第15話 待ったなし
短いです。
3日後。
スミレは自室にて、今日もパソコンの前に座っていた。
香蓮をはじめ、自分や片桐も調べているが、スミレの能力を伸ばす方法の調べは、全く進んでいなかった。
親類の調査も、かなりな人数が対象の為、時間がかかっているようである。
先日接触したウェブサイトに、もう一度接触して情報を得ようと考えたが、すでにそのサイト自体閉鎖されてしまって追跡できなかった。
八方塞がりある。
救いといえば、今は以前とは違い、仲間がいる事だろう。そのおかげで変に考え込まないで済んでいる。
「前の2回と同じであれば、警告は3回」
今回もできればそうであって欲しい。
わからない尽くしの上に、猶予なく、現実になってしまうのは願い下げである。
「だめだわ。少し気分を替えましょう」
どうにも進まぬ調査に、悶々としてきたスミレは、マウスから手を放すと立ち上がった。気分をリフレッシュするため、紅茶を飲もうとキッチンに向かう。
片桐は取り寄せた本を最寄り駅のコンビニに取りに行きがてら、ランニングしてくると言って、今はいない。
「インターネットで調べるのは、香蓮姉さまに任せた方がいいかもしれないわ。私は片桐君にも手伝ってもらって、書店や図書館を回って書籍を調べる方に重点をおいた方かもしれない。もしくは、独自で能力を見つめる方がいいかも」
幸か不幸か、霊能力や超能力の知識は、この3日で随分ついたからだ。
「そう、まずは自分の中の力と向き合う。集中力を高める。高めながら無心になり、自分の内面をのぞく。‥‥‥座禅でもやってみようかしら」
ファンタジーの世界では、いとも簡単に能力を伸ばせるのようなのに、実際となると伸ばし方が所説あり、これと言った方法が不明だ。それだけまだまだ分からない事が多いという事か。
知識、能力の習得は1日にしてならず。努力をして初めて身につくという事かもしれない。
自身の能力に目を背けていたつけが、ここに来て出ている。
お湯を沸かし、ポットとカップを用意する。一人なので、紅茶を淹れ終えるとお盆も使わず、ソーサーとカップのみ持ってリビングに向かう。本家にいたら、咎められる行為だが、今は咎めるものは誰もいない。
「だめね。一人だと考えが空回りしてばかり」
頭を振り、スミレはリビングに一歩、足を踏み入れる。
瞬間。
殴られたような衝撃。
「あ、ああ!」
手からカップが滑り落ちる。
目を見開く。吸い寄せられる。リビングの窓際の床。そこには。
木の実。たくさんの木の実が、描く。重なり合う。円。歪みのない幾何学模様。
秋まではまだ遠い。ない筈の木の実。音もなく描かれた模様。誰が。
スミレは一歩一歩近づくと、そこに崩れるように座り込んだ。
第2の警告。
スミレがもたもたしている間に、時は進み、止められない。
それを目の前に突きつけられたようだ。
(それにしても、早い!早すぎるわ!)
お前にはとめられない。
そう言われているようだ。
スミレは震える手でスカートのポケットを探ると、スマホを取り出した。
祈るような思いで、ボタンを押す。
(早く出て! お願い!)
1コールが一時間にも感じる。
出た、と思った途端、スミレは叫んだ。
「帰ってきて! 片桐君! 今すぐ!」
とても一人ではいられない。
(お願い! すぐに傍にきて!)
スミレは祈るように、スマホを握りしめた。




