第十二話 行動開始
「たく、何でガキの様子を俺たちで見に行かないといけないんだ。」
武器に身を固めた男二人が、冷たく固いコンクリートの廊下を歩いていた。
昔に使われていた倉庫をそのままアジトにつかっているため、取って付けたような豆電球の明かりが貸すかに辺りを照らす。
男たちの手には首から下げた機関銃が握られているが、どこかやる気のない表情を浮かべている。拐った子供が大人しくしているか見てこい、と上からの命令で仕方なく少し離れた倉庫部屋へと足を運ぶことになったが、わざわざ子供一人のために足を運ぶ労力に多少の不満があるらしく、男たちは愚痴のように話し合っていた。
「それを言うなよな。俺だって離れた倉庫なんていちいち行きたかねーよ。あそこ埃っぽいしな。起きてるかだけ確認してさっさと戻ろうぜ。」
どうにもやる気になれず、やや手抜きな見回りなのも相手がただの子供だからだ。もしも泣かれていたり、助けを呼ぼうとしていたらまた眠らせればいい。そういった考えで男たちは目的地へとたどり着いた。
錆び付いて壊れかけた扉前まで来ると一度機関銃を背中へと回し、閂を外す。南京錠をつけていないが、子供一人監禁するには十分だと判断されたらしい。所々手抜きなところがあるが、そんなことを下っぱが気にしたところで仕方がない。
ギシシ...と重い音が響き、扉が開く。やたらと天井の高い倉庫の真ん中に少年が横たわっていた。
男の一人がツコツと足音を響かせながら少年のそばまで来て確認するが、特に変わったところはない。強いと言えば体勢が変わっているが、寝返りかなんかだろうと勝手に決めつけ扉前にたっていたもう一人の男のもとへと戻っていく。
「変わりはないぜ。たく、折角来たならせめて起きててほしかったぜ。」
「全くだ。とんだ無駄足だが仕方ない。さっさと戻ろうぜ?報告しねぇとまたどやされる。」
小言をいいながら男たちは扉を閉める。少年に興味などなく、再度振り替えって様子など見なかった男たちは小言をいいながら閂をかけ、その場を後にした。
******************
....あっぶねぇぇっ!!
俺はむくりと起き上がると服についた埃をポンポンっと払った。もしも寝たふりじゃなくて隠れて逃走、何てしてたら撃たれていたな...なんだあの武装集団。機関銃を普通に装備してやがった!!何て羨ましい!
と、言うのは後にしよう。寝たふりしてこっそり、ほんとに少しだけ目を開けたときの情報を整理しよう。
まず男二人が入ってきて、一人が俺の様子を確認しに来た。その時はまだ目を開けていなかったが、男の足音が離れていったから目を開けてみたのだ。すこーしだけ見えたのはまず機関銃。格好もいかにもな傭兵装備だ。
そしてあとで報告しないといけない、といっていたからたぶんあいつらは誰かに命令されて俺の様子を見に行ってたみたいだ。つまり組織的な犯行と見える。男二人が扉を閉めるとき、ほかに会話がなかったから見張りもいないみたいだ。
慌てたため目が覚めたときと体勢が変わってしまったが、男たちが俺に関心がなかったからか、差して気に止められなかった。だからこそ助かったわけだが。
本当は逃げたかった。早くここから逃げて先生のところに帰りたい。
しかしこれはゲームじゃない。うっかり敵に見つかってやられてもリトライなんてできない。だからこそ慎重に動かないといけないのだ。うまくいけば、なんて言うご都合主義には頼れない。
...さてと。見張りがいないことがわかっただけでも良しとしよう。これで多少の物音をたてても大丈夫だろう。誰かが通ったら危ないから、時々耳をすまさないといけない。
しかし、不幸中の幸いにこの建物は音が響く。ある程度の人の存在は足音でわかる。が、それは俺も同じこと。足音をたてないために俺は靴を脱いだ。靴下だけで少し寒いが、音は軽減できる。
だがそれも見つからないことを前提にしているため、誰かの目に留まったらもうそれまでだ。
絶対に音を立てずに、見つからないようにするのは難しい。しかしやらないと俺はこのままだ。状況は変わらない。
とにかく、外に出よう。広さもわからないが窓から明かりが指している方向は外に面していることになる。扉は窓の反対側だから、出てすぐにどこかの角を見つけないと。方角さえ覚えていれば外に面している扉を探すことができる。
外に出るためにまずは扉をこじ開けないといけない。これには俺一人ではなく道具が必要だな。
そうして俺は、辺りをもう一度見渡した。




