら、諦めるしかない。


「少し違います。私は外からヒントを得て、それが何を意味しているのか分析し、結果予知につながるといった方が正しいかもしれません」


 だから、初めて視たものについては全く未知で、どう解釈すればよいか全くわからない。

 スミレの力は経験も必要なのだ。


「私には普通の人が視えない不思議なものが視えるんです。生物なのかもわかりません。葉っぱに似たちいさいもの。ミミズに似た半透明なもの。自然にできたとは思えない、綺麗な模様」


 到底自然にできたとは思えない模様の数々。しかし小さな木の実や、葉を並べている者は未だに視た事がない。


「それらは私に何かを伝えたいメッセージがある時に、視えるようです。最初はもちろんわかりませんでした。ただ、何回も視るうちに、ああ、この子たちが視える時は、こうなんだって、パターンが見えるようになってきて。徐々に、この子が出てきたら、こうすればいい。あの子が出てきたら、これに気を付けなきゃってわかって来たんです。もしかしたら、私が気づかないだけで、見落としているものもあるかもしれません」

「面白いわ。私とは、全く違う予知の方法ね。スミレさんの場合は予測と言ったほうがいいのかしら? 私は一度もそんな不思議なもの視た事がないわ。ぜひ視てみたい」


 楓は胸の前で手を組み合わせ、力説する。


「私がわかるのは、基本的に自分に関連しているものだけです。楓さんは、自分と全く関係のないものでも、予知できるのでしょう?」

「ええ。それに関する情報があればね」

「そのほうがすごいですわ。それに私が視る時は、悪い事が起きる前触れが多い。だから、それらを視てしまうと、気分が落ち込みます」

「きっとまだ貴女の能力の大半が眠っているからよ。もっと能力が高まったら、危険でない時にもそれらの可愛い子たちを視えるようになるわ」


 それはそれで、どうだろう。日常的に視れるようになったら、うるさいのではないか。複雑である。


「予知夢は視ない?」

「予知と呼べるのかわからない程度の、内容ならば。夢も間接的内容が多くて、予知夢なのか、ただの夢なのか判断するのが難しいです」


 そう、今回叔父の夢は例外だ。あんなにはっきり視たのは初めてだった。


「私も同じようなものよ。そこから有益な情報を読み取って、現実に起こりうる可能性を考える。これは一朝一夕ではなかなか難しいわ。可能なら信頼できる人に話して、検討した方が間違えるリスクは減るわよ」


 貴船の予知姫の言葉には、実績が伴っている。参考になる。


「ふふふ。こうして久しぶりに同じ年の女の子と話をして楽しいわ」

「私もです。それに、人と話をしていると頭が整理されますね」


 今までは能力を人に知られるのが怖くて、あまり人と話す機会がなかった。

 自分とは違う視点。たまには色々な人と話をするのもいいかもしれない。あくまでもたまにだが。


「でも、能力が使えなくなった原因、わかりませんね」


 自分と楓は、あまりにも力の使い方が違う。

 なぜ急に守り石が機能しなくなったのか。エネルギー自体がなくなってしまったのか。


「今、思ったんですが、もし私が楓さんだったら」


 どう解釈するだろう。

 力が突然使えなくなった。その意味は?

 話しているうちにまとまってくる考え。


「私だったら、危険が迫っていると考えます。力が使えなくなる。イコール無防備な状態。つまり注意せよ。という警告、かもしれません」


 そう、そうだ。使えなくなった原因が何も思いつかないのなら、使えなくなった自体が何かのメッセージかもない。

 楓も眉間に力を込め、俯いて考え込んでいる。


「あり得るかも。私は力を使って、視て来たから、力を使わないで、先を視るとは考えつかなかったわ。お父様にも、話してみる。ありがとう! スミレさんとお話できてよかったわ!」

「いえ。一つの見方で、正解とは限りませんから」

「それでも可能性は十分あるわ。もし貴船に危険が迫っているようなら、私たちはこの二ケ月時間を無駄にした事になるわね。榊!」

「はっ!」


 音もなく襖が開いた。当然のごとく榊が控えていた。


「貴方のことだから、今の話きいていたわね。お兄さまに、今すぐ貴方から伝えなさい! 行って!」

「はっ!」


 閉まった襖を見つめて、スミレは冷や汗をかいた。


「あの、そんなに急がなくても」


 全く見当違いだった時に、スミレがつらい。


「よい情報は早く伝えたほうがいいの。幸い今、兄はこの島にいるから。お父様にも伝えてくれる筈だし。それに榊に、ここから少し離れて欲しかったから、ちょうどよかった」

「え?」


 首を傾げたスミレに、楓がニンマリ笑う。


「今から、貴船の神域の最深部に連れてってあげる。今日のお礼に」

「ええ!? いいんですか?」

「よくないかも♪ 本来本家の者しか、入れない場所なの。でもスミレさん見たくない? 貴船の最深部?」

「う。見たいです」


 スミレだって、人並みの好奇心がある。

「でしょう? だから榊が邪魔だったの。彼、頭が固いから」


 いや、彼は正常だと思う。


「さ、さ。早く行きましょう。ちょちょっと行って、ささっと帰ってくれば、大丈夫よ。そしたら、感想きかせてね」


 そう言いつつ、楓はもう立ち上がって、襖を開け、廊下の様子を確認しつつ、部屋からすべり出た。

 見付ったら絶対怒られる。

 楓はともかく、スミレにどんなペナルティが課せられのか。

 だが、着いて行かないという選択肢は残されていない。


(榊さんが戻って来ないうちに、私たちも戻ってくる!)


 スミレはそう決意し、足早に楓を追いかけた。

スミレかなり振り回されてます。。ファイト!

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