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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
学院編
89/103

第12話 賢者は飛び級を検討する②

「ただいま戻りました。」

「おかえり、ジョシュア、レイアス。話は手紙で確認している。まずは荷解きをして旅の埃を落としてくるといい。」

「はい。行こうレイアス。」

「待ってよ兄さん。」


出迎えてくれたのは父であるマルコであった。どうやら王都の屋敷を出る際、使用人が早馬を出していたらしい。そこであらかたの説明を書いた文を託されようだった。

マルコに挨拶を終えた二人は荷物を自室へ置き、旅の埃を落としてリビングへ移動したのだった。

リビングには妹を抱いたティリアと、メイド長のマリアも同席していた。


「おかえりなさい二人とも。学院生活にはなれたみたいね。」


ティリアは二人の帰郷を大いに喜んでいた。そしてティリアの腕の中にはかわいい赤ん坊の姿があった。


「ただいま戻りました母上。その子が僕たちの妹でしょうか?」

「そうよ、あなたたちの妹、シャーロットよ。」

「シャーロット…。シャーロット・フォン・レガスティア…。」


ティリアに帰郷の挨拶をしたジョシュアはあさっそく妹の名前を尋ねた。妹はシャーロットと名付けられ、初めて見る二人の顔をじっと見つめていた。


「兄さん、いい名前だね。シャーロット…ロッティだね。ロッティ、僕はレイアス。よろしくね。」


レイアスは、ロッティの小さな小さな手を取り優しく声をかけた。

ロッティはレイアスの顔をじっと見つめると、にこりと微笑んでくれた。

それを見たレイアスは、今にも抱き着きたくなる衝動をこらえるのに必死だった。


「初めましてロッティ。兄のジョシュアだよ。はい、これプレゼント。」


ジョシュアもまた、ロッティに優しく挨拶し、二人で選んだぬいぐるみを取り出し渡したのだ。


「まあ、二人とも。もので釣ろうなんていけませんよ?」

「母上…」

「台無しですよ…」


二人がロッティに気を取られたのがいけなかったのか、ティリアは少しやきもちを焼いてしまったようだ。

二人はティリアにジト目で抗議したのだった。


「冗談よ。」

「ティリア様。冗談にもほどがあります。お控えください。」

「マリアまで…。いいわよ、ロッティはわかってくれるわよね~?」


一応冗談といったものの、ティリアは少し不貞腐れていた。

マリアはティリアを諫めようとするも、ティリアはロッティに逃げていったのだった。


「ティリアそこまでにしないかい?二人とも、要件はあらかた聞いているよ。まずはそう思うようになった経緯を教えてくれないか?」

「はい、実は…」


少し遅れてやってきたマルコは、ティリアのやり取りを見て少し呆れていた。気を取り直して、ジョシュアたちに事の経緯の説明を求めたのだった。


「そうか…。それはどうしようもないな…。ティリア、私的には飛び級でいいと思うけど、君はどうだい?」

「そうね、それが一番いいかもしれませんわね。」


あらかた話を聞いたマルコとティリアは飛び級について賛成の意向を示した。二人の入学当時ですら初等部を大いに超える実力を有していたことは知っていたからだ。

4人で話し合いをしていると、ノックの音が聞こえてきた。


「失礼します。」


入ってきたのはガーランドとセシリーだった。

二人はジョシュアとレイアスを見てその成長に驚きを見せていた。


「おぉ?!二人とも、大きくなったな!!」

「おかえり、学院生活はどう?」

「ただいま戻りました師匠。」


レイアスが二人に頭を下げると、ジョシュアは少し残念そうな顔を浮かべていた。


「学院生活は…あまり芳しくなかったです。」

「どうして?」


その表情を見てセシリーは疑問を持ってしまった。二人が余裕で過ごせるように教えてきたからだ。


「正直、講義を聞くより、セシリー師匠からもらって参考書を読んでた方が何十倍も意義がありました。」

「実技に至っては2割も出せないんです。」


レイアスはセシリーの参考書を穴が開くほど読み込んでいた。参考書を見ればすでにくたくたのよれよれでどれ程読み込んでいたかうかがい知ることができるほどであった。

ジョシュアは、自身の力を全く出せず実技のたびにフラストレーションをためていっていた。実技はすでにやる気が起きないレベルであったのだ。


「それは…う~ん。今の子供たちは質が下がっているということなんだろうか…」

「ガーランド、たぶん違うわ。二人が突出してしまっているんだと思うわ。」


ガーランドは生徒の質の問題かと考えたが、セシリーはその原因は教えた自分たちにあると考えていたのだ。


「二人の意見を参考までに聞かせてくれないか?」


マルコはちょうどいいと考え、ガーランド達に飛び級に関しての意見を聞いた。


「はっ。そうですね、中等部への飛び級ですね。私としては賛成をしたいと考えます。正直に申しますと、私もセシリーも二人の飲み込みの速さに浮かれてしまい、中等部後期。下手をすると高等部入学レベルの授業と訓練を施しました。レイアスは知識より。ジョシュアは武術よりですが。」

「そこまで進んでいたのか?それじゃあ、初等部の授業を無駄と感じてしまっても致し方あるまい。」


ガーランドはレイアス達にどの程度指導してきたかマルコに説明をした。

それを聞いたマルコはある意味納得してしまったのだ。やりすぎたなと。


「よし、二人の飛び級の申請書は明日にも準備しよう。それを持参して飛び級を勝ち取っておいで。」

「ありがとうございます父上。」

「なに、気にすることは無いさ。」


マルコはガーランド達の意見を踏まえたうえで、子供たちの希望を叶えることにしたのだ。


決めることを決めた後は談笑の時間となった。

学院生活の事、王都での生活の事など。

子供たちから見た王都の話は新鮮で、まるで別の街の話のようだった。

ふと、セシリーはレイアスの【光の魔方陣】について気になったのだ。


「そうだレイアス君。あの魔方陣はどうなったの?」

「光の魔方陣改め【魔光陣】と名付けました。それで、今は完全記憶している下位魔法の魔術はノータイムに近い速度で展開可能です。」


ガーランドも武術の指南役として、ジョシュアの成長を気にしていた。


「そうか、ジョシュアの武術はどうだ?」

「ガーランドさん。基本武器はほぼ問題ないと思います。一応、木剣で下位魔法は斬れるようになりました。」

「こりゃ、中等部でも問題になりそうだな。」

「笑い事ではないわよ、ガーランド。」


それを聞いたガーランドは腹を抱えて笑い出した。中等部での暴れっぷりを創造してしまったらしい。

それを見たセシリーも、笑いをこらえながらガーランドを諫めるのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


今回初登場のロッティにめろめろの二人。

シスコンブラコンこじらせるレイアスが目に浮かびます。

とりあえずシャーロットも今後のキーパーソンになりますので、頭の片隅のどっかにおいておいてもらえると嬉しいです。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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