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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
学院編
90/103

第12話 賢者は飛び級を検討する③

「よし、二人とも。実力を見せてくれないか?」

「マルコ様、騎士団訓練場の使用許可をお願いします。」

「僕も行くから問題ない。行こうか。」


ガーランドは二人がどのくらい成長したのか気になったようで、二人に披露してもらおうと思った。

セシリーもそう思いマルコへ許可をとった。

マルコもやはり気になるようで、結果全員で訓練場へと移動したのであった。


「ではレイアス君からね。」

「はい。」


訓練場へ着くとセシリーはすぐさまレイアスに披露を願い出た。

レイアスもすぐにでもセシリーに見てもらいたいと思っており、うきうきしながら準備に入った。


「【遅延発動】解放。および【魔光陣】起動!!」


レイアスが魔法を解放するとともに、どこからともなく光の魔方陣がレイアスの傍らに現れ、光を強くしていく。

それは徐々に魔力・魔素を蓄えていきすでに限界いっぱいのように思えた。


「行け!!」


レイアスの掛け声とともに【魔光陣】から勢いよく魔術が発動する。

しかも、周囲から魔力・魔素を吸引し断続的に魔術が発動していくのだ。

それはまさに魔法を連続発動する、極めて高度な技術を模倣しているようだった。


「これは…なんといっていいのか…。マルコ様…おそらくこれは禁術扱いになるやもしれませんな…」

「あぁ、これほどまでとは思わなかった。」


さすがのガーランドもこれほどまでとは思っておらず、明らかに動揺を隠せずにいた。

マルコもまた、自分の息子の規格外ぶりに天を仰ぐのだった。


「レイアス君今のは【ファイアバレット】かしら。」

「レイアス、これはどのくらい維持可能なんだ。あと発動個数の限界値はいくらだ?」

「使用したのは【ファイアバレット】です。おそらくですが維持自体は特に支障はありません。同時発動個数は今は6が限界値です。それで、セシリー師匠にご相談があります。」


セシリーは発動した術式を確認すると、納得していた。

ガーランドはその【魔光陣】の性能に呆れかえってしまった。これが広まれば戦の様相が一変してしまうほどの技術なのだ。

レイアスがセシリーに何やら意味ありげに相談を持ち掛けた。


「どうしたのレイアス君。」


セシリーは嫌な予感しかしなかった。頬の筋肉が引きつっているのを自分でもわかるほどに。


「はい、実は…【魔光陣】の改良が可能かもしれません。というよりも魔方陣の改良といった方がいいかもしれません。」

「え?どういうことなの?」


セシリーは頭を抱えそうになった。今現在進行形で魔方陣の研究・開発・改良が有名な学者の間で行われている。1%でも効率が上がれはそれは大発見だといわれるほどに、熟成をしていたのだ。


「まだ実験段階ですが、おそらく魔方陣は無駄が発生しています。僕も魔光陣を使うためにいくつかの魔方陣を暗記しましたが、何か引っかかりがあったんです。それで調べるうちに、属性・位階・魔力調整・魔素調整の四段階を独立して発動できないかって思ったんです。」

「それは完成したの?」


すでにパンクしそうな頭をもみほぐしながら、レイアスに続きを促した。


「いえ、まだまだ改良の余地はあります。ただ手ごたえはありました。」

「じゃあ、見せてもらってもいい?」

「はい。」


諦めの境地に達したセシリーは見せてもらった方が早いと思い、試射してもらうことにした。


「【魔光陣】起動!!」

≪火・下・極小・極小!!≫


光の魔方陣が重なり合うように4つ形成され、一つに合わさると同時に魔力・魔素が吸引されていく。


「行け!!」


レイアスの掛け声とともに魔術が発動し、先ほどと同じような現象が発生したのだ。


「レイアス君…。これって…。」

「僕は【積層式魔方陣】と呼んでいますが、魔方陣の要素を縦に連結させて、魔方陣の面積を減らすと同時に、覚える量を減らそうと考えたんです。」


そう、この技術のすごいところは魔方陣の大きさが今までの4分の1以下に収まってしまうことだ。

今までの魔方陣の形成の仕方だと4つの魔方陣を平面に形成しそれによって大きな魔方陣を作り出すやり方だった。

しかし、レイアスが作り出した魔方陣は縦に4つの魔方陣を形成しさらに圧縮することによって一つの魔方陣としていたのだ。

これまでにも魔方陣を4つの要素に分解して発動しようと試みがあった。しかし、どれも平面で構成しようとしていたため、結果規模が大きくなるという状態だった。

レイアスの提唱する【積層式魔方陣】は縦に形成し立体として構成してしまったのだ。


「でも、問題が多くて。10回に3回は失敗して暴発します。」

「それでも成功率70%…脅威だわ。」


成功率の低さに落胆しているレイアスだったが、セシリーはまだ確立されていない技術で70%の成功率をたたき出していることに驚いてしまった。


「レイアス…我が子ながら恐ろしい技術を開発してしまったね。これは完全に禁術扱いになるかもしれないね。」

「しかしマルコ様。この【積層式魔方陣】については魔法科学の飛躍につながるかもしれません。」

「我が領地の礎になるやもしれないね。」


マルコはこの技術の危険性を肌で感じていた。

しかしセシリーは別の観点から考えていた。そう魔法科学である。王国は帝国に比べ魔法科学が遅れている。この【積層式魔方陣】が確立されれば、今まで大型になりすぎて諦めていたものが実現可能になるかもしれないのだ。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついに姿を現したレイアスを代表するスキル【積層式魔方陣】。

これは転生チートスキルではなく、純粋にレイアスの努力の結晶です。

しかも、これはあくまで「技術」にしかすぎず、少しするとこれが当たり前とされる時代が必ずやってくる代物です。

ですので俺THUEEEEEEEEE!!を期待してくださっていた方、ごめんなさい。

この作品では基本俺THUEEEEEEEEE!!は早々出てこないと思っていただけた方が正しいと思います。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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