第十八章 新財団
ミユキは新財団を運営します。そこでミユキの仕事は世界に広がります。
共生バイオ製薬の社長室では秘書が社長に新聞の束を持っていく。
「大変なことになりました。」
「ああ、わかっている。昨日テレビでも見た。えげつないことをやりやがるな、あの小娘は。」
山本は苦虫をかみつぶした顔で言った。
そこに、山本の携帯電話が鳴った。史郎の父親からだった。
「ああ、私も知って驚いている」
「我々は、これからどうしたらよいのでしょうか?」
父親はうろたえるような声で聞いた。
「どうするも、こうなったらもう金にならない。撤退する。」
「え、じゃあ、史郎の名誉はどうなるのでしょうか?」
「そんなこと知ったことではない。金にならなきゃやる意味がない。」
そう、山本は言い放った。
「我々を利用しただけだったのですか?」
山本は答えもせず、いきなり電話を切った。
一方、ミユキは記者会見と財団設立で忙しかった。
記者会見で配布する資料はすでに出来上がっている。印刷所に依頼するだけだ。
末永が、ゲラ刷りを手に取ってクスッと笑った。
「最後はあなたらしいわね。」
新しく作られた薬品は「GGS」と命名されていた。史郎の資料に書かれていた名前だ。そして最終行には「Special Thanks Dr. Shiro Mimura」と書かれていた。
「財団の名前は決めたの?」
「うん。ゆうぐれなあす財団」
「なにそれ?」
「ユーグレナ(みどりむし)とアース(地球)を合わせた造語です。Euglenearthです。」
「マークはこれにしようかと。」
そう言って、ミユキは古い史郎の資料の片隅に書かれた、史郎の落書きを見せた。漫画的に描かれたミドリムシの絵だった。
「かわいいじゃない。」
「もう、これしかないと思って。」
記者会見は、滞りなく終わった。国内外から数百名の記者が集まった。それだけ関心が高いものだった。
ミユキからは、研究成果の報告から、将来は人体への適用も視野に入れているが、当面は家畜への適用を想定して、どの会社にも平等に製法を公開することを、そして、それらを運営するために「ゆうぐれなあす財団」の設立を発表した。
記者会見が終わると、ミユキは末永を呼んだ。
「どうでした?」
「大成功ね。私もだいぶ稼がせてもらえたし。」
「ふふふ、あの時約束したからね。20年分ね。」
ミユキは少し間をおいて言った。
「あの、末永さんにお願いがあるの。新財団に参加してほしい。私の秘書にとして助けてほしい。理事としてうまく運営できる自信がないの。」
末永は、少し考えてから、
「わかったわ。私も世界を飛び回るには年を取ったわ。この辺が潮時かもしれない。落ち着いた仕事も悪くないわね。」
「ありがとう。これで鬼に金棒です。」
末永が財団に加わり、順調に事業は進むことでしょう。
後二回でラストです。




