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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
学院編
95/103

第12話 賢者は飛び級を検討する⑧

無事に寮に戻った二人は何とか食事やシャワーを完了させた。

そして、消灯時間となったのだった。

ベットのに入った二人は今日の事について話し合っていた。


「兄さん。結局王国にはばれちゃったね。」

「でも、悪いようにはされなさそうだから、今はこれで良しとしないとね。」

「それにしても兄さんの武技の精度、ものすごく上がってなかった?マルス様に少しでも本気を出させてたし。」

「それを言ったらレイアスだって、キャサリンさんの目が真面目にやばかったよ。あれはあとで食いつかれるよ。」

「う~ぅ。さすがにそれはいやかな。」

「まずは結果をまとう。話はそれからだからね。」

「そうだね。じゃあ、お休み兄さん。」

「お休みレイアス。」


あらかた話し終わると寮内の照明が落とされ二人は眠りにつくのだった。


ーーーーーーーーーー


夜も更けたころ、ジョシュアはふと目が覚め、中庭に出てきていた。

夜空は済んでおり、月や星がきれいに見えていた。

ジョシュアは夜空を見上げながら、今日の出来事を思い返していた。

特にレイアスに対して、嫉妬とも言えないような何か黒い靄のものが心を包んでいくのが感じ取れた。


「ふぅ、いつ見てもレイ兄さんの魔術はすごすぎる。これじゃあいつまでたっても追いつけない…。あの時みたいに…。」

『ようやくつながった…。天澤恵一〈あまざわけいいち〉君。』


どこからともなく聞こえる声に聞き覚えがあったジョシュアは、それほど焦りはなかった。


「…。神様ですか?」

『神…か…。そうだな、人はそう呼ぶ。だがそれは私であって私ではない。まあいい。君の記憶が戻ったおかげでやっと話ができるようになった。なぜ君がそこにいるかわかっているかい?』


ジョシュアにはわかっていた…。あの時前世の記憶を取り戻した瞬間から、そのことが頭から離れなかったのだ。


「黒の『勇者』…」

『わかっているではないか。なら話は早い。君には力をつけてもらわねばならない。来る戦いの為にも。』

「来る戦い…それは僕でなくてはならないのですか?」


虚空を見つめながらジョシュアは考えた。自分以外でも問題ないのでは?

今の生活を捨てなければならないものなのかと…


『そのための異世界転生だ。君以外にあり得ない。わかるか、それが運命だ。』

「くっ!!勝手に転生させたくせに!!」


運命という言葉に強く反応してしまったジョシュアは、冷静さを失い始めていた。

目は怒りがこみ上げ、怒気をはらむ声にさらに殺気が混じっていく。


『よいではないか。この世界でお前の兄に恨みを晴らせるチャンスが巡ってきたんだからな。せいぜい足掻くがいい。私は君を待っているからな…。』

「勝手なことばかり言うな!!どうしてレイ兄さんと争わなきゃないんだ!!」


レイアスに対する恨みなどとうに消え失せているジョシュアは、声の主に反発を覚えた。


『これは異なことを言う。それが君の本心だからであろう?私はそれを後押ししたに過ぎない。』


しかし、声の主はくつくつと笑うと、あくまで転生前の天澤恵一がそれを望んでいたかのような発言をしてきたのだ。


「僕は…僕はお前の言う通りにはならない!!」

『足掻け足掻け!!それもまた一興よ…』


強く否定するジョシュアに対し、神と呼ばれたものは足掻けと言って消えていった。


「どうしたら…いいんだ…」


満点の夜空にジョシュアの苦悩の声が吸い込まれていった。


ーーーーーーーーーー


結果発表の日。

二人は早めに職員室へと向かった。そこにはすでにゴーマンも来ており二人を出迎えてくれた。


「来たね二人とも。」

「「おはようございます先生。」」


挨拶を返した二人は緊張した面持ちでゴーマンを見ていた。

それに気が付いたゴーマンは一つ咳ばらいをして、話始めた。


「では、結果をつたえる。合格だ。春から君たちには中等部へ上がってもらう。それに伴って、退寮したり新しい寮へ移ったりで大変だと思うけど、まだ時間があるから焦らず準備すること。」

「やった~~~!!」

「ありがとうございます。」


二人はゴーマンから合格を告げられると抱き合って喜びを現した。その姿を見てしまったジョシュア親衛隊のメンバーが気を失い、そしてレイアスに対して嫉妬の炎を燃やしたのは言うまでもない。


「それと、君たちにきちんと指導できなかった僕たち教師陣を許してほしい。」


ゴーマンは最初あったときよりも先生として成長したようだった。

二人に何の指導もできなかったことを悔いているようだった。


「そんな、頭を上げてください。先生たちは何も悪くないです。これは僕たち二人のわがままなんですから。」

「そう言ってもらえると助かる。」


ジョシュアの言葉にゴーマンは頭をかいて答えた。少しだけ晴れやかな顔つきになった気がした。


「それにこの一年で僕たちがどれだけ常識外か理解することもできました。とても貴重な時間でした。だからこちらこそお礼を言わせてください。」

「「一年間ありがとうございました。」」

「うん、中等部はあまりむちゃしないようにな?」

「気を付けます。」

「はい。」 


結果、二人ともゴーマンから釘を刺されたことに苦笑いをし、この一年を締めくくったのであった。


晴れて二人は中等部へと進級を果たしたのだった。

ちなみに、余談ではあるがジョシュア君親衛隊は初等部を本部とし、中等部支部も出来上がるのだが、これは別のお話。そしてレイアスはまた血の涙を流すのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついにジョシュアの秘密が出てきました。

これについてはいまだジョシュアしか知りませんので、これが今後どうなるのか楽しんでいただけたら嬉しいです。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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