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GREAT GREEN AFTER  作者: 矢寿紀張


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第十七章 新たな敵

研究は成功してもまだまだ仕事は終わらない。しかし不穏な出来事が起きます。

 薬が完成したからと言って仕事が終わるわけではない。むしろこれが始まりである。まずは特許の申請である。さらに、最終的には人体への適応を目標にしているため、治験を行い、承認を得る必要がある。実験とは異なる煩雑な作業が続く。

 実験チームは解散して木下だけ残り、堀江、真田、本田の三人は別の研究室に異動した。

 静かになった研究室に、書類を作成するタイピングの音だけが響く。そんなある日、一人の男が何人かを連れて理事長を訪ねてきた。その場にミユキも木下も呼ばれた。

 男は、共生バイオ製薬社長で、山本健吾といった。弁護士を連れてきていた。そしてその後ろに見慣れた顔。そう、すっかり年は取っているが史郎の母親である。隣にいるのは父親であろう。

 ミユキはその場の異様な雰囲気に息をのんだ。

「こちらで動物に適応する光合成技術の開発をしているとの情報がありまして、確認に伺った次第です。」

 山本は、丁寧に話してはいるものの、こちらに対して明らかに敵意を出しているのがわかる。両親は後ろで下を向いている。

「どちらでそんな情報を?」

 理事長が尋ねた。

「それは、答えられませんね。我々もいろいろ情報網は持っておりますから。」

 山本は得意げに言い放った。

「なんでも、それはそちらにいらっしゃる三村さんのご子息の研究だったと聞いています。その資料をそちらの先生が不正に取得して成果を奪い取ったのではないですか?」

 その言葉に木下が反応して、席を立とうとしたのをミユキは制止した。

「確かにオリジナルは三村さんのご子息のものですが、資料は正式に東都大学や三村さんから譲り受けていると聞いております。」

 理事長がそう答えても、両親は目も合わせず何も言わない。

「それに、未完成の研究を完成まで導いたのは中園先生の力です」

 理事長は付け加えた。ミユキは言いたいことを我慢して、理事長に任せることにした。

「権利はこちら側にある。販売の権利を渡してくれれば悪いようにはしない。そちらの取り分は保証する。さもなければ、特許の無効審判請求なり、異議申し立てなりなんでもして、権利をつぶしてやるぞ。」

 山本が語気を荒げて言った。

 ミユキはそれでも黙っていた。山本の言葉に怖さを感じていなかった。

「山本社長の言い分は分かりました。私どものほうで検討させていただく時間をいただけないですか?」

 理事長も冷静に返した。

「わかった。一週間だけ待ってやる。それまでに専売契約できるように用意しておく。」

 そう言って、一行は帰っていった。ミユキは史郎の両親が終始うつむいたままだったのが気になった。

 応接室は静かになった。引き続き今後の進め方について話をすることになった。

「さて、どうするかな。」

 理事長が口を開いた。

「無茶苦茶な話だぜ、あの主張は無理筋っていうもんだ。裁判すれば絶対に勝てる。」

 木下が興奮して叫んだ。

「いや、裁判に持ち込むこと自体向こうの思うつぼだ。特許戦争になると我々の印象も悪くなる。裁判所は和解を勧めるだろうし、正義はこちらにあっても得策ではない。」

 理事長が一蹴した。

「じゃあ、どうすりゃいいんだ」

 木下が投げやりに言った。ミユキはそれを聞いて口を開いた。

「私は人体に適応してからでいいと思っていましたが、このタイミングですべてを公開します。そして特許を含むすべての権利を無償公開します。私はそのつもりでやってきました。史郎さんも同じ考えだったと思います。」

「そうか、それは良い考えだ。我々は営利団体ではない。誰もが利用できる環境つくりは理想形だな。」

 理事長も異論はなかった。

「これを機会に、財団を独立してみたらどうかな?公表すると問い合わせも増える。スタッフはうちの財団から出すし、事務局も当面はこの財団内に置けばいい。もちろん理事長はあなただ。」

 理事長の申し出に、ミユキは驚いた。

「私が理事長?」

「副理事長は木下先生だな。」

「え、俺が副理事長?冗談でしょう。」

 こうやって新体制ができあがっていった。

「公開するならすぐにも記者会見が必要だ。」

 理事長がそういったが、ミユキはそれを否定した。

「ちょっと待ってください。記者会見は実施しますが、その前にやりたいことがあります。手順は任せてください。」

 そう言って、ミユキは末永に電話をかけた。

 末永はすぐに飛んできた。ミユキから一連の騒動の話とミユキの決断を聞き、納得した。「お約束でしたから、末永さんだけに話しました。記者会見は三日後にします。独占配信してください。」

「え、あの話、覚えていたの?」

「当たり前ですよ。末永さんも私たちの秘密をずっと守ってくれましたから。」

 末永はすぐに世界のマスコミにスクープを流した。ネットニュースが速報にした。夕方のテレビニュースでも、次の日の新聞一面も各社この記事でもちきりだった。

「動物が光合成できる技術確立」

「食糧危機は一気に解決か!!」

「のぞみ財団の中園博士、世紀の大発明」

 と見出しが躍った。


ミユキの強い意志で、悪者を退治できました。

この先は、一気に話は進みます。

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