第十三章 挫折
新しく環境が変わっても、事態はすぐには解決しません。
少し短い章ですがご了承ください。
財団に移り、ミユキに新しい研究室が与えられた。今までの二倍はある広さだ。執務室も広い。中央に打ち合わせのできるテーブルもある。
新しいスタッフとして本田慎一郎が加わった。研究員は4人になった。しかしそれで劇的に進むものでもない。
木下が探してくる新しいアイデアを数か月かけて検証する。その繰り返しを何回やったのだろうか?
定例の打ち合わせの席で、木下がつぶやいた。
「停滞して15年か。なかなか難しいぜ。こう考えると、三村氏は薬の開発に2,3年しかかけてないんだから、相当な天才だな。彼なら簡単に消すことができたんだろうな。」
ミユキはそれを聞いて否定した。
「それは違います。あの時に史郎さんから聞きました。この緑色を消すことができない。それが課題だ。繰り返し実験しても消せなかったって。もともとの色素だから。」
「そうだよな。」
木下がそういうと、みな黙ってしまった。
その日の夜、ミユキは遅くまで執務室にいた。研究室にはもう誰もいない。暗い執務室で、ミユキはいろいろ考えを巡らせていた。傍らのコーヒーはとっくに冷め切ってしまっている。
一筋の涙が流れ、つい本音が口に出てしまった。
「そもそも無理な挑戦なんだろうか・・・」
廊下でそれを聞いてしまった木下は下を向いてこぶしを握るしかなかった。
木下もつらい立場でしょうね。いったいどうしたら解決するのか?




