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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
学院編
94/103

第12話 賢者は飛び級を検討する⑦

ところ変わって、武術訓練場へ移動した二人の前に見知った男性が待ち構えていた。


「よく来たね二人とも。入試以来かな?」

「お久しぶりですマルス様。王国騎士団第一団団長自らが試験官を務めていただけるのでしょうか?」

「ジョシュア君だったね?そう、僕じゃ不満かい?」

「光栄です。」

「それじゃあ、二人とも準備ができ次第開始しようか。」


マルスは二人にあうことを楽しみにしていた。試験を好成績で突破した将来有望な生徒。それがマルスの印象だ。さらに、マルコやガーランドから手ほどき御受けている。これは期待するなという方が無理なのだった。


「ではレイアス君から始めようか。いいかい?」

「はい、お願いします。」

「あ、魔法・魔術は無しだからね?あくまで武術のみの試験だから注意するように。」

「行きます!!」


一通り言葉を交わした二人は剣を交えた。

レイアスは自分が持てるすべての力を一撃一撃に込め振りぬいていく。

マルスはレイアスの全力を見極め、いなし、躱し、叩き落し、防いで見せた。

攻防が5分ほど続くと、レイアスの攻撃速度が目に見えて落ちてきた。体力の限界である。

マルスはそれを確認すると、最後の一太刀でレイアスの首に木剣を振れさせたのだった。


「ま、まいりました…」

「まだまだだね。ガーランド殿に今一度鍛えなおしてもらったらどうだい?」

「か、勘弁してください。もう地獄は嫌ですよ…。」

「はははっ。それでも、並みの大人と渡り合えるだけの実力があることはわかったよ。本当に後衛職目指してるか不思議だよ。」


最後の一太刀はレイアスには見えていなかった。気が付いたらマルスの姿はなく、自分の首にマルスの木剣が添えられていたのだ。まさしく実力の違いを見せつけられた瞬間であった。

マルスはレイアスを弱いとは思わなかった。それよりも、後衛職であるレイアスがここまで強いとは思っていなかったのだ。つまりジョシュアはさらに強い…。高鳴る高揚感を抑えながら、ジョシュアに試験開始を告げるのだった。


「次はジョシュア君だね!!。準備はいいかい?」

「はい!!」

「よし!!今持てる全力で来なさい!!」

「行きます!!」


一撃剣を交えただけでマルスは悟った。この子は強いと。手を抜いていい相手ではないと。自分の本気を味合わせてあげるのがこの子の為になると。


「うん、いい動きだ…。僕も少し本気を出そうかな。」

「え?!」


それは一瞬だった。レイアスはおろかジョシュアさえもマルスの姿が消えて見えた。

気が付いたときにはマルスはジョシュアの背後をとり剣を構えていたのだ。


「上には上がいるのがわかったかい?」

「はい…まいりました。」


ジョシュアは悔しい気持ちよりもうれしい気持ちでいっぱいだった。本当に上には上がいた。ガーランドやマルコと引けを取らない人物。また一人、ジョシュアの超えるべき壁が現れた瞬間だった。


「うん、これにて試験を終了とする!!」

「「ありがとうございました。」」


二人は試験の終了とともにその場にへたり込んだ。さすがに一日で全科目の試験を全力でするとは思っていなかったからだ。


「それにしてもジョシュア君、騎士団に来る気はないかい?大歓迎なんだけどね。」


マルスは冗談とも本気ともとれる口調で、ジョシュアを勧誘していた。


「うれしいお誘いありがとうございます。ですが僕には夢があります。父の領地を継ぐことです。今は騎士爵家ですが、僕の代でどうにか男爵家までは押し上げたいですね。」


ジョシュアは勧誘についてとてもうれしく思えた。自分の実力をきちんと評価してもらえたからだ。だがジョシュアにとって学院とは領地を継ぐための足掛かりでしかないのであった。


「それはまたすごい目標を立てたね。なかなか厳しい世界だけど大丈夫かい?」

「レイアスもいますから、何とでもなります。」


ジョシュアはレイアスを見ながら答えた。それは兄弟というよりも親友とでもいうかのような信頼関係が見てとれた。


「確かにその通りだ。だが、敵は少ないほうがいい。中等部でそれをしっかり学びなさい。」


マルスはジョシュアに学院での生活で学びが多いことを伝えたかった。それは今後の財産となっていく大事なことだからだ。


「ご忠告感謝いたします。」

「君…本当に9歳かい?子供と話している気がしないよ。」


マルスはジョシュアとの会話に違和感を覚えた。まるで年上と話をしているような感覚に陥るのだ。


「これでも領主になるための勉学はさぼったりしていませんから。」

「兄さん…どうしてこっちを見るの?」

「ほんと、君たちは見てて飽きないね。うん、これなら大丈夫だろう。」


二人との会話を楽しんだマルスは何か確信でもしているかのように頷いていた。


「二人とも今日一日お疲れ様。」

「ゴーマン先生。」


武術訓練場へやってきたゴーマンは二人にねぎらいの言葉をかけた。

ゴーマンのに気が付いて二人は頭を下げて挨拶をしたのだ。


「結果発表については後日になるから、それまでは寮にいてくださいね。」

「はい。」


今後の予定についてゴーマンから話が有り、今日はこれで解散となったのだ。


二人はゆっくりとだが歩き出した。

レイアスはその一歩に不思議な感覚を覚えた。それはただの一歩ではなく、これからの大事な一歩のように思えたのである。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


レイアスはやはり武術はダメでしたね。

そしてジョシュアはきちんとアピールできたみたいです。

王国騎士団の名誉を捨ててでも領主になろうとするジョシュア君はとてもすごいと思います。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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