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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
学院編
77/103

第10話 賢者は入学式に出る③

「痛いんだな!!僕の右手が曲がったんだな!!なんなんだな?おいゴーマン!!痛いんだな!!早くしろなんだな!!僕がけがしたんだな!!」


 騒ぎ出したのは殴りかかったほうのカールだった。

 カールの右手は折れ曲がり、変な方向へ向いていた。顔を青くしながらゴーマンを怒鳴りつけると、ゴーマンはすぐに医療班を手配する。

 レイアスはもうめんどくさくなり、カールの右手を掴み折れた骨を引っ張った。そのまま魔法をかけると、曲がったままくっつく可能性があるからだ。

 突然の行為に、カールは何が何だかわからず混乱してしまった。

 次の瞬間レイアスの周りが少し輝きだした。


≪我望むは癒しの力。傷つきたもう彼の者に慈悲なる光を。≫

「【癒しの光】」


 レイアスが魔法を行使すると、カールの右手に変化が始まった。折れた右腕から痛みがなくなったのである。

 さらに混乱をしたカールが何か騒いでいるが、全無視を決め込んだレイアスはまた参考書を読み始めた。

 教室に到着した医療班に連れられ、カールは医務室へと移動していった。

 ゴーマンを含めクラスメート全員があっけにとられていた。

 ジョシュアだけが理由がわかっていたため、レイアスに近づき小声で話しかけた。


「レイアス…ちょっと目立ちすぎかな?大丈夫?」


 ジョシュアの声に少し考えをめぐらしたレイアスは、やらかした感マックスでジョシュアを見つめた。

 さすがに助け船が出せずにいたジョシュアは、肩をすくめて自分の席に戻っていった。

 ゴーマンが我に返り、生徒に一旦解散を指示し、自身はカールの元へと向かった。

 一旦解散となったクラスメートは何をしていいのかわからず、ジョシュアの提案で自己紹介を続けた。


 自己紹介がひと段落したころ、一人の男子生徒はレイアスに尋ねた。


「ねぇ、レイアス君。さっきのカール君に殴られたときどうしてカール君がけがをしたの?」


 子供からしたら、確かに疑問ではある。しかし、レイアスからしたら当然の結果だった。答えは簡単だ。常に防御系の結界を身にまとっているからだ。

 レイアスの開発した技術が技術だけに、拉致される可能性が高すぎた。今現在秘匿とされてはいるが、いつ何時露呈するかなどわからないからだ。

 しかし、このことを話すわけにもいかず、どう答えようか迷っていると、ジョシュアが助け舟を出してくれた。


「レイアスと僕は、元上位冒険者に鍛えてもらっているんだ。だから、正直言うとこのクラスの中で僕とレイアスに戦いを挑める人はいないと思うよ?」


 ジョシュアからすると珍しくトゲのある発言であるが、事実だけに伝えないわけにはいかなかった。今回も万が一魔法など使われていたら、大惨事になりかねなかったからだ。

 それを聞いたクラスメートは何故か納得してしまった。

 それからは取り留めのない会話が続き、少しずつレイアスに対する畏怖の感情は薄れていった。

 ジョシュアの対応に感謝の気持ちでいっぱいのレイアスだったが、やはり一つ納得がいかなかった…

 何故、ジョシュアの周りに女子が囲っているのか…

 納得いかないレイアスだった。


 しばらくすると、担任のゴーマンが戻ってきた。どうやらカールは少し医務室にのこり今日はこのまま寮へ向かうこととなったようだ。

 そしてゴーマンは、レイアスとジョシュアを別室へと呼びだした。


「君たち、入学早々問題を起こさないでもらえるか?こっちとしても対応しずらくて困る。特に相手は子爵子息だ。何か問題があれば君たちの方が悪者にされかねない。特に入試の際も準男爵ともめていたそうじゃないか。頼むからおとなしくしていてくれ。いいね?」


 ゴーマンは二人の言い分を聞かず一方的に注意をし、教室へ戻っていった。

 二人は納得いかないが、面倒は嫌だとおもい指示に従うことにした。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


ちゃんと治療してあげるあたり優しいですよね?

痛くないとは言っていない。

普通に考えた、折れた腕を無理やりつかまれて引っ張られたら激痛ですからね。

麻酔なしで遂行したレイアスは実は鬼畜ではないかと疑念が…



誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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