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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
70/103

第9話 賢者は入学試験を受ける②

 入学試験当日。

 二人は気合を入れて屋敷から王立学院へ向かった。

 道中、同じく試験を受けるであろう子供たちを見つけ、二人は緊張の色を濃くしていった。


「兄さん…ダイジョブかな?試験難しくないよね?」

「大丈夫さ。セシリー師匠も問題ないって太鼓判押してくれたし。あとは練習通りやるだけさ。」

「でも…」

「あ、そんな弱気なレイアスは落ちちゃうかもしれないけどね。」

「そんなことない!!」

「そうそうその調子その調子。それでこそのレイアスだよ。」

「………。ありがとう兄さん。どうやら飲み込まれてたみたいだね。」


「もうすぐ到着だ。レイアス、頑張ろうね。」

「兄さんもね。」


 二人は王立学院に到着し、受付を済ませると試験会場へと移動した。

 そこには300人を超える子供たちが試験の準備をしていた。

 年齢はばらばらでレイアス達が一番幼い年齢層だった。


「邪魔だ!!」


 後ろから突然怒声を浴びたレイアス達はとっさに道を譲った。

 そこには大柄で体格の良い(どう見てもぶよぶよ)男子が立っていた。

 二人が避けるのを見ると、鼻で笑い「下のものが僕の前をふさぐんじゃない。」と言い残してどしどしと進んでいった。どうやら座席を見つけたようで座ろうとしたが、だいぶ狭そうだった。

 それを見た二人は笑いをこらえるのに必死で、その場を後にした。

 二人は自分の座席を見つけると、着席し開始を待った。


 数分後ベルとともに試験管らしき人が数名会場へ入ってきた。

 この後のタイムスケジュールと注意点を説明した。

 内容は次の通りだ。


午前 筆記試験(120分)

   ・算術

   ・王国歴

   ・魔法基礎理論

   ・魔術基礎理論


午後 武術・魔法試験

   ・武術模擬戦

   ・魔法発動試験


明日午後 試験結果発表


 黒板に張り出された内容を確認しながら説明が続いていく。二人は緊張を高めていった。


 説明が終わり、試験官が受験生に問題用紙を配り始めた。

 全員に配り終わると、試験官が最後の注意事項を説明した。


 問題用紙にはこのような記載があった。


1、この問題用紙に記載される事項は他言無用である。

2、試験中の私語は失格となる。

3、カンニングは即失格。また、次年度の試験資格の停止。

4、試験官の指示に従わないものは失格とする。

5、上記事項に同意したものだけが下の署名欄に名前を記載すること。

  ※これは魔術契約となるため契約後一方的な破棄は不可能である。


 これを読んだレイアスはただただ唖然としてしまった。まだ子供にこんな内容の契約をさせるなよと思ったからである。

 二人は署名をし、試験官の指示を待っていた。


 これを読んだ数名が退席していくのが聞こえ、すべての受験生が署名を終えると出入り口が封鎖された。しかも、魔術封印までされる厳重度合い。

 二人はこれにも驚いてしまった。ここまでやるのかと…。


 試験官は大型の砂時計を準備し、この砂時計が全て落ち切ったときが終了である旨を説明した。


 全員が静まり返ったところで、試験官から始まりの合図があった。

 全員が一斉に問題用紙へと意識を集中させた。

 レイアスも試験問題を確認し始めた。のだが…一瞬硬直してしまったのだ…。

 あまりにも簡単すぎたのだ…

 試験時間が120分もあるが、レイアス・ジョシュアともに30分以上時間を残してしまった。確認も十分に行い、おそらく満点であることを確信していたのである。二人にとって残り30分は苦痛であった。レイアスなど、帰宅後どんな修行するかなとすでに心はここになかった。ジョシュアもまたに多様なものだった。


「終わり!!全員手を上に挙げるように。」


 試験官の合図とともに全員手を上に挙げた。

 数人の試験官が問題用紙を回収して回った。

 問題用紙の回収が終わると、試験官より昼休憩の説明があった。食堂にが解放されているので、そちらに行くようにとのことだった。


 レイアス達はさほど急いでおらず、ゆっくりと食堂へ向かった。

 食堂はかなり広く、ゆうに500人はすわれる大きさだった。その大きさにあっけにとられているとまたも後ろから声がかかった。


「またお前たちか?!毎回毎回僕の前をふさぎやがって!!さっさとどけ!!こののろまが!!」


 レイアスが一瞬殺気立つと、その男の子は少したじろいだ。

 ジョシュアはここで問題を起こすのは得策でないと判断し、レイアスを諫め殺気を抑えさせた。

 男の子は少しどぎまぎしながらも威張った態度は崩さずにどすどすと席へと移動した。お供と思われる男の子が食事の準備をしていたが、それにも文句をつける始末。

 レイアスは、あれとは関わりたくないと本気で思ったのだった。


 席もだいぶ空いているため、レイアス達は6人掛けのテーブルに座って食事をとり始めた。

 少しすると、女の子二人がお盆をもって近づいてきた。相席のお願いである。

 ジョシュアは美少年スマイルを浮かべ了承すると、ジョシュアをはさむように席に着いたのだった。

 それを見たレイアスは表情には出さなかったが、心の奥では嫉妬の炎をめらめらとたぎらせていたのは内緒だ。

 ジョシュアは女の子の行動に苦笑いを浮かべるも、美少年スマイルは崩さなかった。レイアスは「さすが兄さん…」とつぶやくのだった。


 そんな感じで、食事を終えると時間まで少しゆったりとしていた。

 そのゆったりとしていた時間でも変化があったのだ。

 ジョシュアを囲む女の子の数が増えていたのだ…

 しかも10名くらいに…

 レイアスはそれを見て「さすが兄さん…」とある意味尊敬してしまった。

 ジョシュアの女性の扱いのうまさが際立って見えたのだった。


 そろそろ午後の試験の時間のためその集まりは解散となった。

 と思いきや、結局レイアスとジョシュアの後ろをついてくる女の子たち。

 それを見ていた周りの男の子たちの視線がやたらと痛かったのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


試験が始まりました。

セシリーの講義(明らかに8歳の子供に施す内容ではない)のおかげで、問題なく進めたみたいですね。

武術、魔法・魔術については…ね?


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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