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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
69/103

第9話 賢者は入学試験を受ける①

 王立学院初等部の入学試験が間近に迫り、レイアスとジョシュアは王都に向かい移動することとなった。

 移動は約1週間程度で、途中の町で宿泊する予定である。

 護衛にはガーランド・セシリー両名が付くこととなっている。リクもまた護衛として陰ながらサポートする予定である。

 王都ではレガスティア家の屋敷を利用することとなっており、合格後は入学まで王都で暮らすこととなっていた。


 出発の朝、レイアス達はマルコ達から見送りを受けていた。

 皆、二人の合格については疑ってはおらず、次に会えるのは長期休みに入ってからとなると思っている。

 その為、使用人・騎士達皆での見送りとなったのだ。

 さすがの物々しさに若干表情がひきつっているレイアスを尻目に、ジョシュアは使用人たちと別れを惜しんでいた。

 レイアスは「さすが兄さん…できる男子は違う…」と思っていた。それをまねしようとしたが…騎士たちに囲まれてしまった…。

 あれ?僕…何故か騎士たちにめっちゃ好かれてるんですけど?と首をかしげるレイアスだった。

 実はこれまでの修行の一環で、レイアスはついに回復魔法を習得したのであった。【ミニマムヒール】ではあったが、簡単な傷やダメージを回復させるには十分な性能だった。

 これに気を良くしたガーランドが、騎士たちの訓練の上限を引き上げたのだ。つまり、騎士たちは…屍累々となった…。

 これを訓練終了後、回復魔法の練習として使い続けていたので、自然と騎士たちに好かれたらしい。

 これは公然の秘密だが、『レイアスを守り隊』なる組織が騎士たちの間で出来上がったとかなんとか…

 ちなみに使用人メイドの間では『ジョシュア様を愛で隊』が結成されていた。

 これを知ったマリアは呆れた表情でため息を漏らしたとか。しばらくのちマリアも会員になったりしたらしい…


「ジョシュア、レイアス。しっかりやるんだよ?二人なら問題ないとは思うけど、それでも貴族のしがらみが必ず発生する。一人で解決しようとせずに、信頼のおける大人を必ず頼るんだよ?私の寄り親のアルト・フォン・シャロン子爵様には手紙を出しておいた。何かあれば、王都の屋敷に向かい子爵家を頼りなさい。いいね?」

「「はい。」」


 マルコは二人に対し、とても心配そうな顔をしていた。今にも二人を止めたい気持ちを押し殺し、二人へ注意を促した。

 そんなマルコに気持ちに少し苦笑いを浮かべるレイアス達であった。

 マルコは、そんな二人の表情に少しバツが悪くなったのか、話の相手をガーランド達へ向けた。


「ガーランド、セシリー。二人をたのみました。」

「マルコ様、おまかせください。このガーランド、命に代えてもお二人を無事王都へお連れ致します。」


 ガーランドはその巨躯たる胸板に握りこぶしを当てどんと構えた。それはとても逞しく頼りがいのあるそんな雰囲気だった。

 セシリーはマルコのそばで一言も発せず、ただただ心配そうにしているティリアを気遣っていた。


「ティリア様。お二人をお預かりいたします。どうか、ご心配なさらずお過ごしください。

「セシリー…お願いね。あと、様と敬語がでてるわよ?」

「ティリア…一応ここは公の場よ?きちんとしないと締まらないでしょうに…」


 二人は顔を見あわっせて笑いあった。そこにはもう心配で心がつぶされそうだったティリアはいなかった。セシリーもまた、ティリアの変わりようにほっと胸をなでおろした。


「母上、ご心配には及びません。レイアスともども次にお会いすのは夏の長期休暇です。それまでお体を大事になさってください。」

「そうだよ母上。おなかの子に触るからね?絶対無理したらだめだからね?」

「二人とも…元気で頑張るのよ?」

「「はい!!」」


 そう、ティリアのおなかには二人の妹が宿ったのだ。すでにおなかが目立つようになり、治療術師の魔法により性別が判明し、今は名前の選考中である。初の女の子とあり屋敷は大賑わい。すでに蝶も花よといった感じだ。着実に準備が始まっていった妹のお出迎え準備に二人は苦笑いしたのは懐かしい出来事だ。

 二人が長期休暇で規制するときにはちょうど産まれているはずである。二人は新たな命の誕生に胸を高鳴らせていた。

 そんなティリアを気遣いジョシュアとレイアスは言葉をかける。

 やはり心配のティリアに元気よく大丈夫の意味を込めて返事を返したのだった。


「ではマルコ様、我々は出発いたします。」

「ガーランド、頼んだ。」


 改めて出発の挨拶をしたガーランドはマルコに一礼をした。

 マルコも改めてガーランドに息子たちを託したのだった。


「出発!!」


 ガーランドの掛け声とともに馬車は動き始めた。

 騎馬騎士2名が先導し、次にガーランド達が乗る馬車。最後に騎馬騎士2名の隊だ。

 後ろからマルコ達の声が聞こえてくる。

 レイアス達はその声に元気よく手を振り答えていた。二人の目にはたくさんの涙がたまっていった。涙が雫となり頬を伝う。それを拭うこともせず、二人は一生懸命に手を振り続けた。マルコ達の姿が見えなくなるまでずっと。


 しばらく馬車が進むとマルコ達の姿が見えなくなった。

 これから先マルコ達となかなか会えなくなる。そう思うと二人とも不安とさみしさがこみあげてきた。二人は本格的な旅は初めてだった。

 そんな二人をいたわるようにセシリーは二人により添って頭をなでていた。

 少し落ち着いた来た二人はセシリーに礼を言い席へと座りなおした。


 二人は顔を見つめそして前を向いた。


「「いざ行かん!!王都へ!!」」


 二人の声は清く澄んだ青空へと響いた。まるでマルコ達に届けとばかりに。


 ちなみに、マルコ達の心配をよそに二人は旅を満喫していた。

 新しい街、新しい風景。すべてが新鮮で、すべてが興味深かった。

 街と街をつなぐ街道には、いろいろな人がいて、それもまた楽しかった。

 旅のルートも安全を考えて大通りをメインに使ったのもあり、盗賊はおろか魔物・魔獣すらいなかった。冒険者が仕事をきちんとしている証拠でもある。


 二人の旅も無事に終わりを告げるかのように、目の前にはとても高い城壁が見えた。それは遠くからでも見えるほど巨大で、怖くもあり雄大でもある。

 二人ははやる心を押さえつけ、顔を見合わせて笑みを浮かべていた。これから始まる王都での生活を夢見て。


 屋敷についた二人は、荷物を解き王都を散策した。

 自分の街とは比較にならないほど、人や物があふれ、多種多様な人種でいっぱいだった。

 二人が驚いたのは書店だった。書店には数多くの本が並んでおり、レイアスはすぐさま魔法・魔術関連の書籍を探した。ジョシュアは、書店のおすすめの本を手に取り軽く流し読みをしていく。いくつか探したのち、ジョシュアは気に入った本が見つかったのか数冊を購入していた。レイアスはというと…目当ての本が見つからなかったらしく、がっかりしていた。書店の店員曰く、レイアスが探している本は王立図書館でないと扱っていないとのこと。後日必ず行くと心に誓うレイアスなのであった。


 二人は入学試験までの間、屋敷で座学・武術の復習を行った。あまり派手にはできないので、基本のおさらい程度だ。休みの日は二人で街を散策するのが日課となっていた。


 そして数日が過ぎ、明日は入学試験当日。

 二人は早めに床に就き、明日へと備え休息したのであった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついにこの章の最終話でございます。

地の文が多めになってますが、大目に見ていただけると嬉しいです。おおめだけに…ごめんなさい…


このお話では今後にのストーリーに対する大事な話も含まれます。

そのため、まして地の分が多くなってしまいました。

読みずらかったらごめんなさい。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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