第22話 香蓮は甘い
短いです。それでも何とか更新。できれば、毎日更新したいです。
「“辺境の地”の事、調べたよ」
その日の夕方。
香蓮の執務室に、スミレと片桐は呼ばれた。
我が叔母ながら、仕事が早い。
おそらく寝ていないのに、その片鱗も見せない。申し訳ない以上に頼もしい。
「君たちが連れて行かれたのは、細灰島だ。本島からそれほど離れていない。船で15分弱のところにある」
「え? もっと長い時間船に乗っていた気がしたのですが」
目隠しをされていたから、はっきりとはわからない。
「おそらく君らの不安を煽る為、遠回りしていたのかもしれないな」
そうか。確かに。随分遠くに来てしまったと思った。
蓋をあけてみれば、自室のある東条院ビル7から、それほど離れたところではなかった。
このビルから車と船を乗り継いで、4時間あれば、着く場所だ。
これからの事を考えれば、この近さは大変ありがたい近さである。
「島には周貴法学園とその関係機関しかない。つまり、スミレたちが連れて行かれた組織、“辺境の地”は、学園の関係機関になる。そして、この学園が転校先とみてまず間違いないだろう」
「どういった学校なのですか?」
「表向きは文武両道、風紀に重きを置き、紳士淑女を育て上げるための教育に力を入れているとしている。この学園、公開入試は行われていない。入学資格などは不明だ。学校としての歴史は浅く、創立して15年ほどだ。創立者はこの学園の理事長である、法珠露棋。法珠家は聞いた事、あるだろう?」
「ええ。大変な旧家ですわね」
「ああ。それに財界、政界にも顔が利く。それは裏の力に、よるらしい」
「と言うと?」
「法珠の家は、特殊な能力を持った者が多く生まれる家系で、その力を使って一族を繁栄させているそうだ。はっきりした事はわからない。かなりガードが固くてね。黒川」
「申し訳ありません。目下調査中ではありますが、情報はあまり得られないでしょう」
「スミレから聞いた話から推測するに、学園の創設は、そういった能力を持った者の専門の育成機関の可能性が高い。そして敷地内にある“辺境の地”も、学園の研究機関になっている。商売云々はわからんがね」
香蓮はそこで一つ息をついた。
「正直、可愛い姪を通わせたいとは思わないね。私の知っている常識の範疇を飛び出してる。どれほど危険が伴うのかわからない。ただ、奴らならば、私が事に当たるより、スミレが探している答えが見つかる確率は格段と上がるだろう」
スミレが探している答え。そう。スミレの知人の誰に、死が近づいているのか。
「今のお話をきいて、なぜあんなに工藤さんが自信ありげに話していたのかわかりましたわ」
「ああ。悔しいが、そういった分野でのトップ機関の1つである事は間違いないだろう。今回の件だけでなく、今後スミレが直面していく問題に対処する方法を彼らは知っている。能力とずっと付き合っていかなければならない君たちにとっては、よい学びの場になるかもしれない。だから、とっても気が進まないが、スミレが行きたいというなら、協力する。どうする?」
「行きます」
スミレの心は決まっている。
何もせず、後悔だけはしたくない。
「そう言うと思った。片桐くんはどうするんだい?」
「行きます。スミレと」
「だよね。わかった。君のご両親の件は任せておいてほしい。そのかわり、スミレを頼んだよ」
「わかりました」
片桐は迷いなく頷いた。
「それで、スミレ。親父殿への説明はどうする?スミレの返事は予想していたからね、私が予め、資料と説明は済ませてあるよ」
だから、父へと面会は不要だと暗に香蓮は言う。
この叔母は、自分にとことん甘い。
「父の明日の予定は?」
「幸か不幸か、先ほど確認したところ、明日は珍しく家にいるらしいよ。午後からは出かけるようだけど」
「わかりました。会って説明してきます」
「大丈夫かい?」
「ええ。転校するとなれば、やはり私からお話しておくべきかと思いますから」
「わかった。連絡は入れておくよ」
「はい。よろしくお願いします」
もう少し進みたかったです(涙)




