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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
学院編
87/103

第11話 賢者は授業に落胆する⑧

 ジョシュアの勘は見事に当たったのだった。

 初めての休日にレイアスと二人で王都の商店街を散策中に事件は起こった。

 二人の周りに20人くらいのごろつきが現れたのである。そもそも、なぜこのような大通りで囲まれたのかが理解不能だった。襲うなら、裏路地で襲った方が効率的だし、足が付きづらい。

 ふと、ジョシュアが気配を探ると、近くのカフェの二階ベランダに知っている気配を感じた。そう、カールの気配だ。よく見ると双眼鏡のようなものを構えこちらを見ていた。おそらく、この状況を作ったのがカール本人であろうことがうかがえる。

 ジョシュアとレイアスは周りを見回しため息をついた。明らかに三下もいいところだからだ。


「よう、坊ちゃん方。取り合えず、いためつけられてくれねぇか?な?簡単だろ?抵抗してもいいが、それだけ時間がかかっちまう。無抵抗ならすぐおわるからな?」


 ジャラジャラと鎖や武器を持って集まってきた賊は何やら物取りとは違ったようだ。むしろ二人を痛めつけるためだけに集まった様子さえうかがえた。


「ねぇ、兄さんどうしよか?」

「う~ん。かなり困った状況だよね?」

「もうさ、一回殴らせて正当防衛で全滅させようか?」

「それが一番早いかも…。」


 二人がこそこそと相談していると、賊の一人が突然襲い掛かってきた。


「ごちゃごちゃうるせぇなぁ~。とりあえず一発食らっとけ!!」


 二人は避けようともしないと、賊はビビって動けないものだと勘違いし攻撃の強さを上げていった。

 そして、賊の攻撃がレイアスに当たった瞬間だった。


 ガキン!!


 何か金属同士でもぶつかったかのような大きな音がまわりに響き渡った。その音を応用に男の叫び声がこだましたのだ。


「いって~~~~~~~~~~~!!お、俺の右手が~~~~~~~~~!!」


 男が叫ぶのを唖然としてみていた残りの賊は何があったのかわからず、硬直してしまった。明らかに男の攻撃は当たったはずであった。しかしダメージを負ったのは攻撃した男の方と意味が分からなかったのだ。


「これで正当防衛でいいかな?」

「いいんじゃないかな?」


 それからは一方的だった。ジョシュアとレイアスの手にかかれば三下の賊の捕縛など、どうということは無かったのである。


「ふう、これで完了っと。兄さん大丈夫?」

「誰に言ってるのレイアス?」

「だよね?」


 レイアスの前には芸術的に縛り上げられた賊が転がっていた。その表情にはやり切った感が漂っていた。忘れてはいけない…レイアスは9歳なのだ…。

 ジョシュアもまた賊をきれいに縛り衛兵が連れていきやすいように数珠繋ぎに捕縛していた。


「あ、衛兵さんが来たみたいだな?」


 衛兵が到着すると、数人は周囲の人に聞き込みを開始した。

 おそらく隊長と思しき男性がレイアス達に話しかけてきた。


「君たちがこれをやったのかい?」


 半信半疑でレイアス達に話しかけたが、やはり納得がいかなかった。ほんとは誰か別の大人が捕縛したのではないかと考えていたからだ。レイアスのせいである。


「そうですね。いきなり周囲を囲まれて、殴らせろって殴り掛かられました。」

「その割にはケガが全くないようだけど?」

「はい、防御結界張ってますから。」


 ジョシュアは事実を述べたつもりだったが、隊長からしたらケガがないため信じることができなかった。

 レイアスは結界のおかげでケガがなかったと申告するも、こんな子供が大の大人の攻撃を防げる結界が使えるかと疑っていたのだ。


「それでか。つまり君たちは被害者で、正当防衛の為こいつらを打ち負かしたってことでいいのかな?

「そうですね。」

「そうか、たぶん後日事情聴取を行うため詰所に来てもらうかもしれないが、君たちはどこに住んでるんだい?」

「王立学院です。」


 いくつかの問答の後、最後に連絡先を確認し、王立学院であることを聞いた体長は納得してしまった。あの学院の生徒ならあり得るなと。


「そうか、では私はこれで失礼する。」


 衛兵たちが帰るのを見送るとジョシュアはすぐに行動を開始した。こちらを見ていたカールに一言挨拶しようと思ったのである。


「さてと…」

「【指向性魔法】…。【ウィスパー】。」


 ジョシュアがそう唱えると、一陣の風がカールがいるベランダに向かって吹いた。


「『久しぶりですねカール様。』」


 いきなり聞こえたジョシュアの声にカールは椅子から転げ落ちるほど驚いてしまった。手に持っていた飲み物もぶちまけてしまい、衣装はぐちゃぐちゃだ。


「『そんなに驚かなくても大丈夫ですよ?魔法で声をそちらに届けてるだけですから。それと、騒いでもそちらの声は聞こえないので意味ないですよ?今回の件…さすがにやりすぎですよ。今回は見逃してあげます…。次はないですよ?覚悟を持って挑んでください。』」


 何やらこっちに向かって叫んでいるが、距離が遠く何を言っているかわからなかった。


「『【点火】』」


 ジョシュアの合図とともにレイアスが【点火】の魔法を発動。カールのそばの植木が突然炎に包まれたのである。もちろん二人からの警告である。


「兄さんこれでいい?」

「さすがレイアス。目標ぴったりだね。」

「動かない目標だもの外すほうがどうかしてるよ。」

「じゃあ、買い物の続きでもしようか。」

「そうそう兄さん、友達に聞いたんだけどこの近くにうまい串焼き屋があるんだって。行ってみようよ。」

「それはいいね。あと僕も友達に聞いたけどおいしいパンケーキのお店も近いみたいだから行こうね。」

「兄さん…それ絶対女子だよね?」


 溜飲が下がった二人は買い物を再開した。

 レイアスは仲良くなった男子生徒から、おすすめの店を聞いていた。休みの日にジョシュアを誘うためだ。

 ジョシュアもまたレイアスと楽しむためにリサーチを行っていたが、どう見ても女性がいくような店だった。

 レイアスはジョシュアのリサーチの血の涙を流したとか…


 そして、レイアス達の学院生活が進んでいくのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


またもテンプレ回収来た~~~~~~~!!

一回やってみたいシリーズの登場です。

主人公が悪者に囲まれる

→やっつける

→衛兵に説明

これがワンセットですねwwww


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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