第10話 賢者は入学式に出る④
オリエンテーション等の本日のカリキュラムが終わり、次は入寮式となる。
学院内にはいくつかの寮があり、Sクラス以外はばらばらに寮へと入ることとなる。
レイアスとジョシュアも自分たちが入る寮の前に来ていた。
そこには20名くらいの生徒が集まっており、寮の入り口には上級生と思われる生徒が待っていた。
「そろったようなので始めます。それでは皆さん改めまして。僕の名前はジャック・マルタンス。ジャックと呼んでほしい。一応この寮の寮長を担当している。何かわからないことがあればいつでも言ってくれ。できる範囲で相談に乗るから。じゃあ、挨拶はこれくらいにして受付で鍵を受け取って自分の部屋へ移動してほしい。では行動開始!!」
ジャックの掛け声に、新入生は行動を開始した。受付でクラスと名前を伝えると、鍵と部屋番号が書かれた用紙を渡された。用紙は2枚あり、1枚は注意事項。2枚目は誓約書だった。誓約書は注意事項の項目に違反した場合最悪退寮になることなどが明記されていた。
レイアスとジョシュアは特待生であり1人部屋が割り当てられていた。
「兄さん、特待生ってだけでだいぶ優遇されるんだね。びっくりだよ。」
「そうだね、僕は二人部屋でも全然気にならないんだけどね。学院としては気を使ってますよってアピールしたいのかな?」
そんな会話をしていると目的の部屋がもうすぐそばであった。
しかし、二人はまた災難に見舞われるのだった。
「どうして僕が二人部屋なんだな?おかしいんだな?僕は子爵子息なんだな。僕が一人部屋を使うのが当たり前なんだな!!」
カールがなぜが二人の部屋の前で怒鳴っていた。寮を管理する職員に食って掛かっていたのだ。
職員も割り当てに関しては関与しておらず、学院の理事会で決めた内容なだけにとても困り顔だった。
レイアス達は部屋に近づくのに気が付いたカールは、レイアス達に食って掛かってきた。
「そのカギを寄越すんだな!!僕が正当な使用者なんだな!!お前たちが使うのはおかしいんだな!!たかが騎士爵子息風情が偉そうなんだな!!僕の父上に言ってすぐにでも学院を追い出してやるんだな!!」
カールが何を言っているのかわけがわからない二人は、あっけにとられてしまった。
ジョシュアは職員に視線を向けると、申し訳なさそうに近づいてきた。
「すまない二人とも、迷惑をかけたね。」
職員はレイアス達に頭を下げた。そして、いまだに納得がいかないといきり立ってるカールに向かって再度説明を始めた。
「カール君。これは学院の理事会で正式決定されたことだから、僕たちにはどうにもできないことなんだよ。もし不満があるなら、学院の事務所へ掛け合ってくれるかな?たぶん変更はないだろうが、何かしらの対応はしてくれるはずだから。」
そういうと、カールを連れて移動しようとしたがカールは手を振りほどき、またも騒ぎ始めた。
「職員風情が偉そうなんだな!!僕は子爵子息なんだな!!」
ジョシュアはもう、カールに話が通用しないと思い職員に提案をした。
「僕とレイアスは同じ部屋でいいですよ?特に1人部屋にこだわりはないですから。ね?レイアス。」
「だね。え~と、誰だっけ?その…カー、カー…。…そうそう、カール君に使ってもらってください。」
職員は大きなため息をつくと、この件については学院理事会に報告するとだけ告げ、ジョシュアとカールのカギを交換した。
鍵を受け取ったカールはふんっと鼻を鳴らして部屋へ入っていった。
「すまない二人とも。部屋は2人でいいのかな?」
「問題ないですよ。それに初めて親元を離れるので、二人のほうが心強いですから。」
職員の謝罪に、笑顔で答えたジョシュアは鍵を受け取ると、二人部屋へと移動した。
レイアスは特に気にも留めていなかったようで、あとを付いていったのだ。
職員は、すぐに事務室へ向かい報告書を作成した。今回の件で減給だろうな…とつぶやきながら…。
部屋に入った二人はすぐに荷解きをして、部屋の整理を始めた。
部屋は二段ベッドと机が二人分並んでおり、ウォークインクローゼットもあった。小さいながらシャワー室やトイレも完備されており、二人は大満足だった。
荷解きが終わり、夕食の時間となり食堂へと移動した。
食堂にはすでに多くの生徒が集まっており、思い思いの席に座って談笑していた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
またしてもカール…
君はどこまで行っても変わらないんだね…
こうゆうキャラって王道ですから出してみようで出演決定したカール君でした。
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では、次回をお楽しみください。
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