表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GREAT GREEN AFTER  作者: 矢寿紀張


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/20

第十四章 緑の謎

何か動きがありそうな気配です。期待してください。

 それからしばらくたったある日のこと、いつものようにテレビでニュースを見ながら執務室のテーブルでスタッフと昼食をとっていた時だった。

 テレビでは、モンゴルのことを紹介するコーナーになり、モンゴルの大平原が画面に映った。それを見たミユキは、誰とはなしに聞いた。

「なぜ、植物ってみんな緑色なのかな?」

「それは、660nmあたりと450nm当たりの光を使っているから残りの緑の光を反射しているからで・・・・」

「そういう事じゃなくて、」

 ミユキは木下の技術的な説明を遮った。

「そんなことは言われなくてもわかっています。そうじゃなくてなぜ緑の色を使わなかったのかなって。」

 ミユキは続けた。

「植物が緑色を使わない理由はあるのかな?そんなこと考えてみなかったなと思って。」

「確かにそうだ。今までそこは当たり前と思ってた。葉緑素だから緑色に決まってる。」

「史郎さんも、そこは変えられないと言っていたような気がする。」

「おれたちは、葉緑素は緑だということに囚われすぎてたぜ。」

 木下は頭を掻きながら言った。

「前提からやり直しかな。」

 ミユキがそういったところで、堀江が口をはさんだ。

「全領域で光を吸収したら、黒になってしまいませんか?」

「確かにそうだぜ、考えが甘かったか・・・こんな簡単に解決はできねえな。」

 しばらく沈黙が続いたが、ミユキが叫んだ。

「黒でもいいじゃないですか、まずはそれを作ってみましょう。」

 ミユキの突然の決断にみんな驚いた。しばらくの間があってから木下が叫んだ。

「駄目だぜ、黒はまずい。アメリカでは絶対に受け入れられねえ。」

 頭を抱えるミユキ。すでに昼ご飯の時間は終わり、日が傾きかけてきていた。そこに本田が入ってきた。

「さっきの件を調べてきましたが、緑色が特に劣っているというわけでもないです。

 エネルギー変換効率的にはかえって青よりも良いという文献もあります。」

「エネルギー変換効率か・・・、おい本田、光合成自体のエネルギー変換効率はどれくらいなんだ?」

「太陽光の照射量に対し、糖になるのは10%もないです。」

「なに、そんなに少ねえのか。使われないエネルギーはどこに行くんんだ?」

「おそらく、ほとんどは熱になって拡散されると思われます。」

 その時ミユキの頭の中で一つの道筋が浮かんできた。

「そのエネルギーを利用できないかしら?効率が上がれば、単位面積当たりの糖の生産量が増えます。そうすれば、今の定着材を改良して分散定着させれば、相対的に色を薄くできるでしょう。定着材はエマルジョンにすれば分散定着はできると思う。」

 一同に笑みが浮かんだ。

「それならやってみる可能性はあるぜ。」

 ミユキは続けた。

「まずは、ゲノム解析からね。吸収する波長を決める遺伝子を特定させましょう。そこを変えれば吸収する周波数を増やせるでしょう。そうなると今使っている松葉では使い勝手が悪いから、成長の早い植物じゃないと使えないわね。」

 本田が間髪を入れずに続ける。

「成長が早いといえば竹が一番です。クマザサなら葉も大きいです。しかし、タネで増えないので遺伝子操作を加えるには扱いが難しいです。しかし、例えば、葉物野菜、小松菜とかほうれん草とかなら、タネから発芽までならすぐです。多量にまけば収穫も多くなります。」

「そうね、ほうれん草でやってみましょう。ゲノム解析はわたしから財団に依頼しておきます。ちょっと時間がかかるかもしれません。その間にロードマップの修正をしましょう。皆さんのご協力をお願いします。」

 ミユキのくすぶっていた心の炎がまた燃え出してきたようだ。

「ようやく、光が差してきたようだぜ。」

「今度こそうまくいくといいですね。」

「うまくいくにきまっているよ。」

 既にすっかり暗くなってしまったが、充実した半日だったと皆が思った。


少し前に進みそうです。当たり前という考えは、時には障害になってします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ